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令和元年第5回教育委員会議(8月臨時会)議事録

令和元年第5回 広島市教育委員会議議事録

 令和元年8月28日(水曜日)、令和元年第5回広島市教育委員会議(臨時会)を教育委員室において開催した。

1 開会及び閉会に関する事項

 開会 午前9時30分
 閉会 午後3時41分

2 教育長及び委員の出席者

 教育長 糸山 隆
 委員 井内 康輝
 委員 栗栖 長典
 委員 秋田 智佳子
 伊藤圭子委員及び西敦子委員は欠席

3 事務局等の出席者

 教育次長(総務部長事務取扱) 荒瀬 尚美
 青少年育成部長 長谷 冨美
 学校教育部長 森川 伸江
 指導担当部長 野間 泰臣
 教育センター所長 松浦 宰雄
 総務課長 山越 重範
 指導第一課長 中谷 智子

4 傍聴者等

 21人

5 議事日程

 議題1 令和2年度から使用する広島市立小学校用教科用図書の採択について(議案)

6 議事の大要

糸山教育長

 ただ今から、令和元年第5回広島市教育委員会議臨時会を開会いたします。
 本日は傍聴の方もお見えになっておられますが、お手元にお渡ししております注意事項をよくお読みいただき、静粛に傍聴していただきますようお願いいたします。
 本日は除斥の規定により、伊藤委員、西委員が欠席となりましたが、定足数を満たしております。
 本日の議事録署名者は、井内委員と秋田委員にお願いします。
 これから日程に入ります。
 本日の議題はお手元の議事日程のとおりです。
 それでは、議題に入ります。
 議題1の議案第16号「令和2年度から使用する広島市立小学校用教科用図書の採択について」を議題とします。
 本件は審議案件です。まず、概要について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 本日は、「令和2年度から使用する広島市立小学校用教科用図書の採択について」、御審議いただきます。よろしくお願いいたします。
 資料につきましては、資料1、資料2に加えて、右肩に四角囲みで「別紙」と示したもの、また、右肩に四角囲みで「参考」と示したものをお配りしています。
 それでは、まず、教科書採択における公正確保について御説明します。
 5月29日の教育委員会議で御審議いただきました令和2年度使用広島市立義務教育諸学校用教科用図書採択の基本方針には、「採択権者の権限と責任において、適正かつ公正な採択を行う。」と示してあります。この基本方針に加え、採択審議会の委員及び調査員は、教科用図書採択に利害関係のない者を委嘱、任命しました。利害関係がないことは、誓約書の提出によって確認しております。
 また、各学校には、4月15日付け「教科書採択における公正確保の徹底及び2020年度使用教科書の採択事務処理について(通知)」により、学校と教科書会社との関係において疑義が生じることのないよう、教科書採択の公正確保に係る学校の対応について周知し、公正確保の徹底を図ってまいりました。
 次に、これまでの教科書採択の経過を説明いたします。資料1の1ページを御覧ください。
 5月の教育委員会議で、令和2年度使用広島市立義務教育諸学校用教科用図書採択について、上段の「広島市教育委員会」の枠内にありますように、採択基本方針の決定、採択審議会への諮問事項の決定、採択審議会委員の委嘱又は任命を行い、図の丸2にありますように、採択審議会へ諮問しました。採択審議会は5月31日、7月11日、7月19日、7月24日に開催しました。この採択審議会には、資料1の2ページに示してあります小学校用教科書全てについて、調査員による調査研究を踏まえて審議を行い、各教科書の特徴及び「よりふさわしい」、「ふさわしい」の意見を付して、図の丸6にありますように、教育委員会に答申しました。
 次に、教科書展示会について説明いたします。右肩に四角囲みで「別紙」と示したものを御覧ください。
 本市では、教育関係者のほか、市民の皆様に教科書に触れていただく機会として、教科書展示会を開催しています。教科書展示会は、広島市教育センターのほか、全ての中学校及び中学校区ごとに指定した小学校において実施します。展示会場では、教科書採択に関する質問等に対応できるよう、質問等記入用紙を置きました。この資料は、提出された質問あるいは意見等を順序不同で転記したものです。
 なお、各団体から出された要望、請願につきましては、既に(各委員に)情報提供しているところです。
 続いて、答申の概要について国語を例にして説明します。資料2を御覧ください。1ページから7ページが国語の答申となっています。
 2ページを御覧ください。まず、1、「本市の実態や児童の状況」とありますが、一つ目の丸(〇)に本市の実態、二つ目の丸(〇)に児童の状況を示しています。また、2、「調査・研究の観点と視点」とありますが、表に示しておりますように、基礎・基本の定着、主体的に学習に取り組む工夫、内容の構成・配列・分量、内容の表現・表記、言語活動の充実の五つの観点について、それぞれ具体的な視点を定めています。
 続いて、3ページを御覧ください。3、「各教科書の特徴」とありますが、3ページから6ページにかけて4者全ての教科書について、ゴシックで示しております五つの観点に沿って、その優れた点や特徴をまとめています。
 続いて、7ページを御覧ください。4、「意見」には、この答申の中の1者について「よりふさわしい」、もう1者について「ふさわしい」と意見が付されております。なお、ここに並べている発行者の順は、先ほど説明しました小学校用教科書一覧における順によっています。この答申に基づいて、どの教科書を採択するか御審議いただくことになります。
 続いて、審議していただきます小学校用教科用図書について説明します。資料1の2ページ、「小学校用教科書目録(令和2年度使用)」に登載された教科書一覧を御覧ください。
 表の上段に、番号、種目、発行者の番号・略号、種類数、点数と項目立てしていますが、この度、採択審議会で扱いました教科書は11教科13種目です。発行されている教科書は、全て合計しますと、60種類、305点となります。これら305点の教科書の調査研究に当たりましては、各教科の調査員が全ての教科書の調査を綿密に行いました。これらの小学校用教科書は来年度から全面実施される新学習指導要領に沿って作られています。
 各種目の説明の前に、新学習指導要領のポイントを、文部科学省が作成した資料を使って簡単に説明させていただきます。右肩に四角囲みで「参考」と示してある「学習指導要領改訂の考え方」と題した資料を御覧ください。
 新学習指導要領では、教育課程の全般や各教科での学びを通じて、何ができるようになるかを明確にし、変化の激しい時代に必要な資質・能力として、「生きて働く知識・技能の習得」、「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成」、「学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養(かんよう)」の三つの柱で成立し、それらを総合的にバランスよく育んでいくことを目指しています。
 また、整理された資質・能力を育成するために、どのように学ぶかも重視され、「主体的・対話的で深い学び」の観点から学習過程の改善に取り組みます。その際、「深い学び」の鍵となるのが、各教科等の特質に応じて示された見方・考え方です。これは、「深い学び」をイメージしやすくするために示されました。なお、本市においては、学ぶ意欲や成就感・達成感に関わるものがなければ真の学びにならないと考え、「主体的・対話的で深い学び」を「豊かで深い学び」と表現しています。
 次のページの下半分を御覧ください。社会の変化に合わせて新たに取り組むこと、これからも重視することが丸囲みの中に示されていますが、新たに取り組むことである「プログラミング教育」と「外国語教育」について説明します。
 プログラミング教育については、コンピュータがプログラムによって動き、社会で活用されていることを体験し、学習します。学習指導要領に明示されているものとしては、算数5年、正多角形の作図などがあります。
 外国語教育については、既に移行期間として実施しているところですが、3・4年で外国語活動、5・6年で教科として外国語が導入され、高等学校卒業までに外国語でコミュニケーションができるようになることを目指し、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの力を総合的に育みます。
 以上で、教科書採択の概要及び新学習指導要領のポイントについて説明を終わります。

糸山教育長

 それでは、各種目の教科用図書について審議を行います。

栗栖委員

 いいですか。確認ですが、採択審議会の委員及び調査員については、教科用図書採択に利害関係がないことを書面で確認されたということですね。
 それと、新しい学習指導要領に関しては、その内容を踏まえた上で、本市の実態や児童の状況を鑑みて調査研究を行い、審議会で審議をされた上で今回の答申になったと理解してよろしいですね。

指導第一課長

 はい。採択審議会の委員及び調査員については、誓約書の提出によって、教科用図書採択に利害関係がないことを確認しております。
 答申の内容につきましては、新学習指導要領を踏まえるとともに、本市の実態や児童の状況を基に調査研究及び審議を行った上で作成されております。

糸山教育長

 それでは、各種目の教科用図書について審議を行います。
 まず、国語について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 それでは、ここからは資料2の答申に沿って種目ごとに説明させていただきます。
 まず、国語について説明します。国語の答申は1ページから7ページに掲載しています。
 それでは2ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、児童は各領域においておおむね学力が定着しているが、主語・述語の関係等の言葉の特徴や使い方に関する事項、目的に応じて必要な情報を選び出して整理したり、関連付けたりしながら自分の考えを明確にして表現することに課題が見られると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、国語は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸11の視点を設定しています。その11の視点の中で、広島市教科用図書採択審議会、以下、審議会とさせていただきます、によって重要な視点として審議されたのは、視点丸2言葉の特徴や使い方に関する事項、視点丸3情報の扱い方に関する事項、視点丸4学習過程の示し方でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 答申の3ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸2言葉の特徴や使い方に関する事項の丸(○)の二つ目を御覧ください。主語・述語に関する単元を2年、5年に設けて、段階的に指導できるようにしています。
 2点目は、視点丸3情報の扱い方に関する事項の丸(○)の一つ目と二つ目を御覧ください。3年で国語辞典、図鑑、百科事典、4年で漢字辞典、百科事典の使い方を掲載しており、情報を取り出したり活用したりする際の具体的な手段について指導することができます。
 3点目は、視点丸4学習過程の示し方の丸(○)の二つ目と三つ目を御覧ください。ここには学習の手引きについて示されていますが、4年の教科書の下巻100ページを御覧ください。このページは「話すこと・聞くこと」の単元の学習の手引きを示していますが、右上の青い枠には学習の見通しを示しています。このように、「話すこと・聞くこと」の単元では、単元冒頭や単元末に番号を付して学習の手引きを示しています。この示し方は「書くこと」の単元についても同様です。「読むこと」の単元については、同じ教科書の49ページから51ページを御覧ください。49ページの初めにサイのキャラクターを付して単元全体の問いを示しています。その後、学習の手引きを示し、見通しをもって学習を進めることができるようになっています。
 続いて、答申の4ページを御覧ください。学校図書の教科書の特徴を2点御説明します。
 1点目は、視点丸3情報の扱い方に関する事項の丸(○)の二つ目と3年の教科書の上巻62、63ページを御覧ください。これは「いろいろな見方で分類しよう」という教材ですが、見方を決めて8種類の生き物に分類する演習を行い、分類するという情報の整理について学ぶことができるようになっています。このような単元を3年以上に1か所ずつ設けており、情報の扱い方に関する知識及び技能を身に付けることができるよう工夫しています。
 2点目は、視点丸4学習過程の示し方の丸(○)の一つ目と同じ教科書6ページを御覧ください。ここでは、3年の国語の学習を始める年度当初に、2年で学んだ「言葉の働き・使い方」や「関係づけ・整理の仕方」などをまとめて示しています。また、同じ教科書の11ページを御覧ください。ここでは国語科の学習の進め方を示しています。このように主体的に学びを進めることができるような工夫をしています。
 続いて、答申の5ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸2言葉の特徴や使い方に関する事項の丸(○)の四つ目と4年の教科書の下巻56ページを御覧ください。ここでは「言葉」、「言葉を学ぼう・言葉をふやそう」として単元で扱う言葉の例文を示しており、言葉の定着を図るよう工夫しています。
 続いて、答申の6ページを御覧ください。光村図書出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸2言葉の特徴や使い方に関する事項の丸(○)の三つ目と2年の教科書の下巻27ページを御覧ください。2年では、「主語と述語に気をつけよう」として主語と述語の基本を学ぶ単元を設けています。教科書を替えまして、6年64ページ下段を御覧ください。6年では、文の中の主語と述語の関係として、一つの文に主語と述語の関係が二つ以上出てくる場合を例に挙げながら、文の組立てについて学習できるようにしています。このように主語と述語について2年、6年で扱い、段階的に指導できるようにしています。
 2点目は、視点丸3情報の扱い方に関する事項の丸(○)の二つ目と4年の教科書の下巻9ページを御覧ください。右上に「じょうほう」と示してありますが、ここでは「分ける・くらべる」として、自分の考えを相手に伝える場面を想定させ、分類と比較といった情報の整理について学ぶことができるようにしています。このような単元を2年以上に複数設けており、情報の扱い方に関する知識及び技能を身に付ける学習を進めるための工夫をしています。また、3年で国語辞典、4年で漢字辞典の使い方を掲載しており、情報を取り出したり活用したりする際の具体的な手段について指導することができます。
 3点目は、視点丸4学習過程の示し方の丸(○)の二つ目と三つ目と4年の教科書の下巻の36ページを御覧ください。ここは「話すこと・聞くこと」の単元ですが、ページ下の赤色で学習の進め方を示しています。「話すこと・聞くこと」の単元では、ここにあるように「決めよう・集めよう」、「準備しよう」、「話そう・聞こう」、「つなげよう」の同じ構成の学習過程と学習の手引きを示しています。「書くこと」の単元については、「決めよう・集めよう」、「組み立てよう」、「書こう」、「つなげよう」の同じ構成の学習過程となっています。また、「読むこと」の単元については、同じ教科書30ページを御覧ください。この単元では「ごんぎつね」を教材にして、気持ちの変化を読み、考えたことを話し合う学習を行っていますが、ページ上に赤色で「とらえよう」、「ふかめよう」、「まとめよう」、「ひろげよう」の同じ構成の学習過程とその下に学習の手引きを示しています。下段には具体的な学習の流れだけでなく、ノートの例、話合いの例、感想の例などの学習の手引きを示しており、児童が見通しを持って主体的に学習を進める工夫をしています。
 最後に、答申7ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「主語・述語の関係等の言葉の特徴や使い方に関する事項」、「目的に応じて必要な情報を選び出して整理したり、関連付けたりしながら、自分の考えを明確にして表現すること」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、光村図書出版の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、主語・述語に関する単元を2年、6年に設けて段階的な指導を行うことが可能となっている、情報の扱い方に関する単元を2年以上に特設し、複数設けることにより情報の扱い方に関する知識及び技能を身に付ける学習を進めるのに効果的である、また、3年で国語辞典、4年で漢字辞典の使い方を掲載しており、情報を取り出したり活用したりする際の具体的な手段について指導することが可能となっている、「話すこと・聞くこと」、「書くこと」、「読むこと」、それぞれの領域において、学習過程と学習の手引きを示しており、特に「読むこと」の単元では、学習の手引きに具体的な学習の流れだけでなく、ノートのまとめ方や話合いの仕方などの例も示しており、児童が見通しを持って主体的に学習を進めるのに効果的であると理由が付されています。
 また、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、主語・述語に関する単元を2年、5年に設けて段階的な指導を行うことが可能となっている、3年で国語辞典、図鑑、百科事典、4年で漢字辞典、百科事典の使い方を掲載しており、情報を取り出したり活用したりする際の具体的な手段について指導することが可能となっている、「話すこと・聞くこと」、「書くこと」には番号を付した学習の手引きを示し、「読むこと」の単元では、単元末に単元の「問い」と共に学習の手引きを示しており、児童が見通しを持って学習を進めるのに効果的であると意見が付されています。
 これで国語の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 基本的に、今回の教科書は学習指導要領の改訂に沿ったもので、全ての教科書が文部科学省の検定をクリアしているわけですから、その中から広島市の教科書を採択するということに関しましては、やはり、広島市の実情や課題に沿った教科書、その課題を解決するための教科書という観点が重要だと思います。
 そういう観点から見ると、光村図書出版の教科書は、答申にもありますように、本市の課題に対して、主語・述語に関する単元を複数年に設けることで段階的な指導を行うことが可能になっている、また、情報の扱い方に関する単元を特設して複数設けているということですので、本市の課題を解決する教科書としてふさわしいのではないかと考えます。さらに、答申には書いていないのですが、例えば、4年の教科書の下の38ページなどは、今、重視されている、自分の考えを明確に表現するということについて、議題を確かめるとか、意見を出し合うといった内容が、具体的に示されているところも良いと思いますので、答申で「よりふさわしい」とされている光村図書(出版)の教科書でよいのではないかと考えます。

井内委員

 本市の課題として、主語・述語についての整理ができていないという指摘があり、これに対して、(答申7ページの)意見のところで、光村図書出版も東京書籍も、2年と6年、2年と5年というように(単元を扱う学年が)限定してあるのですが、3年、4年ではどのように扱われているのか教えてください。

指導第一課長

 主語・述語の関係が子どもたちになかなか定着しないということについては、ここ数年来、ずっと課題として抱えております。こういった単元が特設されていない学年においても、教科書の文章の中から主語と述語の関係を見付けていくという学習を重ねていくことが大事になってくると思いますので、特設の単元だけで指導するのではなく、いつもこういった課題についてしっかりと自覚し、日常的に扱っていくことが重要だと考えています。

井内委員

 特設の単元が設けてある学年があるということで、(主語・述語の関係の)指導というのは、常に意識してされているという認識でいいのですね。

指導第一課長

 はい。

井内委員

 はい、分かりました。

秋田委員

 (光村図書出版の)4年の教科書の下の30ページ「ごんぎつね」に、先ほどおっしゃったように、「とらえよう」、「ふかめよう」、「まとめよう」、「ひろげよう」という要素が書いてあり、現場で教える教員が授業しやすいという点でも良いのではないかと思います。

糸山教育長

 委員の皆さんには、事前に教科書を御覧いただいております。本日は、短時間での審議ということになりますので、答申にまとめられた結果について説明させていただいております。
 どの教科書も検定教科書であり、非常にいろいろな工夫がされておりますが、その中でも、(答申7ページに)書いてあるように、主語・述語の関係、取り分け、最後に書いてあるような、児童が主体的に学習を進めるのに効果的な工夫がされているというところが、(審議会の)評価につながっているのかなと思います。
 それでは、御意見も出尽くしたようなので、お諮りいたします。
 国語については、光村図書出版が「よりふさわしい」と考えられますので、光村図書出版を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、国語については、光村図書出版を採択することに決定いたしました。
 次に、書写について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 書写について説明します。書写の答申は8ページから15ページに掲載しています。
 それでは9ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、入学前に誤った筆記具の持ち方や姿勢等を習得している児童が多く、限られた授業時間の中で筆記具の持ち方や姿勢等の基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させることや、学習内容を各教科の活動に生かすことが難しい状況にあると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、書写は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸10の視点を設定しています。その10の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸1学習内容の定着のための工夫、視点丸2書く姿勢・筆記具の持ち方・用具の扱い方の示し方、視点丸10他教科や日常生活に生かす言語活動の工夫でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 答申の10ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸1学習内容の定着のための工夫の丸(○)の三つ目と3年の教科書16ページを御覧ください。ここには1から3の学習過程が示されていますが、1、「見つけよう」では硬筆で文字の課題を見付ける、2、「確かめよう」でその課題を毛筆で確かめ、そして3、「生かそう」でもう一度硬筆に戻るという、硬筆、毛筆、そして硬筆の順に学習を進めることで、硬筆と毛筆の関連を図っており、学習内容の定着を図る工夫をしています。
 2点目は、視点丸2書く姿勢・筆記具の持ち方・用具の扱い方の示し方の丸(○)の一つ目と同じ教科書6、7ページを御覧ください。全学年に書く姿勢や筆記具の持ち方を示しています。また、同じ教科書4、5ページを御覧ください。用具の置き方や扱い方について折り込みページに示しており、教科書5ページ左上には左で書く場合の用具の置き方も示しています。このように筆記具の持ち方や姿勢等の定着を図るための工夫をしています。
 3点目は、視点丸10他教科や日常生活に生かす言語活動の工夫の丸(○)の一つ目を御覧ください。各学年の「生活に広げよう」や「学びを生かそう」に、原稿用紙の使い方やノートの使い方、連絡帳の書き方等を掲載しており、各教科や日常生活に生かすことを学習の中で意識できるようになっています。
 続いて、答申の11ページを御覧ください。学校図書の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸10他教科や日常生活に生かす言語活動の工夫の丸(○)の一つ目と3年の教科書48ページの左側の折り込みにある「その五 はがき・原こう用紙・手紙の書き方」を御覧ください。各学年にこのような「書写のしりょう館」という資料を掲載し、他教科の学習や日常生活に生かすことができるような工夫をしています。
 続いて、答申の12ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸1学習内容の定着のための工夫の丸(○)の三つ目と3年の教科書24、25ページを御覧ください。25ページの左上に学習の始めと終わりに硬筆で書く「ためし書き」と「まとめ書き」を設けています。このように硬筆、毛筆そして硬筆という、硬筆と毛筆の関連を図り、学習内容の定着を図る工夫をしています。
 2点目は、視点丸2書く姿勢・筆記具の持ち方・用具の扱い方の示し方の丸(○)の一つ目を御覧ください。全学年に書く姿勢や筆記具の持ち方、(3年以上の学年に)用具の置き方や扱い方について示しており、書く姿勢や筆記具の持ち方の定着を図る工夫をしています。
 3点目は、視点丸10他教科や日常生活に生かす言語活動の工夫の丸(○)の一つ目と同じ教科書の22、23ページを御覧ください。ここは原稿用紙の書き方や作品カードの書き方の例を示してあります。このように各学年にノートの使い方、はがきの書き方等を掲載しており、各教科や日常生活に生かすことを学習の中で意識できるようになっています。
 続いて、答申の13ページを御覧ください。光村図書出版の教科書の特徴を2点御説明します。
 1点目は、視点丸1学習内容の定着のための工夫の丸(○)の一つ目と3年の教科書2、3ページの上段を御覧ください。ここには学習の進め方を1、考えよう、2、確かめよう、3、生かそうと示しており、学習内容の定着を図る工夫をしています。
 2点目は、視点丸4興味・関心を高める工夫の丸(○)の一つ目と同じ教科書22ページを御覧ください。猫のキャラクターが画(かく)の特徴を示しています。このように全学年、キャラクターが会話形式で学習の注意点を示したり、3年生までは画の特徴をキャラクターの動きで示したりして、学習に対する興味・関心を高める工夫をしています。
 続いて、答申の14ページを御覧ください。日本文教出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸5単元のめあてと振り返りの示し方の丸(○)の二つ目と6年の教科書32ページを御覧ください。6年のまとめとして自分でめあてを立てて文字が書けるように「私のめあて」という青い枠を設けています。課題の文字について児童自らめあてを考えて書き込み、学習に取り組んだ後に33ページ右下の「できたかな」で振り返りができるようになっており、主体的に学習ができる工夫をしています。
 最後に、答申15ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「筆記具の持ち方や姿勢等の基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させることや、学習内容を各教科の活動に生かすこと」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、「見つけよう」、「確かめよう」、「生かそう」という学習過程に沿って、硬筆、毛筆、そして硬筆の順に学習を進め、硬筆と毛筆の関連を図っていることは、学習内容の定着を図るために効果的である、全学年に書く姿勢や筆記具の持ち方、3年以上に用具の置き方と扱い方を示している、また、左手で書く場合の用具の置き方も示している、各学年の「生活に広げよう」や「学びを生かそう」に原稿用紙の使い方やノートの使い方、連絡帳の書き方等を掲載しており、各教科や日常生活に生かすことを学習の中で意識できるようになっていると意見が付されています。
 また、教育出版の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、毛筆教材の前後に硬筆で書く「ためし書き」と「まとめ書き」を設け、硬筆と毛筆の関連を図っている、全学年に書く姿勢や筆記具の持ち方、(3年以上に)用具の置き方や扱い方について示しており、書く姿勢や筆記具の持ち方の定着を図るために効果的である、各学年の「レッツ・トライ」や「書いて伝えよう」、3年から6年の「知っておこう」に、ノートの使い方、はがきの書き方等を掲載しており、各教科や日常生活に生かすことを学習の中で意識できるようになっていると意見が付されています。
 これで書写の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 本市の課題として、筆記具の持ち方や姿勢などを確実に習得させることや、学習内容を各教科の活動に生かすことがあるのですが、東京書籍の教科書を見ると、姿勢についてもきちんと示してありますし、(答申15ページに、)各学年の「生活に広げよう」や「学びを生かそう」で、各教科や日常生活に生かすことを学習の中で意識できるようになっていると書いてありますので、こういう観点で見ると、この教科書が「よりふさわしい」ということが良く理解できるのですが、一方で、先ほど審議しました国語の教科書については、光村図書出版の教科書を採択しました。国語と書写というのは、普通に考えると関連性があるように思うので、国語が光村図書出版で書写が東京書籍になることについて、その辺りの整合性はいかがなのでしょうか。

指導第一課長

 確かに、書写の教科書の中には、国語の教科書で扱っている「かさこじぞう」の一部などを学習教材として掲載している発行者もあります。ただ、文字の組立て方の理解、それから、漢字、仮名の大きさ、配列、そういった学習については、児童が書写の学習の中で身に付けるべき知識・技能ですので、これらを身に付けさせていくことに大きな影響はないと考えております。

栗栖委員

 そういう意味では、国語と書写とで発行者が違っても、影響はないと判断されたということですね。

指導第一課長

 はい。

栗栖委員

 東京書籍の教科書では、(答申の意見に)書いてある以外でも、「書写のかぎ」というまとめが2年から6年にあって、(各学年で)リンクさせているところが良いという印象を持っているので、東京書籍の教科書を採択することでよいと思います。(国語との)関連が気になったので、質問させていただきました。

井内委員

 視点丸10の「日常生活に生かす」ということは、書写の場合は非常に重要だろうと思います。教育出版の教科書では、手紙の書き方について丁寧に書いてあるのですが、日常生活への生かし方ということでは、東京書籍の教科書は、内容的に少ないのかなと思ったのですが、その辺の評価はどうでしょうか。

指導第一課長

 毛筆の指導については、硬筆の指導の基盤となるものと学習指導要領の中にも書かれています。日常生活においては、学習の中でも、やはり硬筆を使う場面が多いので、審議会の中では、硬筆と毛筆の関連を図っていくことが効果的であるという意見が出ました。
 東京書籍の教科書では、硬筆、毛筆、最後にもう一回、硬筆に返るので、毛筆で学習したことを最後に硬筆の指導の中に生かしていくということは、日常生活に生かしていくという意味もあり、審議会の中では、その指導の関連が効果的であるという意見が多く出ました。

井内委員

 毛筆、硬筆の話はよく分かるのですが、例えば、東京書籍の教科書だと、20ページに「原こう用紙に書こう」ということで、「書き方を確かめよう」というのがあります。一方で、教育出版の教科書では、案内状の書き方があります。実際には、書写を勉強して、みんながみんな書道の先生になるわけではないですから、一番大事なのは、やはりそういう書き方を応用して、どのように日常生活に生かしていくかということだと思いますので、そういう視点から質問しました。

指導第一課長

 分かりました。その視点についてですが、各者の答申の内容を見ていただくと、5の言語活動の充実の視点丸10の部分になるのですが、各者とも、例えば、原稿用紙の使い方、作品カードの書き方、ノートの使い方など、何らかの日常生活に生かす工夫はされておりますので、大差ないと捉えています。

井内委員

 まあ、分かりました。大差ないであろうとは思うのですが、実例として挙げてあるものが目に入ったので。東京書籍の教科書ではどのページにあるのか、私が探しても見つからないのですが、ありましたか。

指導第一課長

 東京書籍の教科書でいうと、26ページ、27ページとなります。

井内委員

 「実験したことを記録しよう」というページですか。

指導第一課長

 はい。右肩のところに、「生活に広げよう」と書いてあるところです。

井内委員

 タイトルは、「生活に広げよう」とか「学びを生かそう」とかあるのですが、実験記録の取り方などはありますが、実際には、日常生活の中できちんとできるようになることが大切だと思うので、この視点での良い例示がしてあるものがいいと思いました。はい、分かりました。

秋田委員

 筆圧が弱い子どもが筆圧をきちんと学んで、普段の国語の授業にも生かせるようにするという意味では、硬筆と毛筆を比較して学習することは、非常に重要なことだと思います。そういう点で、(東京書籍の教科書は、)「書写のかぎ」というところで、筆圧に注意しながら鉛筆や筆を握ることなどが細かく分かりやすく書いてあり、初めて書写の学習をする子どもでも分かりやすいと思います。また、東京書籍の教科書は、硬筆、毛筆、硬筆の順に学習を進めるという点でも、良いのではないかと思います。

糸山教育長

 確かに、(発行者によって)そんなに大きな差はないと思いますが、総合的に見た結果、(答申では)このような意見になっております。
 それでは、お諮りいたします。
 書写については、東京書籍が「よりふさわしい」と考えられますので、東京書籍を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、書写については、東京書籍を採択することに決定いたしました。
 次に、社会について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 社会について御説明します。社会の答申は16ページから24ページに掲載しています。
 それでは17ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、近年の自然災害の脅威は本市においても大きな課題となっており、高い防災意識が求められていることや、国際平和文化都市である本市で学ぶ児童は平和に対する意識が総じて高く、また、様々な社会的事象への関心も高く、体験的な学習にも積極的に取り組むことができるが、自ら課題を見付け、見通しを持って課題解決を図ることや、身に付けた知識や調べたことを基に社会的事象の特色や相互の関連、意味について考えること、社会参画しようとすることには課題が見られると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、社会は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸10の視点を設定しています。その10の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸1我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育てるための工夫、視点丸3社会的事象の見方・考え方を働かせるための工夫、視点丸5課題を追究したり、解決したりする学習を実施するための工夫、視点丸6単元や資料等の配列・分量でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 答申の18、19ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を3点御説明します。
 一つ目は、視点丸3社会的事象の見方・考え方を働かせるための工夫の丸(○)の三つ目と5年の教科書の下巻100ページを御覧ください。左下にはキャラクターのマークとともに「日本のどこで、どのような自然災害が起きているのかな。」と掲載しています。このマークは位置や広がりに着目するマークですが、日本の自然災害の特徴を空間的に把握することを表すものです。めあてとは別にどのような見方・考え方を働かせるかを示すことで、学習内容を深く理解できるように工夫しています。東京書籍はこのマークと問いを頻繁に掲載しています。
 2点目は、視点丸5課題を追究したり、解決したりする学習を実施するための工夫の丸(○)の一つ目を御覧ください。各見開きページの中に「つかむ」、「調べる」、「まとめる」、「いかす」の言葉とともに各時間のめあてを明示しています。教科書を替えまして、4年19ページを御覧ください。(各)単元を、問題解決的な学習過程で構成していることを説明しています。同じ教科書の78ページを御覧ください。左側中ほどに「つかむ」とあります。このように学習過程が各ページに明示してあり、児童が見通しを持って主体的に学習を進めるのに効果的です。
 3点目は、視点丸6単元や資料等の配列・分量の丸(○)の七つ目、6年の一つ目の点と6年の教科書、政治国際編の22、23ページを御覧ください。「『平和学習の街ヒロシマ』を訪ねて」と題して、2ページにわたって平和への取組を掲載し、この教科書で学習する児童が本市の取組を参考に自分の平和への取組を考える内容になっています。本市児童にも、平和の実現に貢献する意欲や態度の育成に効果的であると考えています。
 続いて、答申の20、21ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸6単元や資料等の配列・分量の丸(○)の七つ目、6年の最後の点と6年の教科書269ページを御覧ください。「地球規模の課題の解決と国際協力」において、平成7年の平和への誓い全文と平成29年の平和への誓いを読み上げる小学校6年生の二人の写真を掲載しています。国際的な問題の解決策を考える単元に掲載していることから、児童が平和への誓いを問題解決の一つの方法として身近に捉え、平和の実現に貢献するようになることが期待されます。
 続いて、答申の22、23ページを御覧ください。日本文教出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸3社会的事象の見方・考え方を働かせるための工夫の丸(〇)の二つ目と5年の教科書265ページを御覧ください。中段にマークと共に「どこでどのような自然災害がおきているのだろう。」と掲載しています。このマークは空間に着目するマークですが、日本の自然災害の特徴を空間的に把握し、学習内容を深く理解できるよう工夫しています。日本文教出版はこのマークを各小単元に一つから二つ程度掲載しています。
 2点目は、視点丸5課題を追究したり、解決したりする学習を実施するための工夫の丸(○)の一つ目を御覧ください。各見開きページに「わたし(たち)の問題」を明示しているとあります。教科書を替えまして、4年82ページを御覧ください。左側の中段にピンクのクエスチョンマークで「災害に対して、どのような情報が役立つのだろう。」とその時間で学習する問いを示しています。このような形で各見開きページで学習する問いを目にし、児童が主体的に学習を進めることができるような工夫をしています。
 3点目は、視点丸6単元や資料等の配列・分量の丸(○)の七つ目、6年の二つ目の点と6年の教科書38ページから43ページを御覧ください。「自然災害からの復旧や復興の取り組み」と題して、6ページにわたって平成26年広島豪雨災害の様子、災害発生時の県市の対応、復興に向けた県市の取組を示しています。5年前に起きた身近な災害であることから、配慮が必要な児童がいることも考えられますが、身近な教材で学ぶことにより関心や意欲が高まり、児童の学習に効果的であると考えます。
 最後に、答申24ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「自ら課題を見付け、見通しを持って課題解決を図ることや、身に付けた知識や調べたことを基に、社会的事象の特色や相互の関連、意味について考えること、社会参画しようとすること」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、見開きページに一つ程度、社会的事象の見方・考え方を具体的な問いで児童に示している、見開きページに各時間のめあてと共に「つかむ」、「調べる」、「まとめる」、「いかす」という問題解決的な学習の過程を示しており、児童が見通しを持って主体的に学習を進めるのに効果的である、また、広島市に関する教材として、6年「私たちのくらしと日本国憲法」では、「『平和学習の街ヒロシマ』を訪ねて」と題して平和への誓いの全文や平和記念資料館の見学の写真を2ページにわたって掲載しており、5年「自然災害を防ぐ」では平成26年8月豪雨災害での土砂災害の写真を掲載しており、本市の平和に関する取組を例示していることは、平和の実現に貢献する意欲や態度の育成に効果的であると意見が付されています。
 また、日本文教出版の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、小単元の中に二つ程度、社会的事象の見方・考え方を具体的な問いで児童に示している、見開きページに各時間の学習問題である「わたし(たち)の問題」を示している、また、広島市に関する教材として、6年「憲法と政治のしくみ」では、本市の平和記念式典の様子と平和記念式典で平和への誓いを読み上げる小学生の写真を掲載しており、6年「わたしたちの願いと政治のはたらき」では、平成26年広島豪雨災害を教材化し、災害発生時の県市の対応や復興に向けた県市の取組等を6ページにわたり掲載していると意見が付されています。
 これで社会の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 どの発行者もよくできていると思いますが、広島市に関する教材という観点で見た場合、教育出版の教科書では6年の教科書の269ページに写真が出ているのですが、これ以外にはないのですか。

指導第一課長

 答申の21ページに、広島県に関する教材について記載しております。

栗栖委員

 広島県に関する教材については、各者とも、平和や自然災害に関して、いろいろ取り上げていただいているということですね。
 東京書籍の教科書は、「つかむ」、「調べる」、「まとめる」、「いかす」という学習の過程を示していて、(答申24ページの意見の中に)主体的に学習を進めるのに効果的であると書かれており、「よりふさわしい」ということですが、日本文教出版の教科書につきましても、各時間の学習問題である「わたし(たち)の問題」を示すことで、主体的な問題として取り上げており、よくできていると思います。個人的には、例えば、東京書籍の4年の教科書の「自然災害からくらしを守る」には、「地震からくらしを守る」として、災害時に自分たちでこういうことができるというようなことが丁寧に書かれており、特に本市は災害に対する対応が大きな課題となっておりますので、こういったことが分かりやすく具体的に書いてあるということは非常に良いという印象を持っています。

指導第一課長

 この度の学習指導要領の改訂により、防災教育がより重視される中で、各者とも扱っておりますが、栗栖委員がおっしゃったように、東京書籍の教科書については、審議会の中でも、そこの評価も高かったです。また、東京書籍の教科書の「つかむ」、「調べる」、「まとめる」、「いかす」という問題解決の流れが、本市の社会科部会で提唱しているものと類似しており、教員にとって使いやすいという意見も出ていました。

栗栖委員

 審議会でもそういう意見があったということですね。(「地震からくらしを守る」の単元は、)児童の防災上の課題ともリンクしやすいのではないかという印象を持ちました。

井内委員

 東京書籍の教科書についてですが、「つかむ」、「調べる」、「まとめる」、「いかす」という四つの学習の過程を示しているのは、大変良いと思っているのですが、教科書の中身は、ほとんどが「調べる」のところで、ここについて大分丁寧に扱われています。「まとめる」も大事なのですが、自分たちだったら何ができるかということを実際に考えて示していくということも非常に大事なので、各ページに、短くてもいいから「いかす」というコーナーが明示されていてもいいのかなという印象です。
 この学習の過程は、大変、結構だと思っているのですが、「いかす」という言葉がある割には、「いかす」ことが実際に目に見えて来ないので、そこを飛ばしてしまうと、結局、従来の教科書と一緒ではないかという気がします。だからどうするというところの方が大事だろうと思いますので、このページだけでは少ないのかなという印象を持ちました。

指導第一課長

 この度の学習指導要領の改訂では、主権者教育も入ってきましたので、これから自分たちが社会を作っていく、社会の形成者であるという意識を子どもたちにしっかりと小学生のうちから身に付けさせていくということがあります。一つの例ですが、東京書籍では4年の教科書72ページに、これからの持続可能な社会を形作っていくのは自分たちで、そのために何ができるのかというような内容を掲載しています。確かに、(「いかす」については、)あるところとないところがあるのですが、このように、ところどころに設定しています。

井内委員

 はい、分かりました。その視点が大事だなと思ったので。
 ありがとうございました。

秋田委員

 皆さんも言われましたが、やはり「つかむ」、「調べる」、「まとめる」、「いかす」というシンプルな構成が子どもたちには学びやすいのかなと思います。社会科は情報量が非常に多く、混乱を来すおそれもあるので、何をしないといけないのかという確認をその都度させるという意味では、流れがシンプルで分かりやすくて良いのではないかと思います。

糸山教育長

 委員の皆さんがおっしゃったように、社会科も、知識だけではなくて、行動につなげるということがすごく大事なことで、そういう意味でも、主体的な学習をするのに効果的であるもの、主体的な行動につなげやすいものというところが、評価のポイントになるのではないかと思います。
 御意見も出尽くしたようなので、お諮りいたします。
 社会科については、東京書籍が「よりふさわしい」と考えられますので、東京書籍を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、社会については、東京書籍を採択することに決定いたしました。
 次に、地図について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 地図について説明します。地図の答申は25ページから29ページに掲載しています。
 それでは26ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況については、先ほどの社会と同様のため、説明を省略します。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。本市の実態や児童の状況を踏まえ、地図は五つの観点、それぞれに表に示した丸1から丸8の視点を設定しております。その8の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸1地図の見方や活用の仕方を定着させるための工夫、視点丸5地図や資料等の配列、視点丸7配色や文字の大きさ等の工夫でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 答申の27ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸1地図の見方や活用の仕方を定着させるための工夫の丸(○)の一つ目と教科書7ページを御覧ください。教科書7ページから14ページに掛けて鳥瞰(ちょうかん)図や「地図の使い方」を掲載しています。その中で、鳥瞰図を基に地図の見方を学習するために6ページを割いています。実際の地形の様子と地図が結び付くように工夫しています。
 2点目は、視点丸5地図や資料等の配列の丸(○)の二つ目を御覧ください。各地方図は原則として100万分の1の縮尺で示しているとあります。教科書の27、28ページを御覧ください。5年で日本の国土の様子を学習したり、6年で日本の歴史を学習したりする際に活用することや、4年で広島県の様子を学習するのに中国地方の地図を活用することが考えられます。
 3点目は、視点丸7配色や文字の大きさ等の工夫の丸(○)の一つ目と先ほどと同じ教科書の27、28ページを御覧ください。陸の高さと海の深さについて、中国地方のページでは10段階に色分けして示しています。細かい色分けがしてあるため、なだらかな地形の変化がつかみやすくなっております。
 続いて、答申の28ページを御覧ください。帝国書院の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸1地図の見方や活用の仕方を定着させるための工夫の丸(○)の一つ目と教科書7ページを御覧ください。教科書7ページから18ページに掛けて「地図の約束」、「地図帳の使い方」などを12ページ設け、地図の見方、地図記号、方位、索引、縮尺、地形表現の説明をイラストや地図を使った活動を通して理解できるようにしています。その中で、方位、地図記号、縮尺の説明に各2ページを割いており、児童が地図を活用するための基礎的な力を身に付けさせるための工夫がされています。
 2点目は、視点丸5地図や資料等の配列の丸(○)の四つ目を御覧ください。瀬戸内海周辺を拡大した地図を掲載している、同ページに「広島市のようす」という主題図を掲載し、爆心地からの距離や原爆の被害状況を示しているとあります。教科書41、42ページを御覧ください。瀬戸内海周辺を拡大した地図を掲載することで、広島市周辺の様子を理解しやすくなり、広島市について学習する3年から地図を活用することが期待されます。また、「広島市のようす」という主題図は6年の歴史学習で活用することも期待されます。
 3点目は、視点丸7配色や文字の大きさ等の工夫の丸(○)の一つ目と教科書37、38ページを御覧ください。陸の高さと海の深さについて、中国地方のページでは6段階の色分けと、市街地、田、畑、果樹園の4種類の色分けを加えて示しています。地形表現は細かくありませんが、色分けを少なくすることで、小学生が高低を概観できるように工夫しています。また、土地利用の様子を色分けして示すことで、地形の特徴とその土地での生活の様子を結び付けて考えることができるように工夫しています。
 最後に、答申29ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「自ら課題を見付け、見通しを持って課題解決を図ることや、身に付けた知識や調べたことを基に、社会的事象の特色や相互の関連、意味について考えること、社会参画しようとすること」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、帝国書院の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、「地図の約束」や「地図帳の使い方」などを12ページ設け、イラストや地図を使った活動を通して、地図の見方、地図記号、方位、索引、縮尺、地形表現を理解できるようにしており、児童が地図を活用するための基礎的な力を身に付けるのに効果的である、100万分の1の中国地方の地図に加え、瀬戸内海周辺を拡大した地図や、爆心地からの距離や原爆の被害状況を示した「広島市のようす」という主題図を掲載している、また、陸の高さと海の深さについて中国地方のページでは6段階の色分けと、市街地、田、畑、果樹園の4種類の色分けを加えて示し、土地の様子を想像しやすくしていると意見が付されています。
 また、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、鳥瞰図や「地図の使い方」のページを8ページ設け、地図の見方、地図記号、方位、索引、縮尺、地形表現を理解できるようにしている、100万分の1の中国地方の地図を掲載している、また、陸の高さと海の深さについて、日本全図のページは13段階、中国地方のページは10段階の色分けで示していると意見が付されています。
 これで地図の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 東京書籍の教科書も非常に分かりやすくて、本当に甲乙付け難いのですが、本市の教科書という観点で見れば、(帝国書院の教科書は、)答申の(29ページの)意見にあるように、「広島市のようす」として爆心地からの距離や原爆の被害状況が掲載されていたり、個人的には、「地図マスターへの道」を設けて問いや活動を掲載しているというところが、子どもたちが学習しやすいのではないかという印象を持っています。また、94ページ「日本の自然災害と防災」のところでは、「防災マップづくり」について掲載されており、昨今の災害対応の中でもよく言われている防災マップについて具体的に示されていますので、「よりふさわしい」という答申の意見のとおりでよいのではないかと思いました。

指導第一課長

 「地図マスター」についてですが、審議会の中でも、3年生から興味を持って取り組めそうである、クイズがあって、授業で用いるだけではなく、地図を眺めるだけでも楽しめそうだ、という意見が出ていました。また、答申の中でも、観点2、主体的に学習に取り組む工夫の中に、「地図マスター」の取組の効果性が書かれております。

井内委員

 帝国書院の教科書は、大変良くできていると思って感心して見ているのですが、7ページに学校を上から見た写真を地図で表すという内容が掲載されていて、これは大変分かりやすいと思います。我々の世代は、地図を見て割と楽しめるのだけど、やはり子どもたちは、地図記号を見たりするのは苦手ですよね。こういうことをきちんと最初から教えていくのがいいと思います。先ほども出ていましたが、「地図マスター」になりましょうというのも、とても良い学びになるのではないかと思っています。本当に、帝国書院の教科書は良くできていると感心して見ています。

秋田委員

 空間認知が苦手な人間だったものですから、地図は苦労しましたが、井内委員がおっしゃったように、こういう教科書で学べたら良かったなと思いました。やはり地図記号などで苦労するとは思うのですが、割と大きめに書いてあるので、良いのではないかと思いました。

糸山教育長

 御意見も出尽くしたようですので、お諮りいたします。
 地図については、帝国書院が「よりふさわしい」と考えられますので、帝国書院を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、地図については、帝国書院を採択することに決定いたしました。
 次に、算数について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 算数について説明します。算数の答申は30ページから44ページに掲載しています。
 それでは31ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、本市では児童の思考力・判断力・表現力を高めるために、めあてを明確にし、数学的に問題を解決する過程に重点を置いた授業づくりに取り組んでいるが、平成30年度全国学力・学習状況調査によると、正答率30%未満の児童の割合は、A問題では9.5%、全国では10.3%、B問題では16.7%、全国では19.6%であり、正答率30%未満の児童の割合は全国平均より少ないものの、引き続き学力の底上げを図る取組を継続していく必要がある、また、A・B問題共に平均正答率は全ての領域において全国平均を上回っているものの、問題解決の過程を式や言葉等で表現し、根拠を明確にして自分の考えを説明することには課題が見られると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、算数は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸8の視点を設定しています。その8の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸1基礎的・基本的な知識及び技能の定着のための工夫、視点丸3見通しを持って数学的活動を行うための工夫、視点丸8問題解決の過程や結果を表現し伝え合う活動の工夫でした。なお、新学習指導要領で新たに取り組むことになったプログラミング的思考を育む活動については、5年の正多角形の作図を行う学習において設定されており、このことについては、視点丸5単元や資料等の配列にそれぞれの特徴を掲載しています。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 答申32、33ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸1基礎的・基本的な知識及び技能の定着のための工夫の丸(○)の三つ目と1年の教科書丸14、5ページを御覧ください。ここは入学して間もない第1学年の児童が算数ブロックを操作しながら10までの数を学習する「なかまづくりとかず」という単元ですが、算数ブロックを置く枠を2ページにわたって設けています。1年の上巻に当たるこの教科書は、A4版となっており、広い紙面であるとともに開いたときに平らになりやすく、初めて教科書に触れる第1学年の児童がおはじきやブロックを操作しやすいようにしています。
 2点目は、視点丸3見通しを持って数学的活動を行うための工夫の丸(○)の三つ目の三つ目の点と、教科書を替えまして、5年の下巻52ページを御覧ください。左下のまとめには、三角形の面積が、形の特徴に注目して、面積の求め方が分かっている長方形や平行四辺形に形を変えれば求めることができると書かれていますが、このように各学習のまとめの中にマークや下線を付けることで、数学的な見方・考え方を意識できるようにしています。また、四つ目の点と同じ教科書64ページを御覧ください。単元末に「つないでいこう算数の目~大切な見方・考え方」として2ページを設け、学習したことと次に学習することとのつながりを数学的な見方・考え方の視点で示しています。
 3点目は、視点丸8問題解決の過程や結果を表現し伝え合う活動の工夫の丸(○)の二つ目と、教科書を替えまして、4年の下巻69ページを御覧ください。ここは複合図形の面積を求める場面ですが、ページの中央に丸2として「自分の考えを図や式を使って書きましょう」と示し、続いて、70ページの下に丸6として「3人の考えで、共通していることはどのようなことでしょうか」と示しています。このように、始めに自分の考えを持ち、図や式から他者の考えを読み取り、取り入れ、そして複数の考えの共通点をまとめるという構成にすることで、問題解決の過程を式や言葉等で表現することができるようにしています。
 続いて、答申34、35ページを御覧ください。大日本図書の教科書の特徴を2点御説明します。
 1点目は、視点丸1基礎的・基本的な知識及び技能の定着のための工夫の丸(○)の一つ目と6年の教科書250ページを御覧ください。ここでは、「ひと目でわかる5年のまとめ」と題して、前学年までの学習内容を文章や図で分かりやすく示し、直ぐに確認することができるようにしています。
 2点目は、視点丸8問題解決の過程や結果を表現し伝え合う活動の工夫の丸(○)の一つ目の二つ目の点と、同じ教科書108、109ページを御覧ください。108ページの問題1に「じっくり深く学び合おう」と示しています。これは、単元の学習の中でも特によく考えて話し合いながら学習する必要がある場面に付けられており、話し合いながら学習を進めていくことを促しています。
 続いて、答申36、37ページを御覧ください。学校図書の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸3見通しを持って数学的活動を行うための工夫の丸(○)の一つ目と5年の教科書の上巻8、9ページを御覧ください。このページには「自ら進んで学ぶ主体的な学び」として、学習の流れを示しています。問題を発見し、知りたいな、調べたいなという、児童の立場から主体的に学習を進めることができるようにしています。
 続いて、答申38、39ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸3見通しを持って数学的活動を行うための工夫の丸(○)の二つ目の三つ目の点と5年の教科書294、295ページを御覧ください。「4年生までに使ってきた算数のミカタ」というページを設け、既習事項について、計算の仕方や図形の特徴など数学的な見方・考え方を視点ごとに示し、振り返ることができるようにしています。
 続いて、答申40、41ページを御覧ください。(新興出版社)啓林館の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸8問題解決の過程や結果を表現し伝え合う活動の工夫の丸(○)の二つ目と4年の教科書の下巻9ページを御覧ください。上の方の「図形の面積を、辺の長さを測って求めましょう」という問題で、「どの辺の長さを測ればいいかな」という見方を吹き出しで示し、児童が自ら必要な辺の長さを選び、活動することができるようにしています。
 続いて、答申42、43ページを御覧ください。日本文教出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸1基礎的・基本的な知識及び技能の定着のための工夫の丸(○)の三つ目と1年の教科書の上巻9ページを御覧ください。ページの下におはじき等を置くことができる枠を設けています。
 2点目は、視点丸3見通しを持って数学的活動を行うための工夫の丸(○)の三つ目の三つ目の点と、教科書を替えまして、4年の下巻48、49ページを御覧ください。ここは複合図形の面積を求める場面ですが、48ページの右上に「自分でみんなで」と示すとともに、49ページに今まで学習した見方・考え方を示し、児童が自らどれを使えばいいのかを選んで学習できるようにしています。
 3点目は、視点丸8問題解決の過程や結果を表現し伝え合う活動の工夫の丸(○)の二つ目と同じ教科書の50、51ページと折り込みを開いて御覧ください。初めに、1、自分の考えを書きましょうとして、自分の考えを持ち、次に、2、考えを発表し、面積の求め方について話し合いましょうとして、図や式から他者の考えを読み取り、取り入れ、最後に、3、今日の学習で分かったことをまとめましょうとして、今日の学習で分かったことをまとめることができるような問題解決の過程を示しています。
 最後に、答申44ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「引き続き学力の底上げを図る取組を継続していく必要がある」こと、「問題解決の過程を式や言葉等で表現し、根拠を明確にして自分の考えを説明する」ことに対応する各教科書の特徴を審議した結果、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、1年丸1「なかまづくりとかず」では算数ブロックを置く枠を2ページに設けている、また、1年丸1を判型A4版としており、初めて教科書に触れる第1学年の児童がおはじきや算数ブロックを置いたり、書き込みをしやすくしたりしている、各学習のまとめの中に数学的な見方・考え方をマークや下線を付けて意識ができるようにしている、また、単元末に「つないでいこう算数の目~大切な見方・考え方」というページを設け、学習したことと次に学習することとのつながりを数学的な見方・考え方の視点で示している、4年「面積」複合図形の面積の学習では、始めに自分の考えを持ち、図や式から他者の考えを読み取り、取り入れ、複数の考えの共通点をまとめる構成になっており、問題解決の過程を式や言葉等で表現する力の育成に効果的であると意見が付されています。
 また、日本文教出版の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、1年上「ともだち」では算数ブロックを置く枠を1ページに設けている、「自分でみんなで」というページを設け、今まで学習した数学的な見方・考え方のどれを使えばよいか選ぶようにすることで、学習したこととのつながりを示している、4年「面積」複合図形の面積の学習は、始めに自分の考えを持ち、図や式から他者の考えを読み取り、取り入れ、今日の学習で分かったことをまとめる構成になっていると意見が付されています。
 これで算数の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。

 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 算数では、今回から新しく導入されるプログラミング教育について、各者とも工夫されていて、それぞれに特徴があると思うのですが、その辺りについては、審議会からは何か意見が出たのでしょうか。

指導第一課長

 はい。プログラミング教育については、単元の中に明示している者と、単元の中には全くそういう明示がなく、巻末に示している者があるといった特徴があり、できれば単元の中に明示してある方が分かりやすいという意見が出ておりました。

栗栖委員

 算数については、根拠を明確にして自分の考えを説明することに課題が見られるということですが、根拠を明確にしようと思えば、まずは基本的なことをきちんと理解していないとなかなか次に進みませんので、本質的なことを理解させることが重要だと思っています。そういう視点から見ると、(答申44ページの)意見1の二つ目の点にある、次に学習することとのつながりを数学的な見方・考え方の視点で示しているというのは、非常に良いのではないかと思いますし、東京書籍の教科書では、「たしかめよう」が「つないでいこう算数の目」の前にあって、そこまでに学習したことを確かめて、つないでいこうと(いう流れに)なっており、これは非常に良い構成になっているという印象を持っています。もう一つ、「今日の深い学び」やその後の「マイノートを学習に生かそう」で「ノートのくふう」なども掲載して学びを振り返ることを例示しているのは、思考力を高める一つのツールになると思っていますので、この教科書は本市の課題に非常にマッチしているという印象を持ちました。

井内委員

 算数の苦手な子は、分からないまま過ごしてしまっている傾向がありますよね。分からないことの上にまた新しいことが入るので、ますます分からなくなる。東京書籍の教科書は、4年の最後に振り返りがありますし、5年にもあるようなので、やはりこういう(振り返りの)ところをうまく使ってもらって、学年の終わりには、分かっているかどうかの確認をきちんと取っていくようにして、この教科書を使っていってもらえればと思います。他の発行者の教科書にも振り返りの単元はありますので、中身的にはそれほど大きな差があるとは思いませんが、やはり、そういう使い方が大切なのかなという気がしています。東京書籍の教科書を選ぶことには異論はありません。

秋田委員

 本市の課題の中に、問題解決の過程を式や言葉で表現することがありますので、東京書籍の教科書の方が、自分の考えを説明して、他の人の意見も聞いて、共通点を探してというように、アクティブ・ラーニングの形になっており、主体的で深い学びということに適しているのではないかと思います。日本文教出版の教科書でも、問題を探すという場面が設定されているので、その点ではこちらも良いと思うのですが、(東京書籍の教科書の)「たしかめよう」の後に「つないでいこう算数の目」でもう一回確認するという構成が、理解を確認していく上で良いと思いましたので、東京書籍の教科書の方が「よりふさわしい」と思います。

糸山教育長

算数に関しては、どの教科書も本当に良くできており、いろいろ工夫がされているという印象を持ちました。そのような中で、審議会の答申では、本市の教育現場で実際に指導に携わっている方の意見も踏まえて、本市の課題に対して、いかに使いやすいか、教えやすいかというところから見て、いろいろなアプローチの仕方がある中で、東京書籍の教科書が「よりふさわしい」と評価されており、私もそう感じたところです。
 御意見も出尽くしたようなので、お諮りいたします。
 算数については、東京書籍が「よりふさわしい」と考えられますので、東京書籍を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、算数については、東京書籍を採択することに決定いたしました。
 次に、理科について、指導第一課長から説明をお願いいたします。

指導第一課長

 理科について説明します。理科の答申は45ページから53ページに掲載しています。
 それでは46ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、平成30年度全国学力・学習状況調査によると、本市の児童の理科に関する興味・関心は高く、問題の正答率は全領域において全国平均を上回っているが、主として活用に関する問題においては、観察・実験した結果から考察して表現することや、それらを実生活につなげて考えたり、進んで活用したりすることに課題が見られると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、理科は五つの観点、それぞれ表に示した丸1から丸9の視点を設定しています。この9の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸4問題解決の能力を育成するための工夫、視点丸7挿絵・写真等の示し方、視点丸9観察・実験の結果を整理し、考察する学習活動の工夫でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 答申47ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を2点御説明します。
 1点目は、視点丸7挿絵・写真等の示し方の丸(○)の三つ目と6年の教科書49ページ中ほどを御覧ください。「動物のからだのはたらき」では、臓器の位置について、腹側と背中側から見た図を掲載し、名称を調べて書き込むようにしています。また、巻末付録を御覧ください。ここでは、児童が作成できる人体模型があります。実際に観察することが難しい単元において、興味を持ちながら臓器の位置や形を理解できるようにしています。
 2点目は、視点丸9観察・実験の結果を整理し、考察する学習活動の工夫の丸(○)の一つ目の点の二つ目です。6年「水溶液の性質とはたらき」の考察場面における学習活動について、先ほどと同じ教科書の184ページ中ほどを御覧ください。結果が出た後の「考察しよう」では「実験6の結果から、塩酸にとけた金属はどうなったといえるか、考えましょう。」という短い文で呼び掛け、児童の吹き出しで結果と予想を比べたり、考えを修正して新しい予想を立てたりする様子を示し、予想と実験の結果が一致しない場合は考えを再検討する必要があることを意識できるようにしています。
 続いて、答申48ページを御覧ください。大日本図書の教科書の特徴を説明します。
 視点丸9観察・実験の結果を整理し、考察する学習活動の工夫の丸(○)の一つ目と6年の教科書16ページを御覧ください。中ほどにある考察場面では、「結果からいえることを話し合いましょう。」という短い文で呼び掛け、児童の吹き出しで考察の視点を示しています。また、黄色の吹き出しの所についてですが、各学年の教科書の最初の「考察」では、キャラクターの「自分の予想をふり返って、結果からどのようなことがいえるか話し合おう。」という吹き出しを示して、自分の予想を振り返ることの大切さが意識できるようになっています。
 続いて、答申49ページを御覧ください。学校図書の教科書の特徴を説明します。
 視点丸4問題解決の能力を育成するための工夫の丸(○)の一つ目と6年の教科書4、5ページを御覧ください。巻頭の「科学の芽を育てよう」に学習の進め方を示しています。ここでは、学習指導要領にも示されている問題解決の過程に準じて、1、「問題をみつける」、2、「予想する」、3、「計画する」、4、「調べる」、5、「整理する」、6、「結果から考える」、7、「まとめる」、8、「生かす」と示しています。ここで6の考察場面の示し方は「結果から考える」となっています。この示し方により、考察の度に結果を大切に扱うことを確認することができ、結果に基づいて考えたり、結果を根拠にして説明したりする活動につながると考えられます。
 続いて、答申50ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴として3点御説明します。
 1点目は、視点丸4問題解決の能力を育成するための工夫の丸(○)の一つ目と6年の教科書8ページを御覧ください。巻頭の「学習の進め方」において、学習指導要領の問題解決の過程に準じて、「見つけよう」、「問題」、「予想しよう」、「計画しよう」、「観察・実験」、「結果から考えよう」、「結論」、「学びを広げよう」という流れを示しています。ここで、「観察・実験」と「結論」の間にある考察場面は「結果から考えよう」という示し方になっています。この示し方により、考察の度に結果を大切に扱うことを確認することができ、結果に基づいて考えたり、結果を根拠にして説明したりする活動につながると考えられます。
 2点目は、視点丸7挿絵・写真等の示し方の丸(○)の三つ目と、先ほどと同じの教科書50ページから53ページを御覧ください。6年「人や他の動物の体」では、臓器の位置について腹側と背中側から見た図を児童のほぼ実際の大きさで掲載しています。資料を体に当てることで、実際に見ることができない臓器の位置や大きさを実感できるように工夫しています。
 3点目は、視点丸9観察・実験の結果を整理し、考察する学習活動の工夫の丸(○)の一つ目の点の二つ目と、先ほどと同じ教科書186ページを御覧ください。6年「水溶液」の結果が出た後の「結果から考えよう」では、「実験3の結果から、塩酸をアルミニウムに注いだときの変化について、自分の予想が確かめられたかを考えましょう。」という短い文で呼び掛けています。教育出版の特徴として、ほとんどの考察場面において「自分の予想が確かめられたかを考えましょう。」という短い文で示しており、自分の予想を振り返り、実験の結果と比べることを大切にしていることがうかがえます。また、話し合っている児童の吹き出しの中で、考察の視点や考えを修正し、新しい予想を立てる様子を丁寧に示し、結果と予想が一致しない場合は考えを再検討する必要があることを意識できるようにしています。
 続いて、答申51ページを御覧ください。信州教育出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸4問題解決の能力を育成するための工夫の丸(○)の一つ目と6年の教科書4、5ページを御覧ください。巻頭の「理科の学習の進め方」において、学習指導要領にも示されている問題解決の過程に準じて、1、「自然とふれ合おう」、2、「問題を見つけよう」、3、「予想をもとう」、4、「予想の確かめ方を考えよう」、5、「確かめよう」、6、「結果を記録しよう」、7、「いえること・いえないことを考えよう」、8、「まとめよう」という流れを示しています。7の考察場面を「いえること・いえないことを考えよう」と示してあり、結果と予想が一致していたときだけでなく、不一致であったときの考察についても大切に扱うことができるようにしています。
 続いて、答申52ページを御覧ください。新興出版社啓林館の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸4問題解決の能力を育成するための工夫の丸(○)の一つ目と6年の教科書6、7ページを御覧ください。巻頭の「自然の不思議を、とき明かそう」に学習の進め方を示しています。ここでは学習指導要領の問題解決の過程に準じた流れを示していますが、学習の進め方を、1、「見つける」、2、「調べる」、3、「ふり返る」と大きく三つで示しています。調べる過程の前後である見付ける過程や振り返る過程も大切に扱うことを意識できる示し方になっています。また、考察場面の示し方は7ページ中ほどにあるように、「結果から考えよう」と書いています。この示し方により、考察の度に結果を大切に扱うことを確認することができ、結果に基づいて考えたり、結果を根拠にして説明したりする活動につながると考えられます。
 最後に、答申53ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「観察・実験した結果から考察して表現することや、それらを実生活につなげて考えたり進んで活用したりすること」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、教育出版の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、巻頭の「学習の進め方」に示した「見つけよう」、「問題」、「予想しよう」、「計画しよう」、「観察・実験」、「結果から考えよう」、「結論」、「学びを広げよう」という学習過程は、結果に基づいて考えたり、結果を根拠にして説明したりする活動につなげるために効果的である、6年「人や他の動物の体」では、臓器の位置について腹側と背中側から見た図をほぼ実際の大きさで掲載することで、実際に見ることができない臓器の位置を実感できるようにしている、6年「水溶液」の考察場面では、「実験3の結果から、塩酸をアルミニウムに注いだときの変化について、自分の予想が確かめられたかを考えましょう。」と短い文で示すとともに、児童の吹き出しで考察の視点と考えを修正する様子を示し、予想と実験の結果を比べることや両者が一致しない場合は考えを再検討する必要があることを意識できるようにしていると意見が付されています。
 また、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、巻頭の「理科の学び方」に「問題をつかむ」、「調べる・予想しよう」、「まとめる」という学習の進め方を示している、6年「動物のからだのはたらき」では、臓器の位置について腹側と背中側から見た図を掲載している、また、巻末付録に人体模型がある、6年「水溶液の性質とはたらき」の考察場面では、「実験6の結果から、塩酸にとけた金属はどうなったといえるか、考えましょう。」という短い文と児童の吹き出しで考察の視点と考えを修正した様子を示し、予想と実験の結果が一致しない場合は考えを再検討する必要があることを意識できるようにしていると意見が付されています。
 これで理科の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 理科というのは、割と苦手な児童が多いのですが、各教科書とも写真やイラストをふんだんに活用して、取っ付きやすいように工夫されているので、非常に良くできていると思います。(答申の)53ページに意見1と意見2があるのですが、これだけで見ると、教育出版の教科書と東京書籍の教科書の違いが非常に分かりにくいと感じるのですが、審議会の中で、教育出版の教科書の方が「よりふさわしい」という意見になった背景には、どういったことがあるのでしょうか。

指導第一課長

 この度の新学習指導要領においては、考察する際の視点というのがとても大事に扱われていまして、観察・実験などの活動は予想・仮説を自然の事物・現象で検討するための手段と考えており、そのため、観察・実験の後には自身の予想・仮説を振り返って、両者が一致か不一致かを明確にする必要があります。そして、両者が一致しないとき、自分の予想・仮説と結果が一致しないときには、自身の予想を振り返って、再検討を加える必要があります。予想と結果が違っていても、自身の予想の妥当性を検討することに意義がある、価値があるということが明記されています。そこを踏まえて、審議会の中では、教育出版の教科書には、ほとんど全ての考察場面で本文の中に、「結果から自分の予想が確かめられたかを考えましょう。」と示すことで確実にそういった考察ができるようになっており、そこに価値があるという意見が多く出されました。

栗栖委員

 結果から考えるという過程が示されていることで、新学習指導要領に沿った学習に効果的であるという意見が出たということですね。

指導第一課長

 発行者によっては、「考察しよう」などと吹き出しの中に書いてあるのですが、教育出版の教科書場合は、本文の中に「自分の予想が確かめられたかを考えましょう。」と明記してあるということです。

栗栖委員

 分かりました。実生活につなげる、活用するという観点で見たときに、直結というのはなかなか難しいと思うのですが、教育出版の教科書では、「広がる学び」や「科学のまど」、「資料」の中で、学習内容と実生活の関連ができると思いました。理科と実生活を結ぶということは、なかなか難しいとは思うのですが、そういった単元を活用しながら問題提起をしていくことができるのかなという印象を持ちました。

指導第一課長

 実生活につなげることについては全発行者にあるのですが、審議会では、教育出版の教科書の、例えば、6年の10、11ページの「ものの燃え方と空気」や、28、29ページの「人や他の動物の体」など、学んだことが実際の生活にどう結び付いていくのかということを写真等でも示しているという意見が出ておりました。

井内委員

 理科については、本市は、「観察・実験した結果から考察して表現すること」に課題があり、結果から考察するということはよく分かるのですが、すごく難しいですよね。つまり、実験をする前に予想しよう、そして、結果から自分の予想とどこが違ったのかを考えましょうということは、小学生に対して、かなり高いレベルの要求をしているような気がします。一目見た感じでは、これをこなしていくのはなかなか大変だなという気がしました。理科は範囲が広いだけに、その全部について疑問を持ち、解決するための考察をしていくというのは。思うところは大変よく分かるのですが、これを十分にこなせたら、本当にすごい科学者になりそうなイメージを持ちます。
 教科書としては、教育出版も東京書籍もよくできていると思いますが、教育出版の教科書の方が、より考え方を丁寧に掘り起こすようにしてあるという評価はできると思います。
 ただ、私の印象というだけで大変申し訳ないのですが、これはなかなか大変な教科書だという印象を持ちました。だからといって、こういう題材に関してレベルを下げたらいいという問題ではなくて、やはり、これについていける子どもたちをつくっていかなければいけないのかなという気持ちで見ていました。これは大人側にも問題があります。日本のこれまでの理科の教育は、そのようになっていないので、本当にうまくそういうことを子どもたちに指導できるのか、(学習指導要領に)書いてあり、求められているようなことが、本当に教育現場でできるのか、教える側も(努力)していかないといけないという印象を持ちました。

秋田委員

 東京書籍の教科書も実験の結果から考察しようとなっており、どちらの教科書も似たような学習過程で、また、(教育出版の教科書は)文章については少し難しい点もあるのですが、やはり、現場の教員を交えた審議会で(「よりふさわしい」と評価されたのは、)「自分の予想が確かめられたか考えましょう。」という短い文で示してあることや、予想と実験の結果を比べて一致しない場合は再検討するという授業の流れが、教えやすいということなのでしょう。確かに、考察しよう、考えましょうというよりは、「自分の予想が確かめられたのかを考えましょう。」というような具体的な問い掛けの方が、児童が考えやすいと思いますので、教育出版の教科書が「よりふさわしい」という審議会の意見で問題ありません。

糸山教育長

 井内委員は、子どもたちにとって非常にハードルが高いという感じをお持ちだということでしたが、学習指導要領そのものが、正に、予測不能な時代を生きていくための基礎的な力を付けていこうとしており、全教科的にそれを意識して作られているので、各発行者ともその目標に向けてどういう形で力を付けるか、展開しようかと、工夫が見られるのですが、そのような中で、今回の(審議会の)評価では、(教育出版の教科書が)学習過程についてより使いやすい、丁寧であるということだと思います。(私も)やはりその辺りが評価できるのではないかと思いました。
 よろしいですか。それでは、お諮りいたします。
 理科については、教育出版が「よりふさわしい」と考えられますので、教育出版を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、理科については、教育出版を採択することに決定いたしました。
 ここで昼休憩とします。
 議事の再開は午後1時からといたします。

 (休憩)

糸山教育長

 それでは、議事を再開します。
 生活について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 生活について説明します。生活の答申は54ページから64ページに掲載しています。
 それでは55ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、児童は体験活動に意欲的であり、互いに関わり合いながら、自らの経験を生かして学習に取り組むことができているが、他者と伝え合ったり、振り返ったりすることで、気付き同士の共通点や相違点に気付くような、気付きの質の高まりまでつなげられていない状況も見られると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、生活は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸10の視点を設定しています。その10の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸1具体的な活動や体験を通す工夫、視点丸3自分自身や自分の生活について考えるための工夫、視点丸5単元の目標の示し方及びまとめを行うための工夫、視点丸6学習の見通しを持たせるための工夫でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 56ページを御覧ください。東京書籍の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸5単元の目標の示し方及びまとめを行うための工夫の丸(○)の一つ目と教科書の上巻18ページを御覧ください。左上には「がっこうにいるひととなかよくなろう」、「しりたいな。ききたいな。」と書かれていますが、このようにめあてやめあてを持つための手掛かりを短い文で示すことで、第1学年、第2学年の児童にとって理解しやすいようにしています。
 2点目は、同じく視点丸5の丸(○)の二つ目を御覧ください。活動の終わりにまとめとしてワークシートの記入例を示しているとあります。先ほどと同じ教科書37ページを御覧ください。中央部に「あさがおだいへんしん」と題し、まとめとして観察カードの記入例を示しています。これにより、児童は活動の方向がイメージでき、目的を持って活動することができるようにしています。
 3点目は、視点丸6学習の見通しを持たせるための工夫の丸(○)の一つ目と、教科書を替えまして、下巻104、105ページを御覧ください。両ページの下の部分で生活科で学習してきたことを振り返り、上の部分で3年生の学習について写真を用いて具体的に示すことで、第3学年へのつながりを持つことができるようにしています。
 続いて、答申57ページを御覧ください。大日本図書の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸3自分自身や自分の生活について考えるための工夫の丸(○)の三つ目と教科書の上巻62、63ページを御覧ください。白黒写真を用いることで自然を観察する際に色に着目するという見方に気付くよう工夫しています。また、左下には、「どんないろ」、「どんなにおい」、「どんなおと」と自然観察の際にどのような視点で考えていけばよいかを示し、観察がただ見て終わることがないようにしています。
 続いて、答申58ページを御覧ください。学校図書の教科書の特徴を2点御説明します。
 1点目は、視点丸3自分自身や自分の生活について考えるための工夫の丸(○)の二つ目と教科書の下巻108ページ、110ページを御覧ください。108ページには、「まずはじっくり見る。」や「いろいろな方こうから見る。」など書かれており、様々な見方について例示することで、様々なことに気付くことができるよう工夫されています。また、110ページからは、見通したり、工夫したり、試したりすることを例示することで、より深く考えることができるようにしています。
 2点目は、視点丸6学習の見通しを持たせるための工夫の丸(○)の一つ目と同じ教科書2ページを御覧ください。左上に、「どきどき」、「いきいき」、「ふむふむ」、「にこにこ」と書かれており、その時間が単元の中のどこに位置しているかを、色を変えて示してありました。これにより、見通しを持って単元の学習を進めることができるようにしています。
 続いて、答申59ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴として3点御説明します。
 1点目は、視点丸5単元の目標の示し方及びまとめを行うための工夫の丸(○)の一つ目と教科書の上巻6ページを御覧ください。学習指導要領の生活科の教科目標から、六つの「力」を設定しています。同じ教科書の16ページを御覧ください。右上にさいころのイラストがあり、その中に「きづく」と書かれています。各時間、この言葉をめあてにして学び、六つの力を意識し、活動することで自らの資質・能力を引き出す、高めていくことができるようにしています。
 2点目は、同じく視点丸5の丸(○)の二つ目と同じ教科書21ページを御覧ください。下の部分に「わたしのきになっていること」という記述欄を設け、新たな問いを生むことで、次の学習につなげられるように工夫しています。また、右端に「まんぞくハシゴ」という自己評価欄を設け、自分の学習の満足度を目に見えるように表し、学習を振り返ることができるようにしています。
 3点目は、視点丸6、学習の見通しを持たせるための工夫の丸(○)の二つ目と、教科書を替えまして、下巻29ページの右端を御覧ください。町探検の学習の中に「社会科へのまど」という欄を設け、方角について身近なことを題材にして説明することで、社会科の学習とのつながりを持たせるよう工夫しています。また、同じ教科書の51ページを御覧ください。生き物の飼育に関する学習の中に「理科へのまど」という欄を設け、昆虫の体の造りについて説明することで、理科の学習とのつながりを持たせるようにしています。
 続いて、答申60ページを御覧ください。信州教育出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸1、具体的な活動や体験を通す工夫の丸(○)の八つ目に、育てたり採取したりした植物を使って調理したものを味わう活動を設定しているとあります。教科書の上巻32ページを御覧ください。採取した植物を調理している大きな写真を示すとともに、吹き出しで「どんなくさがたべられるの」と示しています。地域の特徴を生かした活動を設定するという工夫が見られます。
 続いて、答申61ページを御覧ください。光村図書(出版)の教科書の特徴を2点御説明します。
 1点目は、視点丸3自分自身や自分の生活について考えるための工夫の丸(○)の三つ目と教科書の上巻49ページを御覧ください。右端に「どうすれば」という欄を設け、匂いを嗅いだり触ったりしてみるというような見方を示し、他にもあるかな、考えてみようと問い掛けることで、児童が問いをもって活動することができるように工夫しています。
 2点目は、視点丸5単元の目標の示し方及びまとめを行うための工夫の丸(○)の二つ目と同じ教科書の27ページを御覧ください。単元の終わりに、もっと知りたいことやしてみたいことを145ページのシールに書き込み、振り返りページに貼ることで、意欲的に学習の振り返りができるようにしています。
 続いて、答申62ページを御覧ください。(新興出版社)啓林館の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸6学習の見通しを持たせるための工夫の丸(○)の二つ目と教科書の下巻末「みらいに向かって」を御覧ください。2年間の生活科の学習を振り返り、未来への自分にメッセージを書く欄を設けることで、自分の成長を感じたり、第3学年につながりを持たせたりすることができるようにしています。
 続いて、答申63ページを御覧ください。日本文教出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸3自分自身や自分の生活について考えるための工夫の丸(○)の一つ目と教科書の上巻76、77ページを御覧ください。77ページの右端にキャラクターが掲載されており、吹き出しの中に「ひとのようすもくらべてみよう」とあります。自然に着目するだけでなく、人の様子にも着目することで、他の季節の違いが分かるようにしています。
 最後に、答申64ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「他者と伝え合ったり、振り返ったりすることで、気付き同士の共通点や相違点に気付くような、気付きの質の高まりまでつなげられていないこと」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、教育出版の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、生活科の学習を通して児童に身に付けさせたい資質・能力に対応した六つの力、「きづく」、「じぶんでできる」、「かんがえる」、「つたえる」、「ちょうせんする」、「じしんをもつ」を設定し、学習のめあてとして示している、各単元の終わりに振り返りの時間を設け、活動のまとめをしたり、次の目標へとつなげたりできるようにしている、また、まとめ方の例示や学習後の満足度を示す「まんぞくハシゴ」等は、児童の気付きの質を高めるために効果的である、「社会科へのまど」、「理科へのまど」というコーナーを設け、社会科や理科とのつながりを持たせていると意見が付されています。
 また、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、学習のめあてやめあてを持つための手掛かりを短文で示し、第1、第2学年の児童にとって理解しやすいようにしている、活動の終わりにまとめとしてワークシートの記入例を示している、「つながる ひろがる」というページを設け、第3学年へのつながりを持たせていると意見が付されています。
 これで生活の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 生活については、本市の課題が、気付きの質の高まりということで、非常に幅広の課題だと認識しているのですが、各者ともに非常に工夫を凝らしています。答申(64ページ)の意見には出ていないのですが、例えば、光村図書出版の教科書では、「どうすれば」で見方・考え方を示していたり、日本文教出版の教科書では、キャラクターの言葉などを使って分かりやすく気付きの視点を示していて、いろいろ工夫が凝らされていると思います。
 答申の意見にある教育出版の教科書について、本市の課題と照らし合わせて見させていただくと、意見1にあるように、六つの力、「きづく」、「じぶんでできる」、「かんがえる」、「つたえる」、「ちょうせんする」、「じしんをもつ」を設定して、学習のめあてとして示されていることとか、「まんぞくハシゴ」等が児童に対する気付きの質を高めるのに効果的であるとか、その他にも、キャラクターが児童と同じ目線で、一緒に考えようという視点から、いろいろと語り掛けるようなところがあったり、巻末の「学びのポケット」で、生活する上でのスキル的なことをまとめて示していることなど、総合的に見て、気付きの質の高まりを課題とする本市の教科書にふさわしいという印象を持ちました。

井内委員

 生活の教科書は絵や写真が圧倒的に多くて、そういう場面に自分を置き換えて、みんなでいろいろ話し合おうというような姿勢なのだろうと見ていました。
 栗栖委員からも指摘があったように、本市の課題が、気付きの質の高まりということで、これは大変難しい課題だと思います。何をどう感じていくかということは、こういうことを教科書で学びながらも、本当は自分たちで実践していかないと、なかなか質は上がっていかないと思います。教科書に書いてあることだけを分かってやっているというだけでは、駄目なのではないかという気がします。
 どの教科書を選んでも、余り大差がないような印象は持ちましたが、中でも教育出版の教科書は、先ほどもお話がありましたが、「まんぞくハシゴ」のところで、ちょっとした工夫で自分たちの達成感を満足させるというところが大変良いと思いますので、教育出版の教科書を選ぶことに異論はありません。

秋田委員

 教育出版の教科書は、「きづく」や「じぶんでできる」、「かんがえる」というマークを色分けして、見えやすいところに書いてあるので、何を意識しないといけないのかを自分で確認することができることや、「かんがえる」というページが沢山あって、また、「なにをかんじたかな」というページには、感じたことが子どもの言葉で分かりやすく書いてあるので、これを参考にしながら、六つの力を意識して、自分で考えることができることから、気付きの質の高まりという本市児童の課題に適していると思いました。

糸山教育長

 どの教科書も子どもたちに興味を持たせるように、本当に工夫がしてあって、どれを採っても、恐らく、子どもたちは興味を持って見るだろうと思いました。
 今回、(審議会の答申で)「よりふさわしい」とされた教育出版の教科書については、他教科との関わりをかなり意識していろいろなことが整理してありますので、取り分け、小学校の教員が現場で使っていくに当たって評価できるということだと思います。
 よろしいですか。それでは、お諮りいたします。
 生活については、教育出版が「よりふさわしい」と考えられますので、教育出版を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、生活については、教育出版を採択することに決定いたしました。
 次に、音楽について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 音楽について説明します。音楽の答申は66ページから72ページに掲載しています。
 それでは67ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、本市の児童は日常経験の乏しさから、「こいのぼり」、「おぼろ月夜」などの共通教材に表現されている情景を思い浮かべることができにくい、また、感じたことを言葉に表すなど、豊かに表現することができにくい課題が見られる、児童によって音楽経験の差が大きく、日常生活において伝統的な音楽に親しむ環境に置かれていない児童も多くいる、また、音楽活動の基礎的・基本的な知識及び技能や主体的な取り組み方にも個人差が見られると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、音楽は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸10の視点を設定しています。その10の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸3技能を定着させるための工夫、視点丸4我が国の音楽・共通教材に関する内容の扱い、視点丸10鑑賞における言語活動充実の工夫でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 68、69ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸3技能を定着させるための工夫のリコーダーの3年、点の三つ目と3年の教科書19ページを御覧ください。リコーダーの導入、シの音を習得する場面です。20ページを御覧ください。シの音だけで演奏できる曲を示し、シの音と共にタンギングを習得する活動を設定しています。これは単にシの音を練習するのではなく、単音のみでも曲の流れの中で演奏しながら、シの運指の定着やタンギングを練習することができ、児童の意欲を引き出すことが可能となります。
 2点目は、視点丸4我が国の音楽・共通教材に関する内容の扱いの丸(○)の三つ目と、教科書を替えまして、5年8ページを御覧ください。ここには共通教材「こいのぼり」(文部省唱歌)を示しています。折り込みで3ページにわたるこいのぼりと家々の屋根を写した写真は、児童が「こいのぼり」の歌詞の情景を思い浮かべやすいようにしています。
 3点目は、視点丸10鑑賞における言語活動充実の工夫の丸(○)の二つ目と、教科書を替えまして、4年74ページを御覧ください。音楽を形作っている要素を「おんがくのもと」とし、速度や強弱、フレーズなどを絵や図で示しています。同じ教科書の76ページを御覧ください。「音楽を表すいろいろな言葉」として、音楽を形作っている要素に関係する言葉や音楽の感じを表す言葉の例を掲載しています。これによって、児童が感じたことを言葉に表すなど、豊かに表現することができやすいようにしています。
 続いて、答申70、71ページを御覧ください。教育芸術社の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸3技能を定着させるための工夫のリコーダーの3年、点の三つ目と3年の教科書22ページを御覧ください。これはリコーダーの導入の場面ですが、タンギングのやり方や息の出し方についてイラストで分かりやすく示しています。また、23ページでは、教師の後に児童がまねてタンギングを習得できるようにしています。
 2点目は、視点丸4我が国の音楽・共通教材に関する内容の扱いの丸(○)の四つ目と、教科書を替えまして、5年12ページを御覧ください。共通教材「こいのぼり」を示しています。見開き2ページの写真で児童が「こいのぼり」の歌詞の情景を思い浮かべやすいようにしています。
 3点目は、視点丸10鑑賞における言語活動充実の工夫の丸(○)の二つ目と、教科書を替えまして、4年82ページを御覧ください。音楽を形作っている要素や学習した内容を振り返る「ふりかえりのページ」を掲載し、児童が学習した内容を振り返ることができるようにしています。
 最後に、答申72ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「日常経験の乏しさから、『こいのぼり』、『おぼろ月夜』などの共通教材に表現されている情景を思い浮かべることができにくい、また、感じたことを言葉に表すなど、豊かに表現することができにくい」、「音楽活動の基礎的・基本的な知識及び技能や主体的な取り組み方にも個人差が見られる」ことに対応する各教科書の特徴について審議した結果、教育出版の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、リコーダーの導入場面ではシの音だけで演奏できる曲を示し、シの音と共にタンギングを習得する活動を設定している、共通教材ではイラストや写真で歌詞の表す情景を示すとともに、教材によっては折り込みで3ページにわたる写真を示し、児童が情景を浮かべやすくしている、また、各学年の巻末に音楽を形作っている要素を示す「『おんがくのもと』まとめ」と、2年から6年の巻末に聴き取ったことや感じたことを言葉で表す「音楽を表すいろいろな言葉」を掲載していることは、感じたことを言葉に表すなど豊かに表現することに効果的であると意見が付されています。
 また、教育芸術社の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、リコーダーの導入場面ではシの音やタンギングを習得する活動を設定している、共通教材ではイラストや写真で歌詞の表す情景を示している、また、各学年の巻末に音楽を形作っている要素と学習した内容を振り返る「ふりかえりのページ」を掲載していると意見が付されています。
 これで音楽の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 音楽について、本市の課題としては、日常経験の乏しさとか、伝統的な音楽に親しむ環境に置かれていない児童が多いとか、児童によって音楽経験の差が大きいとか、音楽活動に個人差が見られるということなのですが、それを教科書でカバーしていくというのは非常に難しいと思います。そのような中で、本市が採択する教科書となると、まずは基礎的・基本的なことをきちんと学習できるようなものである必要があります。(答申72ページの)意見に書いてあるように、リコーダーの導入場面やイラストや写真で情景を示すことなどについては、教育出版の教科書にしても教育芸術社の教科書にしても、そんなに大差はないような気がするのですが、ただ、基本ということでいえば、教育出版の教科書は、意見1の三番目の点にあるように、2年から6年の巻末に「音楽を表すいろいろな言葉」を具体的に示していたり、また、各教材の右上の「おんがくのもと」に音楽を形作っている要素を示して、関連についても分かりやすく示されているので、巻末のそういったものと比較しながら(音楽を)聴くことによって、音楽の基本的な部分をきちんと学習することができるのではないかという印象を持ちました。教育芸術社の教科書もいろいろ工夫されているので、非常に良い教科書だとは思います。

井内委員

 広島の子どもたちは、生のオーケストラなどに接する機会が少ない、あるいは、真の意味で価値のある素敵な作品に接することが少ないのではないかと、多少、危惧しているところがあります。音楽というのは理屈ではなくて、むしろ、本当に良い音、ハーモニーを聞かせることで、素晴らしいと感動することが、まずは出発点なのではないかと思うのです。そこで、オーケストラやいろいろなアンサンブルの構成などを見ると、教育芸術社の教科書の方が、割と丁寧に説明してあるような気もするのですが、(審議会が)教育出版の教科書を(「よりふさわしい」と)選ばれたのは、音の構成を自分で解釈していくときに、「音楽を表すいろいろな言葉」が掲載されている、あるいは、オーケストラの構成を意識して説明しているというようなところを、(児童が)理解しやすいと評価されたのかなという気がしています。
 ともあれ、音楽の場合は、教員がこの教科書をどのように使うかということによるかもしれないのですが、リコーダーで自分が吹けるようになるということも一つの技量としては大事だとは思いますが、むしろ、楽器と楽器がどのように音を奏でていくかという、ハーモニーの美しさのようなものを理解し、良い音が聴き分けられるということを(児童に)望みたいという気がしています。感想としては、そういうところです。
 教育出版の教科書を選ぶことには異論はありません。

秋田委員

 リコーダーは、やはりシの音がクリアできるかどうかで、その後が乗り越えられるかどうか、関心を持ち続けられるかどうかが決まってくると思うので、シの吹き方についてより説明を充実させていて、シの音だけで演奏できる曲を示して、シの音と共にタンギングを習得する活動を設定しているという点で、教育出版の教科書が良いのではないかと思いました。教育芸術社の教科書もシの音やタンギングの習得に関して、もちろん説明はされているのですが、教育出版の教科書の方がよりその点についてページを割いて丁寧に説明がしてあるように見えましたので、教育出版の教科書が「よりふさわしい」と考えます。

糸山教育長

いろいろな御意見がありましたが、答申に書いてある意見を見ても分かるように、本当に僅差で、結果的に教育出版の教科書(が「よりふさわしい」とされています)。違いとすれば、感じるだけではなくて、感じたことを言葉に表すというようなところで、これは音楽だけではなくて、これからの時代はいろいろなところで表現力が必要になるということも意識しながら工夫してあるところが評価されたのだと思います。
 それでは、お諮りをします。
 音楽については、教育出版が「よりふさわしい」と考えられますので、教育出版を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、音楽については、教育出版を採択することに決定いたしました。
 次に、図画工作について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 図画工作について説明します。図画工作の答申は74ページから80ページに掲載しています。
 それでは75ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、新たな活動への興味・関心が旺盛で、良さや美しさを素直に感じ取り、表現したり鑑賞したりしているが、一方で、表したいことを見付けることや発想することが苦手な児童、粘り強く取り組めない児童、造形活動に苦手意識を持っている児童もおり、その理由として、多様な造形活動の不足が考えられると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、図画工作は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸9の視点を設定しています。その9の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸2材料・用具の取扱いと表現方法の紹介、視点丸4興味・関心を高めるための工夫、視点丸9表現や鑑賞における言語活動の工夫でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 76、77ページを御覧ください。開隆堂出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸2材料・用具の取扱いと表現方法の紹介の丸(○)の五つ目と5・6年の教科書の上52ページから55ページを御覧ください。ここでは、当該学年で使用するペンチや電動糸のこぎりなどの用具の使い方を示しています。また、53、54ページの下にも、「ためしてみよう」のコーナーで用具を使ってできる作品やその作り方を紹介しています。55ページを御覧ください。中ほどに段ボールの加工の仕方として、水につけて剝がすことや折り筋を入れて丸めることなど、多様な表し方を示しています。
 2点目は、視点丸4興味・関心を高めるための工夫の丸(○)の四つ目を御覧ください。全学年、「ひらめきコーナー」において、紙や紙でできた身近なもので作ることができる工作の仕組みを紹介しているとあります。同じ教科書18、19ページを御覧ください。ここでは、正方形の紙からできる工作を紹介しています。
 3点目は、視点丸9表現や鑑賞における言語活動の工夫の丸(○)の一つ目と同じ教科書30、31ページを御覧ください。鑑賞の題材では漠然と鑑賞するのではなく、30ページ左上に示してある題材名「比べてみよう」やその下に示してある短い文、また、31ページの右下に示してある電球のキャラクターの吹き出しの言葉などに、形や色などを比べて作品の良さや違いを見付けるという鑑賞の視点を示しています。また、丸囲みの写真には、児童が形や色などの特徴を持った二つの作品を比べて、気付いたことや感じたことを話し合っている様子が示されています。
 続いて、答申の78、79ページを御覧ください。日本文教出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸2材料・用具の取扱いと表現方法の紹介の丸(○)の五つ目、六つ目と5・6年の教科書の上60から62ページを御覧ください。開隆堂出版と同じく、当該学年で使用する電動糸のこぎりやペンチなどの用具の使い方を示しています。また、58ページを御覧ください。中ほどにいろいろな表し方のコーナーを掲載し、鉛筆を使った多様な表し方を紹介しています。63ページを御覧ください。ここには接着剤の適量等を掲載し、児童が作りたいものに合わせて接着剤を選んで使うよう促しています。
 2点目は、視点丸4興味・関心を高めるための工夫の丸(○)の五つ目を御覧ください。全学年、「ひらめきポケット」において、児童が活動を試すためのキーワードや発想のヒントを示しているとあります。同じ教科書の34、35ページを御覧ください。この「ひらめきポケット」では「分ける」というキーワードを示し、いろいろなものを分けたり、切り取ったりすることで見えてくる形や色について紹介しています。
 3点目は、視点丸9表現や鑑賞における言語活動の工夫の丸(○)の一つ目と同じ教科書の16ページを御覧ください。鑑賞の題材ですが、左上に示してある「カードを使って」という題材名の下に記載された文章には、「じっくり見たり見比べたりしていると気になる形や色が見つかるよ。どこが気になったのかな。どうして気になったのかな。」とあり、気になる形や色を見付けるという視点を示しています。また、児童の吹き出しには、「ここの色の組合せがおもしろいな。」、「同じような色を使っているけど感じがちがうな。」などの言葉を記載し、児童が形や色などの特徴を踏まえて言語活動を行っている様子を示しています。また、同じく視点丸9の丸(○)の四つ目と同じ教科書の巻頭2ページから4ページを御覧ください。この「教科書美術館」は、「身近なものを見つめて」と題名を示しています。題名の下に記載されている文章には、「そのものの形や色の特ちょうを生かしたり ぬき出したり」とあるように、高学年の指導事項「形や色などの造形的な特徴」に応じた視点を示し、児童の気付きを促す図版を掲載しています。2ページの左下を御覧ください。「8ページの活動も見てみよう」と示し、「教科書美術館」と題材を関連させて取り扱うことができるよう工夫しています。
 最後に、答申80ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「表したいことを見付けることや発想することが苦手な児童、粘り強く取り組めない児童、造形活動に苦手意識を持っている児童がいる、その理由として、多様な造形活動の不足が考えられる」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、日本文教出版の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、各巻の巻末では材料や用具の使い方や多様な表し方を示すとともに、様々な種類の接着剤や絵の具を紹介し、自分の表したいことに合わせて使うよう促している、これは、児童が多様な表現を試み自分の表したいことを表現することに効果的である、全学年、「ひらめきポケット」において児童が活動を試すためのキーワードや発想のヒントを示している、鑑賞の題材では児童が活動している様子の写真等に形や色などの特徴を踏まえて言語活動を行っている様子を示している、また、各学年の「教科書美術館」では各学年に示された指導事項に応じて児童の気付きを促す図版を掲載し、題材と関連させて取り扱うことができるよう工夫しており、児童が表したいことを見付けたり表現を工夫したりすることに効果的であると意見が付されています。
 また、開隆堂出版の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、各巻の巻末では材料や用具の扱い方や多様な表し方を示すとともに、材料や用具を用いて製作した作品やその作り方等を紹介しており、これは、児童が多様な表現を試み、自分の表したいことを表現することに効果的である、また、全学年、「ひらめきコーナー」において紙や紙でできた身近なもので作ることができる工作の仕組みを紹介している、鑑賞の題材では児童が活動している様子の写真等に形や色などの特徴を踏まえて言語活動を行っている様子を示していると意見が付されています。
 これで図画工作の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。

 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 本市の課題としては、造形活動に苦手意識を持っている児童がいるとか、多様な造形活動の不足ということなので、それに対してどの教科書がふさわしいかということですが、開隆堂出版の教科書は、カラフルで分かりやすく、また、「ひらめきコーナー」といった工夫もされているので、非常に立派な教科書だと思います。ただ、造形という観点で見た場合には、日本文教出版の教科書には「ひらめきポケット」といった工夫があり、また、冒頭には「教科書美術館」も掲載されています。広島にも沢山の美術館がありますので、こういうものを通じて児童に美術館を身近に感じてもらうことで、広島の美術館にも興味を持たせることができるというところと、もう一つは、例えば、5・6年の上の24ページには「使って楽しい焼き物」という題材があるのですが、そこには考え方の切り口が手やハートなどのマークで示してあり、また、25ページの下の方には、キャラクターの吹き出しで「使い方にあった形があるんだね。どんな形や色だと楽しく使えそうかな。」とあり、単元ごとに他題材との関連付けの工夫が凝らされているというところが、造形活動への苦手意識という本市の課題を解決するための教科書としてふさわしい内容かなという印象を持ちました。

指導第一課長

 補足させてください。今、栗栖委員がおっしゃったマークなのですが、手のマーク、ハートのマーク、葉っぱのマークの三つあります。このマークは、学習指導要領に示されております図画工作科で育てていきたい資質・能力に基づいた学習のめあてを示しています。手のマークが知識・技能、ハートのマークが思考力・判断力・表現力、葉っぱのマークが学びに向かう力・人間性等に関する面と使い分けています。

井内委員

 図画工作というのは、幅広い範囲をカバーしないといけないと思うのです。絵を描くことも、造形でいろいろな物を作ることも、道具の使い方も、盛り沢山入っています。それで、私がざっと見た感じでは、(日本文教出版の教科書も開隆堂出版の教科書も)両方とも絵画の鑑賞というのが抜けているのではないかと思います。例えば、ヨーロッパの学校の先生は、いろいろな美術館へ子どもたちを10人から15人ぐらい連れて見に行くのです。そして、(子どもたちは、)そこの専門員に絵の見方みたいなことを教えてもらっているのではないかと思います。(専門員が子どもたちに)解説しているのを何回か聞いたことがあるのです。このように、やはりきちんとした見方というのを教えてやらないと、ただ、見てごらん、すごいだろうというだけでは駄目なのではないかという印象をいつも持っていました。そういう面からこの教科書を見ると、とにかくこれは自らやらせようという感じで、それでも十分に目的を果たすとは思うのですが、鑑賞という点に関しては、ちょっと物足りなさを感じました。
 両者の内容を比較してみると、日本文教出版の教科書の方が興味をそそるような書き方にはなっているかなという気はしました。
 自分の思いを余り言ってしまうと、ここでは適切ではありませんが、そういう印象を持ちました。教育出版の教科書を選ばれることに、特に異論はありません。

指導第一課長

 補足させてください。今、井内委員がおっしゃったようなことですが、本市においても美術館と連携して鑑賞の学習はやっております。学芸員の方に絵の見方といったものを教えていただきながら、実際に鑑賞するようなことも、随時やっています。

井内委員

 それは、教科書にはないけれどやっていますという説明ですね。

指導第一課長

 はい。そういうことになります。

井内委員

 私は、個人的には、(そういった取組は)大変必要なことだと思うので、実際に(教科書にも)載っていなければ駄目ではないかという気がしたのですが、まあ、是非、続けていただければと思います。

指導第一課長

 教科書には鑑賞教材が各学年に掲載されていますが、日本文教出版には巻頭に「教科書美術館」という資料が掲載されています。

井内委員

 美術館に行こうというような題材があるのですか。

指導第一課長

 教科書の中に美術館があり、それを見て感じたことを話し合うというものです。

指導担当部長  

 開隆堂の教科書の5・6年の上では、巻末の56、57ページにあります。それから、日本文教出版の教科書では、指導第一課長の説明にもありましたが、巻頭の2ページから4ページまでに載っております。

井内委員

 私はこのページは見逃していましたが、是非、本当に良い絵を見て、どこが素晴らしいのかをプロである学芸員に解説してもらうようなことをしていただきたいと思います。(ヨーロッパの)子どもたちも真剣に聴いていたように思うので、その辺の教育がこれからは日本の子どもたちにも必要なのではないかと思っています。感想を付け加えました。

栗栖委員

 それは私も全く同感です。ひろしま美術館にも、よく小学生が行っていますよね。実際に名画を見て感じてもらうような教育も、感性を高めるためには非常に重要だと思いますので、この教科書にかかわらず、そういう活動を、是非、お願いしたいと思います。

秋田委員

 どちらの教科書も素晴らしいと思って見ていたのですが、日本文教出版の教科書には24ページに粘土を使った「使って楽しい焼き物」というのが載っていて、開隆堂出版の教科書には「みんなでたのしく、『はい、ポーズ』」ということで、像を作るという内容になっていて、形は違いますが、立体という意味では、それぞれに楽しい授業の形になっているなと思います。何の道具を使うかについても、それぞれに絵でも描いてあるので、甲乙付け難いと思っているのですが、(答申80ページの意見に、)日本文教出版の教科書では、「ひらめきポケット」において児童が活動を試すためのキーワードや発想のヒントを示していることや、「教科書美術館」で児童の気付きを促す図版を掲載しているとありますので、教育現場で使うに当たって、その点で審議会が「よりふさわしい」とされたのであれば、それでよろしいのではないかと思います。

糸山教育長

 御意見も出尽くしたようなので、お諮りいたします。
 図画工作については、日本文教出版が「よりふさわしい」と考えられますので、日本文教出版を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、図画工作については、日本文教出版を採択することに決定いたしました。
 次に、家庭について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 家庭について説明します。家庭の答申は81ページから85ページに掲載しています。
 それでは82ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、生活をより良くするために児童が自ら進んで工夫しようという実践意欲が低くなっていると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、家庭は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸10の視点を設定しています。その10の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸5課題を設定するための工夫、視点丸7生活に生かす工夫及び発展的学習に関する工夫でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 83ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸5課題を設定するための工夫の丸(○)の一つ目と教科書4ページを御覧ください。4ページの上の点線で囲まれた部分では、「家庭科の窓」について説明しており、その中で生活の見方、考え方を4点示しています。教科書14ページを御覧ください。ここは、ゆでる調理について学習しますが、ページ右上に「家庭科の窓」を示しています。
 2点目は、同じく視点丸5の丸(○)の二つ目と教科書4ページを御覧ください。中央部に学習の進め方の図を示していますが、各題材を統一した三つの流れである、「課題発見」、「課題解決・実践活動」、「評価・改善」で構成しています。
 3点目は、視点丸7生活に生かす工夫及び発展的学習に関する工夫の丸(○)の一つ目と教科書95ページを御覧ください。ここでは、「生活を変えるチャンス」と題して家庭科で学んだことを生活に生かせるよう、長期休業等を利用した学習として、家族の枕カバーを作るという実践例を示しています。このようなページを全部で5か所設定しています。
 続いて、答申84ページを御覧ください。開隆堂出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸5課題を設定するための工夫の丸(○)の一つ目と教科書1、2ページを御覧ください。中央の四つ葉のクローバーの中に生活の見方・考え方を四つの視点でそれぞれ示しています。教科書17ページを御覧ください。ここは調理後の片付けの場面ですが、ページ右上にキャラクターを模して、排水の汚れやごみの減量などの身近な環境との関わりを示しています。
 2点目は、同じく視点丸5の丸(○)の二つ目と教科書3ページを御覧ください。ここでは学習の進め方の図を示していますが、各題材を統一した三つの流れである、1、「見つける・気づく」、2、「わかる・できる」、3、「生かす・深める」で構成しています。
 3点目は、視点丸7生活に生かす工夫及び発展的学習に関する工夫の丸(○)の一つ目と教科書103ページを御覧ください。ここでは「チャレンジコーナー」と題して、学んだことを生活に生かせるよう、長期休業等を利用した学習として「家族のために弁当を作ろう」や「家族で使うところを快適にしよう」などの実践例を示しています。このようなページを全部で5か所設定するとともに、76ページから79ページには「レッツトライ 生活の課題と実践」として、学習を生かすための課題例を三つ示しています。
 最後に、答申85ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「生活をより良くするために、児童が自ら進んで工夫しようとする実践意欲が低くなっている」ことに対応する各教科書の特徴を審議した結果、開隆堂出版の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、題材の中に「生活の見方・考え方4つの視点」をキャラクターの吹き出しで示すことで、児童が家庭科の見方・考え方を意識しながら学習を進めることができるようにしている、各題材を統一した問題解決の流れ、1、「見つける・気づく」、2、「わかる・できる」、3、「生かす・深める」で構成しており、見通しを持って学習を進めることができるようにしている、学期末や長期休業を利用した学習として「チャレンジコーナー」を5か所設定するとともに、「レッツトライ 生活の課題と実践」を4ページにわたって掲載していることは、家庭科で学んだことを生活に生かそうという実践意欲の向上に効果的であると意見が付されています。
 また、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、題材の最初に家庭科の見方・考え方を「家庭科の窓」に示している、各題材を統一した問題解決の流れ、1、「見つめよう」、2、「計画しよう・実践しよう」、3、「生活に生かそう・新しい課題を見つけよう」で構成しており、見通しを持って学習を進めることができるようにしている、学年末や長期休業を利用した学習として「生活を変えるチャンス」を5か所設定し、家庭科で学んだことを生活に生かせるようにしていると意見が付されています。
 これで家庭の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 本市の課題として、日常生活の場で縫い物をしている姿を目にしたり、家族と一緒に食材を買ったりする等の生活経験が少ない、保護者もこうした姿を見せるという意識が低くなっているとあります。これは、時代背景の一つかもしれませんが、そのような中で、家庭科の学習を通じて生活をより良くするという観点から見ますと、開隆堂出版と東京書籍(の教科書について、答申85ページ)に書いてあります、それぞれの三つの点は、全て妥当だと思います。東京書籍の教科書も、「生活を変えるチャンス」を設定し、生活に生かす工夫がされていると思います。ただ、答申で「よりふさわしい」とされている開隆堂出版の教科書は、いろいろな工夫がある中でも、「考えよう」、「やってみよう」、「ふり返ろう」、最後に「生活に生かそう」というところが全ての単元にあり、単元ごとに生活に生かすためにどうしていくかという投げ掛けをしている点と、四つ葉のクローバーのキャラクターが吹き出しで生活に生かすための分かりやすいきっかけを示している点が、本市の課題である生活をより良くするというところに対応しており、本市の教科書としてふさわしいのではないかと思います。もちろん、東京書籍の教科書も素晴らしい教科書なのですが、本市の課題に対しては、開隆堂出版の教科書の方が、より緻密になっているのではないかという印象を持ちました。

井内委員

 家庭科をなぜ学ぶのかということについては、実践するというか、自らの生活を良くするために、いろいろなことができるようになることを目標にすべきだと思うのです。もちろん、そういうことが狙いなのですが、その視点でいうと、やはり開隆堂出版の教科書が取り組みやすいと思います。「家族の生活再発見」から始まって、クッキング、ソーイングと、それぞれに具体的なめあてがあり、それを一つずつ潰していけるような見立てになっているところが学びやすいという気がします。これを、年間を通じて取り組んでいくと、家庭生活に関する基本的なことが身に付いて、また、(生活に生かすための)工夫をどのように加えたらいいかというようなことが、うまく子どもたちの心の中に浮かぶようになると、一番いいかなと思いました。開隆堂出版の教科書と東京書籍の教科書にそれほど大きな差があるとは思いませんが、読みやすさ、見やすさからいうと、開隆堂出版の教科書かなという意見です。

秋田委員

 開隆堂出版の教科書では、巾着等の作り方が5ページに詳しく載っていて、分かりやすいと思いました。エプロンについても111ページに載っていて、多目的に取り組んでいるので、学習した後でもずっと使える、自分で使えるという意味でも良いのかなと思いました。また、「チャレンジコーナー」では洗濯の方法についても載っていて、手で洗うのですが、干し方についても書いてあって、例えば、学校が休みのときなどに自分でやるきっかけにもなるので良いと思いました。自立してもらうには、こういう分かりやすいものが良いと思います。今は、スイッチを押せば洗濯ができるようになっていますが、その後の、干したり、畳んだりという作業も自分でできるということを自覚してもらうのに良いと思います。東京書籍の教科書も、「生活を変えるチャンス」を設定しているのですが、開隆堂出版の教科書の方が、「レッツトライ 生活の課題と実践」のところでより詳しく書いてあるので、開隆堂出版の教科書が良いと思いました。

糸山教育長

 御意見にもありましたが、日常生活に実際につなげていくという視点から見たときに、余り決定的な差がない中で、どの教科書がより高い結果を出せるかを考えたときに、答申では開隆堂出版の教科書ということでした。私もそのように思いました。
 それでは、御意見も出尽くしたようなので、お諮りいたします。
 家庭については、開隆堂出版が「よりふさわしい」と考えられますので、開隆堂出版を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、家庭については、開隆堂出版を採択することに決定いたしました。
 ここで休憩とします。
 議事の再開は午後2時25分からといたします。

 (休憩)

糸山教育長

 それでは議事を再開します。
 保健について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 保健について説明します。保健の答申は86ページから93ページに掲載しています。
 それでは87ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、運動の実施頻度や朝食の摂取状況、十分な睡眠時間の必要性についての理解は全国平均を上回っているが、睡眠時間には課題が見られることから、健康な生活に向けた知識及び理解が実生活や実社会への行動に結び付いていないことが考えられると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、保健は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸8の視点を設定しています。その8の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸4実生活や実社会に関連付けられるような記述や内容の工夫、視点丸5単元及び単位時間の構成や配列・分量、視点丸8自分の考えを書いたり話し合ったりする活動の充実でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 88ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を2点御説明します。
 1点目は、視点丸4実生活や実社会に関連付けられるような記述や内容の工夫の丸(○)の一つ目と3・4年の教科書18ページを御覧ください。「資料」コーナーにある手の洗い方は、写真資料に番号を付けて手洗いの順番が分かりやすくなるよう工夫されています。このように、小単元の最後に、学習した内容を広げたり、深めたりするための「資料」コーナーを設けています。
 2点目は、視点丸5単元及び単位時間の構成や配列・分量の丸(○)の五つ目と同じ教科書の40ページを御覧ください。3・4年では睡眠に関する学習内容を14ページ掲載していますが、ここにある「資料」コーナーでは、睡眠の仕組みと睡眠の大切さについて示し、児童が睡眠を取ることの重要性を理解できるようにしています。
 続いて、答申89ページを御覧ください。大日本図書の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸4実生活や実社会に関連付けられるような記述や内容の工夫の丸(○)の一つ目と3・4年の教科書18ページを御覧ください。ここは健康な一日の生活の仕方を学習する単元ですが、学習した内容を広げたり深めたりするための「もっと知りたい」コーナーには、「早ね、早起き、朝ごはん」がなぜ必要なのかを説明しています。
 続いて、答申90ページを御覧ください。文教社の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸5単元及び単位時間の構成や配列・分量の丸(○)の五つ目と3・4年の教科書31ページを御覧ください。3・4年では睡眠に関する学習内容を10ページ掲載していますが、その中でも31ページの「もっと知りたい」コーナーでは、適切な睡眠を取るためにするとよいことをイラストと共に掲載し、児童にとって視覚的に分かりやすい示し方をしています。
 続いて、答申91ページを御覧ください。光文書院の教科書の特徴として3点御説明します。
 1点目は、視点丸4実生活や実社会に関連付けられるような記述や内容の工夫の丸(○)の一つ目と3・4年の教科書33ページを御覧ください。ここは、思春期の体の変化、主に体の中に現れる変化について学習する単元ですが、学習した内容を広げたり、深めたりするための「広げよう深めよう」コーナーには、性についての悩みとして、体の性と心の性の違いについて掲載するとともに、悩んだときに相談できる相談窓口を掲載しており、児童の悩みに寄り添えるよう工夫しています。
 2点目は、視点丸5単元及び単位時間の構成や配列・分量の丸(○)の五つ目と同じ教科書15ページを御覧ください。3・4年では睡眠に関する学習内容を12ページ掲載していますが、ここではスマートフォンやタブレットの使い方について、イラストと共に分かりやすく説明しており、児童が自らの生活を見直すことができるようにしています。
 3点目は、視点丸8自分の考えを書いたり話し合ったりする活動の充実の丸(○)の一つ目と、教科書を替えまして、5・6年51ページを御覧ください。虫歯や歯周病の予防の仕方として、生活習慣の乱れが原因で虫歯になってしまった事例を基に、今後、自分がどうすれば虫歯を予防できるのかについて考え、記述することができるよう、自分の考えを記入する欄を設けています。
 続いて、答申92ページを御覧ください。学研教育みらいの教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸4実生活や実社会に関連付けられるような記述や内容の工夫の丸(○)の一つ目と3・4年の教科書32ページを御覧ください。「体の発育・発達」の授業と並行して、学習内容を広げ、深めるための「もっと知りたい・調べたい」コーナーに、「楽しく運動を続けよう」と題して、様々な運動例を掲載し、運動領域と保健領域とのつながりを持たせるようにしています。
 2点目は、視点丸5単元及び単位時間の構成や配列・分量の丸(○)の五つ目と同じ教科書33ページを御覧ください。3・4年では睡眠に関する学習内容を8ページ掲載していますが、ここでは、「なぜ、すいみんは大切なの」と題して、睡眠と成長ホルモンのグラフを基に学校医の話を掲載しており、睡眠の大切さについて理解できるよう工夫しています。
 3点目は、視点丸8自分の考えを書いたり話し合ったりする活動の充実の丸(○)の一つ目と、教科書を替えまして、5・6年51ページの下の欄を御覧ください。薬物を勧められている人の反応から間違いを探して記入することができる欄を設けており、児童が具体的な場面をイメージすることができるよう工夫されています。
 最後に、答申93ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「睡眠時間には課題が見られる」、「健康な生活に向けた知識及び理解が実生活や実社会への行動に結び付いていないこと」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、光文書院の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、単元の途中と最後に、学習した内容を広げたり深めたりするための「広げよう深めよう」コーナーを設けており、3・4年で7ページ、5・6年で14ページ掲載している、3・4年では睡眠に関する学習内容を12ページにわたって掲載しており、その中で「スマートフォンやタブレットの使い方と生活のリズム」を1ページ掲載し、児童が自らの生活を見直すことができるようにしている、自分の考え等を記入する欄を3・4年生は24か所、5・6年生は57か所設けていることは、言語活動を充実させるために効果的であると意見が付されています。
 また、学研教育みらいの教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、単元の途中と最後に、学習した内容を広げたり深めたりたりするための「もっと知りたい・調べたい」コーナーを設けており、3・4年で10ページ、5・6年で10ページ掲載している、3・4年では睡眠に関する学習内容を8ページにわたって掲載しており、その中の「はってん」コーナーは睡眠の大切さについて示している、自分の考え等を記入する欄を3・4年は25か所、5・6年は39か所設けており、言語活動を充実させるために効果的であると意見が付されています。
 これで保健の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 保健について、本市の課題としては睡眠時間ということで、知識及び理解が実生活や実社会への行動に結び付いていないということですが、それぞれの発行者がいろいろな工夫をしている中で、(審議会の意見では)光文書院の教科書が「よりふさわしい」ということですが、(光文書院の教科書は、)「広げよう深めよう」のコーナーが非常に良いと思います。このコーナーで、(学習した内容を)いろいろなことに関連付けることができます。また、睡眠に関する学習のところでは、睡眠時間の課題に対して一つの大きなネックになっているスマートフォンやタブレットについて、きちんと明示してあることが非常に分かりやすくて良いと思います。睡眠に関しては、各者ともいろいろな形で触れているのですが、イラストを使っていて非常に分かりやすいという印象を持ちました。もう一つ、例えば、3・4年の7ページ「けんこうな生活」でもそうなのですが、各単元の冒頭に四こま漫画でその単元の課題について分かりやすく示しており、四こま漫画をきっかけにして指導に入っていくという仕組みが(子どもたちにとって)非常に分かりやすいのではないかという印象を持ちました。

井内委員

 既に(意見が)出ましたが、光文書院の教科書にだけ、スマートフォンやタブレットの使用と睡眠との関係が触れられています。この問題は、教育委員会でも話題となっており、本市の「10(テン)オフ運動」とも関連して、重要なポイントを指摘してくれていますので、是非、これを使ってもらいたいと思います。ただ、気になるのは、(掲載されているのは)3・4年(の教科書)なのです。今、実際に問題になっているのは、中学生ですよね。5、6年生から中学生になったばかりの頃に、スマートフォンの使用頻度が高くなる。3、4年生でそんなに夜遅くまで(使用する)ということは、ちょっと私には想像できないので。そこで、5・6年の教科書を見てみると、そこには出てこないのです。もう少し後ろの学年の方がいいのではないかと、個人的には思いますが、光文書院の教科書だけがそれを取り上げているということなので、鉄は熱いうちに打てというわけではないですが、きちんと教育しておくことが大事だと私も思います。

秋田委員

 光文書院の教科書は、3・4年の33ページにLGBTについての説明と「よりそいホットライン」のちらしが載っていて、ちょっと人と違うのではないかという悩みを抱えている子どもには、早めにこういう情報が伝わった方が良いと思うので、これは必要だと思います。それと、光文書院の教科書は自分の考えを記入する欄が57か所と非常に多く、本市の課題である、知識を実生活に生かすという意味でも、「生かそう 伝えよう」の記入欄が多いことは良いのではないかと思いました。また、「調べよう」とか「話し合おう」というように項目立てがしてあるのも、見やすくて良いのではないかと思います。

糸山教育長

 私も皆さんと同じで、光文書院の教科書は、今日的課題であるSNSに対する付き合い方が掲載されており、また、およそ8パーセントといわれるLGBTに関してもしっかり触れてあるところから、やはり、この教科書が「よりふさわしい」と思います。
 それでは、お諮りいたします。
 保健については、光文書院が「よりふさわしい」と考えられますので、光文書院を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、保健については、光文書院を採択することに決定いたしました。
 次に、英語について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 英語について説明をします。英語の答申は94から103ページに掲載しています。
 それでは95ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、平成30年度の英語専科による授業実施校対象のアンケート結果によると、英語学習を好きで楽しいと感じている児童の割合が85%以上であり、本時で学習した表現を使って友達とやり取りすることはできており、今後は、持っている知識などを総動員して相手の思いを理解しようとしたり、自分の思いを伝えようとしたりすることについて更に意欲を持たせる必要があると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、英語は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸8の視点を設定しています。その8の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸3学習の見通しを持たせる工夫、視点丸4他教科や日常生活とのつながりなど、学習意欲を高めるための工夫、視点丸8自分の考えや気持ちなどを伝えたくなる言語活動の工夫でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。

栗栖委員

 その前に、ちょっといいですか。
 英語に関しては、今回、初めて教科書を採択するということですが、本市におきましては、「ひろしま型カリキュラム」ということで、(答申95ページの)本市の実態や児童の状況のところに書いてありますように、小学校5、6年生では、聞くこと、話すことを中心として、既に「英語科」を実施しているという実態がございます。それを受けて、英語学習を好きで楽しいと感じている児童の割合が85%以上ということですので、これまでの「ひろしま型カリキュラム」の取組は非常にうまくいってるのではないかと評価しております。
 それで、今回、初めての採択ということなのですが、審議会のメンバーは、具体的にはどのような方を中心に選ばれているのかをお聞きしたいのですが、どうなのでしょう。

指導第一課長

 昨年度、本市において英語を先進的に研究した学校のうち、その中でもリーダー的な立場であった教員に、今年度は審議会に入っていただいております。審議会では、その教員がリードして審議を進めてくれました。ただ、本市においては、高学年を持っている教員は、既に二人体制で(英語科の)授業をしておりますので、他の教員からも様々な意見が出ておりました。

栗栖委員

 これまでの「ひろしま型カリキュラム」で、実際に現場で英語の授業をされてきて、児童の実態を承知された教員が中心となって検討されたという理解でよろしいですか。

指導第一課長

 はい、そのとおりです。教員からは、先ほど栗栖委員がおっしゃいました児童の実態についても出ておりました。授業をした上で感じるのは、その時間での決まったやり取りは楽しんで取り組むのですが、習ったことを使って何とか伝えよう、聞き取ろうというところが、まだ弱いという自覚があります。

栗栖委員

 はい、分かりました。

糸山教育長

 それでは、説明をお願いします。

指導第一課長

 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 96ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸3学習の見通しを持たせる工夫の丸(○)の四つ目と教科書別冊44、45ページを御覧ください。「英語で何ができるようになるのかな」とし、5年でできるようになることをピンクの木の実、6年でできるようになることを黄色の木の実で表し、2年間でできるようになることをCAN-DOリスト形式で示しています。このようなページを設けることで、児童が既習事項を振り返ったり、これから学習したりすることを確認したりできるようにしています。
 2点目は、視点丸4他教科や日常生活とのつながりなど、学習意欲を高めるための工夫の丸(○)の一つ目と、教科書を替えまして、5年49ページを御覧ください。ここでは、道案内をしたり、してもらったりする場面を設定し、「Where is the …?」と尋ね、「Go straight.」などと答えるやり取りを学習します。特徴的なのは、地図中に社会科で学習した地図記号を用いていることです。このように他教科とのつながりを持たせることで、英語でやり取りをしようとする意欲が高まるようにしています。
 3点目は、視点丸8自分の考えや気持ちを伝えたくなる言語活動の工夫の丸(○)の二つ目と三つ目と、教科書を替えまして、6年27ページを御覧ください。ここでは旅行代理店でお薦めの国を紹介しようという具体的な狙いの下、お薦めの国が同じ友達とグループになって、旅行代理店役、客役に分かれて、観光地や建物などを紹介する活動を行うようにしています。このような場面設定をすることで、伝える必然性のある内容を協力し合って伝え合うことができるようにしています。また、このようなやり取りを数多く設定していることも大きな特徴です。
続いて、答申97ページを御覧ください。開隆堂出版の教科書の特徴を御説明します。
視点丸3学習の見通しを持たせる工夫の丸(○)の四つ目と5年の教科書の表紙裏を御覧ください。ここには、CAN-DOマップとして1年間で学習してできるようになることを各単元順に並べて、どの学習段階で何ができるようになるのか示してあります。また、それぞれの項目について、「できた」から「とてもよくできた」などの4段階で自己評価できるようになっており、自分の学習を振り返ることができるようにしています。
 続いて、答申98ページを御覧ください。学校図書の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸1日本語と英語の違いに気付かせるための工夫の丸(○)の一つ目と6年の教科書102ページを御覧ください。「言葉の順序や決まりを考えてみよう」として、日本語と英語の語順の違いについて、品詞ごとに色別で示したり、また、絵を示したりすることで、語順の違いと共に意味の違いを意識させることができるようにしています。
 続いて、答申99ページを御覧ください。三省堂の教科書の特徴として2点御説明します。
 1点目は、視点丸3学習の見通しを持たせる工夫の丸(○)の四つ目と5年の教科書103ページを御覧ください。ここにはCAN-DOリストである「英語でこんなことができた」に1年間で学習することを示しています。ページの上に3段階の評価基準を設け、それぞれの項目について、「自分の力でできた」、「先生や友達の力を借りながらできた」、「自信がないができた」の3段階で自己評価できるようになっています。
 2点目は、視点丸8自分の考えや気持ちなどを伝えたくなる言語活動の工夫の丸(○)の三つ目と同じ教科書6、7ページを御覧ください。7ページ下の四角囲みにある、この教科書で使われているマークの中の「話す活動・やり取り」と「話す活動・発表」を数えた結果が答申に示されています。伝え合う活動であるやり取りを数多く設定し、聞くこと、話すことの技能を高めていくことができるようにしています。
 続いて、答申100ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸3学習の見通しを持たせる工夫の丸(○)の三つ目と5年の教科書5ページを御覧ください。「5年生の英語が始まるよ」とした年間の目標を示すページですが、中ほどに「あなたが英語でできるようになりたいことを書いてみよう」という欄を設けており、できるようになりたいことを思い描いてから、それぞれの学年の学習を始めることができるようにしています。
 2点目は、視点丸4他教科や日常生活とのつながりなど、学習意欲を高めるための工夫の丸(○)の一つ目と、教科書を替えまして、6年82ページを御覧ください。ここでは「Read and Act」として、低学年の国語で学習した物語教材「お手紙」を載せています。82ページ中ほどの「My mailbox is always empty.」や、その直ぐ下にある、「Never.」などの単語や表現は、英語表現としては学習していません。しかし、児童がこのお手紙の話を学習しているので、初めての英語表現でも意味を推測して読むことができます。このように、既習の物語文を扱うことで無理なく学習に取り組むことができるようにしています。
 3点目は、視点丸8自分の考えや気持ちなどを伝えたくなる言語活動の工夫の丸(○)の三つ目と同じ教科書59ページを御覧ください。自分の実際に行きたい所とそこでしたいことを伝え合う場面を設定することで、伝え合う必然性を持たせるようにしています。
 続いて、答申101ページを御覧ください。光村図書出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸3学習の見通しを持たせる工夫の丸(○)の四つ目と5年の教科書巻頭8、9ページを御覧ください。ここでは5年でできるようになることを領域別で示したCAN-DOリストを掲載しています。できるようになることを示してあることで、単元で身に付けたい目標を理解した上で学習することができるようにしています。
 続いて、答申102ページを御覧ください。新興出版社啓林館の教科書の特徴として2点御説明します。
 1点目は、視点丸3学習の見通しを持たせる工夫の丸(○)の四つ目と5年の教科書120ページを御覧ください。ここには「Can-Do List」として、第5、第6学年それぞれの学習を通してできるようになることを領域別に示しています。
 2点目は、視点丸8自分の考えや気持ちなどを伝えたくなる言語活動の工夫の丸(○)の三つ目と同じ教科書巻頭2ページの下の4技能5領域を示すマークを御覧ください。「話す活動・やり取り」と「話す活動・発表」を数え、その結果が答申に示されています。「Chant」、「Jingle」は話す活動の一環として設定しており、リズムに合わせて繰り返し音読することができるようにしています。
 最後に、答申103ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「持っている知識などを総動員して相手の思いを理解しようとしたり、自分の思いを伝えようとしたりすること」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、東京書籍の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふさわしい」。その理由として、別冊「Picture Dictionary」の巻末に2年間の学習でできるようになることをCAN-DOリスト形式で示し、児童が見通しを持って学習できるようにしている、道案内をする活動では社会科で学習した地図記号を掲載するなど、様々な活動に他教科で学習したことを取り入れており、英語でやり取りをしようとする意欲を高めることに効果的である、6年「Let's go to Italy.」では、自分の考えや気持ちなどを伝えたくなる言語活動の工夫として、旅行代理店でお薦めの国を紹介しようという具体的な活動を設定するなど、伝え合う必然性を持たせたアクティビティを数多く設定していると意見が付されています。
 また、教育出版の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、5、6年の巻頭に「あなたが英語でできるようになりたいことを書いてみよう」という欄を設け、各学年でできるようになりたいことを思い描いて学習を始めることができるようにしている、6年「Read and Act」では国語で学習した物語教材「お手紙」を掲載するなど、他教科の内容を関連付けて学習できるようにしている、6年「What country do you want to visit?」では自分の考えや気持ちなどを伝えたくなる言語活動の工夫として、「行きたい国の旅行案内を作って、行きたい国を紹介しよう」という具体的な活動を設定するなど、伝え合う必然性を持たせたアクティビティを設定していると意見が付されています。
 これで英語の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 教育出版の教科書も大変良くできていると思います。「あなたが英語でできるようになりたいことを書いてみよう」というところからスタートするという着眼点は、英語を勉強する上で、非常に大切な着眼点だと思いますし、いろいろな工夫がされています。もちろん、東京書籍の教科書もいろいろな工夫がされています。
 本市の小学校の教員が中心となって審議した審議会では、東京書籍の教科書の方が「よりふさわしい」という意見が出ているのですが、もちろん(答申103ページの)理由には妥当なことが書いてあり、東京書籍の教科書であれば、別冊の「Picture Dictionary」や他教科との関連などは、重要な観点だと思うのですが、審議会の中で東京書籍の教科書を「よりふさわしい」とした理由がほかにもあれば教えていただきたいのですが。

指導第一課長

 はい、分かりました。この他には三つありました。
 一つ目は、「Picture Dictionary」が付いているのは有り難いという意見です。「ひろしま型カリキュラム」の英語科では、トランプ型のカードや教室の黒板掲示用の絵単語カードを沢山配付しておりましたので、そういった教材に似たようなものが「Picture Dictionary」にあるのは、教える側にとっても、学習する側の子どもたちにとっても良いという意見がありました。また、いろいろなことを英語で伝えたいときや、この言葉は英語では何というのだろうと自分で調べるときに役立つという意見がありました。
 それから、二つ目に、英語でのやり取りの数に注目されていました。やり取りの数を数えたときに、東京書籍の教科書の数が多いということです。
 三つ目が、ワークシート的なものが掲載されているということです。教科書の中に書き込める欄が適度にあり、そういう教材があることも有り難いという意見が出ておりました。

栗栖委員

 確かに、本市の課題である、相手の思いを理解しようとしたり、自分の思いを伝えようとしたりというところから、対話という観点で見ると、東京書籍の教科書は対話のイメージがあります。イラストなどを使って対話形式でいろいろなことが書いてあるので、対話が大事だというイメージをこの教科書で学んでいくことで、それが自然に身に付いていくというような工夫がされているという印象は持ちました。そういう意見も(審議会の中で)出たということですね。

指導第一課長

 はい。

栗栖委員

 分かりました。

井内委員

 中学生や高校生が広島平和記念公園で旅行者に対してボランティアで(英語を使って)説明しているところを見るのですが、私の経験から言うと、彼らが今、必要としているのは、例えば、広島のことを説明できるか、被爆のことを説明できるかというようなことで、今のところはそこそこやっていますが、やはり、自分の言葉でしゃべることができるようになったらいいなといつも感じています。
 それぞれの教科書がいろいろな工夫をしているのですが、まずは、自分の街のこと、自分の置かれている環境についてしゃべることができて、そこから始まるのです。子どもたちが実際に会話のキャッチボールができるようになるには、かなり時間が要ると思います。そこに何が必要かというと、多くの単語が必要だと思います。自分が言いたいことが言えるようになるには、やはり、かなりの数の単語を知っているということが大事だと、つくづく感じるのです。
 そこで、今、説明していただいた教科書を見ていると、東京書籍の教科書は、自己紹介とか、地域の紹介とか、日本についての紹介とか、そういうところから始めています。一番身近で、一番自分たちが必要としているところから始めており、(子どもたちが)入りやすいのではないかという気がします。そして、それに付随した別冊の「Picture Dictionary」は、必要な単語をうまく網羅してあるような気がします。自分の生活などの身近なことから、広島のことや日本のことを、相手が理解できるような言葉と発音でしゃべることができるということ、まずは会話として成り立つということが、モチベーションを上げるためには一番いいことだと思っていますので、沢山の教科書がありますが、やはり東京書籍の教科書の構成が、一番リーズナブル(合理的)なのではないかという気がします。
 委員の皆さんも感じられることが沢山あるだろうと思うのですが、私は東京書籍の教科書を使うことに賛成します。

秋田委員

 英語に接する機会が一番多いのが道を聞かれることなので、そういう意味では、東京書籍の5年の教科書46、47ページの「道をたずねたり答えたりしよう」というのは、直ぐに使えると思いました。それと、プリントを貼るページがありましたよね。取り組んだプリントを後で貼るようになっていたと思うのですが。

指導第一課長

 5年の教科書にございます。

秋田委員

 はい。30、31ページにあります。10ページにプロフィールカードがあって、18ページに宝物カードがあって、26ページに旅先案内カードがあって、取り組んだものをここに貼るようになっているので、自分で書いたものをここに貼って、それが残っていくというのも良いのではないかと思います。旅先案内というのも、先ほどの道案内ではないですが、伝えようという意欲を持たせるには、とても良い題材ではないかと思います。

糸山教育長

 一つ確認ですが、今回、(5、6年の)教科書を採択するに当たって、今後、中学年の教材などに何か影響が出るようなことはないのでしょうか。どこの(教科書)を選ぶにしてもですね。

指導第一課長

 中学年と高学年の大きな違いですが、話す、聞くという、これまで「ひろしま型カリキュラム」において5、6年生でやっていたところが、中学年に降りるイメージです。それから、この度、5、6年生に入ってくるのが、読む、書くです。長文を読んだり、長文を書いたりということではなく、自分がしゃべったことを文章で読む、あるいは、自分がしゃべったことを文章に書くというように、短い文章ですが、例えば、東京書籍の5年生の教科書の後ろの方にはアルファベットを書くところがあり、6年生の教科書86ページからは「Let's read and write」というところがあります。このように、読んだり、書いたりというのが、少しずつ入っています。中学校に向けての滑らかな接続が考えられているように思います。

糸山教育長

 質問の内容は、3、4年生の教材については、既に準備を始めているのか、変えていくのかということです。どの教科書を選ぶにしても、接続という面で問題がないのかどうかということです。

指導第一課長

 3、4年生の教材は文部科学省が作成する「Let's Try」を引き続き使用していきますので、その点については大丈夫です。

糸山教育長

 分かりました。
 私も、特に言語活動を促す工夫の面で充実しているというところでは、やはり東京書籍の教科書が良いのかなと思いました。
 それでは、お諮りいたします。
 英語については、東京書籍が「よりふさわしい」と考えられますので、東京書籍を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、英語については、東京書籍を採択することに決定いたしました。
 次に、道徳について、指導第一課長から説明をお願いします。

指導第一課長

 道徳について説明します。道徳の答申は104ページから122ページに掲載しています。
 それでは105ページを御覧ください。1、本市の実態や児童の状況として、平成30年度全国学力・学習状況調査における質問紙調査から、本市の児童は規範性や友達を受容・尊重し、協働する態度を身に付けてきていることがうかがえ、平成30年12月に広島市いじめ防止対策推進審議会の答申が出されたことを踏まえ、各学校において「いじめ見逃し0(ゼロ)」を目指し取組を進める中で、いじめの認知件数は増加傾向にあり、引き続き、いじめの未然防止に向けた取組を推進するとともに、児童が当事者として道徳的な課題に主体的に対処することのできる実効性ある力の育成に取り組むことが必要であると示しています。
 2、調査・研究の観点と視点を御覧ください。先ほどの本市の実態や児童の状況を踏まえ、道徳は五つの観点それぞれに、表に示した丸1から丸11の視点を設定しています。その11の視点の中で審議会において重要な視点として審議されたのは、視点丸4読み物教材における発問の工夫、視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫、視点丸8現代的な課題を踏まえた内容の示し方でした。
 それでは、答申に沿って発行者ごとに特徴的なところを抜粋して御説明します。
 106、107ページを御覧ください。東京書籍の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫の丸(○)の一つ目と5年の教科書の目次の右ページの下を御覧ください。「出会う・ふれ合う」という、ハートと鉛筆の印を示し、意味を説明しています。同じ教科書の108、109ページを御覧ください。このページにも「出会う・ふれ合う」の印を示し、コミュニケーション活動等を促すページを設けています。
 続いて、答申108、109ページを御覧ください。学校図書の教科書の特徴を3点御説明します。学校図書の教科書には本冊と別冊があります。
 1点目は、視点丸4読み物教材における発問の工夫の丸(○)の一つ目と5年の別冊9ページを御覧ください。「やってみよう」、「かんがえよう」、「みつめよう」という印と共に、三つの発問を示しています。
 2点目は、視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫の丸(○)の一つ目と同じ別冊9ページを御覧ください。右上に「やってみよう」の印と共に、「手品師になったつもりで、男の子、友人役の人と話し、手品師の心の様子を考えましょう。」という役割演技等を取り入れる発問を設定しています。同じ別冊の51ページを御覧ください。巻末の「まなびのヒント」の中に、「人物になって考える」と題して、役割演技を取り入れた活動を示し、体験的な学習を取り入れることができるようにしています。
 3点目は、視点丸8現代的な課題を踏まえた内容の示し方の丸(○)の一つ目と二つ目と、5年の本冊の目次、中央の下側を御覧ください。いじめについて「ともにいきる」として手の印を付け、目次に示しています。いじめについては、各学年、4から7教材取り上げ、いじめの本題について直接的に扱う教材と間接的に扱う教材を選定しています。同じ本冊4、5ページを御覧ください。各学年の巻頭に「学級づくり」のページを設け、学級の友達との関わりを見直しています。
 続いて、答申110、111ページを御覧ください。教育出版の教科書の特徴を御説明します。
 視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫の丸(○)の一つ目と5年の教科書の目次の左ページ下側を御覧ください。体験的な学習を取り入れた学習について、「スキル」というマークの説明がしてあります。同じ教科書5ページの下を御覧ください。ここは、道徳の学び方を示したページですが、ページの下に「役になって考えよう」として、役割演技を取り入れた学習活動を示しています。同じ教科書79ぺージを御覧ください。教材名の下に「スキル」と示すとともに、「やってみよう」として役割演技等を取り入れるような発問を設定しています。
 続いて、答申112、113ぺージを御覧ください。光村図書出版の教科書の特徴を3点御説明します。
 1点目は、視点丸4読み物教材における発問の工夫の丸(○)の一つ目と1年の教科書23ページを御覧ください。黄色の枠の中に「考えよう・話し合おう」を設け、「かぼちゃがつるを伸ばすとき、どんなことを考えればよかったのでしょう。」など、三つの発問を示しています。また、太字で学びのめあても示しています。教科書を替えまして、6年104ページを御覧ください。下の青い枠の中には「考えよう・話し合おう」に加え、2年から6年では「つなげよう」を設け、「人々から誠実さがなくなると、世の中はどうなるかな。」など、自分の生活につながる発問も示しています。このような発問の示し方によって、児童が考え、話し合う活動に進めていけるようにしています。
 2点目は、視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫の丸(○)の一つ目と同じ教科書4ページを御覧ください。ここは道徳の学び方を示したページですが、ページ下側に「演じて考えよう」として、役割演技を取り入れる意義を、「演じることで、考えただけでは分からなかったことに気付けるね。」などと示しています。同じ教科書52、53ページを御覧ください。52ページ下の「考えよう・話し合おう」に示している二つ目の発問のように、「演じてみましょう」と役割演技を取り入れるように発問を設定しています。また、53ページには「演じて考えよう」として、役割演技を取り入れた学習活動を示しています。
 3点目は、視点丸8現代的な課題を踏まえた内容の示し方の丸(○)の一つ目と同じ教科書2ページの目次を御覧ください。いじめについては、「いじめを許さない心」と目次に示しています。また、各学年、5、6教材取り上げ、いじめの問題について直接的に扱う教材とコラムを合わせたユニットを設けています。
 続いて、答申114、115ページを御覧ください。日本文教出版の教科書の特徴を御説明します。日本文教出版の教科書には本冊と別冊があります。
 視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫の丸(○)の一つ目と1年の本冊2、3ページを御覧ください。中ほどのオレンジ色の枠の中に、「動いてみよう」として、体験的な学習活動を写真で示しています。同じ本冊4ページの下側を御覧ください。体験的な学習について手の平の印を付けて示しています。同じ本冊74、75ページを御覧ください。各学年の体験的な学習に適した教材には、該当ページに手の平の印を示すとともに、「学習の手引き」を設けて、役割演技等の体験的な学習活動を示しています。
 続いて、答申116、117ページを御覧ください。光文書院の教科書の特徴を2点御説明します。
 1点目は、視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫の丸(○)の一つ目と5年の教科書の目次の右ページ上側を御覧ください。「みんなでやってみよう」という、手をつないでいる人のマークを示しています。同じ教科書4ページ、「道徳の時間は、こんな時間です」というページを御覧ください。4ページ下側に「やってみて考える」として、体験的な学習活動を示しています。同じ教科書44、45ページを御覧ください。先ほどの目次と同様に、「みんなでやってみよう」というマークを示し、役割演技等を取り入れた体験的な学習活動を示しています。
 2点目は、視点丸8現代的な課題を踏まえた内容の示し方の丸(○)の一つ目と二つ目と、同じ教科書の目次を御覧ください。右ページの下に「いじめを生まない心」としてハートの印で示しているように、各学年、4から8教材取り上げ、いじめの問題について直接的に扱う教材と間接的に扱う教材を選定しています。
 続いて、答申118、119ページを御覧ください。学研教育みらいの教科書の特徴を御説明します。
 視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫の丸(○)の一つ目と5年の教科書69ページを御覧ください。「やってみよう」と示し、役割演技などの体験的な学習活動を示しています。
 続いて、答申120、121ページを御覧ください。廣済堂あかつきの教科書の特徴を御説明します。廣済堂あかつきの教科書には本冊と別冊があります。
 視点丸6体験的な学習を取り入れた工夫の丸(○)の一つ目と6年の本冊85ページを御覧ください。左下の「学習を広げる」の中に「活動しよう」と示し、役割演技等を取り入れた体験的な学習活動を促しています。
 最後に、答申122ページ、4、意見を御覧ください。
 本市児童の課題である「当事者として道徳的な課題に主体的に対処することのできる実効性ある力の育成」に対応する各教科書の特徴を審議した結果、光村図書出版の教科書は、本市で使用する教科書として「よりふわさしい」。その理由として、各学年各教材の終わりに「考えよう・話し合おう」、2年から6年は「つなげよう」を設け、二つから五つの発問を示していることや、太字で学びのめあてを示していることは、児童が考え、話し合う活動に進んで取り組むことに効果的である、2年から6年の「道徳の時間は」のページの中で、「演じて考えよう」として役割演技等を取り入れる意義を示している、また、各学年の「考えよう・話し合おう」の中に役割演技等を取り入れるような発問を設定している、さらに、「演じて考えよう」として役割演技を取り入れた学習活動を示し、体験的な学習を取り入れることを促す工夫をしている、いじめについては「いじめを許さない心」と目次に示しており、各学年、5から6教材取り上げ、いじめの問題について直接的に扱う教材とコラムを合わせたユニットを設けていると意見が付されています。
 また、学校図書の教科書は、本市で使用する教科書として「ふさわしい」。その理由として、各学年の別冊「まなび」に、「やってみよう」、「かんがえよう」、「みつめよう」の印と、二つから三つの発問を示している、各学年の別冊に「やってみよう」と印で示し、役割演技等を取り入れる発問を設定している、また、巻末の「まなびのヒント」に役割演技を取り入れた学習活動を示している、いじめについては「ともにいきる」と印を付し、目次に示すとともに、各学年、4から7教材取り上げ、いじめの問題について直接的に扱う教材と間接的に扱う教材を選定している、また、「学級づくり」のページを設けていると意見が付されています。
 これで道徳の説明を終わります。

糸山教育長

 それでは審議に入ります。
 ただ今の説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

栗栖委員

 道徳について、本市の課題としては、当事者意識が重要だということで、それについては、各者ともかなり掘り下げられているのですが、本当にいろいろな切り口で様々な工夫がされており、甲乙付け難いと思います。道徳は教科化がスタートして2年目ですね。現在は、学校図書の教科書です。学習指導要領の改訂で教科書の中身も変わっていると思うのですが、2年間、実際に道徳の教科としていろいろと経験された中で、今回は、光村図書出版の教科書と学校図書の教科書ということで、光村図書出版の教科書の方が「よりふさわしい」となっております。(答申122ページに)書いてある理由は、それぞれ妥当な理由だと思うのですが、審議会の中で、現在は学校図書の教科書を使っているのですが、今回は光村図書出版の教科書を「よりふさわしい」とした理由といいますか、背景というものがもしあれば、教えていただきたいのですが、どうなのでしょうか。

指導第一課長

 本市児童の実態から、先ほどの視点について、各者とも同様に見ていったのですが、その他に出た意見としては、いじめの未然防止に向けた取組ということで、いじめを扱っている教材の数であったり、扱い方、タイトルというところもしっかり確認されておりました。各者が付けているタイトルには、「みんなと仲良くする」、「いじめをなくすために」、「いじめを許さない心」など、いろいろあったのですが、いじめがあるということを前提にそれとどう向き合っていくのかというような実効性のある力を育成することが大事であるから、「ともにいきる」や「いじめを許さない心」というように、人との関わりの中でそういった姿勢を表すタイトルがふさわしいのではないかというように、細かいところまで見ていただきました。学校図書の教科書を2年間使用して、問題があったということは全くありません。この度、新たな視点として、当事者意識を持って学ぶというところで、「体験的な学習」を取り入れており、また、自己の生き方につなげる発問を示した「つなげよう」を設けているのですが、そういったことがよりふんだんに盛り込まれているもの、あるいは、児童に近い発問により、自分のこととして考えることができるような活動が示されているものが良いという意見があり、総合的に判断されました。

栗栖委員

 総合的に判断されたのですね。確かに、私も光村図書出版の教科書を見せていただいて、(答申122ページの)意見に書いてある「つなげよう」や「演じて考えよう」という内容や、もちろん三つ目の点にあるいじめについても、教材として沢山取り上げていることは、(「よりふさわしい」と判断された理由として)妥当だと考えます。さらに、光村図書出版の教科書でいえば、個人的には、1年の教科書が、小学生になって初めて道徳を学習するという観点から見たときに、非常に取り組みやすい形からスタートしており、工夫が感じられます。「がっこう だいすき」など、とても分かりやすく、道徳という教科にスムーズに入れるような印象を持ちました。また、6年の教科書の「なんだろう なんだろう」では、答えのないようなことについて、自分とは何なのかを考えていくような、ユニークな取組を取り入れています。各単元のスタートのところには、キャラクターの吹き出しで、単元に関しての問題の投げ掛けを示しており、物事を考えていく一つのきっかけになるような工夫が凝らされていますので、(光村図書出版の教科書が、)道徳の教科書としてふさわしいという印象を持ちました。

井内委員

 道徳に関しては、(答申122ページに)意見としてまとめられた内容が類似しています。役割演技を取り入れるなどというのは、どの教科書にも沢山ありますし。結局、先ほどおっしゃっていたように、いじめに関する題材の数について、光村図書出版の教科書が少し多いということなので、基本的な構成としては余り変わらないけれど、量的に少し違いがあるということなのかなと理解しました。光村図書出版の教科書のこれぞというところが、自分には余りよく分からなかったのですが、強いて言えば、コラムが掲載されており、「いじめにどう向き合うか」や「よりよい世界をめざして」、「国際親善 私たちにできること」などが書いてあるところが、かなり参考になるかなというところです。そこに一つ差が付くという感じがしています。設問的にはどの発行者の教科書もそれほど大差はないのですが、先ほどおっしゃったように、いじめの問題に力点を少し置くならば、光村図書出版の教科書が量的に多いというところで判断されたということは、妥当な考えかなという気はしました。

秋田委員

 光村図書出版では、6年の教科書の53ページに「演じて考えよう」というのが絵と共に掲載されており、他者の教科書でも役割演技というのは取り入れていますが、演じて考えるということは、相手の立場になって考えるという意味で、非常に有益だと思っています。光村図書出版の教科書は、「演じて考えよう」の前に、物語「泣き虫」という教材を入れているのと、その次に、もう一つ「この胸の痛みを」というのを入れて、さらに、「いじめにどう向き合うか」という、タレントの方の言葉というのを入れて、40ページに「相手の気持ちを考えて、言葉をかけよう」というように、かなりのページを割いているし、目次でも「いじめを許さない心」というように明記しているので、こうやってはっきり書いていただいているのは良いと思いますので、光村図書出版の教科書が「よりふさわしい」と考えます。

栗栖委員

 もう1点いいですか。
 学校図書の教科書には別冊が付いていて、割と(児童に)書かせますよね。自分の考えや友達の考えを書かせるような別冊がツールとしてあるのですが、光村図書出版の教科書にはそういうものがないのですが、この辺りはどのようなお考えなのでしょうか。書かせることが、教科書としてどうなのか。(教科書に書かせるところがなくても、)実際の授業の中で、それに見合うような(取組をして、)その辺はカバーしていくということなのでしょうか。その辺りのお考えはどうなのでしょう。

指導第一課長

 実は、先ほど説明しました審議会の意見に付け加えさせていただこうと思っていたのですが、ワークシートが有るのが良いのか、無いのが良いのか、双方の意見が出ました。やはり、経験の少ない教員にとっては、有る方が助かるのではないかという意見と、しかし、逆に、学級実態に応じて工夫した指導ができにくくなるので、無い方が良いという意見と、双方出たのです。ただ、有ること、無いことというのが、決定的な「よりふさわしい」、「ふさわしい」(の判断)につながるものにはなりませんでした。

栗栖委員

 総合的に見れば、光村図書出版の教科書の方が「よりふさわしい」という結論になるということですね。

指導第一課長

 はい、そのとおりです。

糸山教育長

 今回、教科書が変わるということですが、光村図書出版の教科書で私が取り分け感心したのは、「つなげよう」の発問です。本市の課題である、道徳的な課題に主体的に対処することができるということに対して、自分で考えるという観点からも、(学習からの)広げさせ方の工夫に、私はすごく感心しました。そういう面からも、(光村図書出版の教科書が)「よりふさわしい」という意見については、私もそう考えております。
 御意見も出尽くしたようなので、お諮りいたします。
 道徳については、光村図書出版が「よりふさわしい」と考えられますので、光村図書出版を採択することでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、道徳については、光村図書出版を採択することに決定いたしました。
 長時間にわたりありがとうございました。指導第一課長から、何かありますか。

指導第一課長

 はい。今後、速やかに採択結果の公開に向けて手続を行ってまいります。
 本日は、ありがとうございました。

糸山教育長

 以上で議題は全て終了いたしました。
 これをもって、令和元年第5回広島市教育委員会議臨時会を閉会いたします。

7 議決事項

議案番号

件名

議決結果

16

令和2年度から使用する広島市立小学校用教科用図書の採択について

国語:光村図書出版

書写:東京書籍

社会:東京書籍

地図:帝国書院

算数:東京書籍

理科:教育出版

生活:教育出版

音楽:教育出版

図画工作:日本文教出版

家庭:開隆堂出版

保健:光文書院

英語:東京書籍

道徳:光村図書出版

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