地区社会福祉協議会役員などで構成する団体「NPO狩留家」。地域で受け継がれていた珍しいなすを「狩留家なす」として特産品化し、普及に取り組んでいます。
40年ほど前のこと、狩留家に住む農家の人が、知人から「このなすはおいしいよ」と、しろなすの種を譲り受けました。
近隣農家と共に、約30年間栽培を続けた結果、「種の固定化」が進み、独特のうまみや品質が安定。しかし、珍しい色のせいか売れ行きは芳しくありませんでした。それをNPO狩留家に相談したところ、若草色をしたこの美しいなすを地域の特産にしようと2013年から、「狩留家なす」の品名で売り出すことになりました。
狩留家なす
あくがほとんどなく、加熱するとトロトロしたジューシーな食感で、なすが苦手な人でも食べられる狩留家なすは、だんだんと評判を呼ぶように。今では出荷本数が年間約9万本にまで増加しました。
令和4年に「ザ・広島ブランド」に認定、県や国からも「チア!ひろしま」、「安心!広島ブランド」の認定を受けるなど、認知度が向上し、地域の地道な取り組みが着実に実を結んでいます。
NPO狩留家は、狩留家なすの普及に向け、地域との連携を進めています。
●比治山大学の学生が「狩留家なすレシピ集」を作成(詳しくは地域起こし推進課へ)
●高陽東高校の生徒が考案したレシピをもとに、「狩留家なす大福」を商品化。昨年11月に開催した「可部連山トレイルラン in あさきた」のコース上に設置した給水所で、補給食としてランナーに提供
狩留家にある資源を使って地域活動に取り組みたい。その中でも狩留家なす事業は息の長い取り組みになりました。
着手して10年、産(地元企業)、官(行政)、学(大学や高校)や専門分野の人々の協力を受け、「狩留家なす」の認知度も少しずつ上がり、「狩留家」の地名も認知されるようになりました。
NPO狩留家の目標は、「狩留家の活性化」です。そのため、JR芸備線狩留家駅周辺に、沿線の野菜や特産品を販売できるマルシェを作りたいと計画しています。
これからも、もっと狩留家を知ってもらい、地域活性化につなげていきたいと思います。