ビニールハウスの中に広がる、高さ20センチほどの「祇園パセリ」。その葉は細かく縮れ、密集しているのが特徴で、市の伝統野菜の一つです。
昭和22年ごろ、パセリ栽培が始まった祇園地区。毎年、各農家が葉の縮みの良い株を選抜し、種を取ることで、代々引き継がれています。
令和2年に「地域団体商標」を取得し、今年5月開催のG7サミットを契機に県内産品に注目が集まったこともあり、近年では飲食店などから「祇園パセリ」を扱いたいとの声が上がっています。
「祇園パセリ」は、現在、「祇園町農事研究会」に在籍する、およそ25人の農家により栽培されています。今回はパセリ栽培歴30年以上の「島本農園」代表の島本啓司(しまもと けいじ)さん(上写真)に話を聞きました。
平成元年に農家となった島本さん。重労働の少ない、軽量野菜を作りたいと考え、先代から栽培していたパセリに力を入れました。
当初は、主に業務用として出荷していましたが、家庭でもおいしく食べてもらいたいと思うようになり、5年以上もの歳月をかけ、種子の選抜を繰り返しました。土づくりも工夫し、現在では、食感がやわらかく、香りと甘みのある理想のパセリを出荷できるようになりました。
「全国的にも珍しいこのパセリは、必ず消費者に喜んでいただける。元々パセリは、ビタミンや鉄分、カルシウムなどが豊富な野菜。皆さんに気軽に手に取ってもらえるような、野菜売場の定番商品にしたい」と語る島本さん。通常、冬から春にかけて旬を迎えるパセリですが、島本農園では、夏場の栽培方法を工夫することで、ほぼ一年中収穫しています。島本さんは、「新たな栽培方法にチャレンジし続け、栽培技術の継承にも力を入れたい」と意気込みを語ります。
食感が驚くほどやわらかい祇園パセリ。甘味があって、香りもまろやか。さっと湯がくと色が濃くなり、ゴマだれと相性バッチリ。
パセリレシピは