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広報紙「ひろしま市民と市政」

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市長コラム 忙中有閑 第40回

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広島型の新たな公共交通システムの構築作業を進めています

 今回は、現在本市が構築しようとしている広島型の新たな公共交通システムについてお話をしたいと思います。
 最近、全国各地でバスや電車の路線の廃止や減便のニュースを耳にし、心を痛めると同時に、いざ自分が住むまちでも同様のことが起こったら…と心配になる人も多いのではないでしょうか。
 私は、こうしたことが多発しているのは、我が国の経済社会が大きく変化してきているのに、バスや電車といった公共交通に係る行政がそれに十分対応できるようになっていないからであると受け止めています。
 かつて人口や経済が右肩上がりであった時には、公共交通事業者が需要の増加を見込んで、互いに路線やサービスの拡大・向上で「競争」を行うことを前提にした行政が機能していました。
 しかし、自家用車の普及や高齢化により、公共交通を利用する人が減少したことから、地方都市の事業者は、厳しい経営環境に直面しています。最近ではコロナ禍による輸送需要の大幅な減少で追い打ちがかかり「競争」どころか、事業の存続すら困難な状況になっており、これまでの行政は機能不全に陥っています。
 そこで、こうした事態の改善を図るために、私は、事業者間の「競争」を原則としてきた公共交通行政を「協調」を基調としたものへと転換しようと考えています。その際、バスや電車といった公共交通を、道路と同様に「社会インフラ」と捉え、維持費などについては行政が責任を持つようにします。こうした考えを具体化するために「広島型の新たな公共交通システム」の構築作業を進めています。
 このシステムが構築された時には、行政と事業者が連携し、強固な協力体制の下、事業を共同で実施することにより、効率性を向上させ、収支構造の抜本的改善を図ることができます。また、利用者の利便性を重視し、分かりやすく使いやすい運賃体系にすることや、乗り継ぎを円滑にする交通結節点の整備なども行うことができます。
 現在の作業状況は、乗合バス事業について、事業者各社の賛同を得ながら持続可能で利便性も高く、都市の成長や地域の活性化に寄与する「共同運営」が行える仕組み作りに取り組んでおり、鉄道や、航路など他の交通機関についても順次、同様の取り組みを進めていきたいと考えています。公共交通の充実強化を図ることで、地域における住民活動の循環や、広域都市圏におけるヒト・モノの循環を促進し、「地域コミュニティの活性化」と「200万人広島都市圏構想」の実現を目指していきます。

 秋の行楽シーズンには、各地でさまざまなイベントが開催されます。皆さんもぜひ公共交通機関で足を運び、楽しいひと時を過ごしてみてはいかがですか。


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