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市長コラム 忙中有閑/第39回

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G7広島サミットを振り返って

 毎日蒸し暑い日々が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
 早いものでG7広島サミットから2カ月が過ぎました。ここで改めて、今回のサミットを振り返るとともに、私自身の受け止めについてお話しさせていただきます。
 まず始めに、G7広島サミットを無事、成功裡(り)に終えることができたのは、ひとえに、市民や事業者の皆さんをはじめ、サミット開催を支えてくださいました多くの関係者の皆さんのご協力とご尽力のたまものであり、改めて心から感謝申し上げます。
 今回のサミットでは、核保有4カ国を含むG7各国や招待国の首脳、ウクライナのゼレンスキー大統領など、多くの現役の為政者が史上初めて平和記念公園を訪れ、平和記念資料館の視察や被爆者との対話を通じて、被爆の実相に触れていただきました。
 芳名録に記されたメッセージを見ますと、核兵器のない世界は各首脳の願いでもあることがまざまざと見て取れ、本市がこれまでに取り組んできた「迎える平和」の一里塚になったという思いです。
 また、私は各国首脳が原爆死没者慰霊碑への参拝・献花を行った際に、各国首脳に直接、碑文の説明を行う機会を得ました。碑文には、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という被爆者の訴えへの応えとして、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれています。これは、過去の悲しみに耐え、憎しみを乗り越えて、全人類の共存や繁栄を願い、真の世界平和の実現を祈念する「ヒロシマの心」です。
 各国首脳に対しては、このように説明した上で、「ヒロシマの心」を深く心に刻んでいただき、核兵器廃絶に向けた取り組みの原動力になっていただくよう要望もしました。
 さらに、今回のサミットでは「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が独立の文書としてまとめられましたが、これは、1975年にサミットが始まって以来初めてのことです。5年ごとに開催されるNPT再検討会議においては、2回連続で最終文書が採択できず、核軍縮の取り組みが停滞あるいは後退する状況が続いている中にあって、広島ビジョンには「全ての者にとっての安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現に向けた」コミットメントが再確認されるとともに「核兵器使用の実相への理解を高め、持続させるために、世界中の他の指導者、若者及び人々が、広島及び長崎を訪問することを促す」といった内容が盛り込まれました。
 各国首脳には、まずは現時点でできる最大限の取り組みを早急に開始し、世界を「ヒロシマ」から遠ざけるための第一歩を踏み出していただくことを心より願っています。
 サミットの影響もあり、今年の夏に広島を訪れる国内外の多くの皆さんに、被爆の実相はもちろん、復興した今の美しい街並みや食文化にも触れていただき、「平和の尊さ」を実感してもらえれば、ありがたいと思っています。


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