今田 新(いまだ あらた)さん
区内で唯一の中山間地域、戸山地区。「半林(自伐林業*)半X(林業以外のやりたい仕事)」という新しいライフスタイルに挑戦している人を紹介します。今田さんは平成26年8月の広島豪雨災害で災害支援にあたり、細々とした木が土砂と一緒に山から流され、民家に押し寄せている状況を目の当たりにしました。この時、土砂災害に強い森をつくるためには、密生した木々を間引く間伐を行うことで、根が張った大きな木を育てることが重要であると知りました。
森林の現状を変えるため、少しずつでも自分にできることを増やしたいとの思いから、市の「半林半X移住者支援事業」に応募し、令和2年7月から林業研修に参加。支援期間の3年間で、合計3,500時間以上かけて、間伐など森林整備の実習、薪づくりなどに取り組みました。さらに自伐林業グループ「戸山の森守人」の活動に参加し、戸山の森についても学びました。今年6月に研修を終えた今田さんは「林業の技術が上がった」と手応えを感じています。
今田さんは目の前に広がる戸山の山々を前に「昔の人は、歩いて山頂まで植林した。森は人が入り、間伐などの手入れをしてこそ守ることができる。先祖の想いは大切にしたい」と力が入ります。戸山学区町内会連合会の衣笠会長は「戸山はかつて林業や製材業が盛んだったが、近年は山に目を向ける人が少なくなった。今田さんのような若者が山の手入れをする姿は、地域の人々の関心が高まるきっかけになると思う。応援している」と期待を寄せています。
また、自伐林業に加え、地域の草刈り、剪定などを請け負っている今田さん。「信頼があってこそ、次の年もお願いされる」と、依頼者を大切にし、丁寧な仕事を心がけています。戸山学区社会福祉協議会の二反田会長は「地域の高齢化が進み、自分では草刈りなどができない人が増えている。地域の農地や景観を保全する作業を引き受けてもらい、地域にとって大変ありがたい」と話します。今田さんは、今できることを一つずつ積み重ねて、地域の人たちの信頼を得ながら、森林の保全や地域の活性化につながる活動が仕事として成り立つように、チャレンジし続けています。
荒廃する森林の整備を目的に、平成26年に設立した地域団体です。メンバーの多くは、普段は林業に従事していない農業者や会社員。週末を中心に、木の伐採や薪づくりなどを行っています。
移住者や地域外の協力者も仲間に加わり、活動を通じた交流が地域コミュニティの活性化にもつながっています。11月には活動体験会を実施する予定です。