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市長コラム 忙中有閑 第36回

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新年度のスタートを前に

 日増しに春めいてきました。
 最近、映画「ドライブ・マイ・カー」が米アカデミー賞にノミネートされ、広島にとって明るい話題となりました。市がロケ誘致・支援したこの映画が世界で高く評価されたことを、非常に喜ばしく思っています。

 一方、コロナ禍は依然として続き、年明け以降はオミクロン株が流行。市内で1日の新規感染者数が千人を超える日もありました。こうした中、市は、保健所などの体制強化を図り、感染者の積極的疫学調査や搬送などに全力で対応してきました。また、ワクチン接種については、3回目接種の可能な時期を2回目接種の完了から6カ月後に前倒し実施するとともに、5歳から11歳までの子どもへの接種も始めています。重症化予防、感染拡大防止を図るため、接種を希望される人は早めの接種をお願いします。感染の収束には、市民の皆さんの協力が欠かせません。引き続き、マスク着用や手洗いなどの基本的な感染対策に取り組んでくださるようお願いします。

 さて、あと10日で新年度が始まります。新年度には、コロナ対策など直面する課題に最優先で取り組みつつ、「地域コミュニティの活性化」と「平和文化の振興」に力を入れていく予定です。
まず、「地域コミュニティの活性化」ですが、広島を世界に誇れる「まち」にするためには、人口減少に打ち勝つ持続可能な地域社会が不可欠であると考え、先月「広島市地域コミュニティ活性化ビジョン」を策定しました。同ビジョンは、おおむね小学校区ごとに地域団体やNPOなどが連携する新たな協力体制を支援し、住民が「共助の精神」に基づき、地域貢献活動を積極的に行えるようにしようというものです。新年度は、新たな協力体制の設立をサポートするコーディネーターなどの派遣や、地域貢献活動に積極的な企業の認定などから始めていきます。

 次に、「平和文化の振興」です。これは、市民一人一人が幸せに暮らすために大切となるものへの思いを共有し、自分にできることを日常生活の中で実践できるような文化を「平和文化」と捉え、それを振興するものです。そのために、平和文化について分かりやすくまとめた冊子を作成するとともに、8月には、音楽とメディア芸術を柱とした「第1回ひろしま国際平和文化祭」を開催します。さらに11月の平和文化月間には、コンサートなどを集中的に実施します。こうした取り組みを通じて、為政者を含め多くの人が広島の地で世界恒久平和を願う「ヒロシマの心」に触れ、それを広めていくことができる環境づくりを目指します。

 世界に目を向けると、この原稿を執筆している今月9日現在、ロシアによるウクライナへの武力侵略が行われ、プーチン大統領が核兵器使用を示唆するとともに、人は誰でも行ってはならないことを行うものだということを前提に必要な対策を講じるべきである、という考え方が勢いを増しています。こうした状況は、「世界中の誰にも二度と同じ体験をさせてはならない」と懸命に訴えてきた被爆者の切なる思いを踏みにじり、核兵器のない世界の実現に向け努力を続ける国際社会にも背くものであると言わざるを得ません。

 核兵器は、地球上にあってはならない絶対悪であり、広島、長崎に続く、第三の戦争被爆地を生んではなりません。人々の尊い命と平和な暮らしを理不尽に奪う武力侵略や核兵器による威嚇は断じて許されず、ロシア政府をはじめ各国政府に、一日も早い平和的解決に向けた外交努力を強く求めます。

 被爆地広島は、この緊急事態に直面し、改めて核兵器廃絶と世界恒久平和を願う「ヒロシマの心」を新たにした上で、引き続き、世界に誇れる「まち」広島の実現を目指し、力強く、前向きに取り組んでまいります。

市長コラム