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市長コラム 忙中有閑 第35回

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広島が、世界が動き始めた一年でした

 平和大通りを華やかなイルミネーションが彩っています。冬の風物詩「ひろしまドリミネーション」。2年前までは当たり前のように年明けまで見られた光景ですが、昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、期間を大幅に縮小しての開催となりました。今年も状況によっては予断を許さないところですが、平和の象徴であるストリートを飾る輝きは、皆さんの心を勇気づけ、ほっと癒やしてくれるのではないでしょうか。

 さて、今年を振り返ってみると、やはりコロナとの闘い抜きには語れません。感染の波が市にも押し寄せ、いわゆる第5波により8月には1日当たりの感染者数が過去最高となる200人を超えました。そうした中で、医療関係者や市民の皆さんのご協力の下、ワクチン接種が順調に進んだこともあり、感染状況も10月を過ぎた頃から落ち着きを見せ始めてきたところです。

 とはいえ、寒さが厳しくなってくるにつれ、第6波を懸念する声もあります。こうした中、市では、今月から3回目のワクチン接種を開始しています。さらに、経済対策として、事業者同士が連携した「共助」の取り組みを支援するという観点から、市独自の対策も実施していきます。市民の皆さんには、マスク着用をはじめとする感染対策の徹底と、積極的なワクチン接種を引き続きお願いいたします。

 また、今年は1月に核兵器禁止条約が発効されるなど、広島にとってうれしいニュースもありました。まさに国際社会が、核兵器廃絶に向けて大きく動き出したといえるでしょう。さらに、7月には国が「黒い雨訴訟」の上告断念という政治判断を行い、心身に苦しみを抱えてこられた方々の長年の切なる思いがようやく届きました。現在、総理談話を踏まえつつも、早期に救済できるよう、具体的な認定基準などについて国との協議に全力を尽くしているところです。岸田総理の誕生は、こうした広島に関わる大きな動きを後押しする運命的な出来事と思えてなりません。

 同じ10月には大変悲しいニュースも入ってきました。核兵器廃絶を国内外に長年訴え続けてきた名誉市民の坪井直(つぼいすなお)さんの訃報です。「ネバーギブアップ(決して諦めない)」の精神で核兵器のない平和な世界の実現のために尽力された坪井さんの生きざまは、多くの市民の胸に刻まれていると思います。被爆地の市長として、その魂は必ず次代に引き継いでいくと約束します。

 来年の干支(えと)は「寅(とら)」。寅は「動く」の意味で、春が来て草木が生ずる状態を表すといわれています。今年は、サッカースタジアム建設の動きが具体化するなど、将来のまちづくりに向けた動きが本格化した広島ですが、来年はさらにその動きを加速させるための取り組みに、力を注いでいきたいと思っています。

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