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○広島市議会基本条例

平成22年12月20日

条例第33号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第3条)

第2章 議会及び議員の活動原則等(第4条~第7条)

第3章 市民との関係(第8条~第11条)

第4章 市長等との関係(第12条・第13条)

第5章 議会の機能強化等(第14条~第17条)

第6章 雑則(第18条・第19条)

附則

昭和20年8月6日、人類史上最初の原子爆弾によって壊滅的な打撃を受けた本市は、廃墟の中から、堪え難い悲しみと苦しみを乗り越えて復興に立ち上がった。昭和24年には、日本国憲法第95条の規定に基づく特別法として、全国で初めて行われた住民投票により市民の圧倒的多数の賛成をもって広島平和記念都市建設法が制定され、市民の英知とたゆまぬ努力、国内外からの温かい援助などにより、本市はめざましい復興・発展を遂げていった。

本市議会は、そうした歴史の上に立ち、今日をつくり上げてきた先人の意思を継承し、恒久平和の象徴としての平和記念都市広島の建設に努めるとともに、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を全世界に強く訴え続けてきた。また、本市議会は、社会や市民の要請に的確に対応した都市づくりを進めるため、議会の有する権限を適切に行使しながら、市民の代表として、その意思を的確に市政に反映させ、もって市民の負託にこたえることを目的として活動を行ってきたところである。

平成12年4月のいわゆる地方分権一括法の施行後、地方分権改革が進められ、地方公共団体の役割や責任が拡大する中にあって、二元代表制の下で、地方議会が果たすべき役割や責務は増大している。

そうした中で、本市議会が、今まで以上にその役割と責務を果たしていくためには、これまでの活動を更に推し進めるとともに、議会の機能強化や改革に取り組み、より一層、市民に信頼される議会を構築することが求められている。

このような認識の下、本市議会は、議会の基本理念及び基本方針を定め、議会及び議員の活動原則等を明らかにし、市民の負託に全力でこたえることを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市議会(以下「議会」という。)の基本理念及び基本方針を定め、議会及び市議会議員(以下「議員」という。)の活動原則等を明らかにするとともに、議会と市民との関係、議会と市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との関係その他の議会に関する基本的事項を定めることにより、議会が市民の負託に的確にこたえ、もって市民の福祉の向上及び市勢の発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は、市民自治の観点から、時代を先導し、真の地方自治の実現を目指すことを基本理念とする。

(基本方針)

第3条 議会は、前条に規定する基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本方針とする。

(1) 二元代表制の下、本市の意思決定を担う議決機関としての責任を自覚し、その機能を最大限に発揮すること。

(2) 市民に対し市政に関する情報を積極的に公開するとともに、市民に分かりやすい開かれた議会運営を行うこと。

(3) 人類史上最初の被爆都市として、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向けて、全力で取り組むこと。

第2章 議会及び議員の活動原則等

(議会の活動原則)

第4条 議会は、市民を代表する合議制の機関として、その役割を果たすため、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。

(1) 活動の公正性及び透明性を確保すること。

(2) 活動について市民に説明する責務を果たすこと。

(3) 市民の負託に的確にこたえる議会の在り方を不断に追求し、議会の改革に継続的に取り組むこと。

(議員の活動原則)

第5条 議員は、市民の直接選挙によって選ばれた公職として、自らの職責を果たすため、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。

(1) 市政に関する市民の意思の把握に努めること。

(2) 市政の課題及び政策に関する広範な情報収集及び調査研究に努めること。

(3) 議会の活動について市民に説明する責務を果たすよう努めること。

(4) 自らの資質向上のため、不断の研さんに努めること。

(議員の政治倫理)

第6条 議員は、市民の負託により市政に携わる権能及び職責を有することを深く認識し、その負託にこたえるため、政治倫理の向上と確立に努めるものとする。

(会派)

第7条 議員は、活動するため、議会における会派(以下「会派」という。)を結成することができる。

2 会派は、政策の立案、提言等に関し、会派間で調整を行い、議会における合意形成に努めるものとする。

3 会派は、市政に関する市民の意思の把握、市政の課題及び政策に関する広範な情報収集及び調査研究並びにその所属する議員の活動に必要な研修等を行うものとする。

第3章 市民との関係

(市民参加の機会の充実)

第8条 議会は、その活動に市民の意思を反映することができるよう、市民が議会の活動に参加する機会の充実を図るものとする。

(広報広聴機能の充実)

第9条 議会は、市民に開かれた議会を実現するため、その諸活動に関し多様な媒体を活用して積極的な広報及び広聴に努めるものとする。

(委員会の公開)

第10条 議会は、市民に開かれた議会運営に資するため、常任委員会及び特別委員会を原則として公開する。

(議会の活動に関する情報の公開)

第11条 議会は、広島市情報公開条例(平成13年広島市条例第6号)により、その活動に関する情報を迅速に公開するものとする。

第4章 市長等との関係

(市長等との関係)

第12条 議会は、二元代表制の下、市長等と対等で緊張ある関係を構築し、市長等の事務の執行の監視及び評価を行うとともに、政策の立案及び提言を通じて、市勢の発展に取り組むものとする。

(確認の機会の付与)

第13条 議長並びに常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下これらを「委員会」という。)の委員長は、会議及び委員会における審議又は調査等の充実を図るため、会議及び委員会の論点等を明確にする必要があると認めるときは、市長等又はその職員に対し、議員及び委員の発言の趣旨について確認の機会を付与することができる。

第5章 議会の機能強化等

(議会の機能強化)

第14条 議会は、市長等の事務の執行の監視及び評価並びに政策の立案及び提言に関する議会の機能を強化するものとする。

(調査機関の設置)

第15条 議会は、議会における審議の充実、議会による政策形成機能の強化及び政策の効果の評価のため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条の2の規定により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

(議会改革)

第16条 議会は、社会環境、経済情勢等の変化により新たに生ずる市政の課題等に適切かつ迅速に対応するため、継続的な議会の改革に取り組むものとする。

2 議会は、前項の規定による取組を行うため、地方自治法第100条第12項の規定により、議員で構成する検討組織を設置することができる。

(議会事務局の機能強化等)

第17条 議会は、自らの政策立案能力を向上させ、その活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の強化及び組織体制の整備に努めるものとする。

第6章 雑則

(他の条例等との関係)

第18条 この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。

(検討)

第19条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

広島市議会基本条例

平成22年12月20日 条例第33号

(平成22年12月20日施行)