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○広島市景観条例

平成18年3月29日

条例第39号

緑あふれる山々や市街地を流れる幾筋もの川、大小の島々が浮かぶ穏やかな瀬戸内海、にぎわいと風格のある都心の街並みや秩序ある郊外の家並み、山すそに広がる田園。こうした多彩な広島の景観は、天与の自然、そしてこの地に暮らす人々の長い年月にわたる営みにより形成されてきた。

とりわけ、原子爆弾による壊滅的な被害からの復興の過程では、恒久の平和を誠実に実現しようとする理想の象徴として平和記念都市の建設に努め、今日の整然とした街並み、平和記念公園、平和大通り、河岸緑地などからなる広島特有の景観を生み出した。

こうした美しい広島の景観は、豊かな生活環境を創造していく上で不可欠なものであり、私たちにとってかけがえのない共通の財産である。私たちは、先人たちの努力の結晶であるこの広島の景観を守り、創り、未来の世代に引き継がなければならない。

このような認識の下、市民が誇りと愛着を持ち、これからも住み続けたいと思い、国内外の多くの人々が訪れ、楽しみ、交流する、個性と魅力ある都市を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定、行為の規制等に関し必要な事項その他良好な景観の形成に関し必要な事項を定めることにより、個性と魅力ある都市の実現に寄与することを目的とする。

(平26条例45・一部改正)

(本市の責務)

第2条 本市は、良好な景観の形成を促進するために必要な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 本市は、前項に規定する施策の策定及び実施に当たっては、市民及び事業者の意見を反映させるよう努めるものとする。

3 本市は、道路、公園その他の公共施設の整備に当たっては、良好な景観の形成に努めるものとする。

(市民及び事業者の責務)

第3条 市民及び事業者は、良好な景観の形成に主体的かつ積極的に取り組むよう努めるとともに、前条第1項の規定により本市が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

2 市民及び事業者は、建築物その他の工作物の新築、増築、修繕、色彩の変更等又は土地の形質の変更に当たっては、良好な景観の形成に努めなければならない。

(啓発及び知識の普及)

第4条 本市は、良好な景観の形成に関する啓発及び知識の普及に努めるものとする。

(平26条例45・旧第5条繰上)

(市民等の活動に対する支援)

第5条 本市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する団体が良好な景観の形成に寄与する活動を行うときは、当該活動に必要な情報の提供その他の支援を行うものとする。

(平26条例45・旧第6条繰上)

(景観計画)

第6条 市長は、良好な景観の形成を総合的かつ計画的に推進するため、景観計画(法第8条第1項の景観計画をいう。以下同じ。)を定めるものとする。

2 市長は、景観計画において、景観計画区域(法第8条第2項第1号の景観計画区域をいう。以下同じ。)のうち、良好な景観の形成を特に推進することが適当と認める区域を景観計画重点地区として定めるものとする。

3 市長は、前項の規定により景観計画重点地区を定めたときは、景観計画重点地区ごとに法第8条第2項各号に掲げる事項及び同条第3項に規定する方針を定めるものとする。

(平26条例45・追加)

(景観計画の策定手続)

第7条 市長は、景観計画を定めようとするときは、あらかじめ、その旨を公告し、当該景観計画の案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。

2 前項の規定による公告があったときは、当該景観計画の案に係る区域内の住民及び利害関係人は、同項の縦覧開始の日から3週間を経過する日まで、縦覧に供された景観計画の案について、市長に意見書を提出することができる。

3 市長は、景観計画を定めようとするときは、あらかじめ、前項の規定により提出された意見書の要旨を添えて、広島市景観審議会の意見を聴くものとする。

4 前3項の規定は、景観計画の変更について準用する。

(平26条例45・一部改正)

(届出に係る添付図書)

第8条 景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)第1条第2項第4号の条例で定める図書は、平面図、断面図その他規則で定める図書とする。

(平26条例45・追加)

(届出を要する行為等)

第9条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次の表の左欄に掲げる景観計画上の地区における同表の右欄に掲げる行為とする。

地区

行為

西風新都地区

(1) 土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更(以下「土石の採取等」という。)であって、土石の採取等に係る区域の面積が500平方メートル以上のもの

(2) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件(以下「土石等」という。)の堆積であって、当該堆積の区域の面積が500平方メートル以上のもの又は当該堆積に係る土石等の体積が500立方メートル以上のもの

2 前項の表の右欄に掲げる行為に係る法第16条第1項の規定による届出は、同項に規定する事項を記載した届出書に規則で定める図書を添付して行わなければならない。

3 第1項の表の右欄に掲げる行為に係る法第16条第1項に規定する条例で定める事項は、当該行為をしようとする者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)並びに当該行為の完了予定日とする。

4 第1項の表の右欄に掲げる行為に係る法第16条第2項に規定する条例で定める事項は、設計又は施行方法(以下「設計等」という。)のうち、その変更により同条第1項の規定による届出に係る行為が同条第7項各号に掲げる行為に該当することとなる設計等以外の設計等とする。

(平26条例45・追加)

(届出を要しない行為)

第10条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為以外の行為とする。

(1) 建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物で規則で定める規模のものに限る。)の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更(外壁面その他の規則で定める物件に係るもので規則で定める態様のものに限る。)

(2) 工作物(煙突その他の規則で定める工作物で規則で定める規模のものに限る。)の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更(外壁面その他の規則で定める物件に係るもので規則で定める態様のものに限る。)

(3) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項に規定する開発行為で規則で定める規模のもの

2 前項各号に掲げる行為は、景観計画区域内において定められた区域ごとに同項各号の規則で定めるものとする。

(平26条例45・追加)

(特定届出対象行為)

第11条 法第17条第1項に規定する条例で定める行為は、法第16条第1項第1号又は第2号の届出を要する行為とする。

(平26条例45・追加)

(景観資源)

第12条 市長は、建築物、樹木その他の物件であって、良好な景観の形成に寄与していると認めるものを景観資源として登録するものとする。

2 前項の規定は、次に掲げる物件には適用しない。

(1) 法の規定により景観重要建造物又は景観重要樹木として指定された物件

(2) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)の規定により国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物若しくは史跡名勝天然記念物として指定され、若しくは仮指定された物件、重要文化的景観として選定された物件又は文化財登録原簿に登録された物件

(3) 広島県文化財保護条例(昭和51年広島県条例第3号)の規定により県重要文化財、県有形民俗文化財又は県史跡名勝天然記念物として指定された物件

(4) 広島市文化財保護条例(昭和43年広島市条例第20号)の規定により市指定重要文化財として指定された物件

(5) 都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律(昭和37年法律第142号)の規定により保存樹又は保存樹林として指定された物件

3 市民、事業者又はこれらの者の組織する団体は、市長に対し、良好な景観の形成に寄与していると認める建築物、樹木その他の物件を景観資源として推薦することができる。

(平26条例45・旧第8条繰下)

(景観資源の登録手続等)

第13条 市長は、前条第1項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、その登録をしようとする物件の所有者(所有者が2人以上いるときは、その全員。第3項において同じ。)の同意を得なければならない。

2 市長は、前条第1項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、広島市景観審議会の意見を聴くものとする。同条第3項の規定により推薦された物件を景観資源として登録しないこととしようとするときも、同様とする。

3 市長は、前条第1項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、当該登録に係る景観資源の所有者及び管理者(当該登録が同条第3項の規定による推薦に基づくものであるときは、当該景観資源の所有者及び管理者並びに当該推薦に係る者)に通知しなければならない。

4 市長は、前条第3項の規定により推薦された物件を景観資源として登録しないこととしたときは、遅滞なく、その旨及びその理由を当該物件を推薦した者に通知しなければならない。

5 市長は、景観資源について、前条第2項各号に掲げる物件に該当するに至ったとき、又は滅失その他の事由によりその登録の理由が消滅したときは、その登録を取り消さなければならない。

6 市長は、景観資源について、所有者から登録の取消しの申出があったとき、その他特別の理由があると認めるときは、その登録を取り消すことができる。

7 第3項の規定は、前2項の規定による景観資源の登録の取消しについて準用する。

(平26条例45・旧第9条繰下)

(景観資源の管理)

第14条 景観資源の所有者及び管理者は、その良好な景観が損なわれないよう適切な管理に努めなければならない。

(平26条例45・旧第10条繰下)

(現状変更等の届出)

第15条 景観資源の所有者は、除却、伐採、移植若しくは道路その他の公共の場所から容易に望見される部分の外観の変更又は所有権の移転をしようとするときは、その日の2週間前までに、その旨を市長に届け出なければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。

(平26条例45・旧第11条繰下)

(指導又は助言)

第16条 市長は、景観資源の所有者又は管理者に対し、当該景観資源の適切な管理に関し必要な指導又は助言を行うものとする。

(平26条例45・旧第12条繰下)

(広島市景観審議会)

第17条 第7条第3項(同条第4項において準用する場合を含む。)及び第13条第2項並びに広島市屋外広告物条例(昭和54年広島市条例第65号)第27条の規定によりその権限に属するものとされた事項について、市長の諮問に応じて審議するため、広島市景観審議会を置く。

2 広島市景観審議会は、前項に定めるもののほか、良好な景観の形成に関する重要な事項及び屋外広告物(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。)に関する重要な事項について、市長の諮問に応じて調査し、又は審議するとともに、市長に意見を述べることができる。

3 広島市景観審議会の組織及び委員並びにその運営に関し必要な事項は、市長が定める。

(平26条例45・旧第13条繰下・一部改正)

(委任規定)

第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

(平26条例45・旧第14条繰下)

この条例は、平成18年4月1日から施行する。

(平成26年7月4日条例第45号)

1 この条例は、平成27年1月1日から施行する。ただし、第1条の規定及び次項の規定は、平成26年10月20日から施行する。

2 広島市屋外広告物条例(昭和54年広島市条例第65号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう略〕

3 広島市屋外広告物条例の一部を次のように改正する。

〔次のよう略〕

4 第2条の規定による改正後の広島市景観条例第10条の規定にかかわらず、この条例の施行の日から起算して35日以内に着手する景観法(平成16年法律第110号)第16条第1項第1号から第4号までに掲げる行為は、同条第7項第11号の条例で定める行為とする。

広島市景観条例

平成18年3月29日 条例第39号

(平成27年1月1日施行)