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広島かきの養殖指導等
広島のカキ養殖
広島の冬の味覚の代名詞といえばカキ。緑豊かな中国山地を源とする太田川が流れ込む広島湾で行われるカキ養殖には、室町時代末期の天文年間から450年以上の歴史があります。
平成30年のかき(殻付き)の収獲量は、広島市が21,804トンで、広島県では、江田島市22,317トン、呉市24,633トンに次ぐ、第3位の収獲量となっており、広島市の水産業の基幹を担っています。
※平成30年で市町村別統計は廃止されました。
カキ養殖指導
広島市の水産業の中心であるカキ養殖業の振興を図るため、広島市水産振興センターを中心にして、カキ養殖に関する調査を行い、その結果をカキ養殖業者に情報提供することや、養殖方法等に関する指導を行っています。主な調査・指導内容は次のとおりです。
(1) カキ漁場環境調査
カキ養殖業者が品質の良いカキを養殖するために必要となる広島湾の水温、塩分濃度、クロロフィル蛍光値量(カキの餌となる植物プラントン量の目安)、溶存酸素量等を定期的に測定しています。
(2) カキ採苗調査
カキ養殖において、良質な稚貝の確保は、最も重要であるため、夏場の広島湾において、カキ幼生の出現状況や稚ガキの付着状況についての調査を行います。
(3) 害敵生物調査
カキに付着し、成長を妨げる生物(ムラサキイガイ、フジツボ等)の幼生の出現状況や付着状況を調査します。
(4) 出荷サイズ調査
カキ養殖業者の作業場を回り、収獲されたカキのサイズを計測し、過去のデータとの比較やカキの養殖履歴、成育状況または出荷状況に関する聞取りを行います。
(5) カキ養殖技術研修会
年度ごとのカキ採苗に関する調査結果や過去のデータをもとに解析を行い、それをもとにして、カキ養殖業者に対して研修会を開催します。
カキ採苗不調への対応
広島湾では、平成25年度、26年度及び29年度に県下全域でカキの稚貝がほとんど確保できない「採苗不調」が発生しました。採苗不調が発生すると養殖に使う稚貝が確保できないため、カキ養殖業者にとっては、死活問題となります。
このため、国の研究機関及び広島県等と連携し、カキ幼生の出現状況、カキ稚貝の付着状況、水温、塩分濃度、カキの餌となる植物プランクトンの状況等の調査や植物プランクトンが増殖するために必要な海水中の窒素やリン等の濃度の調査を行い、採苗不調の原因究明を行っています。