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ページ番号:0000353209更新日:2023年10月10日更新印刷ページ表示

陳情第10号

広島市に存在する芸術作品の保護について

(要旨)

 7月18日、広島市南区の旧広島駅ビルの壁面に飾ってあった、日本を代表する彫刻家・舟越保武氏の作品「牧歌」が、2020年の同ビル建て替え工事に伴い廃棄されていたことが中国新聞による報道で明らかになった。
 55年の長きにわたり市民に馴染み、また高名な芸術家の貴重な作品が永久に失われたことは非常に残念でならない。
 このことについて広島市役所に問い合わせたところ、広島市役所も破棄されたことは報道で知ったとのことであった。彫刻はJR西日本が所有するものであり、民間の所有物は広島市の方では把握しきれないとの説明を受けた。
 確かに、何をどうするかは所有者の判断であろう。しかし今回のように長年にわたり親しまれたような芸術作品は言わば市民の心の財産であり、作品の価値からしてもそのもの自体が貴重でもあり、やはり破棄されてはならなかったと思う。
 現在、広島市中に様々な芸術作品がある。それらについても今後また同じことが起こる可能性がある。
 長年親しまれてきたという心情的な面はもちろんであるが、今回のように文化的にも貴重な芸術作品が簡単に破棄されてしまっては、広島市自体の文化的成熟度も問われることにもなる。
 それらの芸術作品は所有者が県や区、民間等と多岐にわたり、広島市が対処するには限界があるとは思うが、まずは所有者の枠を超えて、「広島市に存在する作品」として広島市が全てを把握しておくのが必要だと考える。
 今後、建て替え等の申請に関して精査し、何らかの芸術作品が含まれているかどうか、その芸術作品をどうするのか、専門の部署を置いて確認するようにはできないであろうか。
 広島市に存在する芸術作品の情報を市が一括して管理できれば、それを基にして内外に紹介することもできるし、新たに魅力を発見することにもつながると思う。
 また、広島市に所有権がない芸術作品が破棄されることとなった場合、広島市内の美術館等に寄贈してもらうように働き掛けたり、美術館と所有者との橋渡しをしたり、広島市の美術館等での所有が難しければ、全国の芸術系の大学や学校、作者の地元にも照会したりなどの働き掛けも、広島市の方でできればと思う。
 例えば、今回の場合であれば、同じく彫刻家である御子息・船越桂氏が御健在であるので、照会することができてさえいれば作品の保護につながったのではないであろうか。
 広島に芸術作品を置く、となった場合、多くの芸術家は広島がヒロシマであることを意識し、特別な思いや願いを持って芸術作品を送り出してくれるであろう。それらの思いや願いを守り、後世に伝えていくのもヒロシマである広島の役割だと考える。その点からいたすと、今回は有名な方の芸術作品であったが、現在は無名である芸術家の作品も同じように保護するべきだと思う。
 ついては、下記のとおり陳情する。

1 広島市にある芸術作品を保護すること。
2 広島市にある芸術作品の保護のための専門の部署の設立を関係機関に働き掛けること。

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