予算特別委員会の主な質疑

 議長を除く全議員で構成される予算特別委員会(八條範彦委員長、碓氷芳雄・森畠秀治・山内正晃・定野和広各副委員長)において、延べ102人の委員が、令和3年度一般会計予算など59議案について、活発な質疑を行い、慎重に審査を重ねました。その審査における主な質疑と答弁を掲載します。

※紙面の都合上、掲載質問数の上限は、各会派の人数按分により決定しています。
※質疑の内容は、各会派からの提出によるものです。
※質疑・答弁の趣旨を簡潔にまとめているため、実際の発言とは言い回しが異なることがあります。


自民党・市民クラブ

オンライン授業の早期実現を!

 不登校の児童生徒のためにも早期にオンライン授業の実現を!

 不登校児童生徒や保護者の思いを聴き、希望があれば、個別に対応することを検討する。

地域福祉団体への支援

 新基金の支援対象になる活動はどのようなものか。

 制度の具体については、今後市社協において検討していくが、団体間の連携強化等に資する活動であれば対象になり得ると考えている。

サッカースタジアム

 建設にあたり、市のアイデンティティや公募の要求水準はどうなっているか。

 要求水準には、スタジアムと広場が一体となったスタジアムパークとして整備することで、広島の新たなにぎわいの拠点としたいとの思いを込めている。

矢野中央線

 進捗状況と用地の取得状況はどうか。

 令和2年度末までの事業進捗率は49%の見込みであり、用地取得状況は現時点で全体の49%となっている。

森林・林業行政

 森林経営管理制度を活用した本市の取り組み状況と今後の予定はどうか。

 モデル地区で、約30%の森林所有者が判明し、今後は、モデル地区の境界明確化および他地区の所有者調査を開始する。

広島城遊覧船事業

 市としての評価はどうか?今後も必要な事業と考えているか?

 広島城の魅力向上につながっていると考えており、観光資源として可能な限り継続していきたいと考えている。

農業の担い手育成、農地保全

 地域主体の農地利活用支援事業の具体的な支援内容は?

 地域の実情に合った共助の取り組みによる農地利活用計画の策定を支援する。また、計画策定後の機械の購入などの補助を考えている。

農林漁業の野焼き

 市のルールを定めてはどうか。

 一律の基準を定めることは難しいが、国に対してガイドラインの策定を要望するなどして、少し時間をかけて検討していきたい。

マンホールトイレの整備

 どのように進めていくのか。

 今後、国のガイドラインに基づき、小中学校等の指定避難所を対象として、順次、整備を進めていく。

地域コミュニティ活性化の推進

 町内会の業務を明確・分散化する取り組みを市が支援する考えは。

 町内会の業務負担は、住民参画の減少要因だが、団体運営の課題と社会情勢が複雑に影響するものであり、今後策定する地域コミュニティ活性化ビジョンにおいて、支援策を総合的に検討していきたい。

広島城天守閣を木造復元すべき

 広島城天守閣の今後についてどのように考えているのか。

 広島城のあり方に関する懇談会の提案内容を踏まえ、広島城天守閣の木造復元を目指し、本格的な調査検討を進めたい。

特別支援学校高等部の校舎増築

 大規模化する運営の困難さ等を考慮し高等部を独立させた高等特別支援学校とすること。

 今後、県と連携し、広域都市圏全体の学校体制の在り方を検討していきたいと考えており、その中で、併せて検討する。

「数」から「質」重視の観光へ

 数の減少を数で補うのではなく質の向上に変えるべきと考えるがどうか。

 夜の観光メニューの充実や新たな観光資源の掘り起こし等により、広島広域都市圏の観光を促進したい。

急傾斜地崩壊防止対策

 所有者不明土地の解消に向けて、国にどのように働きかけるか。

 公共事業などの円滑な実施に資する、さらなる法整備や制度設計について、機会を捉え要望等を行っていきたい。

自民党・保守クラブ

学校と地域のこれからの関係

 コミュニティ・スクールは、なぜ必要か?

 子どもの成長のためには、社会総がかりでの教育が不可欠であり、地域とともに学校づくりを推進することが重要であるため。

部活動指導員の配置

 部活動指導員導入の効果をどのように捉えているのか。

 生徒にとっては、意欲や技能の向上等に、教員にとっては、部活動指導や大会引率に係る負担の軽減につながっている。

うつ病や自殺(自死)対策の強化を

 「広島いのちの電話」といかなる連携を図り、また支援しているのか?

 「広島いのちの電話」の運営を支援するため、電話相談員の研修事業や事務局運営に係る経費を補助している。

地区社協活動拠点支援補助を問う

 支援補助金の使途は「謝金」以外にも、ある程度、自由度を持たせては?

 今後市社協において地区社協等の意見等を聴きながら、実情に応じた制度となるよう、柔軟に対応していくものと考えている。

税金で共助を支援するときは

 地域団体に対して、参加機会の公平性の担保はできると考えているか?

 高齢者は誰でも参加可能とすることなどの具体的な要件設定や実施団体への指導等により、公平性は確保できていると考えている。

プレミアム付タクシーチケット

 前回より一般市民が購入しやすくしてほしいがどうか。

 前回の方法に加え、市内各所に窓口を有する郵便局等での委託販売について実行委員会で検討を進めていると聞いている。

都市防災に資する道路整備

 防災観点から生活道路を整備してはどうか。

 地域の実情や地域住民の意見等を踏まえ、防災の視点も取り入れながら整備を進めているところである。

中山踏切・下温品交差点道路整備

 中山踏切から下温品交差点までの道路整備の進捗状況は。

 中山踏切部の立体交差化事業については、令和6年春の供用を目指して進めるとともに、温品五丁目のJR社宅前の道路拡幅事業を行っている。

原爆ドームの保存

 現状記録の保全の内容と目的は何か。

 壁面や鉄骨などを高精細カメラで撮影することで、劣化の進行状況を把握し、今後の保存整備に活用していく。

「森林整備の促進」その一助に

 市民の方々が集めた木材を近隣のバイオマス発電所に持ち込める制度を。

 未利用材を近隣の発電所へ直接搬入できる仕組みについて、森林組合等や事業者と協議する。

市行造林・育林事業

 市行造林の維持管理はどうなっているか。

 市行造林・育林事業で契約している約350ヘクタールの森林で適切に植林、下刈り、間伐等を実施している。

自主防災連合会の支援

 補助金制度を創設し、毎年自主防災組織に支援すべきと思うがどうか。

 要望が多く、全市的に展開すべき取り組みを支援しており、引き続き地域の意見を踏まえながら改善を行う。

公明党

自殺予防教育

 今後、学校において自殺予防教育を具体的にどのように進めていくのか。

 令和3年度から、指定校で担任がスクールカウンセラーと行う授業を試行し、令和5年度には、全小・中学校で実施する予定である。

成年後見利用促進センター設置

 センターと三士会との連携はどのように考えているか。

 各団体とアドバイザリー契約を締結し、権利擁護支援を必要とする人がより的確な助言等を受けられるようにしたいと考えている。

かわなみサイクリングロードの環境整備

 今後どのように整備を進めていこうとしているのか。

 路面案内表示やサイクルスポットなど、サイクリングロードの環境整備を行うとともに、地元主体のイベント支援を行う。

アストラムラインの定期券購入

 定期券を購入する際、クレジットカードで購入できないか。

 広島高速交通株式会社からは一層のコスト削減を要するという課題はあるが、クレジット決済への対応については、今後、検討する予定と聞いている。

日勤救急隊の推進を

 新規事業として取り組む「日勤救急隊」の創設の目的は何か。

 増加傾向にある救急需要への対応と、職員のワークライフバランスや働き方改革を推進するものである。

急傾斜地事業の着実な財源確保は?

 県の補助金が不十分なとき、予定の工事実施に係る工事費はどう確保するのか?

 不足する財源として、地方交付税が措置される緊急自然災害防止対策事業債を充当し、予定箇所を施行する。

DX推進計画

 将来的にAIの活用をどのように考えるか。

 技術進展の動向や先進都市での取り組み事例等を参考にしながら、AI活用の可能性について研究していきたい。

締約国会議で共通土台の議論を

 核兵器禁止条約締約国会議で核兵器とSDGsに関する討議の提案をしてはどうか。

 平和首長会議主催のサイドイベントで「核兵器とSDGs」に関する討議の場を設けることについて検討したい。

市政改革ネットワーク

学びは教室の中だけなのか?

 タブレット活用のため、体育館等でも無線LAN環境を整備しては?

 モバイルWi-Fiルータを試験的に活用し、体育館等でのインターネット利用の効果を検証したい。

学校検診に側彎(そくわん)症検診を!

 見逃しやすい側彎症について、思春期での検診を復活させること。

 側彎症の検診は国の基準に従い定期健康診断で行っており、機器の使用等については国の動向を踏まえ検討する。

商議所と基町駐車場は等価交換ではない?

 更地価格は基町駐車場の方が高いが、収益還元法では逆となる理由は?

 収益還元法で建物および土地の効用や需要から生じる経済価値を適正に評価した結果、更地価格と逆になっている。

危険なバス停を解消せよ!

 川への張り出し等公共空間活用で待機場所を確保すべきではないか。

 管理者等との調整が調えば有効な解決策であり、要望などを踏まえ、バス事業者などと連携して行う必要がある。

大型ごみ受け入れ体制の改善

 新たなストックヤードの管理運営費等はどのように考えているのか。

 大型ごみの受け入れ等の業務は、一般廃棄物処理業者と連携して取り組むこととし、委託料を予算計上している。

日当の運用見直しを求める

 市内旅費日当550円について各部局の実態を調査し、見直しを。

 日当は旅行中の諸雑費を賄うため定額で支給しているが、各局の支給実態を調査し、国等の取り扱いも参考にしながら、在り方を検討したい。

サッカースタジアム県市の調和

 費用負担については、スタジアム本体を中心に調整をするべきでは。

 イメージパース等の具体案を県に丁寧に説明し、できるだけ早期に費用負担の合意ができるよう取り組んでいく。

市民連合

教員の休職からの職場復帰支援

 復職時、本人の意向はどのように配慮等されているのか。

 面談で体調や復職後の配慮事項等を聞き取り、産業医等の意見を踏まえ、復職時の業務分担等を決定している。

平和教育プログラムの推進を

 平和教育プログラムを今後どのように推進していくのか。

 検証会議での意見を参考にして一部改訂し、試行を経た上で、令和5年度には全小・中・高等学校等で実施する予定である。

県道伴広島線の完成時期は?

 己斐峠の道路整備の進捗状況と完成時期の目途はいつか?

 佐伯区境から己斐側の約0.6キロは完了し、現在、残る約0.8キロを施工しており、令和8年度の完成を目指している。

急速な脱炭素社会の到来に向けて

 自動車製造に関わる中小企業事業者をどのように支援するのか。

 ひろしま自動車産学官連携推進会議での議論を踏まえ、国や県と連携して支援策を検討し、対応していきたいと考えている。

NPO支援制度の創出

 ふるさと納税を使ったNPO指定寄付制度をつくってほしい

 制度の導入について早急に研究し、実施する場合は令和4年度には実施できるよう努力する。

日本共産党

未来を担う子どもの放課後を守れ

 コロナ禍の下、放課後児童クラブの無料は有意義だがどうか。

 サービス向上策を実施しつつ、将来にわたり安定的に運営していくためには、受益者負担をお願いする必要があると考える。

子育て支援で国保の減免を

 国民健康保険の子どもに係る均等割を市が独自減免するべきである。

 国が所要の措置を講じるべきものであるため、令和4年度から導入される国の支援措置の対象年齢拡大を求めていく。

広島駅南口再整備は見直しを

 財政が厳しい中で360億円かかる事業は見直すべきだがどうか。

 広島市の顔となる陸の玄関にふさわしい場所とするため、施設規模を削減する予定はないが、コスト縮減には努める。

豊かな瀬戸内海を守ろう

 カキ筏に使われた針金が底引き網にかからない対策が必要ではないか。

 広島のカキのブランドイメージを守るため、養殖業者への廃棄物に対する意識啓発や指導を一層強化する。

湯来町 高まる土砂災害の危険

 36基の風力発電所建設は撤回することが一番の安全確保だと思うがどうか。

 事業計画が明確になった時点で、必要に応じて開発の所管部局等と連携し、適切に対応していきたい。

広島創生クラブ

牛田のまちづくりは歩行者優先

 歩行者を重点にした安全で安心して住める人に優しい道路整備を。

 安全安心に歩ける整備は重要であり、場所場所に応じた工夫をし、舗装補修などにより、路面の平坦性確保に努める。

広島新生クラブ

男性の産休を推奨すべき

 「男性版産休」導入に向けた動きをどう捉え、どう対応していくのか?

 国は、民間企業の男性従業員を対象に新たな育休制度を設けるとしており、地方公務員にどう影響するか国の動向に注視したい。



〔用語解説〕

森林経営管理制度
 森林所有者自らが経営管理を行うことが難しく、市町村で経営管理が必要と判断したものについて、所有者から市町村が委託を受け、林業経営に適した森林を意欲と能力のある林業経営者に再委託し、林業経営に適さない森林は市町村が経営管理を行う制度。

マンホールトイレ
 下水道管路にあるマンホールの上に簡易な便座やパネルを設け、災害時において迅速にトイレ機能を確保するもので、東日本大震災時や熊本地震の際に使用された。

コミュニティ・スクール
 学校と地域住民等が「地域でどのような子どもを育てるのか」、「何を実現していくのか」という目標やビジョンを共有した上で、力を合わせて学校の運営に取り組むことにより、地域とともにある学校づくりを推進することを目的とする「学校運営協議会」を設置した学校のこと。

いのちの電話
 1953年に英国のロンドンでボランティアによる自殺予防のための電話相談が始まり、日本では1971年に東京で初めて開設された。「広島いのちの電話」は1988年に開局し、2020年4月現在、103名のボランティア相談員が24時間体制で相談を受けている。

市行造林・市行育林事業
 水源かん養機能等の高い地域で放置森林を対象に、市が土地所有者に代わって造林・育林を行い、木材を売却したときに、その収益を市と土地所有者が一定の割合で分け合う事業のこと。

三士会
 弁護士会・司法書士会・社会福祉士会(本答弁では、広島弁護士会、広島司法書士会、広島県社会福祉士会)のこと。

DX(デジタルトランスフォーメーション)
 デジタル技術を活用して社会全体で情報を共有し、ネットワーク化することで、人々の生活をより良いものに変革していくことで、自治体におけるDXは、データ化された情報を公開し、官民連携によってそれらを活用しながら、社会の課題解決に役立てていくことを指す。

側彎症
 背骨が左右に弯曲した状態で、背骨自体のねじれを伴うことがあり、通常、小児期にみられる脊柱変形を指す。左右の肩の高さの違い、肩甲骨の突出、腰の高さの非対称、胸郭(きょうかく)の変形、肋骨や腰部の隆起などの変形を生じる病気。進行すると、腰背部痛や心肺機能の低下をきたすことがある。

収益還元法
 不動産鑑定評価において、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される収益をベースとして対象不動産の価格を求める手法のこと。

平和教育プログラム
 本市では平和教育の取り組みを一層充実させるため、小学校から高等学校までの12年間を4つのプログラムに分け、児童生徒が被爆の実相等の事実を捉え、その事実を通して未来を志向し、平和で持続可能な社会の形成者として必要な知識や能力等を身に付ける内容の平和教育プログラムを実施している。