ひろしま市議会だより 第292号(別紙) 広島市基本構想・基本計画特別委員長報告号

 昨年(令和元年)6月に議長を除く53人の議員で構成する広島市基本構想・基本計画特別委員会を設置いたしました。
 当委員会は、「広島市基本構想※1」と、「広島市基本計画※2」が、10年ぶりに改定されることに伴い設置したもので、約1年間、同改定内容等に関する調査研究や審査を重ねてまいりました。
 その経過や概要について、本定例会の最終日(6月25日)、今田良治委員長から報告が行われ、その内容は次のとおりです。

※1「広島市基本構想」
 総合的かつ計画的な行政を推進し、もって市民福祉の向上を図ることを目的として、広島市の将来の都市像及びそれを実現するための施策の構想について定めるもの。

※2「広島市基本計画」
 「広島市基本構想」を達成するための施策の大綱を総合的・体系的に定めるもの。

【審査の経緯】
本市では、平成21年10月に議会の議決を経て策定した広島市基本構想及び第5次広島市基本計画に基づき、都市像として掲げた「国際平和文化都市」の実現に向け、総合的かつ計画的な都市づくりを推進してきた。
その基本計画の計画期間が、令和2年度で満了するため、平成29年度から、基本構想及び基本計画の改定作業が進められることとなった。

【市議会における調査研究】
本市議会においても、この基本構想及び基本計画が長期にわたる都市づくりの指針であることから、議会として十分調査・研究を行う必要があるため、令和元年6月25日に議長を除く全議員で構成する広島市基本構想・基本計画特別委員会を設置した。
以後、これまでの約1年の間に4回の委員会を開催し、広島市総合計画審議会での審議等を踏まえた基本構想及び基本計画のたたき台や素案などが理事者から示される都度、これに対する議会としての意見等を表明し、精力的に調査・研究をしてきた。
そうした本委員会での調査研究も踏まえた基本構想の改定等の議案が今定例会に提出され、6月15日に本委員会に付託された。
本委員会は、付託された広島市基本構想の改定及び第6次広島市基本計画の決定等について、6月16日、18日、19日の3日間、慎重かつ熱心に審査を行った。

【審査における委員の主な意見】
人口減少、高齢化などを踏まえ、10年後、20年後、どのような広島市をつくるのかが大事であり、今後、変化が生じても柔軟に対応できるようにしなければならない。
新型コロナウイルス感染症の発生により、この計画が的外れなものになることも有り得るので、計画を練り直していくことが必要になってくるのではないか。
基本構想・基本計画の中で、広島城築城と共に誕生した城下町広島や昭和20年8月6日の原爆投下など、広島の原点、歴史について記述し、伝えていくことが大切ではないか。
核兵器禁止条約の発効に向けて、世界に喚起していくためには、広島の役割として積極的に発言をしていくべきではないか。
文化芸術基本法を踏まえ、条例の制定や法に規定する推進基本計画の策定、または本市独自の文化芸術計画の法定計画への位置付けなどを検討していただきたい。
基本計画の中のスポーツ環境基盤の整備・充実に当たっては、更なる市民のスポーツ活動の場の創出が必要である。
基本構想・基本計画の中に、アフターコロナへの大転換として、100年後を見据え、浜田市から広島市、松山市を経由し高知市までの都市圏を結ぶルートの構築を加えていただきたい。
200万人広島都市圏構想については、福祉・医療、教育などの行政サービスや公共施設、地域経済と雇用などを集約することになるため、周辺市町の行政サービスが低下しかねないなど、周辺市町の衰退を助長する可能性が高いのではないか。
コロナの時代を生きる上で、感染予防や差別、偏見などを無くしていくためには、教育の果たす役割は大きいのではないか。
10年先、20年先のことを考えると、基本計画に基づく取組を進めていく上で、若い方の視点、意見、提案を取り入れる環境づくりをしていただきたい。

【討論の内容】
 討論では、基本構想・基本計画の中に、核兵器禁止条約が国連で採択されたことについて、画期的な成果としての評価が記載されていないことや、新型コロナウイルス感染症の問題により行政の在り方やまちづくりの在り方について、再度検討し直すことが必要であることなどの理由から、これらの議案には反対とするとの反対討論があった。

【審査の結果】
 採決を行った結果、第68号議案「広島市基本構想の改定について」及び第69号議案「第6次広島市基本計画の決定等について」は、賛成多数で原案どおり可決することに決定した。

【委員長要望】
 理事者には、これまで委員各位から述べられた数多くの意見を十分踏まえ、今後、この基本計画の実施に努めていただくとともに、令和2年度から令和12年度までの長期的な計画であることから、社会経済情勢の変化等を踏まえ、適宜見直しを行い、必要があれば変更を行うこと。