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恵下埋立地(仮称)整備事業に係る環境影響評価書 要約書(その8)

ページ番号:0000013529 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

目次


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16 温室効果ガス等

16.1 現況調査結果

温室効果ガス等については,事業計画,既存資料,類似事例等に基づき,二酸化炭素等の発生量を算定することから,現地調査は実施していません。

16.2 予測・評価

温室効果ガス等の予測手法の概要は,表16-1のとおりです。

表16-1 温室効果ガス等の予測手法の概要
内容 予測事項 予測方法 予測地域 予測時期
工事の実施 造成等の施工による一時的な影響 二酸化炭素
(他,一酸化二窒素)
事業計画に基づき,二酸化炭素の放出量等を予測 事業計画地周辺 工事期間中
建設機械の稼動 二酸化炭素 事業計画に基づき,二酸化炭素の排出量を予測 事業計画地周辺 工事期間中
資材及び機械の運搬に用いる車両の運行 二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素 事業計画に基づき,二酸化炭素等の排出量を予測 事業計画地周辺 工事期間中
存在・供用 最終処分場の存在 二酸化炭素 事業計画に基づき,二酸化炭素の吸収量を予測 事業計画地周辺 埋立期間中
廃棄物の埋立て 二酸化炭素 事業計画に基づき,二酸化炭素の排出量を予測 事業計画地周辺 埋立期間中
廃棄物の搬入 二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素 事業計画に基づき,二酸化炭素等の排出量を予測 事業計画地周辺 埋立期間中

(1) 工事の実施

ア 造成時の施工による一時的な影響

 予測は,事業計画に基づき,仮に伐採木をチップ化し,代替燃料として利用した場合における効果(化石燃料の減少)を検討しました。
 また,伐採した樹木の根を取り除く時に土壌を掘り起こすため,土壌中に蓄積されていた炭素が放出し温室効果ガスが排出されることから,土壌の撹乱による温室効果ガスの排出量についても予測しました。

予測結果

伐採による影響

 仮に伐採木の全量を廃棄物として焼却処理した場合を想定して,二酸化炭素排出量を次式により試算した結果,13,431 t-CO2 となりました。

  • 伐採木を廃棄物として焼却処理した場合の二酸化炭素排出量(t-CO2)
     =伐採量注1)[t(乾燥重量)]×炭素含有率注2)×二酸化炭素換算係数
     =7,326(t)×0.5×44/12=13,431(t-CO2)
    注1)伐採量(乾燥重量)は,「7-15廃棄物等」で試算した値を用いています。
    注2)一般的な樹木の乾燥重量に占める炭素比率(林野庁,(独)森林総合研究所等)
     次に,伐採木の全量をチップ化し,代替燃料として利用した場合を想定して,その効果(化石燃料の減少)を検討しました。
    検討は,伐採木の発熱量を求め,その発熱量をA重油に換算し,A重油を燃焼させた場合の温室効果ガス排出量を算出しました。
     算出結果は,表16-2のとおり,7,672t-CO2と予測されました。
  • 伐採木の発熱量(MJ)=伐採量(t〔乾燥重量〕)×固体バイオマス燃料の発熱量(MJ/kg)注)
     =7,672×15(×103)=109,890,000(MJ)
  • A重油換算量(L) =伐採木の発熱量(MJ)÷A重油の発熱量(MJ/L)注)
     =109,890,000(MJ)÷39.1=2,810,486(L)(およそ等しい2,810(kL)

注)「2005年度以降適用する標準発熱量の検討結果と改訂値について」(平成19年5月,経済産業省資源エネルギー庁 総合エネルギー統計検討会事務局)

表16-2 A重油を燃焼させた場合の温室効果ガス排出量

表16-2 A 重油を燃焼させた場合の温室効果ガス排出量の表

 以上より,仮に伐採木の全量をチップ化し代替燃料として利用した場合,A重油に換算して約2,810(kL)の化石燃料の使用量が削減されます。
 これによる温室効果ガス排出量の削減量は,7,672t-CO2相当です。

土壌の撹乱による影響

 森林では,落葉・落枝等が地表に堆積し,土壌有機物として徐々に土壌に蓄積していきますが,土壌有機物の微生物による分解によって土壌有機物は温室効果ガスとして放出され,炭素分の供給と分解により,一定量の炭素が貯留され平衡状態にあります。
 森林を伐採した場合,土壌有機物の供給が減少する一方,微生物による分解が進行するため,見た目上,土壌中の炭素が放出されると考えられますが,事業計画地での土壌からの温室効果ガスの組成及び排出量を正確に算定することは困難であるため,工事により伐採する面積を基に,伐採予定地の森林土壌中に蓄積されている炭素貯蔵量を二酸化炭素で換算して予測しました。
 予測の結果,伐採予定地の森林土壌中に蓄積されている炭素が,仮に全量,二酸化炭素として放出される場合,その量は12,612t-CO2 となりました。

伐採予定地の森林土壌中に蓄積されている炭素貯蔵量(t-CO2)
 =伐採予定面積(ha)注1)×土壌中(表土)の炭素貯留量(t-C/ha)注2)×二酸化炭素換算係数
 =22.93(ha)×150(t-C/ha)×44/12
 およそ等しい12,612(t-CO2)
 出典)算定式:「環境影響評価マニュアル-地球温暖化編-,平成15年9月,神戸市環境局

注1)伐採予定面積は,約22.93haとしています。
注2)土壌中(表土)の炭素貯留量は,伐採後の根を取り除く掘削深さを約50cmと想定し,表層30cmと表層1mの炭素貯留量の例(下記参照)より,中間値程度(およそ等しい150t-C/ha)を設定しました。

土壌による炭素貯留

 「平成18年度環境影響評価フォローアップ業務,(温室効果ガス排出量に係る環境影響評価の検討),道路建設事業における温室効果ガス排出量算定技術ガイド(素案)」より引用。
 大気中の二酸化炭素は植物の光合成によって吸収される。吸収された二酸化炭素は植物体を形作る有機炭素となり,やがて植物に由来する土壌中の有機炭素として蓄積される。一方,土壌有機物の微生物による分解によって,有機炭素は二酸化炭素となって放出され,再び大気中に戻る。植物による有機炭素の生成速度が有機炭素の分解速度より大きいと,土壌中に有機炭素が蓄積される。
 土壌の有機物量が増えると,有機物を分解する微生物にとっての餌が増えるので,炭素の放出速度が高くなる。生態系の炭素吸収速度と放出速度が同じになったところで,炭素の蓄積は止まり,平衡状態に達する。土壌は,植生をしのぎ,陸上で最大の炭素貯蔵庫となっている。
  有機炭素は,地下数cmから数十mまでの範囲にあり,多くの植生では地面から30cm,50cmあるいは1mの範囲に多く存在すると考えられる。日本の森林土壌では,表層30cmに90t-C/ha,表層1mに188t-C/haの炭素がストックされている。

環境保全措置

 伐採木を放置したり廃棄物として焼却処理をしないで化石燃料の代替燃料等として利用すること,また,土壌中に蓄積されていた炭素の放出を抑制することにより,温室効果ガスの発生を低減することを目的として,表16-3に示す環境保全措置を実施します。

表16-3 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
建築資材等としての再利用 伐採木(直径10cm以上の幹)を建築資材等として再利用することにより,焼却処理する場合に比べて,温室効果ガスの発生が抑制されます。
チップ化し代替燃料として再利用 伐採木をチップ化し代替燃料として再利用することにより,化石燃料を使用する場合に比べて,温室効果ガスの発生が抑制されます。
マルチング材(袋詰め)として再利用 伐採木をマルチング材(袋詰め)として処分場内の植栽の管理用等に再利用することにより,焼却処理する場合に比べて,温室効果ガスの発生が抑制されます。
環境負荷の少ない建設資材の積極的な利用 建設資材は,製造時における温室効果ガスの排出量の少ないものを積極的に利用することにより,温室効果ガスの発生が抑制されます。
造成部の法面の緑化 法面の緑化を積極的に行うことにより,土壌中への有機炭素の供給が確保でき,土壌撹乱による温室効果ガスの発生が抑制されます。

注)再利用・再資源化ができないものについては,適正に処理・処分を行います(「15.廃棄物」参照)。

評価

 本事業の実施にあたっては,環境保全措置として,建築資材等としての再利用,チップ化し代替燃料として再利用,マルチング材(袋詰め)として再利用,環境負荷の少ない建設資材の積極的な利用,造成部の法面の緑化を実施し,開発区域の伐採及び土壌の撹乱に伴う温室効果ガスの発生を抑制する計画としています。
 また,工事の実施時には,最新の技術動向等を踏まえながら,環境保全措置の見直し等を行う計画としています。
 このことから,温室効果ガスへの影響を回避又は低減した計画であると評価します。

イ 建設機械の稼働

予測結果

 事業計画に基づき,建設機械の稼動に伴い排出される二酸化炭素の排出量を予測しました。
 温室効果ガスの総排出量は,「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地方公共団体の事務に係る温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン」(平成19年3月,環境省)に基づく,次の計算式により算定しました。

 また,活動区分ごとの排出量は,活動区分と活動量を事業計画から整理し,活動区分ごとの排出係数を既存資料等から設定し,次式により算出しました。

 活動区分ごとの排出量=(排出係数)×(活動量)
 予測時期は,現時点で想定される事業計画において,建設機械の稼動台数が最大となる時期(平成28年(2016年)9月頃)としました。
 予測時期における年間活動量は,事業計画より表16-4のとおりとなります。
 また,建設機械の稼動時間は,7時間/日×20日/月×12カ月=1,680時間/年と設定しました。

表16-4 建設機械の稼動に伴う年間活動量
建設機械 規格等 時間当たり活動量注1) 稼動時間
(時間/年)
稼動台数
(台)
年間活動量
(燃料使用量)
(KL/年)
定格出力
(kw)
燃料使用率
(L/kw時)
燃料使用量
(L/時)
ブルドーザ 32t 208kw 0.175L/kw時 36L/時 1,680時間/年 2台 121KL/年
リッパ付ブルドーザ 32t 231kw 0.175L/kw時 40L/時 1,680時間/年 2台 134KL/年
ブルドーザ 21t 152kw 0.175L/kw時 27L/時 1,680時間/年 3台 136KL/年
バックホウ 1.0m3 116kw 0.175L/kw時 20L/時 1,680時間/年 5台 168KL/年
バックホウ 0.6m3 74kw 0.175L/kw時 13L/時 1,680時間/年 6台 131KL/年
タイヤローラ 8~20t 71kw 0.1L/kw時 7L/時 1,680時間/年 2台 24KL/年
ダンプトラック 10t 246kw 0.05L/kw時 12L/時 1,680時間/年 9台 181KL/年
スクレーパ 11m3 206kw 0.175L/kw時 36L/時 1,680時間/年 1台 60KL/年
空気圧縮機 10.5m3/min 78kw 0.189L/kw時 15L/時 1,680時間/年 2台 50KL/年
発動発電機 10~20kVA 23kw 0.17L/kw時 4L/時 1,680時間/年 3台 20KL/年
コンクリート吹付機 0.8~1.25m3/h 75kw 0.191L/kw時 14L/時 1,680時間/年 2台 47KL/年
ラフテレーンクレーン 25t 193kw 0.103L/kw時 20L/時 1,680時間/年 3台 101KL/年
トラッククレーン 5t 107kw 0.044L/kw時 5L/時 1,680時間/年 1台 8KL/年
振動ローラ 0.8~1.1t 5kw 0.201L/kw時 1L/時 1,680時間/年 1台 2KL/年
タンパ注2) 60~80kg 3kw 0.301L/kw時 1L/時 1,680時間/年 1台 2KL/年
  合計⇒ 43台 1,185KL/年

注1)「平成22年度版建設機械等損料表」((社)日本建設機械化協会)より引用しました。
注2)タンパの燃料はガソリン,その他の建設機械は全て軽油です。

 予測結果は,表16-5に示すとおりです。
 温室効果ガス排出量は,3,058t-CO2/年と予測されます。これは,広島市域で発生する温室効果ガス排出量(平成20年度(2008年度))速報値:6,899,000t-CO2/年の0.04%となります。

表16-5建設機械の稼動に伴う温室効果ガス排出量
建設機械 規格等 年間活動量
(燃料使用量)
(KL/年)
単位発熱量注1)
(GJ/KL)
排出係数注1)
(t/GJ)
CO2排出係数
(t-CO2/kL)
排出量
(t/年)
地球温暖化
係数
温室効果
ガス排出量
(t-CO2/年)
ブルドーザ 32t 121KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t-CO2/kL 2.58t/年 312.2 1 312t-CO2/年
リッパ付ブルドーザ 32t 134KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 345.7t/年 1 346t-CO2/年
ブルドーザ 21t 136KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 350.9t/年 1 351t-CO2/年
バックホウ 1.0m3 168KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 433.4t/年 1 433t-CO2/年
バックホウ 0.6m3 131KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 338t/年 1 338t-CO2/年
タイヤローラ 8~20t 24KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 61.9t/年 1 62t-CO2/年
ダンプトラック 10t 181KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 467t/年 1 467t-CO2/年
スクレーパ 11m3 60KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 154.8t/年 1 155t-CO2/年
空気圧縮機 10.5m3/min 50KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 129t/年 1 129t-CO2/年
発動発電機 10~20kVA 20KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 51.6t/年 1 52t-CO2/年
コンクリート吹付機 0.8~1.25m3/h 47KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 121.3t/年 1 121t-CO2/年
ラフテレーンクレーン 25t 101KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 260.6t/年 1 261t-CO2/年
トラッククレーン 5t 8KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 20.6t/年 1 21t-CO2/年
振動ローラ 0.8~1.1t 2KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 5.2t/年 1 5t-CO2/年
タンパ注2) 60~80kg 2KL/年 34.6GJ/KL 0.0183t/GJ 2.32t-CO2/kL 4.6t/年 1 5t-CO2/年
  合計⇒ 3,058

注1)「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令」(平成18年3月経済産業省、環境省令第3号),最終改正平成22年3月31日より引用しました。
注2)タンパの燃料はガソリン,その他の建設機械は全て軽油です。

環境保全措置

 予測結果では,建設機械の稼動に伴い二酸化炭素が発生すると判断されることから,その発生量をできる限り減らすことを目的として,表16-6に示す環境保全措置を実施します。

表16-6 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
建設機械の台数の削減 施工計画を適宜見直し,建設機械の台数を削減することにより,二酸化炭素の発生が抑制されます。
建設機械の運転管理の徹底 建設機械の定期的な点検整備の実施,高負荷・空ぶかし運転,無駄なアイドリング等の回避を徹底することにより,二酸化炭素の発生が抑制されます。
低燃費型建設機械等の積極的な導入 最新の技術動向を踏まえ,低燃費型建設機械,ハイブリッド式建設機械等の積極的な導入を図ることにより,二酸化炭素の発生が抑制されます。

評価

 本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,建設機械の稼動に伴う二酸化炭素の発生を低減する計画としており,温室効果ガスへの影響を回避又は低減した計画であると評価します。

ウ 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行

予測結果

 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に伴い排出される二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素の排出量を予測しました。
 温室効果ガスの総排出量は,「平成18年度環境影響評価フォローアップ業務(温室効果ガス排出量に係る環境影響評価の検討)報告書,平成19年3月,株式会社数理計画」(平成18年度環境省請負事業)に基づく,次の計算式により算定しました。

  • 二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素の排出量
    =走行量(台km)×二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素の排出係数
  • 温室効果ガスの総排出量=Σ{(各温室効果ガスの排出量)×(地球温暖化係数)
    地球温暖化係数は,表16-7のとおりです。

表16-7 地球温暖化係数

温室効果ガス 地球温暖化係数
二酸化炭素:CO2 1
メタン:CH4 21
一酸化二窒素:N2O 310

 予測時期は,現時点で想定される事業計画において,工事関係車両台数が最大となる時期(平成27年(2015年)11月頃)としました。
 予測時期における年間走行量は,事業計画より表16-8のとおりとなります。
 また,工事関係車両の走行距離は,約25km×2(往復)×20日/月×12カ月=12,000km/年としました。なお,走行距離=約25kmは,広島市中心部から事業計画地までの距離を想定しました。

表16-8 資材及び機械の運搬に用いる車両の年間走行量
工事関係車両 規格等 年間走行量
車両台数
(台)
往復走行距離
(km)
走行量
(台km)
大型車 コンクリートミキサー車等 40台 12,000km 480,000台km
小型車 通勤車両 22台 12,000km 264,000台km

※車両台数は,工事関係車両台数が最大となる時期(平成27年(2015年)11月頃)の平均日台数としています。

 予測結果は,表16-9に示すとおりです。
 温室効果ガス排出量の合計は,447t-CO2/年と予測されました。
 これは,広島市域で発生する温室効果ガス排出量(平成20年度(2008年度))速報値:6,899,000t-CO2/年の0.01%となります。

表16-9 資材及び機械の運搬に用いる車両の走行に伴う温室効果ガス排出量

表16-9 資材及び機械の運搬に用いる車両の走行に伴う温室効果ガス排出量の表

環境保全措置

予測結果では,工事関係車両の走行に伴い温室効果ガスが発生すると判断されることから,その発生量をできる限り減らすことを目的として,表16-10に示す環境保全措置を実施します。

表16-10 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
工事関係車両台数の削減 工事関係車両の台数を削減することにより,温室効果ガスの発生が抑制されます。
工事関係車両の運転管理の徹底 工事関係車両の定期的な点検整備の実施,高負荷・空ぶかし運転,無駄なアイドリング等の回避を徹底することにより,温室効果ガスの発生が抑制されます。
低公害車・低排出ガス車等の積極的な導入 最新の技術動向を踏まえ,低公害車,低排出ガス車等を積極的に導入することにより,温室効果ガスの発生が抑制されます。

評価

 本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,工事関係車両の走行に伴う二酸化炭素の発生を低減する計画としており,温室効果ガスへの影響を回避又は低減した計画であると評価します。

(2) 存在・供用

ア 最終処分場の存在

予測結果

 埋立終了後,埋立区域内の跡地利用として,開発区域内の法面を緑地化した場合の二酸化炭素の吸収量について予測を行いました。予測は,植生の種類,面積を基に算出しました。
 予測結果は,表16-11のとおりです。
 開発区域内の伐採を行うことにより,二酸化炭素の吸収量は,年間629t減少すると予測されました。一方,法面を緑化することにより二酸化炭素の吸収量は,年間224t増加すると予測されました。これは,伐採による減少量の約4割にあたります。
 以上より,全体として二酸化炭素の吸収量は,年間405t減少すると予測されました。

表16-11 開発区域内の伐採に伴うCO2吸収量の減少量と法面緑化によるCO2吸収量の増加量

表16-11 開発区域内の伐採に伴うCO2 吸収量の減少量と法面緑化によるCO2 吸収量の増加量の表

注)計算方法は,「大気浄化植樹マニュアル」(平成20年7月,独立行政法人環境再生保全気候)を参照しました。
CO2吸収量=1.63×Pn(t/ha・年)×面積,(Pnは,針葉樹林18,広葉樹林=14,草地・真竹=12)
真竹は,同マニュアルを参考にし,草地に分類しました。

環境保全措置

 予測結果では,伐採に伴い二酸化炭素の吸収量が減少すると判断されることから,その影響を回避又は低減することを目的として,表16-12に示す環境保全措置を実施します。

表16-12 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
造成部の法面の緑化 法面の緑化を積極的に行うことにより,緑化部分における二酸化炭素の吸収量が増加します。
残地森林の計画的な間伐 残地森林については計画的な間伐を行うことにより成長が促進され,二酸化炭素の吸収能力が向上します。
省エネルギー設備の積極的な導入 最新の技術動向を踏まえ,LED 照明等の高効率照明器具やヒートポンプエアコン等の省エネルギー設備を積極的に導入することで,二酸化炭素の発生が抑制されます。
自然エネルギーの積極的な利用 最新の技術動向を踏まえ,太陽光発電や木質バイオマス燃料,地中熱利用等,自然エネルギーを積極的に利用することで,二酸化炭素の発生が抑制されます。

評価

 本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,伐採による二酸化炭素の吸収量の減少分を低減する計画としています。
 また,最新の技術動向等を踏まえながら,環境保全措置の見直し等を行う計画としています。
 このことから,温室効果ガスへの影響を回避又は低減した計画であると評価します。

イ 廃棄物の埋立て

予測結果

 埋立機械の稼動に伴い排出される二酸化炭素の排出量を予測しました。
 温室効果ガスの総排出量は,「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地方公共団体の事務に係る温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン」(平成19年3月,環境省)に基づく,次の計算式により算定しました。

  • 各温室効果ガスの排出量=Σ{(活動区分ごとの排出量)}
  • 温室効果ガスの総排出量=Σ{(各温室効果ガスの排出量)×(地球温暖化係数)}

 また,活動区分ごとの排出量は,活動区分と活動量を事業計画から整理し,活動区分ごとの排出係数を既存資料等から設定し,次式により算出しました。

 活動区分ごとの排出量=(排出係数)×(活動量)

 予測時期は,埋立期間中としました。
 予測時期における年間活動量は,事業計画より表16-13に示すとおりです。
 埋立機械は,バックホウとブルドーザ(各3台)を想定し,埋立機械の稼動時間は,7時間/日×20日/月×12カ月=1,680時間/年と設定しました。

表16-13 埋立機械の稼動に伴う年間活動量
埋立機械 規格等 時間当たり活動量注1) 稼動時間
(時間/年)
稼動台数
(台)
年間活動量
(燃料使用量)
(KL/年)
定格出力
(kw)
燃料使用率
(L/kw時)
燃料使用量
(L/時)
バックホウ 1.0m3 116kw 0.175L/kw時 20L/時 1,680時間/年 3台 101KL/年
ブルドーザ 32t 208kw 0.175L/kw時 36L/時 1,680時間/年 3台 181KL/年

注1)「平成22年度版建設機械等損料表」((社)日本建設機械化協会)より引用しました。

 予測結果は,表16-14に示すとおりです。
 温室効果ガス排出量は,728t-CO2/年と予測されます。
 これは,広島市域で発生する温室効果ガス排出量(平成20年度(2008年度))速報値:6,899,000t-CO2/年の0.01%となります。

16-14 埋立機械の稼動に伴う温室効果ガス排出量
埋立機械 規格等 年間活動量
(燃料使用量)
(KL/年)
単位発熱量注1)
(GJ/KL)
排出係数注1)
(t/GJ)
CO2排出係数
(t-CO2/kL)
排出量
(t/年)
地球温暖化
係数
温室効果ガス
排出量
(t-CO2/年)
バックホウ 1.0m3 101KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 260.6t/年 1 261t-CO2/年
ブルドーザ 32t 181KL/年 37.7GJ/KL 0.0187t/GJ 2.58t-CO2/kL 467t/年 1 467t-CO2/年
  合計⇒ 728t-CO2/年

注1)「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令」(平成18年3月経済産業省、環境省令第3号),最終改正平成22年3月31日より引用しました。

環境保全措置

 予測結果では,埋立機械の稼動に伴い二酸化炭素が発生すると判断されることから,その発生量をできる限り減らすことを目的として,表16-15に示す環境保全措置を実施します。

表16-15 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
埋立機械の運転管理の徹底 埋立機械の定期的な点検整備の実施,高負荷・空ぶかし運転,無駄なアイドリング等の回避を徹底することにより,二酸化炭素の発生が抑制されます。
低燃費型埋立機械等の積極的な導入 最新の技術動向を踏まえ,低燃費型埋立機械,ハイブリッド式埋立機械等を積極的に導入することにより,二酸化炭素の発生が抑制されます。
場内散水等への雨水の利用 雨水を貯留し,埋立作業時の場内散水等に利用することで,揚水設備等の動力の稼働を伴う地下水等の利用が抑制され,二酸化炭素の発生が抑制されます。

評価

 本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,埋立機械の稼動に伴う二酸化炭素の発生を低減する計画としています。
 また,最新の技術動向等を踏まえながら,環境保全措置の見直し等を行う計画としています。
 このことから,温室効果ガスへの影響を回避又は低減した計画であると評価します。

ウ 廃棄物の搬入

予測結果

 廃棄物運搬車両等の走行に伴い排出される二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素の排出量を予測しました。
 温室効果ガスの総排出量は,「平成18年度環境影響評価フォローアップ業務(温室効果ガス排出量に係る環境影響評価の検討)報告書,平成19年3月,株式会社数理計画」(平成18年度環境省請負事業)に基づく,次の計算式により算定しました。

  • 二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素の排出量
    =走行量(台km)×二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素の排出係数
  • 温室効果ガスの総排出量=Σ{(各温室効果ガスの排出量)×(地球温暖化係数)

 予測時期は,埋立期間中としました。
 予測時期における年間走行量は,事業計画より表16-16のとおりとなります。
 また,廃棄物運搬車両等の走行距離は,約25km×2(往復)×20日/月×12カ月=12,000km/年としました。なお,走行距離=約25kmは,広島市中心部から事業計画地までの距離を想定しました。

表16-16 廃棄物運搬車両等の年間走行量
廃棄物運搬車両等 年間走行量
車両台数
(台)
往復走行距離
(km)
走行量
(台km)
大型車 50台 12,000km 600,000台km
小型車(通勤) 15台 12,000km 180,000台km

 予測結果は,表16-17に示すとおりです。
 温室効果ガス排出量の合計は,538t-CO2/年と予測されました。これは,広島市域で発生する温室効果ガス排出量(平成20年度(2008年度))速報値:6,899,000t-CO2/年の0.01%となります。

表16-17 廃棄物運搬車両等の走行に伴う温室効果ガス排出量

表16-17 廃棄物運搬車両等の走行に伴う温室効果ガス排出量の表

環境保全措置

 予測結果より,廃棄物運搬車両等の走行に伴い温室効果ガスが発生すると判断されることから,環境への影響を回避又は低減することを目的として,表16-18に示す環境保全措置を実施します。

表16-18 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
廃棄物運搬車両の運転管理の徹底 廃棄物運搬車両の定期的な点検整備の実施,高負荷・空ぶかし運転,無駄なアイドリング等の回避を徹底することにより,温室効果ガスの発生が抑制されます。
覆土運搬車両の搬入・搬出の軽減 埋立中の覆土は,基本的に外部からの覆土運搬車両の搬入・搬出を行わないことにより,温室効果ガスの発生が抑制されます。
低公害車・低排出ガス車等の積極的な導入 最新の技術動向を踏まえ,低公害車,低排出ガス車等を積極的に導入することにより,温室効果ガスの発生が抑制されます。

評価

 本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,廃棄物運搬車両等の走行に伴う二酸化炭素の発生を低減する計画としています。
 また,最新の技術動向等を踏まえながら,環境保全措置の見直し等を行う計画としています。
 このことから,温室効果ガスへの影響を回避又は低減した計画であると評価します。

第12章 事後調査計画

 予測・評価の結果並びに環境保全措置を踏まえ,下表に示すとおり事後調査を行います。

事後調査計画
調査項目 調査時期 調査方法等 調査地点
及び調査頻度
騒音 道路交通騒音 工事期間中 JIS Z 8731に規定する方法 走行ルート沿道:4地点注1)1回(工事関係車両台数が最大となる時期)
供用後 JIS Z 8731に規定する方法 走行ルート沿道:4地点注2)1回(廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の合計台数が最大となる時期)
水質 濁度,SS,pH 工事期間中 排水基準を定める省令(昭和46年総理府令第35号)等に規定する方法 恵下谷川,水内川,不明谷川7地点注3)5回(四季,降雨時)
動物 両生類
(ブチサンショウウオ)
工事着手当初 分布状況の確認 個体を移動させた地点
ブチサンショウウオの確認が可能な時期(夏季)
供用後
猛禽類
(タカ類,コノハズク等)
工事着手当初 分布状況の確認 事業計画地周辺地域繁殖期
供用後
植物 分布状況
(トウゴクサバノオ,
ユウシュンラン)
工事着手当初 分布状況の確認 個体を移植させた地点
トウゴクサバノオ,ユウシュンランの確認が可能な時期(春季)
供用後
生態系 分布状況
(ブチサンショウウオ)
工事着手当初 分布状況の確認 個体を移動させた地点
ブチサンショウウオの確認が可能な時期(夏季)
供用後

注1)「2.騒音」の現況調査と同様の地点とします。
注2)「2.騒音」の現況調査と同様の地点とします。なお,No.1地点は道路拡幅後の状況により,新たな調査地点を選定します。
注3)「5.水質」の現況調査と同様の地点とします。

おわりに

 環境影響評価書は,「広島市環境影響評価条例(平成11年3月31日:広島市条例第30号)」に基づき,1ヶ月間の縦覧を行います。
 また,工事着手当初,工事期間中,供用後においては,事後調査を行っていく予定です。

登録番号 広I4-2011-081
名称 恵下埋立地(仮称)整備事業に係る環境影響評価書(要約書)
主管課所在地 環境局施設部恵下埋立地建設事務所
広島市安佐南区沼田町大字伴4210番地
(〒731-3161) Tel (082)848-9293
発行年月 平成23年(2011年)7月

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このページに関するお問い合わせ先

環境局 環境保全課 環境管理係
電話:082-504-2097/Fax:082-504-2229
メールアドレス:ka-hozen@city.hiroshima.lg.jp

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