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広島市子ども施策総合計画・第3編 計画の内容・4子どもが社会に参加するための環境をつくります
4 子どもが社会に参加するための環境をつくります
1 子どもの権利を保障するための環境整備
現状と課題
- 児童の権利に関する条約(注1)(以下「子どもの権利条約」という。)に掲げられている暴力や虐待からの保護、教育を受ける権利、意見を表明する権利などの子どもの権利は、子どもが生まれながらにして持っている基本的な権利です。しかしながら、いじめや児童虐待などの重大な子どもの権利侵害が依然として発生しています。また、都市化や少子化、核家族化の進行、地域のつながりの弱体化、所得格差の拡大など社会環境の変化も子どもの成育環境に大きな影響を与え、子どもが自立性や社会性を身に付けていく機会の減少などが課題として指摘されています。
- 広島市子どもの生活と意識に関する調査(平成21年(2009年)10月)によると、相談窓口を知らないと回答した小学生が3割を超えています。また、相談窓口に望むことは、小学生、中学生、高校生とも、「どんな話でも聞いて、真剣に受け止めてくれる」、「困ったときにいつでも相談できる」などの回答の割合が高くなっています。
- 子どもの権利条約の趣旨を踏まえ、大人が未来を担う子どもたち一人一人の権利を尊重するとともに、子どもにとって最善の利益は何かと考えて子どもの年齢及び発達段階に応じた支援を行うことの大切さを改めて認識し行動することが求められています。
また、子どもにわかりやすく、子どもが安心して利用できる相談窓口が求められているとともに、複雑・多様化している、いじめや児童虐待など子どもが健やかに成長していく上での様々な問題に対応するため、関係者が連携し、総合的に対応していく必要があります。
注:18歳未満の子どもを、保護の対象としてだけでなく権利の主体としてとらえ、具体的な権利内容を総合的に規定した条約で、平成元年(1989年)に国連総会で採択し、日本は平成6年(1994年)に批准
主な施策展開
(1) 子どもの権利の啓発
学校や地域において、子どもの権利についての市民の理解を深めるとともに、子どもが自らの権利を正しく理解し、適切に行使できる力を身につけることができるよう、子どもの権利を尊重するための教育を推進します。
また、日本国憲法や子どもの権利条約の理念に基づき、子どもの権利を尊重及び擁護するため、子ども条例の制定に向けた取組を進めます。
目標
お互いの人権を尊重し合い行動する市民の割合を増やします。
すべての人の人権を大切にし、それを日常生活の中で態度や行動に表している市民の割合
(注) 目標値については、市民へのアンケート調査の実施結果に基づき設定します。
(2) 子どもに関する相談体制の整備
子どもに関する相談に総合的に対応し、支援を行う拠点機能の整備を検討するとともに、子どもの権利が侵害された場合に迅速な救済を行うための仕組みづくりを推進します。
主な事業展開
(1) 子どもの権利の啓発
事業名【担当課名】 |
事業内容 |
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子どもの権利普及啓発事業 こども未来局こども未来企画課 |
子どもの権利について普及啓発を図るため、子ども・保護者参加型のイベントの開催などを行う。 |
子ども条例の制定に向けた取組の推進 こども未来局こども未来企画課 |
子ども条例の制定についての市民の理解を深めるため、パンフレットを作成・配布するとともに、子どもの権利に関するシンポジウムを開催する。 |
人権啓発資料作成 市民局人権啓発課 |
様々な人権問題の正しい理解と認識を深めるため、広く市民や企業等に対して、人権啓発広報紙、啓発パンフレット、人権カレンダーなどを作成・配布する。 〔広報紙を見たことがある人の割合〕20年度61.5% |
人権講演会
市民局人権啓発課 |
市民一人一人が人権を尊重し、人権問題に対する正しい理解と認識を深め、問題解決の意欲と実践力を培うことを目的として講演会を開催する。 〔参加人数〕20年度800人 |
人権パネルの展示 市民局人権啓発課 |
区民まつりや区役所ロビー、人権啓発フェスティバルにおいて、人権パネルを展示し、市民の人権尊重意識の高揚を図る。 |
人権標語の募集 市民局人権啓発課 |
小・中学生をはじめ広く市民から人権標語を募集・選定し、すぐれた作品を啓発事業に活用する。 〔応募作品数〕20年度17,141点 |
人権啓発指導員の派遣 市民局人権啓発課 |
地域団体や企業等での人権問題研修に講師として派遣する。 〔派遣回数〕20年度125回 |
人権教育の推進 市民局人権啓発課 |
公民館を中心とする社会教育施設において人権教育講座を開催し、市民の人権に関する学習活動を支援する。 〔参加者数〕20年度延べ11,341人 |
学校人権教育推進事業(再掲) 教育委員会指導第二課 |
人権教育に関する教職員の理解を深めるための研修会を実施するとともに、研究推進校における実践的な研究の成果を普及させることにより、人権教育の推進を図る。 |
(2) 子どもに関する相談体制の整備
事業名【担当課名】 |
事業内容 |
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新:総合相談支援拠点機能の整備の検討 こども未来局こども未来企画課 |
子どもの権利侵害、虐待、不登校、いじめ等の問題について、総合的な相談支援を行う拠点機能の整備を検討する。 |
青少年総合相談センターの運営 教育委員会育成課 |
青少年問題への総合相談機関として「青少年相談」、「いじめ110番」、「障害のある子どもについての就学・教育相談」、「暴走族の加入防止・離脱相談」など様々な問題に対し、専門スタッフによる対応と関係機関等との連携により適切な支援を行う。 〔相談件数〕20年度延べ7,533件 |
こころの健康相談(再掲) 健康福祉局精神保健福祉課・教育委員会健康教育課 |
子どもの指導に悩みのある教職員や保護者を対象に専門医師による指導助言及び各区保健センターにおける精神科医師等による相談を実施する。 |
地域子育て支援拠点事業(再掲) こども未来局こども・家庭支援課 |
各区の地域子育て支援センターにおいて、子育てに対する不安等の相談指導、子育てサークルの育成支援、親子ふれあい教室等の育児講座・地域子育て支援連絡会の開催、子育てリーダー等子育て支援者の養成・育成、子育て応援情報マップの作成による子育て情報の提供等を行う。 |
家庭児童相談室(再掲) こども未来局こども・家庭支援課 |
子どもの問題で困ったり、悩んでいる親等に対し、各区保健福祉課に配置する家庭相談員が相談に応じ、必要な助言指導を行う。 |
新:拠点保育園における子育て支援事業(再掲) こども未来局保育課 |
各区の保育園の拠点園において、子育て中の親子がいつでも気軽にいくことができ、子育てに関する相談等を受けられるなど、子育て支援の機能を強化する。 |
ひろしまチャイルドライン(子ども電話相談)運営に対する助成 こども未来局児童相談所 |
NPO法人「ひろしまチャイルドライン子どもステーション」が実施する電話相談のフリーダイヤル電話料金の一部を助成する。 |
2 子どもの社会参画の促進
現状と課題
- 子どもの健やかな成長のためには、一人一人の子どもが、子どもの権利の意義・内容や重要性について理解し、自らの大切さについて認めることができるようになり、それを様々な場面における具体的な態度や行動に現わすことが求められています。
- 広島市子どもの生活と意識に関する調査(平成21年(2009年)10月)によると、中・高校生の8割以上が自分の住んでいる地域が「好き」または「まあまあ好き」と回答していますが、実際に地域で参加している活動や団体があるとの回答は、約2割にとどまっています。
- 子どもが、自らに関わることについて、適切に情報を入手し、自由に意見を表明できるようにするとともに、地域において、ボランティア活動等子どもの自主的な活動を支援する必要があります。
主な施策展開
(1) 子どもの意見反映に向けた取組の推進
市政に対する意見表明等子どもがまちづくりに参画することができる機会の確保を図るとともに、子どもの意見が尊重される環境づくりに取り組みます。
(2) 子どもの自主的な活動への支援
子どもが、人の権利や気持ちに配慮でき、家庭・学校・地域社会の構成員としての役割を果たすことができるよう、学校や地域においてボランティア活動等子どもの自主的活動を支援します。
主な事業展開
(1) 子どもの意見反映に向けた取組の推進
事業名【担当課名】 |
事業内容 |
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新:子どもの意見表明の機会の確保 こども未来局こども未来企画課 |
子どもの意見表明の機会や場の充実を検討する。 |
新:「電子メディア子ども会議(仮称)」の開催(再掲) 教育委員会育成課 |
「電子メディア子ども会議(仮称)」を開催し、電子メディア・インストラクターの啓発活動等に活かすための電子メディアの利用状況等について調査を行う。 |
新:未来の大人をはぐくむためのまちづくり(東区魅力向上プロジェクト) 東区区政振興課 |
子どもが生命の尊さや人が互いに支えあうことの大切さを実感しながら育ち、自立した大人になるためには、その成長段階に沿った支援の充実を図る必要があることから、子どもを含めた「未来の大人をはぐくむワークショップ」を開催し、子どもと大人が連携し、協働した事業を検討・実施する。 |
小・中・高校生によるヒロシマの継承と発信(再掲) 教育委員会指導第二課 |
こどもピースサミット、「平和」プレゼンテーションコンテスト等を開催するとともに、「平和への誓い」アクションプログラムとして平和交流を行う。 |
青少年健全育成強調月間(再掲) 教育委員会育成課 |
11月に市・区青少年健全育成大会を開催し、小・中・高校生の意見発表の場や市民の啓発の場を設ける。 |
(2) 子どもの自主的な活動への支援
事業名 |
事業内容 |
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ボランティア活動の推進 健康福祉局健康福祉企画課 |
広島市社会福祉協議会が、学校、地域社会、企業、団体を対象として、福祉活動体験学習を行い、福祉教育を推進する。 |
さわやかボランティア活動の推進事業(再掲) 教育委員会指導第二課 |
校長会等で事例の紹介を行うなどして、市立小・中・高等学校におけるボランティア活動の内容の充実を図る。 |
高校生保育ボランティアの活動支援(再掲) 教育委員会育成課 |
保育ボランティアグループが実施する保育園での実習や自主活動について、支援スタッフとともに指導助言を行う。 |
新:冒険遊び場づくりの推進(再掲) こども未来局こども未来企画課 |
安佐北区寺山公園周辺などにおいてモデル事業を実施し、冒険遊び場づくりの推進方策について検討する。 |
広島地球ウォッチングクラブ事業(再掲) 環境局企画課 |
市内で環境保全活動を行う3歳から高校生の子どもたちのグループに対するサポートや地域の自然観察会等の行事を実施する。 〔登録グループ数(人数)20年度51グループ(417人) |
子どもの遊び場づくり事業(再掲)(中区魅力向上プロジェクト) 中区区政振興課 |
地域団体、公民館、児童館などと連携し、公園などを利用した外遊び、環境学習、伝統的な遊びの伝承などを実施し、子どもたちが自主的・自発的に遊びや生活文化を創造できる環境づくりの推進を図る。 |