ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 総合トップページ > 分類でさがす > くらし・手続き > 福祉・介護 > 地域福祉 > 広島市地域共生社会実現計画(広島市地域福祉計画)を策定しました

本文

ページ番号:0000000390更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

広島市地域共生社会実現計画(広島市地域福祉計画)を策定しました

 広島市地域共生社会実現計画(広島市地域福祉計画)を策定しました。
 計画の内容は以下のとおりです。計画書はページ最下部のダウンロードで御覧いただけます。

目次

第1編 総論

 第1章 計画の位置付け等
 第2章 前計画の振り返り
 第3章 計画改訂に当たっての課題
 第4章 課題への対応の方向性
 第5章 計画期間
 第6章 計画の推進
 第7章 基本理念
 第8章 取組の体系

第2編 取組の内容

 第1章 在宅生活を可能にする「公助」としての福祉サービスの整備
 第2章 地域で支え合う「共助」としての福祉コミュニティの構築
 第3章 地域住民等と支援関係機関による包括的な支援体制の構築
 第4章 民間との連携・協働による地域福祉の推進
 第5章 安心して暮らすことができる生活環境の整備
 別図1 地域の包括的な支援体制「目標像」
 別図2 地域の包括的な支援体制「目標像に至るプロセス」
 別図3 地域の包括的な支援体制「支援の実践例」

資料編

 1 地域福祉に関する市民意識調査の結果について
 2 広島市社会福祉審議会条例、運営規程、委員名簿
 3 広島市地域共生社会実現計画(広島市地域福祉計画)の検討経過

第1編 総論

第1章 計画の位置付け等

第1 計画策定の背景と趣旨

 高齢者、障害者、子どもを始め、市民の誰もがその住み慣れた地域で、憩いとやすらぎのある人間らしい生活を送れるようにするためには、行政施策の充実とともに、地域住民自らが主体となる地域団体が、関係団体や行政機関と連携し、地域生活課題を解決するための様々な取組を行っていくことが重要です。
 このため、本市は、平成16年(2004年)5月に、「広島市地域福祉計画」を策定し、住民主体による地域の生活課題の解決に向けた取組を促進するため、区役所が中心となって区社会福祉協議会や公民館と連携し、各地域で行動計画(アクションプラン)の策定や実践の取組が進むよう働き掛けを行ってきました。
 平成21年(2009年)6月には、この計画を改訂し、新規・拡充施策を追加するとともに、先進事例をモデルとした実践マニュアルを作成するなど、課題解決に向けた取組が更に進むよう取り組んできました。
 こうした中、本市においては、少子高齢化、家族形態の変化、コミュニティ意識の希薄化等が進むなど社会構造・経済環境が変容してきています。このような状況に対応するため、限られた資源の中で、高齢者、障害者、子ども等の各分野の福祉における持続可能性を高めるとともに、お互いに支え合う社会を実現することの重要性に着目しつつ、「自助」「共助」「公助」(※)の適切な組合せにより、地域福祉を再構築することを目指して、平成28年(2016年)2月に「広島型・福祉ビジョン」を策定しました。
 また、昨今、地域住民や地域が抱える課題は、様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱え複合化したりしている状況がみられる中で、国においても、平成30年(2018年)4月に改正社会福祉法が施行され、これにより「我が事・丸ごと」の地域福祉推進の理念が規定されるなど、市町村による包括的な支援体制づくりが重視されるようになっています。
 こうした「広島型・福祉ビジョン」の方向性や改正社会福祉法の趣旨等を踏まえつつ、これまでの取組の成果を生かしながら、地域福祉の再構築を通し、高齢者、障害者、子どもなど全ての市民が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合い、住民が住み慣れた地域で持続的に生活できる「地域共生社会」を実現するための具体的な取組を、より一層、進めていくため、「広島市地域共生社会実現計画(広島市地域福祉計画)」(以下「本計画」という。)を策定します。

※ 「広島型・福祉ビジョン」では、「自助」とは自分の生活や健康を自らの力で維持すること、「共助」とは地域住民同士の助け合いやボランティアのこと、「公助」とは医療・介護保険などの社会保険制度やサービスを含む公的なサポートのこととして整理しています。

第2 計画の位置付け

 本計画は、広島市基本構想に基づき策定する広島市基本計画の地域福祉に関する部門計画と位置付けています。また、社会福祉法第107条に基づく市町村地域福祉計画であり、本市における地域福祉の推進に関する事項として、地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項や地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項、包括的な支援体制の整備に関する事項などを一体的に定めるものです。


(市町村地域福祉計画)

第107条 市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「市町村地域福祉計画」という。)を策定するよう努めるものとする。
 一 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項
 二 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項
 三 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
 四 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項
 五 前条第1項各号(包括的な支援体制の整備)に掲げる事業を実施する場合には、同項各号に掲げる事業に関する事項

2 市町村は、市町村地域福祉計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、地域住民等の意見を反映させるよう努めるとともに、その内容を公表するよう努めるものとする。

3 市町村は、定期的に、その策定した市町村地域福祉計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認められるときは、当該市町村地域福祉計画を変更するものとする。

※参考(第107条第1項第5号関係)

(包括的な支援体制の整備)

第106条の3 市町村は、次に掲げる事業の実施その他の各般の措置を通じ、地域住民等及び支援関係機関による、地域福祉の推進のための相互の協力が円滑に行われ、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制を整備するよう努めるものとする。
 一 地域福祉に関する活動への地域住民の参加を促す活動を行う者に対する支援、地域住民等が相互に交流を図ることができる拠点の整備、地域住民等に対する研修の実施その他の地域住民等が地域福祉を推進するために必要な環境の整備に関する事業
 二 地域住民等が自ら他の地域住民が抱える地域生活課題に関する相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、必要に応じて、支援関係機関に対し、協力を求めることができる体制の整備に関する事業
 三 生活困窮者自立支援法第2条第2項に規定する生活困窮者自立相談支援事業を行う者その他の支援関係機関が、地域生活課題を解決するために、相互の有機的な連携の下、その解決に資する支援を一体的かつ計画的に行う体制の整備に関する事業

2 (略)


第3 他の福祉分野の個別計画との関係

 本市は、福祉分野の個別計画として、「広島市高齢者施策推進プラン」や「広島市障害者計画」、「広島市子ども・子育て支援事業計画」等を策定しており、これらの個別計画においては、福祉サービスの対象者の区分ごとに具体的な個別の施策について網羅的に定めています。
 これに対し、本計画は、これらの福祉の各分野における共通的な事項を記載する上位計画として位置付けるものであり、本市における地域福祉の推進の観点から、施策の方向性と地域福祉に関係する施策について記載することとし、個別計画に記載された施策を網羅的に重複して記載することはしていません。

第4 広島市社会福祉協議会の「地域福祉活動計画」との関係

 社会福祉法人広島市社会福祉協議会では、「地域福祉活動計画」として、「すべての人に居場所や役割があり、多様性を認め合い、支え合いのあるまちをつくろう。」を基本理念に、平成30年度(2018年度)から令和2年度(2020年度)までを計画期間とする、「民間の力で切り拓き、創る 地域福祉推進プラン(広島市社会福祉協議会地域福祉推進第8次3か年計画)」を平成30年(2018年)3月に策定しています。
 この計画では、住民・市民が目指す住民主体のまちの目標と、その目標を実現するための方策の提案を盛り込み、より多くの団体、住民・市民に、共に広島市の地域福祉を推進していくことを呼び掛けています。
 また、区社会福祉協議会も、それぞれ同じ期間を計画期間とする「区社会福祉協議会地域福祉活動第7次3か年計画」を定め、地区社会福祉協議会の支援や、ボランティア団体、NPOとの連携・支援に取り組むこととしています。
 「地域福祉計画」と「地域福祉活動計画」は、共に地域福祉の推進を目指す計画である点は同じです。「地域福祉活動計画」は社会福祉協議会が中心となって住民組織や福祉関係団体等と策定した民間の福祉計画であり、本市が策定する「地域福祉計画」と相互に連携して地域生活課題の解決を目指していくものです。
 なお、地区社会福祉協議会では、自分たちの活動を総合的・計画的に進めるため、5年を期間とする「小地域活動計画(福祉のまちづくりプラン)」を策定しています。
 本計画においても、本市は、おおむね小学校区を単位とする地域ごとに、地区社会福祉協議会等の地域団体が「行動計画(アクションプラン)」を策定することを促していきます。この「行動計画(アクションプラン)」は、地域住民自らが様々な活動を通し行政との協働によって地域生活課題を解決していくための活動に関するものであり、解決すべき地域生活課題が共通であれば地区社会福祉協議会の「小地域活動計画(福祉のまちづくりプラン)」と内容は同様のものとなります。この場合、「小地域活動計画(福祉のまちづくりプラン)」は、本計画の「行動計画(アクションプラン)」としても位置付けられ、本計画を推進する役割を担うものとなります。

地域共生社会実現計画(地域福祉計画)と福祉分野の個別計画等との関係図

地域共生社会実現計画(地域福祉計画)と福祉分野の個別計画等との関係図の画像です

第5 圏域の考え方

 地域福祉で取り組む課題には、問題を抱えていることを自ら発信できない人や発信したくない人、気付いていない人の問題など、地域であっても見えにくいものも多く、これらの問題をどのように見付けるかが重要です。さらに、発見した問題を再び潜在化させないため、解決すべき課題として関係者で共有していくことも重要です。
 このため、地域福祉の活動はおのずとそのような問題が見えるような、小さな圏域を単位として始められることになり、問題を発見するために必要となるお互いに顔の見える環境づくりができるような圏域(次の図の第1圏域及び第2圏域)がおのずと地域福祉活動の圏域の基礎となります。
 さらに、小学校区の圏域では、地区社会福祉協議会を中心に、新・福祉のまちづくり総合推進事業や活動拠点づくり、福祉のまちづくりプランの策定・実践等の地域福祉活動が進められており、この圏域は地域福祉を推進するに当たって基本となる圏域と考えられます。
 中学校区の圏域では、地域包括支援センターを中心に、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組が進められており、今後は、この圏域において、地域包括支援センターを始めとした多機関が協働して、小学校区の圏域の中だけでは対応しがたい課題を包括的に受け止められるような体制をつくっていくことが必要と考えられます。
 このように、「地域」は、地域福祉に関する活動の内容や福祉サービスの内容などによって、様々な枠組みがあることから、本計画においては、次の図のように段階的なものとして「地域」の圏域を捉え、各圏域において構成される様々な主体がそれぞれの役割を果たしながら、相互に連携・協働していくことができるよう、重層的かつ柔軟に圏域を捉えることとします。

重層的な圏域のイメージ図

重層的な圏域のイメージ図の画像です

第2章 前計画の振り返り

第1 前計画策定当時の状況と課題

 平成21年(2009年)6月改訂の広島市地域福祉計画(以下「前計画」という。)においては、策定当時の状況と課題について次のとおり整理していました。

  • 市民の誰もが、住み慣れた地域で憩いとやすらぎのある人間らしい生活を送れるようにするためには、
    1. 行政施策の充実 と
    2. 地域住民自らが主体となり、地域団体や関係行政機関と連携し地域生活課題を解決する取組を行っていくこと が重要です。
  • 2のため、本市は、各地域で行動計画(アクションプラン)の策定や実践が進むよう働き掛けてきました。
  • これにより、一部の地域では、地域生活課題の解決に向けた住民の取組が活発化してきましたが、次の課題も明らかになりました。
    • 多くの住民が参加できる対話の機会が設けにくい
    • 地域活動の担い手がなかなか育たない
    • NPO等の課題解決型の活動組織と連携を図りたい
    • 行政の制度やサービスの情報をもっと知りたい
    • サービスを必要としている人が潜在化し状況把握が難しい

第2 前計画の取組状況

 前計画については、次のとおり取組が行われていました。

1 住民(市民活動)と行政の関係づくり

 自助や共助の主体である地域住民と、公助の主体である行政とが相互に協力して地域福祉を構築していくことが求められていました。
 そのために必要となる相互の対話の場づくりについては、地域福祉計画の行動計画(アクションプラン)の策定の過程において、地区社会福祉協議会と市との間で対話・協議が行われていました。

2 地域の様々な活動主体のネットワークづくり

 地区社会福祉協議会を中心として、町内会・自治会、民生委員・児童委員、老人クラブ、子ども会、女性会、PTAなどが地域包括支援センターなどとも連携して、高齢者地域見守りネットワークなど地域生活課題の解決に向けたネットワークを形成しつつありました。

3 困ったときに困ったと言える環境づくり

 困ったと言えるためには、打ち解けた人間関係が前提となるため、そのためのたまり場として、ふれあい・いきいきサロンや認知症カフェ、介護予防拠点、子育てオープンスペースの設置などの取組が進んでいました。
 相談体制については、区役所厚生部の保健・医療・福祉総合相談窓口などを設置して、その整備を行っていました。
 また、地域活動を通じた地域における問題の把握を促進するため、近隣ミニネットワークなどによる見守り活動を促進するとともに、把握した生活課題を解決するために適切な機関につなぐためのネットワークを構築するため、地域包括支援センター等において地域ケア会議の開催など、関係機関とのネットワークづくりが進んでいました。
 さらに、誰もが地域で外出し活動できるようにするために、公共施設のバリアフリー化などの取組を進めているほか、認知症高齢者などが安心して暮らせるよう、成年後見制度等の利用を促進していました。

4 困ったことに対応する活動づくり

 住民が地域生活課題の解決に向けた活動に取り組むきっかけを提供するため、関係する講習会等が行われるとともに、その活動を始める際の人材の紹介などが行われていました。

5 活動を定着させるための環境づくり

 地域生活課題の解決に向けて取り組む活動の担い手確保のため、体験学習の機会の提供などが行われるとともに、その活動の質の向上に向けて情報提供が行われていました。
 また、空き家等を活用した活動拠点の確保を支援するとともに、資金面での支援も行っていました。

6 災害時要援護者の避難支援対策の推進

 高齢者、障害者等で災害時に自力で避難することが困難な人を避難行動要支援者として名簿を整備するとともに、避難行動要支援者のうち名簿情報の外部提供に係る同意者リストの作成を行っていました。

第3章 計画改訂に当たっての課題

第1 前計画の取組後に残された課題

 前計画における取組を行ったものの、なお次の課題が残されています。

1 住民(市民活動)と行政の関係づくり

 地域住民と行政とが地域福祉に関し協議を行う場が常設されていないため、これを設置するなどして、「自助」「共助」「公助」を適切に組み合わせ、最適な地域福祉を構築できるようにしていく必要があります。

2 地域の様々な活動主体のネットワークづくり

 地区社会福祉協議会を中心として地域生活課題の解決に向けたネットワークが形成されつつありますが、課題の複雑化・複合化等に対応し、より包括的な支援を行えるようなネットワークとしていく必要があります。

3 困ったときに困ったと言える環境づくり

 たまり場の設置や相談体制の整備、地域包括支援センターなどの相談支援機関による支援ネットワークづくり等が進んでいますが、これらは、いずれも地域住民による地域における問題の把握や地域生活課題の解決に向けた取組に必須のものであるため、更なる拡大・充実が必要です。

4 困ったことに対応する活動づくり

 地域生活課題の解決に向けた活動に取り組もうとしている地域住民は、まだ少ない状況です。また、更なる活動の啓発や支援に取り組む必要があります。

5 活動を定着させるための環境づくり

 地域コミュニティ意識の希薄化により、町内会・自治会を始めとした地域団体の加入率が低下し、担い手が不足することや、地域団体の役員等の固定化により特定の人の負担が重くなることなどによって、要援護者等を支える力の低下が懸念されるため、地域生活課題の解決に向けて取り組む担い手確保等のための施策を充実・強化していく必要があります。

6 災害時要援護者の避難支援対策の推進

 避難行動要支援者が地域で安心して暮らしていけるようにするため、引き続き、対策を推進していく必要があります。

第2 前計画策定後に新たに生じている課題

 前計画策定後において、次のような課題が新たに生じています。

1 地域生活課題の複雑化・複合化

 昨今、地域生活課題について様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱え、複合的な支援を必要とするといった状況が見られ、対象者ごとに「縦割り」で整備された公的な支援制度の下で、対応が困難なケースが浮き彫りとなっています。
 例えば、晩婚化・晩産化等を背景に、介護と育児に同時に直面する世帯(いわゆる「ダブルケア」)の増加や、障害のある子と要介護の親の世帯への支援が課題となっています。
 また、精神疾患患者や、がん患者、難病患者など、地域生活を送る上で、福祉分野に加え、保健医療や就労などの分野にまたがって支援を必要とする方も増えてきています。

2 社会的孤立、制度の狭間等の問題

 人々の暮らしにおいては、社会的孤立の問題や、制度が対象としないような身近な生活課題(例:電球の交換、ごみ出し等)への支援の必要性の高まりといった課題が顕在化しています。
 また、軽度の認知症や精神障害が疑われ様々な問題を抱えているが公的支援制度の受給要件を満たさない制度の狭間の問題も存在します。

3 高齢者や現役世代が地域活動に参画しやすい環境づくりの必要性

 平均寿命・健康寿命が延び、比較的元気な高齢者の数が増大していく中で、団塊の世代を始めとする、仕事を退職した後の高齢者に、相互に支え合うための役割を果たしてもらうためには、地域活動に参画しやすい環境づくりが必要です。こうした人々が地域活動に参画することで住み慣れた地域で社会的役割を持つことは、より心豊かに生活することにもつながると考えられます。
 また、現役世代についても、地域活動を通して企業での勤労とは別の心の豊かさを感じることに対する需要が高まっています。

第4章 課題への対応の方向性

 計画改訂に当たって明らかとなった課題に対し、次のような方向性を持って対応することとします。

第1 前計画の取組の拡大・充実

 前計画の取組後に残された課題から明らかになったように、次に掲げる取組については、拡大・充実を図ります。

  1. 「自助」「共助」「公助」の適切な組合せによる地域福祉の在り方について地域住民が行政と協議できる場の設置
  2. 地域の活動主体の包括的な支援ネットワークの形成
  3. 困りごとを抱えた人が気軽に話せるたまり場の設置
  4. 相談支援機関の充実と機関相互のネットワークの形成
  5. 地域生活課題の解決に向けた活動の担い手の確保

第2 地域福祉の再構築を通じた地域共生社会づくり

 地域共生社会とは、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域を共に創っていく社会を目指すものとされています。
 地域共生社会を形成していくため、「自助」「共助」「公助」を適切に組み合わせた地域福祉の再構築を進めます。その際「共助」は、「自助」と「公助」をつなぐものとして、重要な役割を果たします。
 なお、この地域共生社会において、地域住民が「共助」の主体として地域生活課題の解決に向けた活動に参画し何らかの貢献をすることで、人とのつながりが生まれ、やりがいや楽しさ、自己有用感を感じ、結果として生きがいを見いだす機会になると考えられます。

第3 各福祉分野に共通した取組の推進

 生活困窮者の自立支援や居住に課題を抱える人への支援、高齢者や障害者等の権利擁護、虐待への対応など、各福祉分野に共通した課題に対して、各福祉分野の事業を連携して行うことにより、それぞれの事業の効果や効率性、対象者の生活の質を一層高めることができるよう取組を進めます。

第4 地域における包括的な支援体制づくり

 地域生活課題の複雑化・複合化や社会的孤立、制度の狭間等の問題に対応していくためには、地域住民等が「共助」の精神に立って、自らのこととして、地域における問題を把握し地域生活課題として解決を図ることが基本となります。しかしながら、地域住民等による努力だけでは十分な解決が図れない状況もあることを真摯に受け止め、行政や専門機関など多機関の協働の下で解決を図る体制を整備することが必要となります。行政としては、必要となる人的・物的な支援やノウハウの提供を図っていくために、保健師の地区担当制の導入などにより、地域コミュニティや関係団体と行政とが連携を強化する中で、実情に則した支援ができるよう体制全体の強化に努め、地域と協働し地域をしっかりと支えていきます。

第5章 計画期間

 本計画の計画期間は、平成31年度(2019年度)から令和5年度(2023年度)までの5年間とします。

第6章 計画の推進

 前計画の推進に当たっては、地区社会福祉協議会を中心に、各小学校区における地域福祉に関する行動計画(アクションプラン)が策定されているところです。本計画の推進に当たっては、この行動計画(アクションプラン)の改訂等の検討を働き掛けます。
 その際、都市的な地域と中山間地域など、地域によって抱える課題が異なる状況にあるため、それぞれの地域特性に応じた行動計画(アクションプラン)の改訂が行われるよう、市・区社会福祉協議会と連携して、その検討を支援します。
 あわせて、地域共生社会の実現に向けて積極的に取り組んでいるモデル地域について、各区役所において支援と検証を行い、得られたノウハウ等を他の地域に展開します。

第7章 基本理念

 前計画における基本理念は、「高齢者、障害者、子どもをはじめ、市民の誰もが住み慣れた地域で、憩いとやすらぎのある人間らしい生活を送れる地域社会の実現」としていました。
 本計画においても、「市民の誰もが住み慣れた地域で生活を送れる地域社会」という考え方を引き継ぎながら、「支え合いによる地域福祉の再構築」を通じ、行政との協働の下、地域共生社会を実現するという考え方を加えることとし、次のとおり、基本理念を定めます。

基本理念

市民の誰もが住み慣れた地域で、行政との協働の下、それぞれに役割を持ち、お互いに支え合い、心豊かに暮らし続けることができる地域共生社会の実現

第8章 取組の体系

 基本理念の実現を、着実かつ確実に図っていくために、必要となる取組を次のように体系的に展開します。

第1 在宅生活を可能にする「公助」としての福祉サービスの整備

  1. 在宅福祉サービスの充実・強化
  2. 福祉機器の活用の促進
  3. 福祉サービスを担う人材の確保・育成

第2 地域で支え合う「共助」としての福祉コミュニティの構築

  1. 支え合いの意識づくりと地域福祉活動への参画の促進
  2. 福祉コミュニティの拠点づくり等への支援
  3. 社会参加・交流の促進

第3 地域住民等と支援関係機関による包括的な支援体制の構築

  1. 地域住民等が地域における問題を把握し地域生活課題として解決を試みることができる環境等の整備
  2. 地域生活課題に関する相談を包括的に受け止める体制の整備
  3. 多機関の協働による包括的な相談支援体制の整備

第4 民間との連携・協働による地域福祉の推進

  1. 社会福祉法人等による公益的活動の促進
  2. 民間企業等との協働による地域福祉活動の展開

第5 安心して暮らすことができる生活環境の整備

  1. 住宅・居住環境の整備
  2. 福祉のまちづくりの推進
  3. 権利擁護の推進
  4. 貧困の状況にある世帯への支援の充実
  5. 要支援者の避難支援等の推進

第2編 取組の内容

 取組の内容は、次のとおりとします。
 特に、第1章及び第2章で示す「公助」「共助」の取組の確立・展開と、第3章で示す「自助」を支える「共助」「公助」による包括的な支援体制の構築に重点的に取り組み、その全市的な展開を図ることにします。

第1章 在宅生活を可能にする「公助」としての福祉サービスの整備

第1 在宅福祉サービスの充実・強化

1 介護保険による各種介護サービスの提供体制の充実や障害福祉サービスの更なる基盤整備に努めるとともに、あんしん電話(緊急通報装置)や見守り配食サービス(食事提供・安否確認)などの在宅生活を支援する公的サービスの充実に取り組みます。

2 障害福祉サービスを受けていた人が65歳になっても引き続き同じ事業所からサービスを受けることができるよう、事業所が共生型サービス(介護保険のサービスと障害福祉のサービスを一体的に提供するサービス)の指定を受けることを促進します。

3 障害者総合支援法の改正に基づく新たなサービス「自立生活援助」や、65歳到達により介護保険サービスを利用した際の利用者負担軽減による切れ目のない支援を実施するとともに、精神保健福祉法の改正に基づき、措置入院者等の退院後の継続した支援に努めるなど、包括的・総合的な生活支援の充実に努めます。

4 障害児支援については、児童発達支援や放課後等デイサービスなど、サービス利用量が急速に増加している事業があることから、引き続きサービスの質の確保と提供体制の強化に取り組みます。

第2 福祉機器の活用の促進

1 高齢者や障害者の在宅生活を支援するため、補装具費や日常生活用具の給付を行います。

2 福祉用具購入・貸与について、利用者が適切な福祉用具を選択するために必要な情報が入手できるような環境整備に取り組むとともに、企業の福祉用具の開発支援を行います。

3 介護機器の導入は、身体的な負担の軽減により介護人材の定着及び人手不足の解消につながり、ひいては質の高い介護サービスを安定して提供することにつながるものであるため、今後、介護サービス事業者によるこうした機器の導入について促進する方策について、国・県の取組を踏まえながら検討します。

第3 福祉サービスを担う人材の確保・育成

1 医療・福祉の現場において、サービス等の量・質を確保するため、処遇改善や労働環境整備の促進による、人材の確保と定着の支援に努めます。

2 福祉サービスの質の確保と向上を図るため、職員や従事者への各種研修会を実施します。

3 地域全体で保育・介護の仕事の魅力や社会的意義について理解を深め、保育・介護人材に対する社会的評価を高めるための取組を進めます。

4 介護が必要な人が地域において安心して暮らしていけるよう生活支援などの体制づくりを進めるとともに、介護の仕事に関心を持った介護職未経験者が就業しやすくなるための環境整備に取り組みます。

第2章 地域で支え合う「共助」としての福祉コミュニティの構築

第1 支え合いの意識づくりと地域福祉活動への参画の促進

1 住民の行動は、まずは関心を持つことから始まり、次いで行動しようと決意した上で実践し、さらに行動を支える仲間の存在により定着するといわれていることから、次の取組を行います。

 (1) 困りごとの当事者の意見を聴くことや、体験学習、先駆的な実践例などの学びは、関心・共感を得やすく、行動に結び付きやすいため、住民が地域活動を始めるきっかけとなり得る公民館や社会福祉協議会等による講習会・研修会の開催を進めます。

 (2) 市社会福祉協議会が行う青少年や企業を対象とした福祉教育・福祉体験講座の開催を支援するなど、市民の高齢者への理解を促進します。

 (3) 地区社会福祉協議会が進めている「小地域活動計画(福祉のまちづくりプラン)」の策定は、住民意識を高め地域課題を共有する上で有効な取組であるため、市・区社会福祉協議会と連携して、その策定・改訂を支援します。

 (4) 地域活動の担い手となる人材の育成・確保を促進するため、区役所、公民館等が、コミュニティリーダー(町内会・自治会、老人クラブ、子ども会等の各種地域団体の長や役員など)の知識・技能の向上や若い層を中心としたサブリーダー(コミュニティリーダーを支え、将来リーダーとなることを期待される人)の養成、リーダー同士の交流を深めることなどに努めます。

 (5) 活動する住民・市民(担い手)だけでなく、担い手の相談に乗り、担い手同士をつないだり、担い手を的確な活動場所へとつなぐ「コーディネーター」の育成が必要であるため、社会福祉協議会等の中間支援組織が育成の主導的な役割を果たすことができるよう、必要な支援を行います。

 (6) 地域包括支援センターがコーディネーターとなり、小学校区を基本として、民生委員や地区社会福祉協議会、町内会・自治会、単位老人クラブといった様々な活動主体の連携強化及び見守り活動情報の一元化・共有化を図ることができるネットワークを構築する「高齢者地域支え合い事業」が行われているところであり、その取組箇所数を増やし、見守り活動を基本に高齢者の活動・交流の場づくり、生活支援サービスへのつなぎなど、共に支え合う地域づくりを推進します。

 (7) まちづくり活動を続けていく上で、様々な困難に直面した場合は、区役所に設置している「まちづくり支援センター」や「まちづくり市民交流プラザ」において、相談・助言を始め、まちづくり活動に関する幅広いサポートを行います。

 (8) 高齢者に老人クラブ活動や広島市シニア大学等で役割を持ってもらったり、高齢者いきいき活動ポイント事業を活用するなどして、高齢者の担い手を増やすことなどを始めとして、地域住民が活動に参加できる環境づくりに努めます。

 (9) 地域特性を生かした個性豊かで魅力と活力のあるまちづくりを推進することを目的に、区役所が設定したテーマに基づき、住民の主体的かつ継続的な活動などを支援する「区の魅力と活力向上推進事業」に取り組みます。

2 活動を定着させていくためには、活動に関する情報が広く知られていることが必要であることから、市民が情報を入手しやすい環境づくりが必要です。特に情報の発信・入手については、ICTの積極的な活用が有効であることから、引き続き「ひろしま情報a-ネット」において情報を提供するとともに、市社会福祉協議会のホームページについて更なる充実を促すなど、ICTを積極的に活用できるような環境づくりを進めます。

3 市民や活動の本拠地が市域内にある人が、団体などで市民活動を行う際の活動中の事故による損害を補償する市民活動保険制度を運用します。

4 地域や企業においても介護が必要な人に接する機会の増加が見込まれることから、介護が必要な人の特性を理解し、基礎的な介護・介助技術を習得した「ひろしま介護サポーター」の養成に取り組みます。

5 介護従事者等を「認知症アドバイザー」として養成するとともに、アドバイザーが講師となって、地域において認知症の人への理解者・支援者となる「認知症サポーター」の養成等に取り組みます。

6 障害者差別解消に向けた相談体制の充実や、紛争の解決等のための障害者差別解消条例(仮称)の制定について、検討を行います。

7 障害者権利条約や関連する法律についての周知を図り、障害者への意識啓発や、広く市民や地域における普及と理解の促進に努めます。

第2 福祉コミュニティの拠点づくり等への支援

1 地域住民が活動や交流を行うためには、拠点を確保し、継続利用できることが必要となることから、次の取組を行います。

 (1) 地域住民の活動や交流のための場所を確保することを目的に、空き家や空き店舗を活用し活動・交流の拠点を作る場合に、リフォーム費用等を補助するなど、住民の活動や交流の拠点づくりを支援します。

 (2) 地域のコミュニティづくりの拠点となる集会所について、住民組織が集会施設の建設や改修等の工事を行う場合には、工事等に要する費用の一部を補助します。

 (3) 公民館や福祉センターなど地域の公共施設を地域住民の福祉活動にとって使い勝手が良い場所としていくため、引き続き柔軟な運営、管理上の規制緩和を行います。

 (4) 高齢者いきいきサロンや認知症カフェ、介護予防拠点、子育てオープンスペースなど地域福祉活動の拠点について、一層拡大を図ります。

 (5) ひとり親家庭等の生活の向上を図ることを目的に、子ども食堂などひとり親家庭等の子どもの「居場所」をつくり、子ども達が気軽に集まれる場所を提供するとともに、親同士の交流の場を設けます。

2 地域住民が活動を行うためには、運営のための経費負担が必要となることから、次の取組を行います。

 (1) 住民活動の運営力を強化する公的支援として、各種助成事業(ひと・まち広島未来づくりファンド「Hm2(ふむふむ)」、区の魅力と活力向上推進事業、“まるごと元気”地域コミュニティ活性化補助事業等)を行い、住民の活動を資金面で支援します。

 (2) 住民活動の運営を安定的かつ持続的に行っていくためには、自主財源の確保が必要となることから、住民と企業等が主体となり、地域の公共財なども活用しながら持続的なまちづくりを推進する「エリアマネジメント」の手法の浸透を図ります。

第3 社会参加・交流の促進

1 高齢者や障害者、子育て世帯等が孤立しないよう社会参加・交流の促進を図るために、次の取組を行います。

 (1) 高齢者同士や高齢者と地域住民との触れ合いや交流の場であるサロンの設置・運営を促進します。また、高齢者が気軽に通える身近な場所に、地域に開かれた住民運営の介護予防拠点の整備を促進するとともに、その運営を支援します。

 (2) 認知症の人と家族、専門職、地域住民等が気軽に集い、相談・交流などができる認知症カフェの活動の普及・定着を図ります。

 (3) 高齢者の社会参加を的確かつ効果的に促進するとともに、地域団体の活動の活性化や充実、介護予防の推進につながることも視野に入れながら、高齢者いきいき活動ポイント事業を充実します。

 (4) 地域における行事等への障害者の参加の機会を増やす取組について検討し、住み慣れた地域等で、地域でのつながりのある安心した生活ができるよう支援します。

 (5) 常設子育てオープンスペースの開設を進め、親子の交流や親同士の情報交換の機会を提供するとともに、利用者のニーズに対応できるよう一時預かり等の新たな機能の付加を検討します。また、常設子育てオープンスペースから地域に出向いて子育てオープンスペース(出張ひろば)を開設する取組を検討します。

 (6) 地域の子育てオープンスペースの活動が活性化するよう、担い手の養成や地域団体等によるネットワークづくりなどの支援策を充実します。また、地域子育て支援センターによる子育ての情報提供や地域の子育てオープンスペースへの助言等の実施により、地域の子育て力の向上を支援します。

 (7) 幼稚園や保育園を、地域の就学前の子どもを持つ保護者が気軽に子育て相談等ができる場所として開放します。また、児童館を地域の子育て支援やコミュニティ振興に役立てるため、地域に積極的に開放し利用を促進します。

 (8) 高齢者、障害者、子ども等への支援の拠点について、地域住民等がその垣根を越えて活動し、相互交流できる体制を整えます。

2 社会福祉協議会や協同労働推進団体等の中間支援組織のリーダーシップにより、地縁組織とNPO等との連携や、民間の活動主体同士のつながりが図れるよう支援します。

3 NPO法人等による福祉有償運送により障害者等の移動手段を確保します。また、公共交通サービスが行き届いていない郊外の住宅団地などの居住者の生活交通を確保するため、地域主体の乗合タクシー等の導入・運行に対して支援します。

第3章 地域住民等と支援関係機関による包括的な支援体制の構築

 地域住民等と支援関係機関による包括的な支援体制について、次に掲げるとおり構築を目指すこととし、計画期間内において、現在、東区で行われているモデル的な取組(※)を他地区にも広げ、その成果を踏まえ、全市的な展開に向けて施策の推進を図ります。この包括的な支援体制について「目標像」(別図1)、「目標像に至るプロセス」(別図2)及び「支援の実践例」(別図3)についても示しています。
 なお、この包括的な支援体制を構築するためには、地域住民の主体的な取組が不可欠ですが、あくまでも地域住民の自主的な活動を前提とするものであり、本市としては、保健師の地区担当制の全区展開等により各地域に地域共生社会の実現に向けた取組を広めていくことや人的・物的な支援を行うことで、地域住民の自主的な活動の促進に努めます。

※ 「東区で行われているモデル的な取組」とは、本市東区において、区役所厚生部に地区担当保健師を配置するなど地域共生社会の実現に向けた組織体制の再編を先行的に行ったことなどを契機として、地区社会福祉協議会等により始められている地域生活課題の相談を包括的に受け止める場づくりなどのモデル的な取組をいいます。

第1 地域住民等が地域における問題を把握し地域生活課題として解決を試みることができる環境等の整備

1 要援護者に身近な町内会・自治会や民生委員・児童委員、地域ボランティア等が、主体的に要援護者を見守り、地域における問題を把握し地域生活課題として解決を試みることができる環境の整備を目指します。

2 そのためには、問題を発見したり、その問題を解決できる専門機関につないだりするキーパーソンが必要となるため、発見とつなぎができる人を、町内会・自治会の圏域や小学校区の圏域、中学校区の圏域などそれぞれの圏域で位置付け、育成していくための支援を行っていきます。キーパーソンの例は次のとおりです。

 (1) 住民・市民のキーパーソンの例
    民生委員・児童委員、地区社会福祉協議会地域福祉推進委員、地縁組織(地区社会福祉協議会、町内会・自治会、PTA、子ども会等)のリーダー、ボランティア活動者など

 (2) 専門職・専門機関のキーパーソンの例
    区役所(地区担当保健師等)、区社会福祉協議会(生活支援コーディネーター)、地域包括支援センター、子育て支援センター、児童発達支援センター、障害者相談支援事業所等の相談機関、社会福祉施設・事業所など

3 また、町内会・自治会等の地域団体の活性化に資する取組や、高齢者いきいき活動ポイント事業の実施などを通じて、住民の社会参加を促進し、地域団体の活動の活性化を図ることなどが不可欠となるため、次の取組を行います。

 (1) 町内会・自治会への加入促進を始め地域団体の活性化に取り組みます。また、各町内会・自治会が実施する加入促進のための取組について、町内会長等が情報交換する機会を設けるとともに、先進的な活動事例を収集し、インターネット等により情報提供を行うなど、各町内会・自治会が主体的に行う活動に対する支援を行います。

 (2) 民生委員・児童委員の担い手の確保に向けた取組、活動しやすい環境づくりに向けた取組、民生委員・児童委員の活動に関する市民等の理解の促進に向けた取組を行い、民生委員・児童委員の活動がより円滑に行われるように必要な支援を行います。

 (3) 高齢者がこれまで培ってきた知識や経験を生かして、生き生きと活躍できるよう、市社会福祉協議会の「ボランティア情報センター」においてボランティアの登録などの取組を促進します。

 (4) 障害者のニーズに対応したボランティア養成講座の周知・実施等により、一層のボランティア育成に努めるとともに、障害者を支えるボランティア活動への支援やボランティア団体等のネットワーク化の推進に努めます。

 (5) 地域の実情に応じた多様な生活支援・介護予防サービスを共助の取組により提供できるよう、地域活動の取組を支援する生活支援コーディネーターを配置します。配置された生活支援コーディネーターは、地域活動への参加意欲のある高齢者等を対象とした生活支援・介護予防サービスの担い手養成講座を開催するとともに、担い手が活動できる場の提供に努め、地域活動の促進を図ります。

 (6) 働く意欲のある人々が集い、みんなで出資して経営に参画し、人と地域に役立つ仕事に取り組む労働形態である「協同労働」により、高齢者の働く場や生きがいの創出を図ります。

第2 地域生活課題に関する相談を包括的に受け止める体制の整備

1 町内会・自治会や民生委員・児童委員、地域ボランティア等の地域活動を通して把握された地域生活課題に関する相談を包括的に受け止め、情報提供や助言を行うとともに、必要に応じて支援機関につなぐことのできる体制の整備を目指します。

2 この相談支援体制の整備においては、これまでも地域福祉に関する行動計画(アクションプラン)を定め、実践の取組を推進するなど、住民主体の福祉のまちづくりを行ってきた地区社会福祉協議会が、その核となっていくことが望ましいと考えられます。

3 このため、市・区社会福祉協議会との連携の下、地区社会福祉協議会が行う福祉のまちづくりについて、継続した支援を行うとともに、複合的な課題や制度の狭間等の課題についても包括的に受け止めることができるよう体制を整備するなどのバックアップを行います。

4 これらの体制を整備するため、次の取組を行います。

 (1) 地区社会福祉協議会が行う新・福祉のまちづくり総合推進事業(近隣ミニネットワークづくり推進事業、ふれあい・いきいきサロン設置推進事業、地区ボランティアバンク活動推進事業)の拡充を、市・区社会福祉協議会と共に引き続き支援します。

 (2) 各地区社会福祉協議会が活動拠点を整備することを、市・区社会福祉協議会と連携して促進します。この拠点の整備に併せて地区社会福祉協議会の事務局機能の充実や事務の効率化を図るとともに、拠点において、地区社会福祉協議会が住民の声を集め、把握した課題や相談ごとの解決に向けて情報共有・情報発信したり専門機関につなぐ役割を果たすものとします。

 (3) 複合的な課題や制度の狭間等の課題を抱える世帯に対応するため、保健師の地区担当制を導入し、アウトリーチ(※)による訪問指導、健康相談などの地区活動を積極的に行うとともに、市・区社会福祉協議会に配置した生活支援コーディネーター等と連携し、各地区が抱える課題を把握し、住民・関係機関と連携しながら解決に向けて取り組みます。

  ※ 「アウトリーチ」とは、積極的に対象者のいる場所に出向いて働き掛けることをいいます。

 (4) 特に制度の狭間等の課題への対応には、住民の参加は不可欠であり、住民主体による福祉活動、ボランティア活動などの活動を活性化するためにも、行動計画(アクションプラン)を推進するとともに、地域の中で相談を受け止められるような体制をつくるための取組について検討します。

第3 多機関の協働による包括的な相談支援体制の整備

1 第2の体制により把握された地域生活課題のうち、地区社会福祉協議会だけでは対応し難い複合的で複雑な課題や制度の狭間にある課題等について、地区担当保健師や市・区社会福祉協議会に配置した生活支援コーディネーター等の支援を受け、多機関が協働して包括的に受け止める相談支援体制の整備を目指します。

2 この相談支援体制については、中核的な機関が、自らの専門分野に偏ることなく、分野横断的に相談を受け止めることが望ましく、その中核的機関としては、既に一部で包括的な相談対応が行われている相談支援機関がふさわしいと考えられます。

3 このため、地域包括支援センター、障害者相談支援事業所、地域子育て支援センター等の相談支援機関の相談支援体制の充実を図るとともに、モデル事業として、地域のこれらの相談支援機関のいずれかに、「相談支援包括化推進員」を配置して地域の各相談支援機関等とネットワークを構築し、相談者をチームアプローチにより支援する体制を整備します。なお、地域包括支援センターの人員体制の在り方は、定期的に検証し、見直しを図ります。

4 これらの体制を整備するため、次の取組を行います。

 (1) 分野横断的な関係者の「顔の見える」ネットワークを形成するとともに、協働の中核を担う機関を設定し、そこを中心に支援に関する協議・検討の場を設けます。その場においては、個別支援から派生する新たな資源やシステムづくりの必要性についても協議・検討を行います。なお、その協議・検討が有効に機能するように、日頃から、介護保険制度における地域ケア会議や障害者自立支援協議会等の既存の専門機関のネットワークの活性化を図ります。

 (2) 地域包括支援センター等への「相談支援包括化推進員」の配置等をモデル実施し、相談者等が抱える課題の把握、支援プランの作成、相談支援機関等との連絡調整などのコーディネート機能の強化を図ります。

 (3) 発達障害を含む障害のある子どもへの支援について、乳幼児期から成人期までのライフステージに応じた適切な支援を行うために、こども療育センター、児童発達支援センター及び児童発達支援事業所などの専門機関相互の連携やこれらの機関と保育園、幼稚園、学校等との連携を深めるなど、相談支援体制の充実を図ります。さらに、これら専門機関と医療機関の連携の強化も図っていきます。

 (4) 障害者の高齢化・重度化や「親亡き後」を見据え、居住支援のための機能を地域の実情に応じて整備し、障害者の生活を地域全体で支えるサービスを提供する「地域生活支援拠点」の整備に取り組みます。

 (5) 区役所厚生部を再編し、地域福祉の担い手となる地域団体、保健・医療関係団体、地域包括支援センターなどを一元的に所管する課を設けることにより、地域の関係者との協力体制を構築し、地域団体、住民、行政が連携を図り、地域の課題解決に向けた取組を行いやすくします。

第4章 民間との連携・協働による地域福祉の推進

第1 社会福祉法人等による公益的活動の促進

1 市・区社会福祉協議会が行っている地区社会福祉協議会を中心とした地域活動への支援や生活困窮者支援、社会的に孤立している人への個別支援などの取組について、更なる充実・強化が図られるよう、市・区社会福祉協議会の活動基盤、体制強化への支援を行います。

2 社会福祉法人が、地域における福祉ニーズを反映した公益的な取組を行うことができるよう、必要な支援を行います。

3 地域生活課題の解決を図るためには、町内会・自治会等の地縁組織だけでなく、課題解決型といわれる機能組織(NPO等市民活動団体、社会福祉法人等)との連携が必要となるため、市社会福祉協議会等の中間支援組織のリーダーシップの下に行われる活動主体のプラットフォームづくりについて、必要な協力を行います。

第2 民間企業等との協働による地域福祉活動の展開

1 民間企業等と協定を締結し、その協定に基づき、民間企業による日常業務の中で把握した高齢者等の異変等に関する情報の提供など、地域における見守り・支え合い活動等を促進します。

第5章 安心して暮らすことができる生活環境の整備

第1 住宅・居住環境の整備

1 本市の高齢者等向けの住まいの現状や動向等を踏まえ、高齢者向け住まいに関する適切な情報提供と相談支援等に取り組みます。

2 個々の障害の特性や多様なニーズに配慮した市営住宅の整備や改善を行うとともに、障害者等の市営住宅への入居を優遇する仕組みについて、引き続き適切な運用と充実に努めます。

3 住宅を障害者の生活や介護に配慮したものに改造等を行う際に、費用を補助するなどの支援に努めます。

4 広島市居住支援協議会において、高齢者、障害者、子育て世帯、低額所得者など住宅の確保に特に配慮を要する者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な措置について協議し、これらの者が円滑に住まいを探すことができ、安心して暮らし続けることができる環境を整備します。

第2 福祉のまちづくりの推進

1 高齢者や障害者等が住み慣れた地域において自立した生活を送ることができ、子どもや子育て中の人などが、より安全・快適に暮らすことができるよう、公共施設や公共交通のバリアフリー化など、ハード・ソフトの両面からの福祉のまちづくりを推進します。

2 公共施設のバリアフリー化やユニバーサルデザインの導入促進など、福祉のまちづくりに対する市民からの要望・意見を全庁的に共有するとともに、具体的な施策への反映に努めます。

3 バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)や同法に基づく基本方針、広島県福祉のまちづくり条例に基づき、民間建築物や公共交通機関等のバリアフリー化に向けた計画的な整備・改善の誘導、民間事業者による心のバリアフリー化についての取組の促進に努めます。

第3 権利擁護の推進

1 認知症、精神障害、知的障害等により判断能力が不十分であるために権利擁護支援を必要とする人が、住み慣れた地域で安心して暮らしていくことができるよう、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しながら、生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行う成年後見制度を運用するとともに、成年後見制度の普及促進、後見等の業務を適正に行うことのできる担い手の育成に取り組みます。

2 認知症、知的障害、精神障害等により判断能力が不十分であるために権利擁護支援を必要とする人が成年後見制度を利用できるよう、保健・医療・福祉・司法が連携する仕組みである地域連携ネットワークの構築やその中核となる機関の在り方について、関係機関と調整の上、検討します。

3 市社会福祉協議会が行う、住民の権利擁護を支える福祉サービス利用援助事業(かけはし)及び成年後見事業(こうけん)の取組について、更なる推進が図られるよう必要な支援を行います。

4 高齢者、障害者、子ども等の虐待については、それぞれ地域包括支援センター、障害者虐待防止センター、児童相談所などの関係機関が連携して、虐待の防止及び早期発見と保護、養護者の支援等に取り組みます。

5 虐待を受けた高齢者や障害者、子ども等を一時保護できる体制の整備を図るほか、虐待対応職員の研修の充実など虐待の早期対応に向けた取組を推進します。

6 母子健康手帳交付時の保健指導や、こんにちは赤ちゃん事業等で把握した子育てに支援を要すると考えられる家庭に対し、保健師による家庭訪問等の支援を行い、孤立化の防止や育児の負担感等の軽減を図ります。

第4 貧困の状況にある世帯への支援の充実

1 生活困窮者自立支援法に基づき、複合的な課題を抱える生活困窮者に対し、自立相談支援機関(広島市くらしサポートセンター)において包括的な相談支援を行うとともに、生活保護受給者等に対し、雇用と福祉施策の一体的な支援を行うなど、自立に向けた支援を行います。

2 ひとり親家庭に対し、そのニーズに応じた就労相談・支援、仕事と子育てや家事との両立への支援の充実を図ります。

3 生活保護受給世帯等の生活困窮家庭や経済的に不安定なひとり親家庭の子どもが、十分な教育を受けられず将来に不利益な影響を受けることのないよう、関係機関等とも連携しながら学習支援などの教育の支援を行うほか、生活や就労の支援、経済的支援など子どもの貧困の問題に対する施策を総合的に推進します。

第5 要支援者の避難支援等の推進

1 高齢者、障害者等で災害時に自力で避難することが困難な避難行動要支援者が、安全かつ確実に避難できるよう、地域において情報伝達、避難誘導等の避難支援を受けられる体制を整備し、安心して暮らすことができる地域社会の形成を目指します。また、地域で行われている避難行動要支援者の避難支援の取組の好事例を、他の地域に対しても広げていきます。

2 避難行動要支援者の避難支援の取組を推進するに当たっては、災害時を想定した実践的な訓練等を通じて迅速な避難支援体制の確保に努めるとともに、広島市防災行政無線や広島市防災情報メール配信システム、携帯電話事業者が提供する緊急速報メールなどを活用した情報伝達体制の充実を図ります。

別図1 地域の包括的な支援体制「目標像」

地域の包括的な支援体制「目標像」の画像です

 地域の包括的な支援体制については、圏域の考え方(第1編第1章第5)に示した圏域のうち、町内会・自治会の圏域、小学校区の圏域、中学校区の圏域に分けてその目標像を示します。
 なお、この目標像は、一般的にイメージされる支援体制を例示したものであり、地域ごとの具体的な支援体制は、その実情に応じて構築していくことになります。

【町内会・自治会の圏域】
 町内会・自治会の圏域では、町内会・自治会、民生委員・児童委員、近隣住民、ボランティア、社会福祉法人、民間企業(郵便局等)等が、見守りや日常業務の中で異変や問題を発見します。
 買物やごみ出しの手伝いなどによって比較的容易に解決することができる場合には、町内会・自治会等が中心となって、近隣住民やボランティアなどの協力により解決に向けて取り組むとともに、解決が困難な場合や解決方法が分からない場合などについては、小学校区の圏域にある地区社会福祉協議会や区役所厚生部(地区担当保健師等)などに相談します。

【小学校区の圏域】
 小学校区の圏域では、上記に示すような町内会・自治会等から寄せられた地域生活課題についての相談を、地区社会福祉協議会が中心となって包括的に受け止めます。
 地区社会福祉協議会の構成団体である地区民生委員児童委員協議会、地区青少年健全育成連絡協議会、地区子ども会育成協議会、地区女性会、地区老人クラブ、地区公衆衛生推進協議会、小・中学校PTA等や見守りネットワークづくりを通じて地域の関係者が情報共有及び連携強化を推進する地域支え合い協議体の協力を得ながら、課題の解決に向けて検討を行い、検討結果に基づき、町内会・自治会等と連携しながら課題の解決に向けて取り組みます。
 地域生活課題が専門的・包括的な支援が必要な場合には、中学校区の圏域にある地域包括支援センター等のコーディネート機関の相談支援包括化推進員や市・区社会福祉協議会(生活支援コーディネーター等)に支援を求めます。

【中学校区の圏域】
 中学校区の圏域では、上記に示すような地区社会福祉協議会では対応が困難な課題について、コーディネート機関の相談支援包括化推進員が中心となって課題の解決に向けて支援を行います。
 相談支援包括化推進員は、地域包括支援センター、障害者相談支援事業所、地域子育て支援センター、自立相談支援機関(くらしサポートセンター)等の関係機関に参加を呼び掛け、支援に関する協議・検討の場(相談支援包括化推進会議)を設けるとともに、連携して支援プランを作成し必要な支援を行います。

別図2 地域の包括的な支援体制「目標像に至るプロセス」

 地域の包括的な支援体制については、次のとおり構築に向けて段階的に取り組んでいきます。

地域の包括的な支援体制「目標像に至るプロセス」

区分

ステ ップ(1)
気運の醸成、環境づくり

ステップ(2)
支援体制による取組
のモデル実施

ステップ(3)
支援体制による取組
の本格実施

町内会
・自治会の圏域

各区役所(地域起こし推進課、地域支えあい課等)等からの働き掛け

  • 地域住民の気付きや関心につながる取組(市社会福祉協議会の「やさしさ発見プログラム」、公民館のボランティア養成講座等)の実施
  • 地域生活課題を地域住民が発見・把握し、解決していこうとする気運の醸成
  • 町内会・自治会の活性化
  • 民生委員・児童委員の活動しやすい環境づくり等

地域生活課題の発見・把握、解決に向けた取組のモデル実施

  • 一部の町内会・自治会等において取組のモデル実施
  • 町内会・自治会、ボランティア等による地域活動の活性化
  • 区役所厚生部(地区担当保健師等)によるサポートの実施

地域生活課題の発見・把握、解決に向けた取組の本格実施

  • 地域活動が活発な地域を中心に取組を実施する町内会・自治会等を拡大
  • 区役所厚生部(地区担当保健師等)によるサポートの実施及びモデル実施で得られたノウハウの提供

小学校区の圏域

地域生活課題の相談を包括的に受け止める取組のモデル実施

  • 一部の地区社会福祉協議会において取組のモデル実施
  • 地区社会福祉協議会の活動拠点を整備
  • 区役所厚生部(地区担当保健師等)によるサポートの実施

地域生活課題の相談を包括的に受け止める取組の本格実施

  • 活動拠点が整備できた地域を中心に取組を実施する地区社会福祉協議会を拡大
  • 区役所厚生部(地区担当保健師等)によるサポートの実施及びモデル実施で得られたノウハウの提供

中学校区の圏域

地域における総合相談事業のモデル実施

  • 地域包括支援センター等に関係相談支援機関をコーディネートする相談支援包括化推進員をモデル配置

地域における総合相談事業のモデル実施の拡大

  • 地域包括支援センター等に相談支援包括化推進員を配置(各区1か所以上の地域包括支援センター等への配置を目指す)

多機関の協働による包括的な相談支援体制の確立

  • 相談支援包括化推進員が関係相談支援機関をコーディネートし、地域生活課題解決のための助言、支援などのバックアップを実施

別図3 地域の包括的な支援体制「支援の実践例」

 地域の包括的な支援体制を整備した後に、どのように支援を実践していくのかについて例示しています。事例1は地区社会福祉協議会等が中心となって支援を行う事例であり、事例2~6は地区社会福祉協議会等の気付き等を契機として専門機関が連携して支援を行う事例です。

事例1 地区社会福祉協議会等の取組による課題解決

事例概要

【問題が表面化する契機】

(1) 地区社会福祉協議会は、ふれあい・いきいきサロンを開催し、健康体操や介護予防教室等を行う(サロンの参加者から、近所に家に閉じ籠もっている高齢者(本人)がいて気に掛かっているとの情報提供がある。)。

【課題解決に向けたプロセスと地域における問題の把握】

(2) 情報提供を基に、民生委員は、家庭訪問を行うとともに、サロンへの参加の声掛けを行う。
(3) 民生委員は、把握した情報を基に、地区社会福祉協議会で見守りの要否について話し合う(会議の結果、見守りが必要という結論に至り、本人を中心に近隣ミニネットワークづくりを検討することとなる。)。
(4) 本人の同意を得て、町内会長と民生委員は、近隣の人や親しい人に見守り協力員になってもらうよう依頼する(依頼の結果、近隣の人や親しい人が見守り協力員となる。)。
(5) 見守り協力員は、日頃から本人を気に掛けるとともに、本人が問題を抱えている様子であれば、民生委員に連絡する。
(6) 民生委員は、連絡を受けた場合、家庭訪問後、地区社会福祉協議会に報告し、本人の今後の支援策について協議を行う(会議の結果、買物やごみ出しの手伝いなどによって比較的容易に解決できる課題については地区社会福祉協議会のボランティアバンクを活用し、支援することとなる。また、専門的な支援が必要な場合には、地域包括支援センター等の関係機関へ相談を行うことを検討することとなる。)。
(7) ボランティアバンクの会員は、家庭訪問し、買物やごみ出し等の日常生活の支援を行う。

実践例1の機能図の画像

取組の効果
  • 本人に対し日常的な見守りが行われる。
  • 本人が抱える問題を、迅速に発見し、解決に結び付けることができる。

事例2 猫の多頭飼い・ごみ屋敷の問題の解決

事例概要

【問題が表面化する契機】

(1) 単身の高齢者(本人)が、猫を多頭飼いし、家もごみ屋敷となり、地域住民が不快に感じる状況になる(地区社会福祉協議会の会議の中でも、この家の問題が取り上げられる。)。

【課題解決に向けたプロセスと地域における問題の把握】

(2) 地域住民は本人の状況を見かねて、区役所の保健・医療・福祉総合相談窓口を通じて、地区担当保健師に相談を行う。
(3) 相談を受けた地区担当保健師は、地域包括支援センターの職員と共に本人に家庭訪問を行う(家庭訪問の結果、本人は、問題行動を起こす人として地域住民に認知されていることが分かる。)。
(4) 地域包括支援センターの職員は、関係機関(民生委員、障害者相談支援事業所等)を集めてケース検討会議を開催し、本人の今後の支援方策について協議を行う(会議の結果、本人には病院への入院治療が必要であり、入院している間に親族の協力を得て家の片付けを行うことを検討することとなる。)。
(5) 地区担当保健師及び地域包括支援センターの職員は、民生委員等と協力して家庭訪問を行い、生活環境の改善に向けた支援を行う。
(6) 地区担当保健師は、親族に本人の状況を説明し、本人の入院への同意と家の片付けを依頼する(親族への依頼の結果、本人は入院し、その間に、親族により家の片付けが行われる。)。
(7) 地域包括支援センターの職員は、区役所厚生部と連携して、本人の退院後の在宅生活に必要となる介護サービスや障害福祉サービスの利用を検討する。
(8) 地区担当保健師は、本人の退院後の在宅生活における見守りや猫の引き取りについて、町内会長や民生委員、友人に協力を依頼する。

実践例2の機能図の画像

取組の効果
  • 猫が引き取られ、ごみが片付くことで、本人宅や地域の衛生環境が改善する。
  • 本人が入院治療を受け、退院後も通院を継続するとともに、福祉サービスを受け始めることで、在宅生活が可能となる。
  • 地域住民による見守りを通じて、地域住民と本人との間につながりが生まれ、本人が社会参加する契機となる((9))。

事例3 生活困窮者の生活の経済的な立て直し

事例概要

【問題が表面化する契機】

(1) 民生委員が、庭が荒れ放題となっている家を発見し、訪問したところ、50代の単身者(本人)が、貯金を切り崩して生活しており、精神的にも落ち込んでいる状況であることが分かる(地区社会福祉協議会の会議の中でも、この問題が取り上げられる。)。

【課題解決に向けたプロセスと地域における問題の把握】

(2) 民生委員は区役所(地区担当保健師)に相談を行う。
(3) 相談を受けた地区担当保健師は、民生委員等と共に家庭訪問を行う(家庭訪問の結果、本人は慢性疾患があるが通院していないことが分かる。また、判断能力が不十分なことにより金銭管理がうまくできず、家のローンも支払えないため売却を考えていることが分かる。)。
(4) 地区担当保健師は、本人のかかりつけ医に協力を依頼し、本人に受診勧奨を行う。
(5) 地区担当保健師は、自立相談支援機関(くらしサポートセンター)に連絡し、本人の金銭管理や家の売却について支援を依頼する。
(6) くらしサポートセンターの職員は、市社会福祉協議会の福祉サービス利用援助事業「かけはし」の利用を検討し、日常生活部分の金銭管理の支援につなげる。また、家の売却手続については、不動産業者等につなぎ、スムーズに手続が行われるよう支援する。
(7) 地区担当保健師は、民生委員に協力を依頼して、本人の定期的な見守りを行ってもらうとともに、本人が地域とのつながりを持てるよう支援を行う。

実践例3の機能図の画像

取組の効果
  • 金銭管理の支援を受け、家も売却することで、本人の生活の経済的な立て直しが図られる((8))。
  • 本人が通院治療を受け、病状が安定することで、在宅生活が可能となる。
  • 見守りを行う民生委員を介した地域活動への参加や、くらしサポートセンターの支援による就労など、課題解決をきっかけに生まれたつながりにより、本人が社会参加する契機となる((8))。

事例4 8050問題への対応

※「8050」とは、80代の高齢の親と働いていない独身の50代の子とが同居している世帯をいう。

事例概要

【問題が表面化する契機】

(1) 80代の父、80代で認知症の母及び子(本人、50代)は3人暮らしをしている。本人は母のデイサービスを行う介護サービス事業所の対応や父の母に対する介護に不満があり、区役所を訪れ、地区担当保健師に相談を行うようになる。

【課題解決に向けたプロセスと地域における問題の把握】

(2) 相談を受けた地区担当保健師は、父と連絡を取り、面接を行う(面接の結果、本人は長期間就労しておらず、家庭内暴力に及ぶこともあり、その影響で母の介護にも支障を来している状況であることが分かる。)。
(3) 地区担当保健師は家庭訪問を行い、本人への支援について父と母からの相談を受けるとともに、本人とは自立に向けた支援を行うための関係づくりを行う。
(4) 地区担当保健師は、地域包括支援センターに相談を行う。
(5) 地域包括支援センターの職員は、関係機関(民生委員、自立相談支援機関(くらしサポートセンター)等)を集めてケース検討会議を開催し、本人等の今後の支援方策について協議を行う(会議の結果、本人は健康状態に問題はなく、自立に向けて前向きな姿勢が見られたため、くらしサポートセンターによる自立に向けた支援の検討を行い、父と母はそろってサービス付き高齢者向け住宅へ入居することを検討することとなる。)。
(6) 地域包括支援センターの職員は、父と母の入居先住宅を探し、入居準備を支援する(支援の結果、父と母はそろってサービス付き高齢者向け住宅へ入居する。)。
(7) 地区担当保健師は、本人にくらしサポートセンターの利用を促し、同意が得られればくらしサポートセンターにつなぐ。
(8) くらしサポートセンターの職員は、本人に自立に向けた支援を行う。
(9) 地区担当保健師は、民生委員に協力を依頼して、本人の定期的な見守りを行ってもらうとともに、本人が地域とのつながりを持てるよう支援を行う。

実践例4の機能図の画像

取組の効果
  • 本人はくらしサポートセンターの支援をきっかけに就労し、自立生活が可能になるとともに、見守りを行う民生委員を介した地域活動への参加など、課題解決をきっかけに生まれたつながりにより、本人が社会参加する契機となる((10))。
  • 父母は本人と別れ、サービス付き高齢者向け住宅へ入居することで、家庭内暴力のおそれがなくなり、適切な介護サービスを受けることができる((11))。

事例5 日常生活に支援を要する母子家庭への支援

事例概要

【問題が表面化する契機】

(1) 知的障害に係る療育手帳を持つ単身者(本人)が、区役所において生活保護を申請した際、妊娠中であり、今後の出産・子育てに不安があると地区担当保健師に相談を行う。

【課題解決に向けたプロセスと地域における問題の把握】

(2) 相談を受けた地区担当保健師は、生活保護ケースワーカー(CW)と共に本人に家庭訪問を行う(家庭訪問の結果、本人は親族との関係を断っており、妊娠中の子の父も不明であるとともに、部屋の片付けができないなど日常生活に支援を要することが分かる。)。
(3) 地区担当保健師は、関係機関(CW、障害者相談支援事業所等)を集めてケース検討会議を開催し、本人の今後の支援方策について協議を行う(会議の結果、出産後は児童相談所に協力を依頼するとともに、日常生活を支援するための障害福祉サービスの利用の検討や、児童委員による定期的な見守りの依頼を検討することとなる。)。
(4) 地区担当保健師とCWは、民生委員等と協力して家庭訪問を行い、産婦人科病院や各種健診の受診勧奨を行う。
(5) 児童相談所の職員は、出産後、子育てに関する助言・指導を行う。
(6) 障害者相談支援事業所の職員は、障害福祉サービスの利用を検討する。
(7) 地区担当保健師は、児童委員に協力を依頼して、本人の定期的な見守りを行ってもらうとともに、地区社会福祉協議会が開催する子育てサロンへの参加の声掛けを行ってもらう。
(8) 地区担当保健師は、CWと協力して、継続的な相談・支援を行うとともに、関係機関との連絡調整を行う。また、CWは生活保護による支援を行う。

実践例5の機能図の画像

取組の効果
  • 関係機関が連携して相談・支援を行うことで、本人が出産・子育てを行うことができる環境が整う((9))。
  • 本人は作業所に通うなど社会参加が可能となる((10))。
  • 児童委員による見守りを通じて、本人と地域との間につながりが生まれる契機となる((10))。

事例6 2世代同居世帯への支援

事例概要

【問題が表面化する契機】

(1) 父母と共に生活保護を受給している子(本人)が妊娠し、本人は区役所において母子手帳の交付申請を行う。

【課題解決に向けたプロセスと地域における問題の把握】

(2) 母子手帳の交付申請を受けた地区担当保健師は、本人と面接を行う(面接の結果、父母及び本人は働いておらず、本人は引きこもり状態であることが分かる。また、家はごみ屋敷化しており、本人の出産・子育てには適さない状況であることが分かる。)。
(3) 地区担当保健師は、関係機関(生活保護ケースワーカー(CW)、児童相談所等)を集めてケース検討会議を開催し、本人等の今後の支援方策について協議を行う(会議の結果、父母にはCWから就労するよう指導するとともに、本人の出産・子育てに適した環境となるよう必要な支援を行うことを検討することとなる。)。
(4) CWは、父母に就労を阻害する要因がないか調査した上で、ハローワークを活用し、就労指導を行うとともに、生活環境の改善に向けた支援を行う。
(5) 地区担当保健師は、児童委員等と協力して家庭訪問を行い、本人に受診勧奨を行うとともに、生活環境の改善に向けた支援を行う。
(6) 地区担当保健師は、児童委員等と協力して地区社会福祉協議会が開催する子育てサロンへの参加の声掛けを行う(地区社会福祉協議会は、子育てサロンにより本人の子育て支援を行う。)。
(7) CWは、生活環境の改善状況を見極め、必要に応じて本人の転出による世帯分離を検討する。

実践例6の機能図の画像

取組の効果
  • 父母が就労するなどにより、生活環境が改善すれば、本人が安心して出産・子育てを行うことができる環境が整う((8))。
  • 生活環境の改善が見られない場合は、父母と本人を世帯分離することで、本人と生まれてくる子の生活環境を優先的に改善することも必要となる。

事例7 児童の虐待が疑われる世帯への支援

【問題が表面化する契機】

(1) 夫と妻(本人)、2人の子(小学生と未就学児)は4人暮らしをしている。その世帯の隣人から、度々、子の泣き声や本人の怒鳴り声が聞こえてくると、町内会長を通じて、地区担当保健師に相談がある。

【課題解決に向けたプロセスと地域における問題の把握】

(2) 相談を受けた地区担当保健師は、町内会長と共に隣人に状況確認を行い、必要に応じて児童委員にも聴き取りを行う(確認の結果、虐待が疑われるため、区役所のこども家庭相談コーナーに通告することとなる。)。
(3) 地区担当保健師は、こども家庭相談コーナーに通告する。
(4) 地区担当保健師とこども家庭相談コーナーの相談員は家庭訪問を行う(家庭訪問の結果、本人は、子育てについて周りに相談できる人がおらず、負担感を感じており、子どもを怒鳴りつけることがあることが分かる。)。
(5) こども家庭相談コーナーの相談員は、区役所内の関係者を集めてケース検討会議を開催し、本人の今後の支援方策について協議を行う(会議の結果、子育てに関する情報提供や児童委員による見守り、子が通う保育園による見守りの依頼を検討することとなる。)。
(6) 地区担当保健師は家庭訪問を行い、子育ての相談に応じるとともに、NPOが行う子育て支援の活動やイベントについて情報提供を行う。
(7) 地区担当保健師は、児童委員や保育園に協力を依頼して、日頃の活動や業務の中で見守りを行ってもらう。
(8) こども家庭相談コーナーの相談員及び地区担当保健師は、児童相談所との連携体制を確保しつつ、さらに虐待が重篤化するおそれがある場合には、児童相談所に対応を求める。

実践例7の機能図の画像

取組の効果
  • 本人は子育ての支援を受け、子育ての負担の軽減が図られる((9))。
  • 本人や子に対し日常的な見守りが行われることで、子への虐待の重篤化の防止が図られる((9))。

資料編(内容は、下記のダウンロードで御覧いただけます。)

  1. 地域福祉に関する市民意識調査の結果について
  2. 広島市社会福祉審議会条例、運営規程、委員名簿
  3. 広島市地域共生社会実現計画(広島市地域福祉計画)の検討経過

関連情報

ダウンロード

広島市地域共生社会実現計画(広島市地域福祉計画) [PDFファイル/2.75MB]

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)