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ページ番号:0000011362更新日:2020年2月27日更新印刷ページ表示

広島市人権教育・啓発推進指針 第1部 第2章 指針策定の背景 2 人権に関する現状

第1部 指針策定の必要性

第2章 指針策定の背景

2 人権に関する現状

(1) 人権に関する広島市民の意識

日本社会全体で、人やものの移動の増大、情報通信の高度化、技術革新の進展、少子・高齢化の進行、国際化の進展、家族形態の変化、女性の社会進出などにより価値観や生活意識の変容が急速に進み、市民の生活環境や人と人とのかかわり方が大きく変化してきています。

こうした社会の流れは、市民に対して一人ひとりの主体性、自立性を重視する意識を定着させ、個人の権利を尊重する気風をはぐくんできた反面、人間関係が希薄になってくるにつれて、自分のわがままだけを主張し、他人の権利に配慮しない傾向や自分の権利行使に責任を持たないなどの状況も生じさせています。また、本来、社会生活におけるルールや市民道徳とかマナーの中で解決されるべき事柄が人権問題として提起されることも起きています。

人権をめぐる市民の意識について、広島市市民局が平成12年(2000年)に実施した「市民人権意識調査」でみると、次のようになっています。

  • ア.日本国憲法で保障されている基本的人権については、「知っている」と答えた人が89%。
  • イ.自分にとって人権は、「重要なもの」と「やや重要なもの」と答えた人を合わせると80%。
  • ウ.「今、私たちの社会は基本的人権が尊重されている社会であると思いますか」という問いに 対しては、「いちがいには言えない」と「そう思わない」と答えた人を合わせると77%。
  • エ.「市民の人権意識は10年前に比べて高くなっていると思いますか」という問いに対しては、「いちがいには言えない」と「そう思わない」と答えた人を合わせると49%。
  • オ.「この1~2年でご自分の人権を侵害されたと思ったことがありますか」という問いに対しては、「ある」と答えた人が25%。
  • カ.「公的な人権擁護機関として、法務局に人権相談所や人権擁護委員が置かれていることを知っていますか」という問いに対しては、「知っている」と答えた人が55%。
  • キ.あなたの身のまわりにある重要な人権問題をたずねた問いに対しては、「社会全般に関すること」51%、「障害者に関すること」51%、「プライバシーに関すること」49%、「女性に関すること」40%、「子どもに関すること」38%、「高齢者に関すること」37%、「同和問題に関すること」32%、「HIV感染者等に関すること」30%、「日本で暮らす外国人に関すること」27%、「その他」1%など(複数回答)。
  • ク.人権意識を高めるための取組のあり方をたずねた問いに対しては、「学校教育の中で、人権を尊重する心を育てる教育に力を入れる」68%、「家庭の中で人権尊重の心を育てる取組を行う」63%、「行政が人権意識を高めるための啓発活動を積極的に推進する」42%、「町内会など地域での取組を充実させる」24%、「企業(職場)における取組を充実させる」18%、「人権問題に取り組む民間団体を充実させる」18%など(複数回答)。

以上から、市民は人権について高い関心を示しながらも、日常生活の中では人権を尊重する態度や行動が十分ではないとし、行政施策や市民自らの取組など様々な活動を行う必要性を指摘している状況が伺えます。

(2) 国内の人権問題の状況

人権は、人間が生まれながらにして持つ尊厳に基づく権利であり、どのような場面にあっても、最も尊重されるべきものです。

この権利は、人間社会の長い歴史の中で、人々が努力し獲得してきた成果であって、侵すことのできない永久の権利となっています。しかし、これまでの経済や工業の発展が、地球規模で深刻な環境破壊・環境汚染をもたらし、人類だけでなく、地球上に生きとし生けるものすべての生存さえも脅かしかねない状況に陥っています。そのため、今や地球の狭さと限られた資源の中では、人々を取り巻くあらゆる環境と共生していくという考え方を持たなければ、人権の尊重もあり得ない時代を迎えています。

一方、全国の法務局及び地方法務局が平成11年(1999年)に受理した人権侵犯事件は、17,478件と公表されています。この内訳は、暴行虐待、名誉・信用等に対する侵犯など私人等の侵犯事件は16,449件、公務員等の侵犯事件は 1,029件となっています。

こうした状況を受けて、人権擁護推進審議会第一次答申(平成11年(1999年)7月、「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項について」)は、わが国の人権に関する現状について、国内外からの国の諸制度や諸施策そのもののあり方に対する人権の視点からの批判的意見も含め、公権力と国民との関係や国民相互の関係において様々な人権問題が存在するとした上で、主な人権上の課題を次のように整理しています。

ア.女性

女性に関する課題として、人々の意識の中に形成された固定的役割分担意識等からくる、就職の際や職場における昇進の際の男女差別の問題のほか、セクシュアル・ハラスメント、家庭内における暴力などの問題がある。

イ.子ども

子どもに関する課題として、子どもたちの間のいじめは依然として憂慮すべき状況にあるほか、教師による児童生徒への体罰も後を絶たない。また、親による子どもへの虐待なども深刻化しつつある。

ウ.高齢者

高齢者に関する課題として、わが国における平均寿命の大幅な伸びや少子化などを背景として社会の高齢化が急速に進む中、就職に際しての差別の問題のほか、介護を要する高齢者に対する家庭や施設における身体的・心理的虐待や高齢者の財産を本人に無断でその家族等が処分するなどの問題がある。

エ.障害者

障害者に関する課題として、就職に際しての差別の問題のほか、障害者への入居・入店拒否などの問題が依然として存在しており、さらに、施設内における知的障害者等に対する身体的虐待事件の多発などが近時目を引く。

オ.同和問題

同和問題に関する課題として、同和問題に関する国民の差別意識は、特に昭和40年の同和対策推進審議会答申以降の同和教育及び啓発活動の推進等により着実に解消に向けて進んでいるが、結婚問題を中心に、地域により程度の差はあるものの依然として根深く存在している。就職に際しての差別の問題や同和関係者に対する差別発言、差別落書などの問題もある。

カ.アイヌの人々

アイヌの人々に関する課題として、結婚や就職に際しての差別の問題のほか、差別発言などの問題がある。

キ.外国人

外国人に関する課題として、諸外国との人的・物的交流が飛躍的に拡大し、わが国に在留する外国人が増えつつある中、就労に際しての差別の問題のほか、外国人への入居・入店拒否など様々な問題がある。また、在日朝鮮人児童生徒への暴力や嫌がらせなどの事件や差別発言などの問題もある。

ク.HIV感染者等

HIV感染者やハンセン病の患者及び元患者に関する課題として、日常生活や職場・医療現場における差別の問題のほか、マスメディアの報道によるプライバシーの侵害などの問題がある。

ケ.刑を終えて出所した人

刑を終えて出所した人に関する課題として、就職に際しての差別の問題のほか、悪意のある噂の流布などの問題がある。
これらの課題に関しては、国、都道府県、市町村のそれぞれの行政対象区域と機能に応じて、地域の実情を踏まえた適切な取組が必要です。

人権擁護推進審議会第一次答申が指摘した主な課題の他にも、多くの人権課題が提起されています。

最近、犯罪被害者やその家族の人権が課題となっています。被害者やその家族は直接的な被害のみならず、精神面、生活面、経済面等において様々な被害を受け、その後の司法の過程において、いわゆる2次被害を受けて精神的被害がさらに深くなる例や、マスメディアの報道等において人権が侵害されるといった例も指摘されます。

犯罪の被疑者やその家族及び犯罪者の家族に対する名誉やプライバシーの侵害、偏見の問題もあります。HIV感染以外の感染症の患者等についても、予断や偏見に基づく差別的対応が問題になっています。

性同一性障害のある人や同性愛者をめぐって様々な問題が提起されています。

個人情報の流出・漏えいやインターネットによるプライバシーの侵害が大きな社会問題となっています。プライバシーの問題については、市民が安心して社会生活を営む上で重要な、個人の権益の保護に関する様々な問題が含まれています。

ホームレスの人々の状況についても様々な人権問題が指摘されています。

一方、日本人が海外に出る機会が拡大するにつれて、長期滞在から帰国した児童生徒の人権や海外に暮らす日本人の人権の保護についても問題が提起されてきています。

さらに、環境を人権の観点からとらえる動きや医療分野での知る権利、自己決定権にかかわる問題やインターネットなど情報技術の発達の恩恵を受けられない場合の情報格差等が、新たな人権問題として主張されるようになってきています。

このようにわが国には様々な人権上の課題が存在します。こうした課題が指摘されるようになってきた背景のひとつとして、自分の有する権利への自覚が高まってきたことをあげることができるでしょう。つまり、今まで意識されなかった事柄が、人権上の課題として意識されてきたということです。

一方、人権擁護推進審議会第一次答申は、次のような問題点も指摘しています。

まず、人々の中に見られる同質性・均一性を重視しがちな性向や非合理的または因習的な意識、物の豊かさを追い求め心の豊かさを軽視する社会風潮、社会における人間関係の希薄化の傾向などが人権問題を生み出すこと。そして、国際化、情報化、高齢化、少子化等の社会の急激な変化などが人権問題を複雑化させること。さらに、国民一人ひとりに、個々の人権上の課題に関して正しく理解し、物事を合理的に判断する心構えが十分に備わっていないことが、それぞれの課題で問題になっている差別や偏見につながっている側面があるということです。