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ページ番号:0000009489更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

修学旅行事前学習ハンドブック-6 最後に

広島をご訪問いただく皆さんに、最後に、これまでの被爆者の足跡とメッセージをご紹介します。1999年(平成11年)の平和宣言で指摘したものですが、皆さんにはこのメッセージを胸に刻んでいただき、広島を訪れる意味をもう一度よく考えながら、学習を進めていただくようにお願いします。

多くの被爆者が世界のために残した足跡

第一は、被爆者がたとえ死を選んだとしても誰も非難できない「生き地獄」の中で、生を選んだということです。事実、生き残ったことが分かった後で自ら命を絶った人も多かったという証言さえあります。しかも、今は高齢の被爆者の多くが、被爆時には、皆さんと同じ年頃でした。その子どもたちが、家族も学校も街も一瞬にして消え去り死屍累々たる瓦礫の中で、生きることを選んだのです。被爆者は神様ではなく、人間ですから、いいところもあれば、醜いところもある。それらを全て合わせて、人間として一生懸命に生きる道を選んだ意志と勇気を知ってください。

第二は、これまで世界に向かって被爆体験を証言し続け、核兵器の使用を阻止したことです。脳裏に鮮明に焼き付いている経験を話すことは、その時の苦しい思いをもう一度味わうことです。コソボやイラクなどでの紛争や戦争の度に、核兵器を使うべきという声が必ず起こります。被爆者がつらい体験を語り、核兵器の使用は人類破滅と同じであり、究極の悪であることを訴え続けてきた結果として、実戦において3発目の核兵器はまだ使われていません。被爆者の功績として、1946年(昭和21年)のアメリカのベストセラーである「ヒロシマ」の著者ジョン・ハーシー氏も同じことを指摘しています。

第三は、復讐の道を選ばずに、「和解」の道を提示したことです。国際社会を敵対関係の集りとしてではなく、一つの家族として、一つの単位として捉え、人類全体を視野に入れた考え方の中で、「和解」という新しい世界観を示してきました。被爆者の「復讐はいけない」というメッセージは、アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリスなど核保有国や核保有願望国の人々にもよく知ってもらいたい考え方です。
被爆者の「こんな思いを、他の誰にもさせてはならない」という言葉の中の「誰にも」には、原爆投下を命令したトルーマン大統領や原爆を発明した科学者、それを投下したアメリカ軍人も全て入るということが重要です。そこに至る道筋は容易ではなかったと考えます。しかし、被爆者は、苦しみながらも少しずつ自分の体験を人類の行く末に重ね合わし、様々な葛藤を経て、「報復」でなく「和解」という姿勢、未来を共に創造しようとする姿勢が、しっかりと被爆者の心の中に定着してきたのであろうと考えています。この被爆者のメッセージこそ、21世紀の人類が進むべき道を指し示しています。

過去を記憶できない者は、その過去を繰り返す運命を負わされる

100年ほど前のアメリカの哲学者ジョージ・サンタヤーナの言葉です。私たちは楽しいことや嬉しいことはよく覚えています。しかし、ここで問題なのは、辛いことや不愉快な過去、自らが犯した過ち、忘れてしまいたいほどの強烈な過去の記憶です。それも、ただ覚えていること自体に価値を認めるのではなく、よりよい未来を創るという目的のために記憶しておくことが大切です。20世紀が「戦争の世紀」となってしまった理由の一つは、ジョージ・サンタヤーナの警告を真摯に受け止めなかったからと考えられます。

広島をご訪問いただく皆さんには、21世紀を「平和な世紀」にしていくために、ヒロシマで学んだことを忘れないでいただきたいと思います。被爆者の「こんな思いを、他の誰にもさせてはならない」「報復ではなく和解を」というメッセージを胸に刻んでいただき、日常生活の中でも平和のために祈り、発言し、行動していってください。
平和のために、中学生・高校生の皆さんにもできることがたくさんあります。友達や家族を大切にしたり、困っている人を助けてあげたり、身の回りにあるいじめや暴力をなくしたりすることも平和への第一歩です。いずれも、今日からできることばかりです。

この他にも何ができるか話し合ってみてください。