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学校給食事業に関する財務事務(平成18年2月8日公表)

ページ番号:0000003452 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第4号
平成18年2月8日
広島市監査委員 中岡 隆志
同 野曽原 悦子
同 下向井 敏
同 土井 哲男

平成17年度包括外部監査人の監査結果に関する報告の公表

 地方自治法第252条の37第5項の規定により、包括外部監査人濱田芳弘から監査の結果に関する報告の提出があったので、同法第252条の38第3項の規定により、次のとおり公表する。

目次

  1. 外部監査の概要
  2. 監査実施の概要
  3. 監査の結果の概要
  4. 監査の意見の概要

1 外部監査の概要

(1)外部監査の種類

地方自治法第252条の37第1項及び第4項並びに広島市外部監査契約に基づく監査に関する条例第2条に基づく包括外部監査

(2)選定した特定の事件(テーマ)

学校給食事業に関する財務事務の執行について

(3)外部監査実施期間

平成17年7月16日から平成18年1月15日まで
なお、平成17年4月1日から平成17年7月15日までは、事件の選定を行うとともに、補助者の選定を行った。

2 監査実施の概要

 現行の学校給食制度は、終戦直後の困難な食料事情下で始められ、昭和29年に「学校給食法」が施行され法的な整備がなされている。「児童生徒の心身の健全な発達と食生活の改善」(学校給食法第1条)に寄与した功績は大きく、その目的は十分果たしているといえる。しかしながら、現在人件費を含めた総予算規模は約80億円にのぼっており、行政改革計画における教育委員会の取組方針「学校給食内容の充実及び効率化の検討」に見られるように、制度の目的は維持しつつも、何らかの効率化を検討せざるを得ない時期に来ている。
 学校給食事業が、関係諸法令等に基づき実施されているか、また、効率的な管理運営となっているかを調査することにより、学校給食事業の現在における存在意義を再検証するとともに、地方自治法第2条第14項及び第15項の趣旨を達成することに資すると考え、テーマとして選定したものである。
 学校給食事業に関する財務事務の執行が、関係諸法規に従って経済的・効率的・有効的に行われているかを検証するために、以下の着眼点に基づき監査を行った。

(1)委託料

  • ア 委託先の選定は適正に行われているか。
  • イ 委託料の算定は適正に行われているか。
  • ウ 委託業務は効率的に行われているか。

(2)財団法人広島市学校給食会(以下「市学校給食会」という。)に対する補助金

  • ア 補助の対象は適正か。
  • イ 補助金の申請、決定、交付等の手続は適正に行われているか。
  • ウ 補助金額の算定は適正に行われているか。

(3)人件費

  • ア 給与の算定や支給手続きは適正に行われているか。
  • イ 職員の採用及び配置は、業務内容や必要性を考慮し、適正に行われているか。

3 監査実施の概要

監査の結果として記載すべき事項はなかった。

4 監査の意見の概要

(1)委託料

ア 中学校のデリバリー給食について

 中学校給食についてはデリバリー給食を導入している。デリバリー給食とは広島市が献立を作成し、給食物資の受取、調理、盛り付け、配送等の一連業務を民間業者に委託する方式である。広島市は広島市学校給食事業協同組合(以下「給食協同組合」という。)に委託し、給食協同組合の組合員8社が調理業務を行っている。

(ア) 単価決定について

 デリバリー給食に係る業務委託契約は特命随意契約であるため、契約先である給食協同組合と広島市との価格交渉においては、広島市の設計単価が重要な意味を持ってくる。設計単価は業者と交渉する際の広島市側の基準となる単価である。業者の提示した見積単価が設計単価よりも高ければ、再度見積の提示を求めて契約することになる。少なくとも設計単価以下でなければ単価は決定されない。
 設計単価は、米飯給食とパン給食別に1校当たりの人件費見積額と物件費見積額と諸経費見積額を合計して得られた「1校当たりの年間費用見積額」を「1校当たりの平均年間食数」で除して算定される。
 平成16年度と平成17年度を比較検討したところ、見積方法を変更したため平成17年度の「1校当たりの年間費用見積額」は前年に比べて大きく減少している。この理由は、人員の配置数及び人件費単価を見直したためである。
 ところが、「1校当たりの平均年間食数」についても見積方法を変更したことにより減少しているため、結果として設計単価は平成16年度と同額になった。
 異なる見積方法で算定したにもかかわらず、同額の設計単価になるというのは設計単価の算定プロセスに恣意性が入っているのではないかという疑念が残る。
 特命随意契約自体は現状ではやむを得ないものかもしれないが、それだけに単価の決定過程については合理性と透明性が求められる。

(イ) 一部業者の異常に少ない残食量について

 平成17年度の調理業者別の残食量を調査した結果は以下のとおりである。

1食当たり残食量 (単位:g/食)
調理業者 4月 5月 6月 7月 9月 10月 平均
A社 107.5g/食 110.6g/食 125.8g/食 123.6g/食 143.5g/食 122.2g/食 122.2g/食
B社 52.5g/食 48.9g/食 53.9g/食 49.9g/食 61.9g/食 63.3g/食 55.1g/食
C社 107.6g/食 123.0g/食 145.0g/食 135.0g/食 147.4g/食 134.2g/食 132.0g/食
D社 29.7g/食 29.1g/食 28.0g/食 26.0g/食 28.8g/食 30.2g/食 28.6g/食
E社 74.8g/食 99.5g/食 116.7g/食 107.0g/食 143.9g/食 131.0g/食 112.1g/食
F社 85.4g/食 123.2g/食 147.9g/食 122.4g/食 141.6g/食 136.3g/食 126.1g/食
G社 97.1g/食 108.0g/食 123.1g/食 125.7g/食 119.3g/食 98.0g/食 111.9g/食
H社 84.6g/食 108.9g/食 113.5g/食 94.9g/食 123.7g/食 111.0g/食 106.1g/食

(出典:委託業務実施報告書(その1)から算定)

 一部の業者(D社)の残食量が異常に少ない(平均28.6g/食)ことが判明した。残食量が少ないことは基本的には好ましいことだが、異常に少ないのは例えば量り方が誤っている等、何らかの原因があると思われる。原因を調査のうえ、業者管理の面からも指導が必要である。

(2)市学校給食会への補助金

ア 市学校給食会との関係について

市学校給食会との関係についての画像

 市学校給食会と広島市の間には、明示された契約関係は存在していない。いわば、慣習的に業務の分担を行っている。献立作成は学校の設置者すなわち広島市が責任を持って実施すべきであり、その献立に従って食材を購入するのは市学校給食会である。市学校給食会には広島市から運営費の補助金が支払われる。また保護者等から収受する学校給食費は、学校を通して市学校給食会へ入金される。一見、市学校給食会と保護者の間に広島市は介在しないようにみえるが、その学校給食費を事実上決定するのは広島市である。このように関係が相互に絡み合っているにもかかわらず、これまで明確な取決めはなされていない。他の政令指定都市でも同様ということであり、当事者は現状で何も不都合はないかもしれないが、外部からみると極めてわかりにくい関係であるのも事実である。

 例えば、回収不能の学校給食費は最終的には誰が負担するのか。市学校給食会も明確な見解は持っていないようであった。ちなみに市学校給食会の決算上、不納欠損処理を今まで行ったことはなく、貸借対照表に資産として計上されている。

 市学校給食会の食材の購入は、食材の売買とみるのか、あるいは学校給食費負担者からの委託とみるのか。委託と考えると、年度終了時に余った給食費は負担者に返金するという考え方もあるようである。

 既に市学校給食会が設立されて半世紀近く経過しており、関係の明確化を検討して良いと考える。数少ない事例だが「物資調達に関する協定書」を締結している自治体もあるようである。

(3)人件費

ア 勤務時間の硬直化

 調理作業時間のピークは午前中にある。広島市としても正規職員の採用を抑え、嘱託職員・臨時職員を増加させている。しかし正規職員の勤務時間は他の広島市職員と同様の勤務時間であり、給食調理という特殊性を考慮していない。その結果、給食を実施しない勤務日が年間54日あり、また調理実施日においても調理内容によっては作業時間以外の勤務時間が生ずる。

 また調理食数は学校行事などで日によって多少変化するが、児童生徒と教職員の合計数をもとに調理員等の配置を行っている結果、作業時間以外の勤務時間が発生し易くなるという傾向がある。

 広島市は調理員の配置については、平成10年度から平成16年度まで定年退職者の2分の1を正規職員で補充し、残りは嘱託化を進めてきたが効率化という観点からはいくつか改善点がある。

 第一に調理員については従来から学校給食の質の低下を招かない範囲で合理化の必要性が指摘されていることから、正規職員を半数近く配置する必要があるかどうかである。質の低下を招かない範囲で更なる嘱託化・臨時化が可能かどうか検討の余地がある。また、自校調理校には2人以上の正規職員を配置することとしているが、嘱託職員に対してその能力に応じた責任と権限を与えることにより、正規職員を配置しない学校が認められても良いのではないだろうか。

 第二に嘱託職員は、週30時間勤務という契約になっているため、給食実施日以外の人件費コストが生じてしまうという問題があるが、臨時職員は1日の雇用時間を自由に決定できるため、嘱託職員を臨時職員へ移行していく方策を検討する必要がある。

 第三に臨時職員は自由に1日の雇用時間を決定できるため、例えば勤務時間は4時間以外でも良いし、同じ4時間勤務であっても午前8時からにするなどの配慮により、より調理作業のピークに合わせた時間設定ができるのではないか。

 第四に調理員の勤務時間についても、当日の給食は当日調理が原則であることから、午前8時30分の勤務時間を30分早くして終業時間を繰り上げるといったことも考えられるため、給食調理日の業務の実態に応じて、正規職員及び嘱託職員を含めた全体として、柔軟に始業時間を設定することも検討すべきである。

 このように、職員の配置についていくつか改善の余地があるが、正規職員や嘱託職員が給食実施日以外にも勤務していることによって生じる人件費コストについては、解決のための方策は少ない。広島市はパート化(これは既に相当進めている。)、更に調理業務の民間委託化を視野に入れた取組を検討している。この傾向は避けられないものと考える。

イ 学校給食センターの効率性・稼働率

 広島市の学校給食センターは、合併により広島市に編入した町村に設置されていたものである。政令指定都市の中で直営の共同調理場を設置している都市は広島市、仙台市、さいたま市、千葉市、静岡市、神戸市と福岡市の7市となっている。この他大都市では東京都に設置されている。本来合理化のためというよりも、比較的小中規模の市町村において学校給食を単独校で実施することが困難な場合に共同調理場の設置がなされてきたという事情がある。

 広島市においては学校給食センター自体が古くなってきており、平成17年9月1日現在の学校給食センターが供給する児童生徒数も各センターがこれまで提供していたピーク時の食数と比べて62%と大きく減少している。これらの事情から平成17年9月に旧安佐地区学校給食センターを吸収統合した可部地区学校給食センターでは、民間委託による調理が始まった。契約によれば、年間4,389万円(ただし9月からの2,3学期分)、食数当たり約84.35円での委託を行っている。広島市は可部地区学校給食センターをモデル事業とし、今後学校給食センターのありかたを検討する方針である。上記アによる人件費コストの柔軟化が困難である場合には、食数当たりの人件費コストと比較して民間委託しか効率化の選択肢はない。もし学校給食センターでの給食すべてを民間委託した場合には、調理員人件費4億1,207万円から民間委託による場合の推定値2億7,813万円(17,633人×84.35円×187日)へと約1億3,394万円のコストが減少すると考えられる。

ウ 配膳パート

 現在既に中学校の42校については、デリバリー給食というかたちで民間委託されている。その42中学校において配置されている配膳パートは、実食数(全生徒数+全教職員数)によって配置人数を決定している。つまり全員が100%申し込んだ場合の食数を想定して算定している。しかしながらデリバリー給食は選択制であって、実際の申込み率は平成15年度で48.9%、平成16年度で47.4%となっており、実際の食数(以下「平均実食数」という。)は実食数の50%を切っている。配膳パートは実食数によっているため、ほぼ倍数の配置がなされていることになる。平均実食数によって配置すると配膳パート数を削減可能ではないかと考える。デリバリー給食校の配膳パートに係る人件費は平成16年度決算額で2,341万円であるが、仮に実施率を平均50%として計算すると50%相当額(約1,170万円)が削減可能ではないか。ただし、実際は1校につき1人の配置校もあるので直ちに半分にできるわけではないが、平均実食数による配置によりある程度の削減は可能と思われる。

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