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第19回ひろしま街づくりデザイン賞
広島市では、街を魅力的にしている建物や看板、活動などを広く募り、その中から特に優れたものを「ひろしま街づくりデザイン賞」として表彰しています。
この度、第19回目の受賞作品が以下のとおり決定しました。
大賞(街並み部門)
SHIMINT HIROSHIMA
写真提供:NEW HIROSHIMA GATEPARK
- 所在地:中区基町5番1
- 施主:NEW HIROSHIMA GATEPARK
- 設計者:大成建設株式会社
- 施工者:大成建設株式会社
- 概要:物販店舗、サービス店舗、事務所、飲食店、ごみ庫等 木造 平屋及び2階建て
- 建築面積:2,476.70平方メートル 延床面積:3,725.80平方メートル
- 完成時期:令和5年3月
選考理由
旧市民球場の形状をうまく使い、広場を囲む形で建物を分散配置とすることで、この敷地の持つ歴史を継承しつつ、様々な方向から広場へのアプローチを可能とするなど、人の動きと広場との関係を上手にデザインした秀逸な配置計画で広島都心部に新たな賑わい空間を作り出している。
低層の木造建物は、樹木を想像させる木質柱のデザインが周辺の木々と調和しており、街中のオアシスとして、象徴的な街並みを形成している。
部門賞
VOXEL APARTMENT(建築物(一般)部門)
写真提供:Kenta Hasegawa
- 所在地:西区楠木町
- 施主:木戸 博
- 設計者:藤村 龍至 / RFA
- 施工者:河井建設工業株式会社
- 概要:共同住宅、事務所、飲食店 RC造 地上5階建て
- 建築面積:527.23平方メートル 延床面積:1,604.89平方メートル
- 完成時期:令和5年8月
選考理由
キューブ状の居住部分と、外周部に配した共用階段を巧みに組み合わせ、立体的な凹凸を生じさせることで、平面方向だけでなく断面方向にも空間的な繋がりを創出しており、居住者が互いに暮らしの気配を感じることのできる集合住宅である。
コミュニティが希薄化しがちな集合住宅において、画一的でない集合住宅のあり方を提案している点や、特徴的な形態でありながら、色彩的な配慮がなされ、周辺の街並みとの調和が図られている点も評価できる。
世界で一番、静かでうるさい地下通路(アート部門)
写真提供:御園生 大地
- 所在地:中区基町(地下通路)
- 施主:NTT都市開発株式会社
- 設計者:株式会社丹青社
- アートワーク:OVER ALLs
- 施工者:株式会社丹青社
- 概要:ひろしまゲートパークと基町クレドをつなぐ地下通路に描かれたアート作品である。
- 完成時期:令和5年3月
選考理由
幅広い年代の人物をモチーフとして、広島らしさを彩り豊かに表現することで、薄暗くて閉塞感のある地下通路が明るく元気ある雰囲気となっている。
原色をふんだんに使用しながらも統一感があり、手描きの力強さも感じられるクオリティの高いアート作品である。通路の先には、新しいゲートパークやサッカー場があり、躍動的で気持ちを高揚させる空間づくりにも貢献している。単発で終わらず発展的に拡大、延長されることが期待される。
ユリハーブ園(花と緑部門)
写真提供:河野 由利
- 所在地:安佐北区三入五丁目
- 企画・実施者:河野 由利
- 概要:国道沿いの約400坪の私有地で、ハーブやバラを中心に造園している。
- 開始時期:平成10年11月
選考理由
長い月日をかけて創り出された広大なガーデンである。丁寧な手入れが行き届いており、地域の人だけでなく、交通量の多い道路に面していることから、多くの街行く人の目を楽しませている。
また、長年にわたる地道な取組によってごみのポイ捨てがなくなり、周囲の環境が結果的に改善した事例としても高く評価できる。
今後の広島市における住民主体の花と緑のまちづくりの一つのモデルになり得る。
MUSIMPANEN(花と緑部門)
写真提供:有限会社ムッシムパネン
- 所在地:中区銀山町1番16号
- 施主:有限会社ムッシムパネン
- 設計者:URAKATA design office & partners
- 施工者:長尾作庭研究所
- 概要:河岸緑地に隣接する洋菓子店が、様々な品種の植物で植栽している。
- 開始時期:令和3年8月
選考理由
河岸緑地と隣接する商業施設が連携し、水の都である広島市ならではの水辺の緑化とにぎわい空間づくりを実践している好事例である。
大胆で個性的な観葉植物の植え込みは、河岸から入店する店舗のアプローチを効果的に緑化しているだけでなく、川辺を通る地域の人にも水と緑の美しい景観を提供しており、高く評価できる。水の都の官民連携モデルとして、その他の河川空間にも波及していくことが期待される。
まちなか西国街道推進事業(景観まちづくり活動部門)
写真提供:まちなか西国街道推進協議会
- 所在地:中区旧西国街道沿線周辺
- 活動団体:まちなか西国街道推進協議会
- 概要:広島駅周辺から紙屋町・八丁堀地区、平和記念公園を通る西国街道の歴史と文化を活かした新たな賑わいづくりを行っている。
- 活動開始時期:平成30年7月
選考理由
「案内板設置」や「出前授業」等を通じて、西国街道の歴史と文化を活かした新たな賑わいづくりを推進している。歴史街道としての痕跡がほとんど残っていない広島市都心部において旧西国街道の可視化(見える化)という困難な活動に取り組まれており、広島の歴史景観の認知を広げることにつながっている。
歴史ある街道のPRは、重層的な都心部の魅力づくりにもつながり、景観イメージ形成という観点からも高く評価できる。
奨励賞
広島JPビルディング(建築物(一般)部門)
写真提供:株式会社川澄・小林研二写真事務所
- 所在地:南区松原町2番地62号
- 施主:日本郵便株式会社
- 事業推進者:日本郵政不動産株式会社
- 設計者:日本郵政建築株式会社
- 施工者:鹿島建設株式会社 中国支店
- 設計協力者:株式会社久米設計
- 概要:事務所、店舗、駐車場 鉄骨造 19階建て
- 建築面積:3,361.22平方メートル 延床面積:44,173.99平方メートル
- 完成時期:令和4年8月
選考理由
重厚さを感じさせるデザインで、落ち着きのある駅前景観を形成している。
また、広島駅や周辺ブロックとの回遊性に丁寧に配慮された建物であり、階高の高い、足元の半屋外空間は、多くの人々に利用され、ビルの利用者以外にも開放的なやすらぎ空間を提供している。
中低層部の緑化は街並みに潤いを与えており、道路脇のタラヨウが将来的にシンボルツリーになることも期待される。
光と緑があふれる事務所併用住宅(個人住宅部門)
写真提供:株式会社羽田建築設計事務所
- 所在地:西区古江西町
- 施主:羽田 佑輝、羽田 彩乃
- 設計者:株式会社羽田建築設計事務所
- 施工者:西部建設株式会社
- 概要:一戸建ての住宅 木造 2階建て
- 建築面積:90.70平方メートル 延床面積:163.03平方メートル
- 完成時期:令和3年10月
選考理由
塗り壁や木材といった自然素材を使用した外観と巧みな植栽の組み合わせが美しく、周辺の街並みの景観向上に寄与している。
また、特徴的な大屋根に開口部を設け、さらに地盤面から屋根まで吹き抜けた空間にシンボルツリーを植え、開放的な玄関周りを演出するなど、外から中への造りが秀逸である。
石内の家(個人住宅部門)
写真提供:足袋井 竜也
- 所在地:佐伯区石内
- 設計者:株式会社OOTT | 寺岡徹建築事務所
- 施工者:シバタ工業株式会社
- 概要:住宅 木造 2階建て
- 建築面積:98.16平方メートル 延床面積:105.98平方メートル
- 完成時期:令和3年12月
選考理由
大きな半屋外空間でありながら、透けた内部空間のようにもみえる2階レベルのデッキが個性的かつユニークであり、リビングと一体化している点も魅力的に映る。
前面道路の先が傾斜地となり、視界が開けている立地条件を活かして景観を楽しむ工夫が感じられる点や、緩やかな勾配の大屋根から周囲の山々の稜線や低層の住宅と一体感をもたらそうとする配慮が感じられる点も好感が持てる。
広島赤十字・原爆病院(メモリアルパーク)(アート部門)
写真提供:広島赤十字・原爆病院
- 所在地:中区千田町二丁目5番64号
- 施主:広島赤十字・原爆病院
- 設計者:株式会社内藤建築事務所
- 施工者:株式会社フジタ
- 概要:被爆遺構や慰霊碑が設置されたメモリアルパークである。
- 完成時期:平成25年7月
選考理由
旧日本赤十字社原爆病院の全面整備に伴い、病院の敷地内にあった被爆遺構を移転し、メモリアルパークとして整備したものである。
被爆の記憶継承は広島市にとって重要な取組であり、その歴史を伝える証人としての役割を果たしている。例えば、この「歪んだ窓枠」のモニュメント等は忘れてはならない記憶の一つとして、これからも残していかねばならない。
SATONOWA ヴェルコート牛田早稲田(街並み部門)
写真提供:株式会社トータテ都市開発
- 所在地:東区牛田早稲田三丁目91番374号他
- 施主:株式会社トータテ都市開発
- 設計者:株式会社ブルースタジオ、株式会社E-DESIGN、株式会社プラニングオフィス、株式会社梶原建築設計事務所、有限会社山上聖司建築設計室
- 施工者:株式会社トータテハウジング、株式会社滴翠造園、大成ロテック株式会社、フィード株式会社
- 企画協力:広島女学院大学
- 概要:住居、フットパス、コミュニティハウス・広場、賃貸棟、公園からなる住宅街
住居/木造2階建て コミュニティハウス/木造平家建て 賃貸棟/木造2階建て - 完成時期:令和3年5月
選考理由
居住者間の心地よいコミュニティを育む空間となることを目指し、敷地境界の塀をなくして住まいと住まいの間に設けられた歩行者専用のフットパス(遊歩道)が特徴的な分譲団地である。
フットパスや緑化でまとまりのある居住空間を形成し、統一感のある雰囲気を創出している。植栽の成長とともに、フットパスの利活用が促進され、地域のコミュニケーションを生み出す空間となっていくことが期待される。
表彰式・パネル展示を開催します
今回の受賞作品の表彰式及びこれまでの受賞作品のパネル展示を以下のとおり開催します。
どなたでもお気軽にお立ち寄りください。
日時
令和7年1月22日(水曜日)
- 表彰式 午後2時30分~午後4時30分
- パネル展示 午前10時~午後6時(入退場自由)
会場
紙屋町シャレオ中央広場(中区基町地下街100号)
関連情報
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