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平成30年度 第2回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会(第2回水管理部会 同時開催)(会議資料・会議録)

ページ番号:0000144061 更新日:2019年6月3日更新 印刷ページ表示

平成30年度第2回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会(第2回水管理部会 同時開催) 次第

日時 平成31年3月13日(水曜日)午後1時00分~午後3時30分
場所 Jmsアステールプラザ 4階 大会議室B(中区加古町4-17)

議事次第

1.開 会
2.議 題
 ⑴ 太田川再生方針に基づく取組状況について

 ⑵ 太田川再生方針に基づく取組の効果検証調査等の結果について

 ⑶ アユを増やす取組に係る目標値の検討について

 ⑷ 今後の方針について

  ア 太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会に関すること

  イ アユを増やす取組に関すること

  ウ シジミを増やす取組に関すること

3..閉 会

配布資料

懇談会構成員名簿・水管理部会構成員名簿・出席者名簿・配席図

資料1 平成30年度第1回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会(第1回水管理部会同時開催)の開催結果

資料2 平成30年度アユを増やす取組について

資料3 平成30年度アユ産卵場調査結果

資料4 太田川再生方針に基づく取組の効果検証調査・解析業務

資料5 平成30年度高瀬堰における取り組みについて(報告)

資料6 太田川再生方針に基づくアユを増やす取組の目標値の検討

資料7 平成30年度シジミを増やす取組について

資料8 平成31年度以降の取組体制について

資料9 定期横断測量成果

平成30年度第2回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会(第2回水管理部会 同時開催) 出席者名簿

所属

役職

氏名

懇談会

部会

広島大学

名誉教授(座長)

松田 治

国立研究開発法人 水産研究・

教育機構 瀬戸内海区水産研究所

生産環境部

干潟生産グループ長

濱口 昌巳

たかはし河川生物調査事務所

代表

高橋 勇夫

太田川漁業協同組合

代表理事組合長

山中 幸男

広島市内水面漁業協同組合

代表理事組合長

鈴木 修治

 -

国土交通省中国地方整備局

太田川河川事務所

所長

代理出席(副所長)

藤原 寛

広島県土木建築局河川課

課長

代理出席(参事)

下陰 俊作

広島県農林水産局水産課 

課長

代理出席(参事)

横内 昭一

広島市農林水産振興センター水産部 

部長

北川 浩二

広島市経済観光局農林水産部 

部長

宇都宮 斉

(水管理部会オブザーバー)

所属

役職

氏名

懇談会

部会

中国電力(株)電源事業本部

西部水力センター土木第四課

課長

砂子田 正和

広島県企業局水道課 

課長

代理出席(参事)

坂本 聰

広島市水道局設備課

課長

見藤 晋二

(事務局)

所属

役職

氏名

経済観光局農林水産部水産課

課長

徳村  守

経済観光局農林水産部水産課

課長補佐

藤本 豊記

経済観光局農林水産部水産課

技師

古矢 健一郎

平成30年度第2回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会(第2回水管理部会 同時開催) 配席図

配席図

平成30年度第2回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会(第2回水管理部会 同時開催) 議事

(事務局 徳村課長)

・ お待たせしました。ただ今から、平成30年度第2回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会を開会いたします。本日は、年度末の多忙中のところ、当懇談会にご出席くださり、誠にありがとうございます。

・ さて、今回の会議も水管理部会を同時開催とさせていただくことにしております。

・ それでは、会議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。懇談会(水管理部会)構成員名簿、出席者名簿、配席図、資料1~9を配布させていただいております。過不足等、ございませんでしょうか。

・ 本日、ご参加いただいている方はお手元の出席者名簿のとおりです。なお、本日は、国土交通省太田川河川事務所 徳元所長様におかれましては、藤原副所長様、広島県農林水産局水産課 飯田課長様におかれましては、横内参事様、広島県土木建設局河川課 木村課長様におかれましては、下隠参事様、広島県企業局水道課 後藤課長様におかれましては、坂本参事様に代理でご出席いただいております。

・ さて、平成30年度は太田川再生方針を策定し、5年目の節目であり、懇談会及び方策に基づく取組の今後を決定する重要な年であることから、今後の方針を議論し、その結果を来年度予算に反映させるため、市の予算要求の直前に第1回懇談会を開催させていただきました。

・ 第2回懇談会では、第1回懇談会の結果に基づき行った予算要求の結果を踏まえた上で、改めて、今後の方針をお示しするとともに、平成30年度の取組状況についてご報告させていただき、皆さんの活発な意見交換をお願いしたいと存じます。

・ 本日は長時間にわたりますが、どうかよろしくお願いいたします。それでは、松田座長様、本日は部会長も併任となりますが、進行をよろしくお願いいたします。

(松田座長)

・ 本日はお忙しい中、平成30年度第2回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会及び同水管理部会にご出席いただき、ありがとうございます。座長・部会長を務めさせていただきます松田と申します。

・ さて、今回の会議は、第1回懇談会で提案された方針について、予算要求の結果を踏まえた上で、最終的な方向性の決定を行うとともに、平成30年度の取組状況の報告とそれらに基づき、意見交換を行い、今後の取組に活かすという目的で開催します。

・ 議事に入らせていただく前に、まず、事務局から第1回懇談会での協議結果について改めて説明いただき、その内容に基づいて第2回懇談会を進行していきたいと思います。

・ それでは、事務局から説明をお願いします。

 資料1「平成30年度第1回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会(第1回水管理部会)の開催結果」 

(事務局 古矢技師)

・ 議題に入る前に、平成30年9月に開催した第1回太田川産アユ・シジミ資源再生懇談会の開催結果を説明します。

・ まず、アユを増やす短期・中期的な方策としては、31年度以降も漁協様が取組を継続し、それを広島市がバックアップしていきます。

・ 長期的な方策である高瀬堰の運用については、本運用を見据えて試験を継続し、データの蓄積を図ります。同じく長期的な方策である祇園・大芝水門の運用につきましては、塩水遡上の影響が心配されるため、まずは仔魚の流下促進という目的に絞って、塩水遡上の影響の少ない下げ潮時の試験運用に向けた検討を図ります。さらに、太田川再生方針に基づく具体的な目標値を検討するという内容が議論されました。それらに基づき、第2回懇談会では、今年度の取組状況については議題1で、効果検証調査は議題2で、目標値の検討は議題3で、今後のスケジュールについては議題4において議論していただきます。

・ 続きまして、シジミを増やす方策です。短期的方策として、塩ビ管を活用して母貝団地を整備するという大きな方針に基づき進めるということが概ね決まっています。

・ ただし、シジミは河川の流況によって流失してしまうため、その対策が課題であると議論されました。また、平成30年7月豪雨の発生により、試験区に設置していた塩ビ管が流されてしまったという状況もあり、再設置については、河床の状況を考慮した上での検討が必要であるという意見が出されました。シジミに係る取組状況については議題2で、今後の方針については議題4で、説明させていただきます。

・ また、その他の検討事項として、平成30年7月豪雨の影響により、河川に堆積した土砂がアユやシジミの生息環境にも影響を及ぼしているのではないかという意見が出され、まずは現状を見てはどうかという提案があったため、本日は国土交通省様の方から河床の横断面のデータを提供いただいています。これについては議題4で説明していただきます。

・ 平成31年度以降の太田川産アユ・シジミ資源再生懇談会では、短期・中期的な方策に基づく取組の報告と長期的な方策の検討に係る議論を今後も進めていきます。

・ なお、現在、2つの部会を運営していますが、水管理部会と資源再生懇談会の2つの会を1つの会として統合し、広島市が事務局を継続して運営する懇談会を年1回、主に年度末に開催させていただくということで提案をさせていただきました。懇談会において、この提案は受け入れられましたので、広島市ではこの内容で平成31年度の予算要求を行いました。予算要求の結果を反映したうえでの最終的な方針については、議題4で説明いたします。

(松田座長)

・ ありがとうございました。第1回太田川産アユ・シジミ資源再生懇談会で提案された内容について、再確認いただけたと思います。では、議題を順番に進めていきたいと思いますので、まずは事務局から議題1の説明をお願いします。

(事務局 古矢技師)

・ では、まず平成30年度の取組状況について説明をさせていただきます。アユ・シジミを増やす取組に関して、それぞれ報告がございますが、まず、アユに関する内容について、取組状況及び効果検証調査の結果をご説明させていただき、その後、シジミに関する内容について、広島市水産振興センターから報告いたします。

・ また、アユ、シジミともに漁協様でも取組を実施されていますので、両漁協の組合長様からご紹介いただきたいと思います。議題が前後する部分もございますが、ご了承ください。

・ それでは、資料2をご覧ください。資料2は、平成30年度のアユを増やす取組状況をまとめたものです。

 資料2「平成30年度アユを増やす取組について」

(事務局 古矢技師)

・ アユを増やす取組として、太田川再生方針の中で大きく短期・中期・長期的な方策として定め、実施してきました。長期的な方策については現在、高瀬堰の試験的運用を実施し、祇園・大芝水門の運用を具体的に検討しております。それぞれの取組につきまして今年度の実施状況を説明します。

・ まず、短期・中期的な方策に基づく取組の状況です。広島市水産振興センター等が種苗を生産する中で発生した余剰種苗を海域に放流する取組については、平成30年度は平成31年3月15日(金曜日)に実施予定です。

・ アユの産卵に適した産卵場を造成する取組については、今年度はアユの産卵状況が非常に良かったということもあり、人為的な手を加えるべきではないという判断により、実施しておりません。なお、産卵場の調査結果については、資料3で説明します。

・ 産卵期の親魚を保護するために、漁協様が禁漁区と禁漁期間を設定しており、主に平成27年度より祇園水門から高瀬堰の間で秋の期間、禁漁としています。同様の取組は平成30年度も継続して実施されました。

・ 晩期の親魚放流は、産卵期のアユを放流し、産卵を促す取組ですが、今年度も11月中旬に漁協様が約8000匹の親アユを放流しています。

・ 次に、長期的な方策に基づいた取組状況です。長期的な方策として、アユの生態に配慮した堰や水門の運用を行うことにしており、具体的には高瀬堰の運用、祇園水門・大芝水門の運用を検討しております。位置関係は資料1のとおりです。

・ まず、高瀬堰の試験的な運用についてです。アユの産卵期に高瀬堰において、通常放流に加えて可部発電所の放流を利用して、夜間の放流量を増加させることでアユ流下仔魚の流下を促進させる取組です。これは平成29年度から試験的な運用を実施し、今年度も10月23日から11月30日の期間で実施しました。その効果検証結果については、議題2で説明します。

・ 次に、祇園・大芝水門の運用の検討です。アユの成育に適していると考えられている太田川放水路の方にアユを積極的に流下させるために、(水門を調整して)市内派川に流れている流量を少し減らし、太田川放水路の方の流量を少し増やすということを検討しています。

・ ただし、こちらの運用に伴っては、水道関係者様も本日ご出席いただいておりますが、流量比を変えることで塩水遡上が起こってしまう可能性が心配されています。実際に、祇園水門の上流には戸坂取水場があり、取水場に塩水が遡上して影響があってはいけないという指摘があり、現状では取組が実施できていない状況でございます。

・ 平成30年度の第1回懇談会において、まずは流下仔魚の促進という目的にターゲットを絞り、塩水遡上の影響が少ない下げ潮時に限定して試験運用を検討してはどうかという議論がありました。これに基づき、具体的な調整を図っていきたいと思い、平成31年度のできるだけ早い時期に太田川河川事務所様、水道関係者様、さらに事務局等で集まり実務的な作業部会の方を開催させていただきたいと考えております。

・ 平成30年度のアユの状況について、ご紹介します。まず、太田川漁協管轄内のアユの漁獲数については、36.2万尾ということで、昨年度に引き続き、状況は良好でした。また、漁獲量の上昇に伴い、太田川漁協様での遊漁者数も一時期は減少傾向にあったものの、ここ2年は回復傾向にあります。

・ また、広島市が調査した流下仔魚調査においては、今年度の流下仔魚数は7月4日億尾と、直近の3年間では最も多い状況でした。取組状況については、以上となります。

・ アユを増やす取組状況としましては、太田川漁協様が平成30年度も受精卵放流を実施

されましたので、山中組合長様からご紹介いただきます。資料2の補足をご覧ください。

 資料2補足「平成30年度の受精卵放流について」

(太田川漁業協同組合 山中構成員)

・ 太田川漁協の組合長の山中です。平成28年度と29年度も受精卵放流を実施しており、

場所は、安佐北区の口田で実施しました。平成28年度に初めて市水産課様と市水産振興センター様の指導の下、受精卵放流を実施しました。受精に適したアユ親魚の選別作業を漁協の養魚場で実施し、植物のシュロに受精卵を付着させます。その後、シュロごと河川に設置します。

・ 平成29年度については、雨の影響等によって河川が増水していたため、一旦養魚場で受精卵を10日間ほど飼育して、安佐大橋の下の川内の流心の下側へ設置しました。 

・ 平成30年度はアユの卵が多く産み付けられていることが確認されたため、高瀬堰の直下の右岸側へ放流場所を変えて行うこととし、オス、メスのアユ親魚を200尾ずつ使用し、283万粒の受精卵放流を実施しました。漫然と実施するだけではなく、孵化率の良い最適的な場所や方法を検討するために、市水産課様とともに今後も引き続き受精卵放流に取組んでいきたいと考えています。

(松田座長)

・ ありがとうございました。第1回懇談会でも提案がありました、今年度のアユの産卵状況について、広島市様と太田川漁協様が調査を実施されたと伺っておりますので、次の議題に入る前に、その結果もご紹介いただきたいと思います。

 資料3「平成30年度 アユ産卵場調査結果」

(事務局 古矢技師)

・ 資料3をご覧ください。詳細につきましては、報告書をご覧ください。本日は時間の関係上、資料3の別紙1で説明させてもらいます。

・ 今年度のアユの産卵状況について把握することを目的に、太田川漁協様とともに高瀬堰の下流から安芸大橋上流約3キロの間において、潜水調査によって産卵状況を調査しました。その結果、高瀬堰の下流と口田南の地先(大槙の瀬)でまとまった産卵が確認されました。潜水調査によって、流れ下りながらアユ親魚数をカウントした結果を赤丸で示しております。高瀬堰下流約3キロにおいて、広範囲でアユ親魚が多くいた状況でした。今年度だけではなく、次年度以降も同調査を継続していこうと考えていますが、産卵状況が良い環境の中に人間が入ることで、産卵場を傷つけてしまうリスクもありますので、その点につきましては今後配慮した形で調査方法等を検討していきたいと考えています。

(松田座長)

・ 今年度は、産卵期にまとまった数のアユ親魚が確認されるとともに、複数の地点で産卵が確認できたということで、アユ仔魚の流下促進を目的とする高瀬堰の試験的運用についても効果が期待されますね。

・ では、只今の説明についてご意見等はないでしょうか。

(浜口構成員)

・ 高橋委員様に質問です。アユの遡上が良かったのは、広島だけだったのか、西日本全域で良かったのか、いかがでしょうか。

(高橋構成員)

・ 昨年度については、九州から関東にかけ太平洋側で、ここ数十年に1度の遡上の良さでした。その流れの中で太田川もここ2年続きで遡上が良く、今が資源回復の数少ないチャンスだろうと思います。うまくステップアップして、資源水準をあげることができ

ると、セーフティーラインまで逃げ切ることができると思います。

(松田座長)

・ 西日本、特に太平洋側で全体的に非常に良かったことに共通する原因は何か考えられているのでしょうか。

(高橋構成員)

・ 色々原因はあると思うのですが、去年は沿岸水温が10月の終わりころから急激に下がったことが一番の原因ではないかと言われています。

 

(浜口構成員)

・ そうすると今年度は、親魚が多いと考えられるため、高瀬堰の試験的運用の取組は非常に効果的であったと考えてもいいのでしょうか。

(高橋構成員)

・ 平成30年度は、産卵量がかなり増えたと思われるので、試験的運用の取組は非常に効果的であったとは思います。ただし、今年度の海域の冬の状況がアユ仔魚にとって、少なくとも高知県で見ている限りあまり良くありません。早生まれのアユはかなりへい死している気がしています。

(松田座長)

・ では次の議題「太田川再生方針に基づく取組の効果検証調査等の結果について」です。

・ アユを増やす取組に伴う効果検証調査については、広島市様が委託業務により実施されていることから、まず、その結果について、業務受注者である中電技術コンサルタント株式会社の担当者様からご説明いただき、その後で、国土交通省様から今年度の高瀬堰の試験的運用状況及び効果検証結果について、ご説明いただきたいと思います。それでは、ご説明をお願いします。

 資料4「太田川再生方針に基づく取組の効果検証調査・解析業務」

(中電技術コンサルタント株式会社 若尾氏)

・ 中電技術コンサルタント株式会社の若尾と申します。よろしくお願いします。

・ まず、平成30年度の調査概要について説明し、次に3つの調査内容について結果を説明します。当社は今年初めてこの取組に参加したのですが、当社なりに今後はこのように調査を実施したほうがより良いのではないかということを、最後に今後の対応案ということで簡単にご提案いたします。

・ 平成30年度の調査の概要です。

・ 1つ目は由来判別調査で余剰種苗がアユの資源に貢献しているかの確認をしました。遡上期の5月に採捕したアユについて外部形態判別を実施しました。

・ 2つ目は流下仔魚調査で、高瀬堰の試験的運用を今年も実施されたということで、その効果について特に着目し、堰の試験的運用前と試験中に実施致しました。

・ 3つ目は堰の試験的運用の実施に伴う流速測定です。安佐大橋と安芸大橋の間がアユの主要産卵場と言われているため、その場所で流速を測定し、試験的運用を行うとどれくらい流速が変わるかを実測いたしました。

・ 調査実施時の河川条件として、今年度秋の河川状況等を示しています。右側が降雨量と高瀬堰の水位と川の水位(流量)を示しております。

・ 今年度の特徴として、11月上旬に15mm以上の雨量が確認されているものの、それ以外はほとんど雨が降らなかったという状況でした。その結果、水位のグラフを見ると、調査を始めた10月から流量が経時的に下がっていったことが今年の特徴でした。参考までに左下にグラフをのせておりますが、緑色の線は昨年度の矢口第一の流量の変化、赤線が今年度のものです。昨年度の特徴としては、アユの産卵期以降も何度も大きい出水が起き、かつ流量が多かったことです。今年度は9月の最終週に台風が2つ来たことで、10月の初めは水位が高かったのですが、それ以降は、水位が低下しました。青い横線は、過去5年の平均的な水位です。  

・ 昨年度は平年と比べ、著しく流量が多く、今年度は平年よりも少なかったという状況でした。

・ 由来判別調査の結果ですが、遡上期の体長10cm程度のアユについて、これまでと同じ方法の外部形態から天然魚か人工魚かを判別しました。今回101個体提供があり分析したところ、85個体84%が天然魚、残り26個体16%が人工魚という結果でした。

・ 次に流下仔魚調査の結果です。調査方法及び地点を示していますが、方法についてはこれまで過去に調査を実施している業者様と同じ方法で実施しております。

・ 左下に赤字※印で記していますが、広島市様の調査地点というのは上流の安芸大橋に潮止めの堰があり、それより下流は潮の影響をとてもよく受けるため、真水や淡水の流れよりも干満によって流下スピードが変わります。よって、今年度については、調査を3回実施しましたが、なるべく潮汐の条件が同じで、かつ、夜の10時から11時頃が干潮になる時期を狙って調査を行いました。

・ 調査結果でございます。グラフの作り方は、比較の意味からも国土交通省様と同じ形式とさせていただきました。調査地点の一番上が安芸大橋の直下で、この地点は比較的潮汐の影響を受けないということなので、河川の流量による動きが出るのではないかと考え、グラフを作成しました。左図が平成29年、右図が平成30年の安芸大橋での結果です。黒色の実線が試験的な運用をした時の矢口第一流量を、黒色の破線が試験的運用がない時の矢口第一流量を示しています。赤色の実線が試験的運用をした時の仔魚降下量を、紫色の破線が試験的運用のない時の仔魚降下量を示しています。

・ 2か年それぞれ試験的運用実施時に2回、運用前で1回調査を実施していますが、残念ながら試験的運用がある時のピークよりも試験的運用がない時のピークの方が早い結果となりました。これは試験的運用がない方が、仔魚の流下するピークが早く現れたという結果です。

・ この結果の原因ですが、平成29年、30年の流量のグラフを見てみますと、平成29年も平成30年も試験的運用のない時の方が、河川流量が多く、試験的運用がある時は河川そのものの流量が少ないので、実際に試験的運用が実施されましたが、河川そのものの流量が少なく仔魚を押し流す力が弱かったということが原因の1つであると考えております。

・ 祇園・大芝水門についても、同じグラフを作成しています。平成29年は潮汐の条件が異なるため、比較が困難であると考えられました。比較的潮汐の条件が同じである平成30年は、祇園・大芝水門のデータは試験的な運用の有無で波形が類似しました。ただし、水門の直下であると波形が合わないということで、流下のピークについて評価することは難しいと考えています。

・ 最後に流下仔魚の調査結果です。卵黄指数について整理します。グラフの赤線で囲った部分が卵黄指数4です。今年度も祇園水門側にはほとんど卵黄指数4の仔魚は流下していないこと、大芝水門側には卵黄指数4の仔魚が流下していること、さらに水門を卵黄指数4の仔魚が通過したということより、今年度、孵化した仔魚は当日中に海まで到達したということがわかりました。

・ 次に流速の結果です。調査場所は安佐大橋と安芸大橋の間で、産卵場造成の場所の直下で測定しています。流速は岸側、中心、底層、表層で異なるため、緻密に計測し、1時間毎に流速の傾向を把握しました。

・ 結果です。グラフを波形で示しており、左の表には要点を記載しております。調査実施日は試験的運用時で、夜の9時くらいに流量のピークがあり約25トン高瀬堰から放流されていました。その時の高瀬堰の放流量は、1日のAM4時~Pm4時まで調査をしていますが、調査開始時から2トン増えています。その2トンがどのくらい調査地点に影響していたかというと、水深では5cm増加し、表層流速では0.1~最高0.3m╱sと表層では変化があったものの、底層だと流速に変化がほぼなかったという結果でした。

・ 最後に今後の対応案です。今年度からこの事業に参加していますが、太田川漁協様の漁獲量を過去から見て、さらに太田川再生方針が始まってからのグラフを並べていますが、平成29、30年度アユが増えていることは間違いないと考えられます。

・ ただし、資源量の変動については、議論いただきましたが、様々な原因があるため、資源が増加した理由としては容易には評価できないと考えられます。ただ、方針を策定し、取組を実施してからアユ資源が増えているのは間違いない事実であるといえます。

・ 一方、長期的方策の試験的運用の調査時の条件が、平成29、30年度でも異なりますし、試験的運用のある時とない時でも流量が違うということで、調査条件を揃えることは困難です。今のところ、2回の調査結果から、試験的運用によって安芸大橋と安佐大橋間のアユ仔魚の流下速度がどうなるかということを言い切ることは難しいと考えております。

・ 今後の対応として、短期・中期的な方策の取組の継続と、長期的な方策の高瀬堰の試験的運用も継続できるのであれば、モニタリングを継続し、調査データを積み上げることが必要と考えております。以上になります。

(松田座長)

・ ありがとうございました。ただ今の説明は中電技術コンサルタントの若尾様からで、主に資料の4のご説明でした。堰の試験的運用については、現実的な条件のもとでは、なかなか予想通りにはいかないという難しさもあったと思います。何かご質問ご意見等はございませんでしょうか。

(高橋構成員)

・ 資料6、7ページの調査結果から、高瀬堰の試験的運用の効果を評価するのは難しいと思います。言いますのも、例えば平成29、30年度も19時から21時までの間に安芸大橋でピークが出ています。これはほぼ間違いなく高瀬堰の下流の産卵場で孵化した仔魚に由来するピークだと思います。

・ その理由は、仔魚の流下のピーク時間帯というのは、18時から19時くらい(20時はだいぶ落ちますが)ですから、それから遡って考えると、(高瀬堰の下流で孵化したものは19時から21時に)安芸大橋でピークとなるであろうと思います。ですので、おそらくこれは高瀬堰上流の産卵場由来のものではないので、結局、単にその日の流量の減少で流速が落ちてピークが1時間ずつ遅くなったのだろう、こういう風に見るべきだろうと思います。

・ これについては、堰運用の評価をするというのは難しいのではないかと思います。この評価ができるのは高瀬堰の上流に大きな産卵場ができたケースですので、そういうチャンスを待つしかないのかなと思います。

・ できればですが、広島市様の方で産卵場調査をされていますが、高瀬堰から上流の情報も少し欲しいと思います。調査がどれだけアユの産卵にダメージを与えるかという問題はありますが、これだけだと裏付けが乏しいため、必要と考えます。

・ もう一ついいでしょうか。8ページですが、卵黄指数を出していまして、一番多いのが卵黄指数1です。卵黄指数1は孵化後約2~3日くらい経過した状態を指しています。この組成を見ると、その日に孵化したと思われる卵黄指数3と4の仔魚はかなり少ないわけですね。2~3日前に孵化したものが流下のピークをつくっています。普通に考えれば、かなり遠くの産卵場由来の仔魚ということになるのですけれども、最近わかってきたこととして、河川によっては礫の中から孵化後浮上して河川水の中に出ていくのですが、出ることができない仔魚が、川によってかなりいることが、未発表でありますが分かってきており、太田川もおそらくそのタイプの河川であろうと思います。それは、先ほど流下のピークが19時から21時くらいに立ち上がるかどうかを考え直せば、先ほどのような解釈はできないだろうと思います。

(事務局 古矢技師)

・ 事務局の方から1点補足させていただきます。先ほど高瀬堰上流部分の産卵場調査の件ご指摘をいただきましたが、この部分につきまして今年度国土交通省様の方で調査をしていただいておりますので、その部分については次の資料の方で説明をしていただきます。

(松田座長)

・ 高橋委員の質問ですが、8ページの卵黄指数3や4が少ないというのは、もし近くに産卵場があれば3や4がもっと多くなるということでいいのでしょうか。

(高橋構成員)

・ 正常な孵化浮上ができる河川ですと、ピーク時刻のほとんど9割以上が卵黄指数3や4となります。

(松田座長)

・ 浮上できないというのは、簡単に言うと例えば小砂利に埋もれてしまうとかそのようなことでしょうか。それはわからないのでしょうか。

(高橋構成員)

・ 今調べている状況から言うと、砂が多いケースでどうも浮上できない場合があります。

・ 例えば、ダムのある河川でしかそのような傾向がないということも不確定ですが分かってきています。実例がそんなにありませんが。ダムとの関係もまだはっきりとはわかっていない状況です。

(松田座長)

・ 最新の情報をありがとうございました。その他にご意見、ご質問ありますでしょうか。

・ 今日の資料4には、先ほど説明いただいた後に参考という資料が付いています。それについては、どなたか説明はあるのでしょうか。

(中電技術コンサルタント株式会社 若尾氏)

・ 参考の1枚目を事務局から説明があり重複するところもありますので説明しません

・ 数理モデルについても、残念ながら今年度流速がどれくらいあがったかという新たな知見も無く、パラメーターの整理もできていないため、あくまで去年を思い出していただくために添付しているだけで、説明までは考えておりません。

(松田座長)

・ わかりました。参考資料をまとめていただき、ありがとうございました。

・ では、引き続き、国土交通省様から説明をお願いします。

 資料5「平成30年度高瀬堰における取り組みについて(報告)」

(国土交通省太田川河川事務所 長谷川係長(構成員))

・ 太田川河川事務所管理第二課の長谷川です。平成30年度の高瀬堰における取組と調査内容についての報告をさせていただきます。

・ 高瀬堰におけるアユ孵化仔魚降下に関する取組としましては、平成28年度よりアユ孵化仔魚の降下促進のための高瀬堰の試験的運用の事前調査ということで、貯水池の流速測定などを行った後に、平成29、30年度とアユ仔魚降下促進の試験的運用の実施及び効果検証を行っております。

・ 平成30年度の調査概要としては、遡上調査というのを第1回懇談会で報告したように、魚道を利用する魚の遡上状況について報告をさせていただきました。

・ アユについては体重や体長や重量、由来判別などを行って、アユの遡上状況についても報告しました。今回報告するのは、10月から11月に行っております孵化仔魚降下調査と産卵場調査について報告をさせていただきます。

・ まず、高瀬堰の試験的運用についてです。高瀬堰ではアユの産卵期にアユの仔魚を降下促進させるための試験的運用として、アユの孵化が盛んになる夜間の流量を増やすという取組を平成29年から実施しています。平成30年度も同様に実施いたしました。今年度はアユの仔魚の降下時期である10月23日から11月30日にかけて孵化仔魚の降下促進放流を行いました。

・ 運用の方法としましては、資料の下に運用のイメージを付けておりますが、太田川については日中14時から20時に可部発電所から発電放流水が流れてきています。放流水の流量は、昼間は多いものの、夜間は発電をしないため少ないことから、昼間と夜間では河川の流況が変わります。このため、発電放流水を溜めておき、放流することで、夜間に流す水を少しでも増やすという取組を行いました。

・ 過年度の結果を整理して、昨年も懇談会で提示した資料ですが、河川の流況が良くなると、降下のピークが早くなるという結果となっており、期待される効果としましては、溜めた水を放流することによって仔魚の降下のピークが早まることを期待して調査を行いました。

・ 推定降下量に対する時刻別降下量というアユ仔魚の降下の割合をY軸にして、それを流量別に平均したグラフを整理しました。流量が多いと立ち上がりが早くなり、流況が良くなれば18時から20時のアユの孵化する時間帯付近にピークが早まるという傾向が伺えます。

・ 今年度、アユの孵化仔魚降下調査を行った概況でございます。今年度は平年並みの流況でした。概ね平均40トンで、試験放流を実施している時間帯及び期間というのは流況が安定していました。過年度、出水の影響でなかなか効果が見えにくかったという報告もさせていただいていましたが、今年度は比較的安定した流況で調査を実施することができました。

・ 試験的運用時のアユの降下状況です。これは、資料右のグラフ試験的運用有の推定降下量と流量の時間変化でございます。日中発電する水を溜めるということで、流入量に対して放流量が低くなっております。この間というのは、貯水池の水位をあげるために流量を減らして放流しています。発電が止まる20時に流入量より放流量が増えるよう操作を行い、貯留水を使って放流し、流量に対してアユの仔魚の降下の割合がどうであったかというピークのグラフを資料にのせております。

・ また、運用を実施しない平常時の場合については、高瀬堰の貯水池の水位を安定させる操作をしますので、発電期間中に水位を安定させるために、流入量イコール放流量という形で放流しております。20時まで発電しますが、その発電のある期間は流量が多い状態になり、発電が止まると急に河川の流況が低くなる傾向があります。その際のアユの孵化仔魚の降下の比率を示しております。それらを重ねると、資料左のグラフのようになるのですが、今年度運用を実施した結果がどうであったかというところで、簡単に報告致します。

・ アユ仔魚流下のピークの時間帯を見ると、1回目のピークというのはさほど変わっていない結果でしたが、その夜0時以降に2回目のピークの山が確認されました。20時まで水を溜めるため、通常より放流量が減ることから、この資料にあるように18時から20時の時間帯で仔魚の降下の量が低くなったということが確認できました。

・ 平成30年度も同様の調査を実施する2年目となりますので、平成31年度についても引き続き調査を実施して、その効果の検証を進めていきたいと考えております。

・ 最後に、産卵場調査結果でございますが、高瀬堰上流で産卵場調査を実施しております。×印で示した場所が人工産卵床のマニュアルの中に記載されているアユの産卵に適した瀬と類似した状態の所であり、重点的に調査を実施しています。根谷川のちょうど発電放流口がある下流側付近で、小さい産卵場が複数確認されております。また、イレギュラーになりますが、三篠川の中流域の所についても1~2m程度の産卵床が確認されておりますが、そこは砂でできていてすぐに崩れやすい所だったため、長期的に産卵場として使われてはいないと思われます。三川合流部の一部では、大きい石の所ではなく、小さい玉石の所での産卵が確認されており、大規模な産卵床は確認できていないというのが今年度の調査結果でございます。

・ 以上で太田川河川事務所の方から高瀬堰における取組について報告をさせていただきました。

(松田座長)

・ どうもありがとうございました。調査結果、解析結果を詳しく報告していただきました。只今の説明にご意見等はございますか。

(国土交通省太田川河川事務所 長谷川係長(構成員))

・ 補足をさせてください。

・ 平成30年度高瀬堰について試験的運用を実施したのですが、広島市様の資料3にあったとおり、高瀬堰直下流にかなり大きな産卵床があることを確認しております。高瀬堰では、通常は1号ゲートと右岸側の流調ゲートを開けているのですが、10月から12月の間は貯水池内の仔魚の流下を促進させる目的のため、流調ゲートと6号ゲートを開けて流れを集中させ、貯水池内のアユの仔魚を早く降下させるという取組を平成20年から実施しています。今年度は、堰直下流で大規模な産卵が確認されたため、流れを変えてしまうと産卵場が干上がってしまうおそれがあるという指摘から、毎年のようにはゲートを開門しておりません。よって、過年度の調査結果と比べることはできませんが、参考として報告させていただければと思います。

(松田座長)

・ ありがとうございました。高瀬堰下流側にかなり大きな産卵床があり、配慮いただいたということでした。それを含めて何か質疑応答ありますでしょうか。

(高橋構成員)

・ 流下密度でもいいのですが、どれくらいなのでしょうか。

(国土交通省太田川河川事務所 長谷川係長(構成員))

・ 密度については資料を持ってきていません。申し訳ございません。

(高橋構成員)

・ 20時からの放流量増加ですが、1時間早めたらどうなのかなと思ったのですが。

(国土交通省太田川河川事務所 長谷川係長(構成員))

・ 発電については中国電力様から報告があり、パターンが決められております。今回のパターンで言いますと、発電逆調整という放流パターンを用いて運用しており、昼の2時から夜の20時までが主な発電パターンになっております。これを19時に終わらせていただくということについては、中国電力様との調整も必要になってきます。

(高橋構成員)

・ 了解しました。

(松田座長)

・ 最後に総合討論を行いたいと思います。

・ 高瀬堰の試験的運用については、来年度以降も継続して、本運用を見据えた効果検証を行う予定と伺っていますので、引き続き、検討を進めていきたいと思います。

・ ここまでが議題として昨年度までのことで、次からは次年度からの内容となります。

・ では、次の議題「アユを増やす取組に係る目標値の検討について」です。

・ 第1回懇談会において、アユを増やす取組の目標値を検討することが提案されました。これを受け、事務局で、目標数値の検討をされたと伺っていますので、ご説明いただきたいと思います。それでは、説明をお願いします。

 資料6「太田川再生方針に基づくアユを増やす取組の目標値の検討」

(事務局 古矢技師)

・ 資料6をご覧ください。説明に入る前に、資料の修正をお願いいたします。裏側の案の2の、目標数値の段のところの下側に必要な天然アユの遡上量数値があり、根拠計算式というところがあります。そこがA-B-C╱B×100となっておりますが、A-B-C╱D×100になりますので、修正をお願い致します。

・ では、表の案1をご覧ください。第1回懇談会におきまして、太田川再生方針に基づくアユを増やす取組の具体的な数値があった方が取組状況等の把握がしやすいということで、数値の検討をしてはどうかと提案いただきました。このことから、事務局の方で高橋委員様のご助言も受けながら、目標値の検討を進めましたのでご紹介をさせていただきます。

・ アユを増やす目標値の検討に伴う条件としまして、まず太田川再生方針に基づく取組の基本理念が天然アユの遡上を増やすというものであることから、その最終的な目標値として、天然アユの遡上量を算出しました。

・ また、対象の河川としましては、太田川を含む太田川漁協様の管轄の河川のうち、河川の構造上、天然アユの遡上が難しい河川を除いた太田川、三篠川の一部及び根谷川を対象として計算をしております。また、河川の適正収容量のデータにつきましては、広島県様が内水面の共同漁業権の更新の際に、河床面積の調査を実施しており、その結果に基づいて適正収容量等を計算されておりましたので、その数値を使っております。

・ まず案の1につきましては、適正収容量、つまり環境収容量をすべて天然のアユの遡上のみで賄うと仮定して計算した場合のもの、また案の2につきましては、現状の状況なども踏まえて人工種苗放流も検討し計算を行っています。このような条件に基づいて計算した結果をご紹介致します。

・ 案の1をご覧ください。案の1は、すべて天然アユの遡上のみで賄う場合で計算したものです。太田川漁協管内の河川の適正収容量は、約145万尾と計算されております。遡上から解禁までの生存率等を他の河川の文献値を参考にして算出しますと、天然アユの遡上のみで太田川の適正収容量を満たそうとした場合は、遡上期に約240万尾のアユが必要であるという計算結果となっております。約240万尾のアユを確保しようと思いますと、段階的に流下仔魚数や必要卵数がどのくらいの量必要かを他の河川のパラメーター等を利用し計算しました。結果は、遡上期に約240万尾のアユの遡上を目指した場合、流下仔魚の数は約48.4億尾必要ということになります。

・ 例えば、平成30年度の推定流下仔魚数は7月4日億尾ですので、純粋に、この計算結果から考えますと、240万尾すべて天然遡上でまかなう場合は、今の約7倍の流下仔魚が必要になる計算です。必要卵数としては107.5億粒となり、産卵期に必要なアユ親魚の個体数は約50万尾という計算になります。

・ 次に案の2をご覧ください。試算については、現在の状況を検討し、人工アユの放流量、さらに広島市と太田川漁協様で実施している余剰種苗の放流量についても計算に盛り込んだものになります。

・ なお、余剰種苗の生残率というのは実際のところ、不明なため、ここでは50%と仮定して計算しています。人工種苗の放流量を検討して計算した場合、太田川の環境収容量を満たすためには、約91万尾の天然アユの遡上が必要であるという計算結果となりました。先ほどのように、段階的な数量を見ていきますと、流下仔魚数は約18.2億尾、平成30年度の7月4日億尾から考えますと約2月5日倍の流下仔魚が必要という計算となります。必要卵数としては、40億粒で、流下仔魚数を満たそうと思うと、産卵期には約18万尾のアユ親魚が残っていなければいけないという計算になりました。

・ 目標値として、天然アユの遡上のみの場合と種苗放流を検討した場合でそれぞれ計算を行いました。太田川の最終的なコンセプトとしては天然アユの遡上のみで適正収容量を満たすことが目標ですが、実際環境の状況等もあり、それは難しいため、まず第一歩として種苗放流を検討した約91万尾の天然アユの遡上という数値を目標値として定めて検討を進めてはどうかという提案です。

・ ただし、文献値をもとに計算したり、余剰種苗の生残率等、不確定な数字も入っておりますので目標数値として決定するには、示しているグラフの精度をさらに上げていく課題があります。よって、まだ検討が必要な項目であると事務局の方としては考えております。

(松田座長)

・ ありがとうございました。色々な仮定に基づいているわけですが、天然遡上のアユだけで賄う場合の案の1、それから現状のような天然遡上と人工種苗の組み合わせによる案の2という話で、定量的な様々な状況が判明してきたということだと思います。これが1つの指標ということですが、今後もさらに検討をする必要があると思います。何かご質問やご提案はございますでしょうか。

(広島県水産課 横内参事(構成員))

・ 広島県水産課の横内です。備考のところで、必要流下仔魚数の推定尾数が27年以降増減し、極端に変わっています。この原因については難しいと思いますが、そのあたりはどのように考えているのでしょうか。例えば、回帰率が変わることで、必要尾数が変わるため、このようにして目標を定めると、かなり年によって変動があると思うのですが。

(松田座長)

・ 仔魚数が年によって、変わるのではないかという点について、何かお考えはありますでしょうか。

(事務局 古矢技師)

・ 流下仔魚数については、調査のタイミング等で数値が変動してしまうのは事実でございます。ただし、この目標値というのもあくまで目安となりますので、流下仔魚数だけを見て判断するのではなく、その他の産卵場の状況等を複合的に見ながら補うしていき、実際の取組状況がどうかということを見ていかなければいけないと考えています。流下仔魚数だけを見るということではありません。

(広島県水産課 横内参事(構成員))

・ そういうことではなく、流下仔魚数自体が変わってくると、最終的な約91万尾へもかなり影響してくるのではないかと思うのですが。そうではなく、流下仔魚数が変動して他の数値が変わったりしますが、基本的な目標値の約91万尾というのはある程度定めておいても問題はないという考え方ですか。

(事務局 古矢技師)

・ 約91万尾という数値が流下仔魚数の値から算出したものではなく、適正収容量の方から算出した値になるので、直接は関係しないかと思います。

(広島県水産課 横内参事(構成員))

・ 下の数値を掛け算して計算しても、上の目標数値にはならないということでしょうか。

(事務局 古矢技師)

・ 下の数値は、上の目標数値から算出したものになります。

(広島県水産課 横内参事(構成員))

・ 上の目標数値から1つずつ算出すると、このような数値が出るということですね。

(事務局 古矢技師)

・ そうです。

(高橋構成員)

・ 案の1のすべて天然遡上で賄うという案ですが、この流下仔魚数48.4憶尾というのは、

今の流下のレベルからいうと、とんでもない数字であると思います。高知県の奈半利川という河川は全長70kmしかない河川で、現在流下量が多い年は40億尾レベルです。アユ親魚の確保がきちんとできて、産卵場の手当てができれば、概ね安定化することがあります。 

・ ただ、太田川の場合下流に堰がありますので、そこのマイナス部分がどれくらいかという試算はよくわかっていないところがあります。ここの部分については、回帰率1╱2000、0.05%ですから、そんなには外してはいないのではないかと思います。

・ 案の2は、10年くらいの目標値でここまでいけば、案の1の目標値が見え始めるのではないかと思います。

(松田座長)

・ この案の作成については、高橋委員様のご指導もいただいたと思いますので、今の話は心強いといいますか、現状では天然と人工種苗の組み合わせで取り組んでいるわけですが、最終的には天然の再生産で賄うことをこれから検討していく上で、数字的な見積り(目標)ができたということは色々な意味で役に立つのではないかと思います。

・ それでは、次にシジミを増やす取組について説明いただきたいと思います。

 資料7「平成30年度 シジミを増やす取組について」

(広島市水産振興センター 瀬田技師(構成員))

・ 第1回の懇談会の説明と重複する点もございますが、ご了承ください。

・ シジミを増やす取組として、当センターでは、平成26年からシジミ資源を回復させる効果的な放流方法を検証するため、様々な試験を実施・検証してきました。その結果、当センターで生産した人工種苗を河床に固定した塩ビ管に収容することで、種苗の生残状況が良く、収容後約1年半で成熟サイズまで成育することが明らかとなりました。

・ そこで平成29年度は、塩ビ管1本に対する種苗の収容密度を検証するための成育試験を実施しておりましたが、平成30年7月豪雨により、設置していた塩ビ管内の種苗はすべて河川へ流出してしまいました。よって、平成30年度は平成29年度と同じ試験計画をたて、平成30年10月から試験を実施しております。

・ なお、塩ビ管の設置場所は、第1回懇談会のご助言も参考に広島市内水面漁協様とも相談し、川の流況や河床の高さなど現場の状況を見ながら選定し、現在西区大芝の中州下流域に設置しております。

・ 資料の⑴をご覧ください。平成28年度試験で収容密度6000個体の試験データが明らかとなったため、それよりさらに塩ビ管1本当たり高密度の10万、5万、1万個体の試験区を設けました。これは、高密度で収容することで、設置する塩ビ管の本数をできるだけ少なくする目的が主としてあります。

・ 結果ですが、平成30年10月に平均殻長0.7mmの人工種苗を収容し、3か月が経過した平成31年1月に調査をしたところ、高い生残状況を確認しております。ヤマトシジミは水温の低い12月から3月まではほとんど成長が止まることが分かっていることから、大きさは収容時とほぼ同じ状況となっております。

・ 次に資料の⑵をご覧ください。資源量を把握するため、春と秋の年2回、スミスマッキンタイヤ砂泥器を用いて、天満川、本川、京橋川で資源量調査を実施しております。  

・ 今年度におきましても実施し、過去の調査結果と同様、春にはまとまった稚貝が確認できますが、秋には稚貝の数が減り、さらに春、秋ともに成熟サイズの殻長12mm以上のシジミはほとんど確認できていない状況です。

・ これは、前年の夏に産まれたシジミ稚貝は春までは生存しているものの、春以降に食害などの影響を受けて減少している可能性が示唆されることから、塩ビ管で保護していくことが今後は必須であると言えると思います。

・ 資料⑶の今後の予定ですが、現在の塩ビ管の成育試験を平成31年9月まで実施します。毎月調査を実施し、収容密度ごとの生残状況や成育状況を把握します。最終月の9月には人工種苗を収容後、1度もサンプリングを実施していない各塩ビ管の生残率や成長率を確認し、塩ビ管1本に対する人工種苗の最適な収容数を明確にする予定です。

・ 今年度第1回の懇談会でも今後の取組みとして話にありましたとおり、人工種苗を塩ビ管で保護し母貝まで成育させ、再生産の向上を図っていく「母貝団地」を広島市内水面漁協様が今後造成される予定ですが、その効果検証を行うために、引き続き当センターでは資源量調査を実施予定としています。

(松田座長)

・ 次に、広島市内水面漁協様の取組として、母貝団地の造成の活動をされていますので、鈴木組合長からご紹介いただきたいと思います。また提案事項があるということですので、併せて説明いただきます。

 資料7補足「平成30年度 シジミを増やす取組についてと提案」

(内水面漁業協同組合 鈴木構成員)

・ 当組合でも、塩ビ管を河床へ埋めて、その中に天然の産卵前のシジミを入れたり、宍道湖から購入した放流用のシジミを入れたり、河川の中の5mmサイズのシジミ稚貝を塩ビ管の中に入れて、どこまで成育できるか等を調査しております。

資料7の補足にあるように、さらに塩ビ管を60本程度河床に設置して増やしていきたいと考えています。

・ ただ、塩ビ管はシジミを収容する体積が小さいので、果たして中にどれだけのシジミが入るかが不明です。現在、市センターで調べていただいておりますが、実際には河川において塩ビ管だけでシジミを大きくし、それを販売していく手法は無理であろうと思います。

・ そこで、考えましたのが資料の図面のとおりです。河川では設置物にゴミや流木等が引っ掛かるため、高さ20cm、縦横2mくらいで丈夫な網を用いて箱を作り、塩ビ管の中に5mmくらいのシジミを入れ、1年程度成育させ大きくした後、この箱の中へ入れて育てる取組を検討しています。この試験的取組でシジミが大きくなるのであれば、この手法を用いて県の河川課様と太田川河川事務所様へお願いし、図面のような箱を作り設置する旨をお願いしたいです。

・ また、昨年宍道湖漁協へ放流シジミを買い付けに行き、平成30年11月24日にその内7キロを河川に撒き、水中カメラでチヌがどのくらいシジミを食べにくるかを調べました。チヌがカメラの前を横切るため、総数は不明ですが、7キロの放流したシジミが2日ですべて無くなりました。全部チヌが食べております。その様子を水中カメラで見ました。映像を見ると、1日目は、チヌは少ないのですが、2日目になると非常に多数のチヌが出現しました。

・ このことから、やはり放流したシジミが残らない原因は、食害の影響だと確信しました。塩ビ管からある程度成長したシジミを出して、河川へ放流したのではチヌの餌になってしまいます。食害から守るために、どのようにするかを検討し、先ほどの箱を考えました。

・ まずは、京橋川の常盤橋上流部分の新幹線橋脚部分の下流域への設置を考えています。橋脚があれば下流域が淀むため、そこへの設置を考えています。まずは試験的に2基くらい設置したいと考えており、広島県様へご相談したいと考えています。箱の上流側の前側は、船の水切りのような形にし、ゴミが引っ掛からない形状を考えております。材料は、単管などはホームセンターで揃いますし、網に関しては土砂災害防止として使用されている丈夫なものを使用します。網目はチヌの食害を考え、大きすぎないものを選定するように考えています。市水産振興センター様にも相談しながら実施していきたいと考えています。

(松田座長)

・ ありがとうございました。市水産振興センター様からはシジミを増やす取組を、広島市内水面漁協様からは今後の方針についても提案をいただきました。只今の内容についてご意見等はございますか。

(浜口構成員)

・ まず、市のセンター様の報告書ですが、収容時より3か月後の殻長が小さくなっているのが気になります。このような記載方法はできるだけ避けるようにしてください。絶対に理論上縮まないですよね。

(広島市水産振興センター 瀬田技師(構成員))

・ 収容時の平均殻長は0.7mmですが、幅は0.4mm~1月4日mmまでの種苗です。

(浜口委員)

・ それであれば、標準偏差を入れるべきです。

(広島市水産振興センター 瀬田技師(構成員))

・ 標準偏差は0.23です。

(浜口構成員)

・ 標準偏差を入れ、データの出し方に気を付けるべきです。エラーバーや標準偏差を入れるなどしてください。実験の正当性を問われることになってしまいます。

・ 前から言っていますが、太田川のシジミの減少というのは食害です。それは、今回の資料の図1をみても明らかですが、我々の宮島でのアサリ調査結果では、アサリの保護はだいたい春先から温度が上昇し、成長して殻長10mmを超えると、どんどん食べられます。そのパターンで見ると、間違いなく同じような現象でシジミも減っているといって間違いないでしょう。

・ 宍道湖でもそうですが、春から秋にかけて資源は増えなければいけないですが、減っているということは夏に魚などが活発となる食害が原因だということで間違いないでしょう。

・ そこで、今まで様々な取組を実施し、河川で食害対策をどうするかの試験を実施してきました。アサリの場合は網で保護をしますが、河川では難しいという結果でした。塩ビ管で実施する方法はいいのですが、問題点としては規模が小さすぎる点です。塩ビ管で育つということは間違いないですが、次のステップとして、それをどうやって拡げていくかがポイントです。今回、河川管理者様とご相談しなければいけませんが、箱のようなものを設置するというのは1つの手としてはいいのかなと思います。

・ ただ、いくつかの改良点はありますが、まず試験的に実施してみるのはどうでしょうか。塩ビ管から次へスキルアップする時に非常に役に立つので、是非ご検討させていただければと思います。河川管理者様の問題もあると思いますので、どのような手法であればいいのかを話し合わせていただければと思います。

(松田座長)

・ ありがとうございました。組合長様から提案のありました新しい取組について、経緯や意味合いなど浜口委員様より説明がありました。前回の懇談会の際には話に出ていなかったため、本日が初めての新たな提案ということになります。よって、色々な立場からご意見いただければと思います。いかがでしょうか。当面試験的に2基を設置するということですね。

(浜口構成員)

・ 追加ですが、干潟では実際に同じような構造物を設置している事例がございます。かなり頑丈なゲージを用いてアサリを保護している事例がございます。

(広島県土木建築局河川課 下隠参事(構成員))

・ 広島県の河川課でございます。基本的に川の中の管理の話となりますので、管轄は西部建設事務所や道路河川管理課でございますので、そちらで判断することになろうかと思います。今日の情報は伝えておきます。

(松田座長)

・ 以前試験を実施した被覆網設置時は占用の手続きはどうでしたか。

(広島県土木建築局河川課 下隠参事(構成員))

・ 占用の許可を出していると思います。

(松田座長)

・ 上流側の箱前側の三角形状は水切りのためということでしたよね。

(内水面漁業協同組合 鈴木構成員)

・ そうです。水切りについては設置するかどうかは検討中です。

(松田座長)

・ 箱の構造物は被覆網よりは埋もれにくいと考えていいのでしょうか。

(浜口構成員)

・ 埋もれにくいことが想定されます。1つの方法として検討価値はあると思われます。

(広島県水産課 横内参事(構成員))

・ ちなみに縦横2mの箱の構造物で何個くらいのシジミを収獲される想定でしょうか。

(内水面漁業協同組合 鈴木構成員)

・ まだそこまではわかりません。できれば試験的に2基設置し、1基は収容個数を多くし、

もう1基は収容個数を少なくする予定です。また、箱の真ん中で間仕切りをし、人工種苗ともう一方側には天然稚貝を入れて収容する等して調べていくことを検討しています。 

・ 初めから10基設置というのは、難しいだろうと思いますので、少ない設置数の中で試験をやっていきたいと考えています。

(松田座長)

・ 横内様のご質問は、これが本格的に運用するとなった場合、どのくらい数の塩ビ管 

 と箱の構造物を設置していくのかということでしたね。ありがとうございます。

・ では、次の議題「今後の方針」についてです。

・ 事務局からは、第1回懇談会の結果を反映させ、予算要求を行ったと説明がありましたので、予算の獲得の状況をふまえた上で、改めて、今後の方針について説明いただきたいと思います。 

 資料8「平成31年度以降の取組体制について(懇談会の運営)」

(事務局 古矢技師)

・ 資料8をご覧ください。では、議題に沿って説明させていただきます。まずは、太田川産アユ・シジミの再生懇談会の運営についてです。

・ 来年度の予算は、平成30年度と同規模の予算を確保することができましたので、懇談会の運営については、第1回懇談会で提案させいただいた内容(資料8-⑴及び⑵)のとおり、進めさせていただきたいと思います。

・ 懇談会につきましては、構成員として水管理部会・懇談会の統合をさせていただきまして、短期的な方策・中期的な方策に基づく取組の報告と長期的な方策の検討という内容で年1回の開催という形で実施したいと考えています。年1回の開催については、基本的には年度末に開催し、その年の報告と来年度以降の計画について議論ができればと考えております。まず、懇談会については以上です。

(松田座長)

・ 懇談会の運営についてご意見はございますか。

・ では次に、アユを増やす取組について説明をお願いします。

 資料8「平成31年度以降の取組体制について(アユ)」

(事務局 古矢技師)

・ 資料8-⑶ をご覧ください。

・ アユを増やす取組については、短期・中期的な方策を経常的な取組として実施し、可能な限り広島市の方でそのフォローアップを実施してきたいと考えています。

・ また、長期的な方策に基づく高瀬堰の運用については、試験的な運用を継続しながらデータの蓄積を図り、平成35年度まで試験運用と効果検証調査を継続し、それ以降の継続的な運用の要否を決定していきたいと考えています。

・ 祇園・大芝水門の運用につきましては、塩水遡上のリスクという点で課題が残りますので、まずは仔魚の流下促進という目的に着目し、塩水遡上の影響が少ない、下げ潮時の限定的な試験的運用の実施に向け、水門の運用につきましては来年度のできるだけ早い段階の秋の流下仔魚前の時期には、実務レベルの作業部会を開催し、具体的な調整を図らせていただきたいと思います。

(松田座長)

・ アユを増やす取組についてご意見はございますか。

・ では次に、シジミを増やす取組について説明をお願いします。

 資料8「平成31年度以降の取組体制について(シジミ)」

(事務局 古矢技師)

・ 資料8-⑶をご覧ください。

内水面漁協様からは、本日、提案いただいた手法の検討も含め、引き続き、母貝団地の整備を拡充していくという意向を伺っています。

・ 広島市では、母貝団地の整備に必要な人工種苗を来年度から正式に事業化して生産していきます。

・ シジミを増やす取組についても内水面漁協様が中心となって継続し、広島市では、短期的な方策として可能な限り、そのフォローアップを実施してきたいと考えています。

(松田座長)

・ シジミを増やす取組についてご意見はございますか。

(浜口構成員)

・ シジミですが、湖である宍道湖と比較しますと、河川のシジミの取組というのは困難であるため、アユに比べると資源の増加は難しいと考えられます。あるいは、すべての試みがおそらく初めてになりますので、広島市様の予算の関係もございますが、資源をなんとか支えるため、しっかりと取組を行っていかなければいけません。幾分試行錯誤の面が多いですので、先ほどのアユと違い目標値が立てにくいです。

・ しかし、いずれにしても太田川のシジミというのは重要な資源であることから、取組を検討していく形になるかと思います。塩ビ管からさらに容量を拡大する方法があれば、1歩先へ進めると思いますので、まず取り組んでいくという形になろうかと思います。

(松田座長)

・ ありがとうございました。只今の内容をまとめると広島市様の来年度の予算は、これまでと同規模の額を確保できたということで、第1回懇談会で提案された方針が、予定どおり反映されるということでした。

・ アユを増やす取組としては、祇園水門・大芝水門の試験運用について、具体的な調整を図られるということですので、引き続き、検討をお願いしたいと思います。

・ また、シジミを増やす取組については、広島市様、市水産振興センター様が中心に人工種苗生産を事業化し、内水面漁協様の母貝団地の整備等を実施するということで、人工種苗と塩ビ管や箱構造物などの母貝団地を繋げるということが重要だと思います。是非、広島市様と組合様の連携をよろしくお願いしたいと思います。

・ では、最後に、第1回懇談会において、平成30年7月の豪雨災害により土砂が河川に堆積しているという話があり、国土交通省から河床の横断図のデータを提供いただいています。では、資料の説明をお願いします。

 資料9「定期横断測量結果」

(国土交通省太田川河川事務所 長谷川係長(構成員))

・ パワーポイントはないため、お手持ちの資料でご説明させていただきます。資料で表している図は、旧太田川5k200から6k200の図面で3枚あるのですが、この定期時横断の目的について簡単に説明させていただきます。

・ 国土交通省では、太田川は(この図では旧太田川ですが、)洪水時、計画高水流量を正常に流すために5年に1回程度の頻度で、河川内の断面について計測を行い、計画流量を流せる断面になっていることを確認しています。図でいいますと、平成14年、17年、23年、27年という頻度で計測を行った結果を重ねています。

・ 縮尺については、川幅が200mを超えているような河川ですので、横の幅を縮めて縦軸は1╱100のスケールで、横幅については1╱500のスケールで縮尺をし、河床の堆積の変化について示しております。

・ 河川の旧太田川について簡単に申し上げますと、平成14年から平成27年にかけ、河床は堆積、洗堀を繰り返して移動していることが、この図からわかるかと思います。5k400が京橋川との合流点のところになり、中洲があるのですが、そこの位置というのは断面図の真ん中にあるように、堆積した状態で安定している傾向になっており、左岸側については、多少堆積をしています。

・ スケールがわかりにくいかと思いますが、概ね20~30cm程度の堆積が確認できます。距離のピッチが200mに1か所で、200m毎に測量を行っておりますので、このような形式を1次元の断面で表現するとわかりにくいのですが、今後議論していくうえで、平面図にコンター図で表現し、どこが堆積しやすいかの傾向を表すことによって、堆積しやすい場所等を表すことができるのでないかと考えています。今回は断面図だけの提示ですが、そのような視点でみていただければと思います。

・ 次に上流ですが、5k600付近は先ほどの断面と比べれば、平成14年の河床の断面と平成27年の緑色の線の堆積が大きいと思われます。概ね1mくらいの堆積があることがみえます。  

・ この後の平成29年の洪水や平成30年の洪水の反映がされておりませんが、これについては、継続的に確認をする上で、また随時測量を行っていく予定としています。

・ 最後の6k200地点は、大芝水門直下流になりますが、ここは護床工が敷いてありますので、堆積した土砂はフラッシュされて洪水時にはとんでいき、その直下流の200m下流では、河床の変化が大きいという傾向になっています。今回、断面図をつけておりますが、この3枚のあとに太田川5k400から7k200という断面があります。5k400から7k200では、祇園・大芝水門から上流に向かって祇園新橋の所までの断面です。

・ ここは、6k付近が祇園・大芝水門のちょうど真ん中で土砂が堆積しております。平成13年に測量しており、次が平成16年、17年、21年、22年、28年に測量しています。計6回分の調査結果を入れております。平成22年に一度中州の土砂を撤去しておりますが、出水後にまた堆積したということになっております。祇園・大芝水門のちょうど中洲のところは、非常に堆積しやすい傾向にあり、平成22年の時に1度堆積をとり、綺麗になっていたのですが、今回平成30年の洪水を受け、また堆積しているのではないかと考えております。この場所は平成28年が最新の測量の成果となっておりますので、継続的に確認をしていきたいと考えております。

・ さらに上流については、直近平成29年はオレンジ色の線で示していますが、中州部分において土砂が堆積したり、洗堀を受け、一部河床の変動が大きくなっているところがございます。    

・ 祇園新橋の直下流ですが、この場所につきましては、橋の直下流で河床の変動も大きいです。もう一か所の太田川11k800から13k600についてはアユの主要産卵場である産卵床直下流から上流に向かって高瀬堰までの200mピッチの断面図です。最新は平成29年の測量結果になっております。

・ 平成30年に土砂災害が起き、矢口水門付近にかなり土砂が堆積していますので、その災害前の様子にはなるのですが、状況としては矢口水門下流側では比較的安定傾向にあり、ほとんど河床が動いてない状況です。12k200から12k400のちょうど矢口の産卵場の付近となります。こちらの方についても、河床というのは比較的安定していたということになります。

・ 次は、13k400と13k600の間で高瀬堰がありまして、その直下流になります。こちらの方も、平成30年に土砂が堆積しておりまして、この場所も河床は年々変動を繰り返していて、堆積すれば除去を行い、また人的な土砂撤去も含まれており、河床が動いているという状況です。

・ 高瀬堰上流の貯水池内の様子ですが、平成29年の結果でいえば、安定傾向であり、ほとんど河床が動いていないという地形になっています。以上、簡単ではございますが概況についての報告となります。

(松田座長)

・ 只今の内容にご意見等はございますか。

(広島市内水面漁業協同組合 鈴木構成員)

・ 大芝水門の上流は、平成28年くらいに1度浚渫されていますよね。今回また浚渫をされるのですよね。

(国土交通省太田川河川事務所 長谷川係長(構成員))

・ はい。

(広島市内水面漁業協同組合 鈴木構成員)

・ 毎回大芝水門上流を浚渫されていますが、その下流は浚渫されません。広島市内水面漁協の漁業権内のことで、先日広島県庁様へ行き話をしたのですが、旧本川と京橋川の分かれ目に砂が堆積しています。天満川の入り口にも砂が多量に堆積しています。一昨年、太田川漁協の元組合長である森様と私で太田川河川事務所様へ行き、全写真を写し、提出してあります。

・ 平成30年7月の豪雨でまた一段と砂が堆積しています。砂が堆積するということは、河床が高くなっているので、夏場は日がよく当たり高温で30度を超え、シジミが死んでしまいます。干潮時に水が流れてこないので、川の中は風呂のような状態になります。

現場を見ればよくわかるのですが、入り口は1mの水も入ってきておりません。潮が満ちるのが、旧本川から満ちてきます。

・ よって、京橋川と天満川はすごく河床が浅く、船も通れない状態です。シジミに関していえば、浅くなったからかは分かりませんが、河川の塩分濃度が高くチヌ、エイの食害を受け、満潮時には、コイワシもみられます。天満川で高潮対策を実施されていますが、護岸を上げるばかりでなく、河床を掘ってくれないかと伝えました。河川事務所様のご都合ですが、河川が浅くなっていることを検討していただければ漁協として助かります。

(松田座長)

・ 河床の状況の変化についてご説明いただきました。他にありますでしょうか。

(太田川漁業協同組合 山中構成員)

・ 高瀬堰の下流の部分については少し浚渫していただいたのですが、まだ半分程度となります。毎年大水が出る度に、高瀬堰を開けて上流の溜まっている砂を流されるのですが、流れた分だけは全部とってもらうようにしていただきたいです。

・ 今年は、半分は陸地になり、両側半分が全然なくなっている状況です。流れた分だけは全部とってもらう旨については、覚書もあります。努力をしていただきたいです。

(松田座長)

・ ご要望いただきました。一般的な関心としては、昨年の西日本豪雨の後の測量が次はいつ行われるのかが気になりますが、何か計画などあるのでしょうか。

(国土交通省太田川河川事務所 長谷川係長(構成員))

・ 今年度の出水後の調査として、最も出水で被害が大きかったのが三篠川流域になりますので、そこの三篠川流域から重点的に定期測量を実施しております。堆積傾向がどのようになっているのかを把握するのとともに、根谷川と太田川の合流点付近というのは、かなり土砂が堆積しておりますので、測量を平成30年度実施しております。現在業務を取りまとめていますので、来年には要望があれば提示できると思います。

(広島市内水面漁業協同組合 鈴木構成員)

・ 三篠川の鉄橋が流れましたよね。あの枕木が京橋川に2本、旧本川に1本あります。古い枕木であれば、木の角は丸まっていますが、全く新しい枕木でした。枕木が流れるということは、砂も流れてきます。

(松田座長)

・ ありがとうございました。ただ今の話の関係で、今は主に溜まった土砂をとるということでしたが、第1回の懇談会でも話に出ましたが、溜まって浚渫した土砂を何か別な目的で利用できないでしょうか。例えば、環境改善や浅場造成や産卵場造成等に利用できるのでないかという話があったのですが、何かご意見があればお願いします。例をご存じでしょうか。

(高橋構成員)

・ 高知県の奈半利川の場合ですが、河口に堆積して流れが悪くなっている土砂を浚渫し、プラントに運び、川の流形をアユの産卵に最適なものにして、秋の産卵場に土砂をまくという作業を継続して実施しておりました。太田川はダムがあって土砂の供給がアンバランスになっているということも考えていった方がよいと思います。

(松田座長)

・ 国土交通省様も全体で大きな施策としては、陸と海を含めた総合的な土砂管理を色々提案されていて、私の知っている具体例では愛知県では、ダムの堆砂を海の浅場造成などに利用したりという事例もありますので、将来的には太田川に関しても可能性はあるのかなということです。

・ 今日結論を出すということではなく、今後の将来的な検討課題の1つとしておいていただければと思います。

・ それでは、総合討論という形で何かありましたらご意見をお願いします。

(浜口構成員)

・ アユについては資源状況が良好なため、今後いくつかの運用も考えられると思うのですが、いい状態をどのように継続していくかというモニタリングの意味も次の取組で重要だと思います。

・ 現在、資源が上向き加減なので、次の取組にそれらを入れてもいいのかと思いました。砂の利用ですが、海に利用できないかと思います。例えば、浅場で干潟を作らなくても

アマモ場を作ることによって、降下した稚アユの生残率が上がる等の効果が期待できるのではないかと思います。我々は干潟生産グループですので、干潟が得意分野です。広島市様の施策とは違う部分もあるのですが、総合的にアユ、シジミも含めて、海というのが割と重要なため、ある程度ケアしていく、あるいは提案できればいいかなと思います。意見でございます。

(松田座長)

・ 生息域の改善や色々な浅場造成等砂の利用を含めて、高橋委員からもコメントがありましたが、現在アユもチャンスがきていると捉えられるということですので、いかに有効に生かすかということでモニタリングを含めて少し取組を充実させていくという提案でした。 

・ 今回の議事録にも残りますので、今後の検討課題にしたいと思います。

・ 皆さん、大変長い間お疲れ様でした。今回の議事録については、事務局でとりまとめて皆さんにお送りいたします。

・ また、直近の予定としては、祇園・大芝水門の試験運用に向けた作業部会の開催に向けて、事務局で調整をしたいと思いますので、関係機関の方々はご協力をお願い致します。これで私の座長としての役割は一段落し、事務局にお返しいたします。ご協力ありがとうございました。

(事務局 徳村課長)

・ 皆さん、大変お疲れ様でした。

・ それでは、以上を持ちまして、平成30年度第2回太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会並びに水管理部会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。

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