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内閣総理大臣 石破 茂 様
核兵器禁止条約に関する日本政府の対応について(要請)
貴台におかれましては、「核兵器のない世界」の実現に向けて多大なる御尽力をいただき、広島・長崎両市民を代表し、心より敬意を表します。
日本政府におかれましては、G7広島サミットや「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議の会合を広島・長崎で開催していただいたほか、31年連続で国連に核兵器廃絶決議案を提出し、「核兵器のない世界」の実現に向けて取り組まれていることに深く感謝申し上げます。
さて、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の悪化により、核兵器使用のリスクはかつてないほど高まっています。一方で、昨年、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことは、現下の国際情勢に対する市民社会の危機感の表れであるとともに、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という被爆者の訴えが国際社会に大きな影響を与えてきたことを裏付けるものにほかなりません。
このような状況だからこそ、日本政府には、米国の拡大抑止の維持・強化を図るなど核抑止力への依存を強めるのではなく、対話による平和的解決と核兵器のない世界の実現に向けた外交努力を着実に積み重ねていくことが求められています。日本政府が、核軍縮・不拡散体制の礎石として重視する核兵器不拡散条約(NPT)と補完関係にある核兵器禁止条約の締約国会議に出席し、その議論に参加することは、被爆者の切なる願いと被爆の実相を踏まえた対応となるだけでなく、核保有国間の対立や、核保有国と非核保有国との分断を解消し、核兵器廃絶に向けた議論の共通の基盤の形成に向けて貢献することにもなると考えます。
ついては、日本政府におかれましては、被爆80年の節目を迎える本年こそ、唯一の戦争被爆国として、まずは3月に開催される核兵器禁止条約の第3回締約国会議にオブザーバー参加した上で、一刻も早く同条約に署名・批准し、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向けた推進力となっていただくよう強く要請いたします。
令和7年(2025年)1月17日
広島市長 松井 一實
長崎市長 鈴木 史朗