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トランプ米国大統領への被爆地訪問を求める要請(2025年1月28日)

ページ番号:0000415338 更新日:2025年1月28日更新 印刷ページ表示

アメリカ合衆国大統領 ドナルド・トランプ 閣下

謹啓 厳寒の候、貴台にはますます御清祥のことと心からお喜び申し上げます。

まずはこの度、貴台が大統領に就任されたことに対し、核兵器のない真に平和な世界の実現を願う被爆地の市長として、心からお祝い申し上げます。

広島、長崎への原爆投下から80年が経過しようとする今も、地球上には1万2,000発を超える核兵器が存在し、国際情勢が悪化の一途をたどる中にあって、その使用のリスクは高まる一方です。それに伴い、核超大国である貴国に期待される役割は、ますます大きくなっています。

こうした中、昨年、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことは、世界中で、被爆者が自らの辛い体験や憎しみを乗り越えた末に「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という願いを、人類全体の平和を願う崇高な理念に昇華させ、訴えてきた功績が認められたものであり、現下の国際情勢に対する危機感の表れにほかなりません。

また、世界の都市が国境を越えて連帯し、共に核兵器廃絶への道を切り開くために広島・長崎両市が設立した平和首長会議は、今や世界の160以上の国・地域から約8,500の都市が加盟する国際的な平和都市のネットワークに成長しました。貴国においても平和への思いを共有する都市は確実に増え続けており、現在229都市が加盟しています。

貴台には、こうした市民社会の声を受け止めていただくとともに、被爆地を訪問し、被爆者の生の証言に耳を傾け、核兵器の非人道性について十分に理解していただき、被爆者の平和への切なる思いを受け止めていただきたく存じます。そして、核兵器に依存する考え方から脱却し、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向けて強いリーダーシップを発揮していただくことを期待します。

また、そうした中で貴台には、核兵器禁止条約をより実効性のあるものとするためにも、締約国会議への参加を決断していただくとともに、来年2月に期限が迫っている新戦略兵器削減条約の延長に向けたロシアとの交渉を確実に進めていただくなど、NPT(核兵器不拡散条約)第6条に定める核軍縮の誠実交渉義務を履行していただくよう期待します。

末筆ながら、貴台のますますの御活躍と御健勝を、心からお祈りいたします。

謹白

2025年1月28日

広島市長  松井 一實
長崎市長  鈴木 史朗