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伊勢志摩サミット開催時におけるオバマ・米国大統領の被爆地訪問を求める要請(2015年12月24日)

ページ番号:0000010051 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

アメリカ合衆国バラク・オバマ大統領 閣下

被爆地広島・長崎の訪問について(要請)

謹啓 寒冷の候 貴台にはますます御清祥のことと心からお喜び申し上げます。

貴台におかれては、2009年の初来日の際に「広島、長崎を訪問できたら名誉なことだ」と述べていただきました。私たちはその訪問が必ず実現するものと期待し続けています。貴台の訪問が実現すれば、被爆地の市民は「核兵器のない世界」を目指す大統領を敬意と友情をもって迎えることでしょう。

今月7日には、国連総会において、我が国が106か国と共に提案した「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」決議が166か国の賛同を得て採択されました。この決議には、政治指導者や若者の被爆地訪問、被爆者による被爆体験証言といった核兵器の非人道的影響に関する認識向上に向けた取組の重要性が盛り込まれております。このように、貴台をはじめ政治指導者の被爆地訪問を求める思いは、今や世界中の多くの国々に拡がり、共通の願いとなっております。

核保有国や非核保有国などにおいて核軍縮・不拡散、核兵器廃絶に取り組む道筋に様々な考えがあることは承知していますが、核兵器を巡る議論の際に根底に置くべきは核兵器使用が人類にもたらした影響への正しい認識です。

核超大国のリーダーである貴台におかれましては、主要国首脳会議の機会を捉え、是非とも被爆地広島・長崎を御訪問いただき、被爆者の体験や平和への思いに耳を傾け、一発の原子爆弾がもたらした被爆の実相を深く理解していただきたいと思います。そして、核兵器廃絶に向けて被爆地と共に歩み続けるとのゆるぎない決意を世界へ発信していただければ、必ず他の核保有国の政治指導者の被爆地訪問に繋がるとともに、「核兵器のない世界」に向けた国際的な動きを確実に前進させることができると信じております。人類の明るい未来は貴台の良心と理性に基づく英断に委ねられております。

核兵器廃絶への道のりは厳しく、今なお1万6千発近くの核弾頭が存在する現実の中で、世界的に大きな影響力を持つ貴台の被爆地訪問と更なるリーダーシップの発揮を多くの人々が望んでおります。我々は、貴台ができるだけ早期に被爆地を訪問くださることを重ねて強く要請いたします。

なお、来年4月に被爆地広島で開催される主要国首脳会議に先立つ外相会合を前に、参加各国の在日大使館関係者の方に広島にお集まりいただき、安全性や魅力などを知っていただく機会を設けたいと考えていますので、是非、大使館関係者の方の派遣をお願いいたします。

末筆ながら、貴台のますますの御活躍と御健勝を心からお祈りいたします。

謹言

2015年12月24日

広島市長 松井 一實

長崎市長 田上 富久