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広島市の中心部から北西約5~10kmの位置に広がる丘陵地では、広島市のデルタ市街地とほぼ同じ規模(区域面積4,570ha)を有する「ひろしま西風新都」の建設が進んでいます。
この地区は、昭和40年代、民間開発事業者が土地の買収を進めるなど開発圧力が高まりましたが、道路、上下水道などの未整備を理由に、広島県が昭和50年に開発を凍結しました。その後、広島市が、都市づくりの全体計画として、平成元年に「広島西部丘陵都市建設実施計画」を策定し、計画的な都市づくりを進めていくことにしました。
その後、民間事業者による開発着工を皮切りに本格的な都市づくりをスタートさせ、平成6年のアジア競技大会開催に向けて、道路や上下水道等の根幹的な基盤整備が進み、同年8月には新交通システム「アストラムライン」が営業を開始しました。平成13年には広島西風新都インターチェンジ及び広島高速4号線が供用され、広島の都心や広域へのアクセス性が飛躍的に向上しました。
新交通システム「アストラムライン」 |
広島西風新都インターチェンジ |
広島高速4号線 |
平成25年6月には、全体計画を見直して「活力創造都市“ひろしま西風新都”推進計画2013」を策定しました。これは、民間主導で右肩上がりの経済成長を前提としていたこれまでの計画が、社会経済情勢の変化などにより、低成長時代に合わなくなってきたため、その名残を取り去るとともに、新たな都市トレンドに対応させることにしたものです。
この計画の中で、東日本大震災を教訓に、西風新都に住む人だけでなく広く市民が、安全に安心して生き生きと暮らせるよう、都市機能に「護る(防災)」機能を導入しました。また、本市の低炭素都市づくりをリードするという視点から、エネルギーや交通のスマート化を目指しています。
この計画に基づき、住民、企業、大学と行政が一体となって西風新都の都市づくりに取り組んでいます。
このように、西風新都は、都市づくりがスタートして三十数年を経て、現在では一定の産業集積と快適な居住環境の形成が図られ、「住み、働き、学び、憩い、護る」という五つの機能を備えた魅力ある都市に成長しています。
ひろしま西風新都の全景(南側から北方面を望む)