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ページ番号:0000017943更新日:2020年3月24日更新印刷ページ表示

広島市防災士フォローアップ研修のレポート

 

 
このページは広島市地域防災リーダー向けの「広島市防災士フォローアップ研修」の結果をレポートとして掲載したものです。研修に参加できなかった方、研修の振り返りを行いたい方はぜひご活用ください。

【令和元年度第1回広島市防災士フォローアップ研修】(講師:東京大学生産技術研究所 加藤孝明教授)
【令和元年度第2回広島市防災士フォローアップ研修】(講師:ローカリズム・ラボ 井岡仁志代表)
【令和元年度第2回広島市防災士フォローアップ研修】(講師:減災・福祉パートナーズ 蓮本浩介代表)

 

令和元年第1回広島市防災士フォローアップ研修

  • 日時:令和元年6月8日(土曜日)
    • 10時00分~12時40分(午前の部)
    • 14時30分~17時10分(午後の部)
  • 講師:東京大学生産技術研究所 都市基盤安全工学国際研究センター
    特任教授 加藤 孝明氏
  • 内容:「防災【も】まちづくり」のすすめ方 地域の力を引き出す~市民先行・行政後追いの防災まちづくり~

 まずは、加藤先生のご紹介を行いたいと思います。加藤先生は、「防災“も”まちづくり」を提唱されており、様々な地域に密着し、実際の防災まちづくりに携わっています。記憶に新しいのは、伊豆市土肥地域の観光防災まちづくり<外部リンク>。南海トラフ巨大地震による甚大な被害が予想されている静岡県の伊豆市において、住民の命だけでなく、観光に来られたお客様の安全・安心を確保するまちづくりを推進しています。この取組みは、全国的にも先進的な取組みとして、ジャパンレジリエンスアワード(国土強靭化大賞)2018でグランプリを受賞しています。このような地域の事例と防災まちづくりの知見をお話しいただき、広島市に新たな刺激やヒントを与えていただきたいとの思いから、加藤先生をお招きしました。

 今回の研修は、大きく分けて3部構成となっていました。1部は、「防災の基本」について。2部は、「防災“も”まちづくり」について。そして、3部に振り返りのワークショップを行いました。

1部 防災の基本

 防災を行うにあたり、押さえておくべき3つの基本があります。その基本とは以下の3つです。

人間の本質を理解する

 人間は、正常化バイアスに代表される心のメカニズムにより、状況によって、モノの見方が変わったり、自分ごととして考えるのが困難になります。防災対策を考える時は、この人間の本質を理解して、対策を講じていく必要があります。

自助・共助・公助のあるべき姿を実現する

 公助ができないことを自助・共助にお願いする、自助・共助ができないことを公助に要求するといった状況になると、持続的な防災対策は困難です。自助・共助・公助のあるべき姿は、起こりうる地域の被災状況に関する共有認識をもった上で、それぞれの力をお互いに把握して、お互いの限界を埋めていく策を一緒に考えていくことです。

災害イメージを正しく理解する

 「客観的に評価されたリスク(行政が出す被害想定・ハザードマップ等)を自分たちで咀嚼・再解釈し、当面の「受容するリスク」を主観的に設定する」ことが大切です。与えられるものには幅があることを前提として、自分たちで咀嚼して理解するプロセスが重要です。

2部 防災”も”まちづくり

 反対語は防災「だけ」。
 住民の高齢化、職員と予算の削減に伴う行政機能の低下により、防災「だけ」の対策は困難であり、地域の課題も解消しつつ、それが防災対策も兼ねるような取組みが必要です。地域の課題の解消と防災対策を両立させるためには、地域の魅力や課題をよく知っている地域が、新しい仕組みを創出・提案し、それを行政が支援する「住民先行・行政後追い型」のまちづくりモデルが理想です。加藤先生はこのような防災まちづくりを行い、多くの成功をおさめた結果、以下のようなプログラム(防災まちづくりの方法)を作成しています。

標準プログラムは「初動期」と「持続性創成期」の2つに大別

初動期のフェーズ(住民先行・行政後追いの型の形成)

  1. 地域社会への外部からの刺激・触発
  2. キーパーソンの出現
  3. 想定される災害状況の理解と課題の理解
  4. 地域社会主体の検討と行政への支援の要請
  5. 行政側からの総合的な支援

持続性創成期のパーツ(自律発展の型の形成)

  1. コミュニティの重層化
  2. 関心を持つ層の拡大
  3. 刺激の内生化
  4. 断続的な外部からの刺激
  5. 進捗の可視化(地域内での経験の共有)

 ここからは、色々な地域の事例を紹介いただきました。徳島県伊座利集落は100人の過疎集落ですが、「たかが100人されど100人、何もないけど何かある」を合言葉に地域再生を行っており、2015年に住民自ら災害時の事前復興計画を作成し、持続性のあるまちづくりを実践しています。また、板橋区宮元町会の事例では、宮元町会には、新しいマンション群が立ち並ぶエリアと古くからのまちなみのエリアがあり、新しいマンション群に住まわれている方々との連携が取れずに苦しんでいましたが、町会のホームページを毎日更新し、情報を発信し続けていると、ぐんぐんアクセス数が伸び、新しいマンション群の方々とアクセスができるようになったとのことでした。私もすぐに、宮元町会のHPにアクセスしましたが、6月1日~7月31日の期間に住民の防災意識アンケートを実施中でした。(アンケート項目を見ることができます。)

 防災まちづくりの目標は、地域の自律的・持続的な発展です。そのためには、地域で取組むべきことの「全体像」を導き、それを共有する。そのなかで、できることから楽しく始めることです。
 合言葉は、「アイデア・可能性は無尽蔵/模範解答は皆さんの中にある」、「悠々として急ぐ・・・明日にも備えつつ、未来も目指す!」です!

3部 ワークショップ

 最後に、上の2点を踏まえ、地域の課題とそれを解決するアイデアを出すワークショップを行いました。各班において、既存の行事を生かした防災の普及啓発案や新たな防災まちづくりのアイデアがたくさん出ていました。

アイデア例

  • 子どもが携帯を安全に使用する方法を教える教室を行っているので、その際に地震用の防災アプリを紹介する。
  • 夏休みのラジオ体操で子どもが集まる機会を利用して、地域の危険箇所等の町歩きを行う。
  • 町内会の古い行事を復活させる企画の中で、人の集まる機会を作り、防災の話しもしていく。
  • 高齢者の方や子どもが生まれた時に町内会で訪問をして贈り物をしているが、その機会を利用して要支援者の把握や呼びかけを行う。
  • 若い人が親しんでいる映像や音楽を活用して、防災情報を発信する など

 防災「だけ」で考えるとレパートリーに限界がありますが、今あるものに防災の付加価値をつけることで、アイデア・可能性は無尽蔵に広がります。地域の明るい未来をみんなで描きつつ、できることから楽しく防災まちづくりを始めてみましょう。