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ページ番号:0000017783更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

第6章 市国民保護計画が対象とする事態

市国民保護計画が対象とする事態は、以下の武力攻撃事態等及び緊急対処事態です。なお、ジュネーヴ条約においては、その締約国は軍事目標のみを軍事行動の対象とすることが定められていますが、非締約国が武力紛争の当事国である場合には、軍事目標以外に対しても攻撃が行われる可能性があることに留意する必要があります。

1 武力攻撃事態等

(1)武力攻撃事態の類型

武力攻撃事態等とは、武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態をいいます。市国民保護計画においては、想定される武力攻撃事態として、国の基本指針及び県国民保護計画に定める4類型を対象としています。その特徴は、それぞれ次のとおりです。

ア 着上陸侵攻

一般的に国民保護措置を実施すべき地域が広範囲になるとともに、その期間が比較的長期に及ぶことが予想されます。また、敵国による船舶、戦闘機の集結の状況、我が国へ侵攻する船舶等の方向等を勘案して、武力攻撃予測事態において住民の避難を行うことも想定されます。

船舶による上陸が行われる場合は、上陸用の小型船舶等の接岸容易な地形を有する沿岸部が当初の侵攻目標となりやすいと考えられます。

航空機による侵攻部隊が投入される場合には、大型の輸送機の離着陸可能な空港が存在する地域が侵攻部隊の投入場所となる可能性が高く、当該空港が上陸用の小型船舶等の接岸容易な地域と近接している場合には、特にその可能性が高いと言えます。なお、着上陸侵攻の場合、それに先立ち航空機や弾道ミサイルによる攻撃が実施される可能性が高いと考えられます。

着上陸侵攻による被害としては、主として、爆弾、砲弾等による家屋、施設等の破壊、火災等が考えられ、石油コンビナートなど、攻撃目標となる施設の種類によっては、二次被害の発生が想定されます。

イ ゲリラや特殊部隊による攻撃

警察、自衛隊等による監視活動等により、その兆候の早期発見に努めることになりますが、敵もその行動を秘匿するために様々な手段を使用することが想定されることから、事前にその活動を予測あるいは察知できず、都市部の政治経済の中枢、鉄道、橋りょう、ダム、原子力関連施設などに突発的に被害が生じることが考えられます。

少人数のグループにより行われ、使用可能な武器も限定されることから、主な被害としては施設の破壊等が考えられます。したがって、被害の範囲は比較的狭い範囲に限定されるのが一般的ですが、攻撃目標となる施設の種類によっては、二次被害の発生が想定されます。また、爆薬と放射性物質を組み合わせることにより、爆発の被害と放射線による被害をもたらすことを意図した爆弾(以下「ダーティボム」という。)が使用される場合も考えられます。

ウ 弾道ミサイル攻撃

発射の兆候を事前に察知した場合でも、発射された段階で攻撃目標を特定することは極めて困難です。さらに、短時間で我が国に着弾することが予想され、弾頭の種類(通常弾頭、核兵器弾頭、生物兵器弾頭、化学兵器弾頭等)を着弾前に特定することは困難であるとともに、弾頭の種類に応じて、被害の様相及び対応が大きく異なります。

通常弾頭の場合には、他の種類の弾頭と比較して、被害は局限され、家屋、施設等の破壊、火災等が考えられます。核兵器弾頭の場合は、核爆発に伴う放射線、衝撃波・爆風及び熱線によって甚大な被害が発生します。

エ 航空攻撃

弾道ミサイル攻撃の場合に比べその兆候を察知することは比較的容易ですが、対応可能な時間が少なく、また攻撃目標を特定することは困難です。攻撃の威力を最大限に発揮することを敵が意図すれば、都市部が主目標となることが想定されます。また、ライフラインのインフラ施設が目標となることもあります。

なお、航空攻撃はその意図が達成されるまで繰り返し行われることが考えられます。

航空攻撃の弾頭の種類とその被害の様相については、弾道ミサイル攻撃の場合と同様です。

(2)核兵器、生物兵器、化学兵器攻撃等による被害の態様等

武力攻撃事態等において核兵器、生物兵器、化学兵器等が使用されれば、甚大な被害が発生するとともに、特殊な対応が必要となります。以下にその被害の態様等を示します。

ア 核兵器

核兵器攻撃による被害については、専門部会による詳細な検討結果に基づき、被害の態様等を示します。

核兵器とは、爆発エネルギーとして原子核分裂反応や原子核融合反応によって放出される核エネルギーを用いる兵器の総称です。原子核分裂反応を利用する核兵器は「原子爆弾」(原爆)、核分裂反応による高温・高圧で水素の核融合反応を起こさせ、巨大な爆発エネルギーを発生させるタイプの核兵器は「水素爆弾」(水爆)と呼ばれます。広島原爆の威力は16キロトン、長崎原爆は21キロトン、これまでに行われた核爆発実験での最大威力は約58メガトンでした。原爆の場合、全核爆発エネルギーの約15%が放射線、約50%が衝撃波と爆風、約35%が熱線として放出されます。

放射線被曝は、(1)核兵器の起爆後1分程度以内に放出される中性子線やガンマ線などの初期放射線、(2)中性子線によって土や建材中に生成される放射性核種から放出される残留放射線、(3)降下した核分裂生成物から放出される残留放射線、(4)未分裂の核物質の降下に由来する残留放射線の4つに起因し、(1)は体の外部からの被曝(外部被曝)、(2)(3)は外部被曝及び体内への摂取に伴う体の内部からの被曝(内部被曝)、(4)は内部被曝がそれぞれ問題となります。

放射線がもたらす障害は、遅くとも被曝後数か月以内に現れる急性放射線症(急性障害)と、長期間の潜伏期間を経て現れる後障害(晩発障害)に分けられます。急性放射線症は、遺伝子の損傷がもたらす細胞死により起こり、線量が大きくなればなるほど症状は重くなります。また、放射線に傷つけられた遺伝子による細胞の突然変異は、それぞれの臓器に対応した潜伏期を経て、多くの被曝者の様々な健康障害―がんなどの後障害―の誘因となります。

一方、核反応によって形成された高温の火球は音速を超える速さで膨張するため、その先端で衝撃波が発生します。核爆発の直後は形成される火球とともに成長し、やがて火球の表面を離脱して同心球状に伝播して行きます。衝撃波は圧力波で、それが到達した場所にあるあらゆるものを押しつぶすように作用します。衝撃波に続いて、火球の急速な膨張に伴って押し出される空気の流れが爆風となって吹き荒れ、周囲の建物を破壊し、人間を殺傷します。爆風は空気の運動によって生じる圧力によって、その進路に存在するものを吹き払います。爆風が人体に及ぼす影響には、肺の損傷や鼓膜の破裂、内臓や眼球の脱出などの直接的影響と、爆風により体が吹き飛ばされて地面や建物等に衝突したり、建物の崩壊に巻き込まれたり、あるいは爆風により飛散した物体が人体に衝突したりすることによって生じる間接的影響があります。

また、この高温の火球は、極めて強力な閃光と熱線を放出します。このうち、熱線は、爆心近くに急激な温度上昇を引き起こして人間に第1度から第4度の熱傷を生じさせ、あらゆる可燃物を燃焼させ火災を発生させます。場合によっては、多数の火災が一つに合流した「火事嵐」が発生します。

このほか、ガンマ線と大気との相互作用に伴い発生する電磁パルスは、広範囲の電子機器を使用不能に陥れ、結果として、通信・管制業務に重大な支障を生じる可能性があります。また、核兵器攻撃後の地域社会は、電磁パルスによる電子的情報手段の麻ひの影響も重なり、流言飛語が最も発生しやすい条件を備えています。

加えて、核兵器攻撃は、人間に精神的異常や自殺、心的外傷後ストレス障害といった精神的影響をもたらします。また、核兵器攻撃によって社会的な経済基盤や生産基盤が根こそぎ破壊されるだけでなく、行政機能がよって立つ様々な情報もほとんど完全に失われるため、地域社会の再建は想像を絶する困難に直面します。さらに、被爆者は、放射線・爆風・熱線による身体的影響を受けるだけでなく、遺伝的影響の不安にさいなまれ、社会的差別や偏見にさらされるなど生活や就業の上でも様々な困難に直面します。核兵器攻撃は、何十年もの間、被爆者たちに身体的・精神的・社会的困難をもたらすことになります。

専門部会では、62年前の状況に準拠しつつ、核兵器保有国が保有する核兵器の状況等を勘案し、「夏(8月)の平日の昼間(晴れ)、当時と同じ爆心地」という場合における4つの仮想的なケースについて被害想定を行いました。その結果、例えば、16キロトンの空中爆発では、急性期の死者は6万6千人、負傷者は20万5千人、死傷率は46.4%と推計されました。また、1メガトンの空中爆発では、急性期の死者は37万2千人、負傷者は46万人、死傷率は61.3%と推計されました。これらの試算値は、控えめに見積もっても、これぐらいの被害は出るだろうというものであり、試算に当たっての設定条件によりその被害は小さくなる場合もあるし、数倍以上の被害になることもあります。核兵器攻撃が行われた場合には、このように甚大な被害が発生しますが、たとえ被害をわずかに軽減する程度の効果しか発揮し得ないとしても、爆心地から離れた地域等においては、可能な範囲内で、最善の対処措置を実施するものとします。

イ 生物兵器

生物剤は、人に知られることなく散布することが可能であり、また発症するまでの潜伏期間に感染者が移動することにより、生物剤が散布されたと判明したときには、既に被害が拡大している可能性があります。

その被害は、使用される生物剤の特性、特にヒトからヒトへの感染力、ワクチンの有無、既に知られている生物剤か否か等により被害の範囲が異なりますが、ヒトを媒体とする生物剤による攻撃が行われた場合には、二次感染により被害が拡大することが考えられます。

ウ 化学兵器

一般に化学剤は、地形、気象等の影響を受けて、風下方向に拡散しますので風向きの変化を考慮する必要があります。化学剤は、種類によって、特有のにおいがあるもの、無臭のもの等、その性質は異なります。

また、気温や湿度、風などの気象条件等により、同じ種類のものでも、その被害の範囲や程度が異なります。

化学剤の多くは、そのままでは分解・消滅せず、原因物質の除去が必要となります。

エ ダーティボム

ダーティボムは、爆薬と放射性物質を組み合わせたもので、核兵器に比して小規模ではありますが、放射線による被害や爆弾の破片、飛び散った物体による被害、熱及び炎による被害があります。

放射線がもたらす障害は、核兵器の場合と同様です。

2 緊急対処事態

緊急対処事態とは、武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態又は当該行為が発生する明確な危険が切迫していると認められるに至った事態であり、国家として緊急に対処することが必要なものをいいます。市国民保護計画では、想定される緊急対処事態として、国の基本指針及び県国民保護計画に定める事態例を対象としています。その被害の態様は、それぞれ次のとおりです。

(1)攻撃対象施設等による分類

ア 危険性を内在する物質を有する施設等に対する攻撃が行われる事態

(ア)可燃性ガス等貯蔵施設及び近隣の石油コンビナート、弾薬庫等の爆破

爆発規模等によっては、施設等の周辺住民に被害が発生するとともに、建物、ライフライン等が被災し、社会経済活動に支障が生じることが考えられます。

(イ)危険物積載船への攻撃

危険物の拡散により、住民に被害が発生するおそれがあるとともに、港湾や航路の閉鎖、海洋資源の汚染等社会経済活動に支障が生じることが考えられます。

(ウ)ダムの破壊

下流域での水害等の発生が考えられます。

イ 多数の人が集まる施設、大量輸送機関等に対する攻撃が行われる事態

爆発により人的被害が発生し、さらに施設等が破壊された場合には人的被害が拡大します。

(2)攻撃の手段による分類

ア 多数の人を殺傷する特性を有する物質等による攻撃が行われる事態

生物剤や化学剤の散布、ダーティボムの爆発による攻撃があった場合には、大規模な被害が発生します。

また、水源地、配水池や大規模集客施設の受水槽等に毒素等の混入が行われた場合には、飲料水の摂取により人的被害の拡大が予想されます。

イ 破壊の手段として交通機関を用いた攻撃等が行われる事態

航空機等による自爆テロの場合、爆発、火災等により人的被害が発生し、施設の破壊規模によって被害の大きさが変わります。攻撃目標の施設以外に周辺への被害の発生が予想されます。

また、建物、ライフライン等が被災し、社会経済活動に支障が生じます。

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