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2015年03月13日記者会見「任期最後の議会を終えた感想について外2件」
動画は下記からご覧ください。
(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>
市政記者クラブからの代表質問
- 【任期最後の議会を終えた感想について】
- 【アストラムライン新白島駅の開業について】
- 【地域防災計画の見直しについて】
その他の質問
- 【土砂災害、被爆70周年、経済活性化への課題について】
- 【基町地区のまちづくりについて】
- 【核兵器禁止文書について】
<会見録>
市政記者クラブからの代表質問
任期最後の議会を終えた感想について
記者 一昨日、2月定例会が終わりました。任期最後の議会になりましたが、率直なご感想を伺えますか。
市長 先の定例会では、当初予算を始め諸議案を原案どおり決議していただきました。新年度の当初予算は、義務的経費や継続事業に係る経費を中心にしておりまして、骨格予算ということです。この骨格予算は、4年間の私の市政を継続して推進していくという意味合いを持った予算であり、そういう意味では、予算成立で一つの区切りがついたかなという面はありますが、未だ道半ばという、枠組みができただけという思いがあります。
感想に関しては、本会議の中でも答えていますが、4年間掲げてきた行政推進の基本、すなわち、この広島を「世界に誇れるまち」にするためにはどうするかという視点でやってきましたが、昨今の人口減少という、経験したことのない経済社会の変化の中で、今ある豊かさを更に増しながらも次の世代に引き継いでいくためには、今までの発想を越えた新しい政策展開を考えていく必要があると思っていまして、そんなときに改めて、広島を「世界に誇れるまち」にするという理念の下に考え方を整理していくことが求められているのではないかなと思っています。
そんな中で、今までの取組を振り返ってみますと、(広島)駅周辺の整備は都市機能の充実強化の一環でした。高齢者地域支え合いモデル事業はワーク・ライフ・バランスの範疇ですが、市民の主体的なまちづくりという視点での取組ですが、一定の進展はあったと見ています。今後、これをさらに加速させるために、もっと広い視野で環境づくりをすることが求められるというのが人口減少社会の中での大きなテーマだと思っていまして、その際には、広島市を含む17の市町による広島広域都市圏のメンバーの都市同士が仲良くする都市連盟、ミュニシパル・アライアンスを結んで、200万人を超える都市圏を構築しようではないかと、そしてその中で、ヒト・モノ・カネ・情報をしっかり循環させるという考え方の下に一緒にやっていくことが要ろうかと思います。
同時に、それを推進する中心となる広島市を、中四国の中心都市としてふさわしいものにしていく必要がありますので、諸施策、諸施設の一層の整備・充実が求められていると思っています。そして、そういった中で、被爆都市ヒロシマという役割もおろそかにできません。「迎える平和」というスローガンでまとめていますが、広島のまちの中の至る所で平和記念・国際文化都市だと感じられる佇まいを醸し出すようなものにする、そのための取組を更にやっていかなければならない局面にあると思っています。
同時に、昨年8月の豪雨災害の経験から、被災地をよみがえらせることも重要です。そのための「復興まちづくりビジョン」も策定しつつあるので、まずはこれを確定させて、復興を確実に推し進められる状況を作っていくと同時に、その手法・成果を市全域に跳ね返らせ、市全体が防災・減災のまちになる取組が要ると思いますが、それを行政・市民が一体となってやっていくという、そんな大きな課題もあるという認識で、引き続き、そんな大きな課題が残っていると思いながら会議を終えたということです。
アストラムライン新白島駅の開業について
記者 明日、アストラムライン新白島駅が開業します。新駅開業に対するご感想と、ご期待を伺えますか。
市長 アストラムラインに関しては、大きな公共交通の一環を担う大事な政策という認識ですが、基本的な見方は、わがまちを「活力にあふれにぎわいのあるまち」にする取組の中でどのようにしていくかという視点から見てまいりました。そして、都市内交通の円滑化をやっていくという視点で見たときに、新白島駅の整備は、欠かせない重要な取組の一つですが、それが明日開業となり、活力・にぎわいの取組の、一つの大きな一里塚という意味で、それが出来上がることは大変嬉しく思います。
新白島駅は、JR山陽本線とアストラムラインが交差する白島地区において、この整備が完成すれば、東西に延びるJR沿線から広島市中心部へのアクセスに関して速達性や定時性が向上します。そういう意味では、広域都市圏の利用者の利便性向上は間違いなく図られると思います。そして同時に、昨年8月でアストラムラインが開業20周年を迎えましたが、アストラムラインの運営そのものにも貢献する、とりわけ経営改善を色々な観点からやっていかなければならないアストラムラインですが、それにも貢献する可能性が大であると思っています。
あとは、この駅がある白島地区のまちづくりについても、駅が開業することで、一定の進展、活力・にぎわいにも貢献すると思っています。
いずれにしても、まずは工事実施にあたり、地元の方々の協力を得ました。JR西日本をはじめとする関係者の方々にお礼申し上げたいと思います。こういう、迅速・的確な対応ができたことに関してのお礼です。明日は、そういう意味ではお祝いの日となりますが、ただ、実はその日付に関して言えば、24年前にアストラムラインの工事に着工したばかりのところで、橋桁落下事故が発生しまして、尊い人命が失われるということがありました。そういう日にも奇しくも当たっています。これは別に意図した訳ではなく、全国のJRのダイヤ改正の日で、同日になってしまったのですが、いずれにしても、そういった尊い犠牲の上にアストラムラインが一段と充実するということを忘れることなく、引き続き、公共交通の充実強化をやっていきたいと思っています。
記者 三点伺いたいのですが、今回この新駅ができることに対する期待を伺ったのですが、具体的に、まちづくりにどう生かしていくのかというお考えと、アストラムが開業して20年経って新駅が出来ましたが、地元の方に話を聞くと、開業時から(新駅が)あればよかったんですがという話があり、(松井市長が)市長になられる前の話なので難しいかもしれませんが、その辺りのお考えと、新年度の市長選後になるんですが、西風新都への延伸の判断が迫っていて、その辺りの現在のお考えをお聞かせいただければと思います。
市長 まちづくりに関しては、少なくとも、結節点ということになりますが、そこでの乗り降りがまず起こります。すると、その駅の傍の施設群へのアクセスが便利になりますから、施設群の活用にも役立つし、そこでの乗り降りが可能になることで、乗り降りされる方へのサービスを提供する近隣のお店の生業も変えていくと思います。
そして、駅のつくりとして、「ごみ・花・自転車」ということで、最終的には緑の見える駅にすると申し上げていますので、見た目でも、実用面でもその地域の機能アップが図れる、それを拠点でやりながら、そこを通じて、市内に定時かつ迅速に行けるという状況になりますから、市中心部への誘客を今以上に増やすチャンスになるのではないかという認識でいます。
そんな中で、アストラム開業時から(駅開業を)やっておけばという話だと思いますが、先ほど、JR西日本にお礼申し上げると言った話と重なりますが、10年、20年前の公共交通体系の考え方は、国の基本的な指導もあり、色々な公共交通を競わせることで発展させるところがあったと思います。そうすると、それぞれの独自の体系の中で、客を引っ張り込んで自分たちの公共交通を発展させるという基本的な考え方があった中で、アストラムの新設にかかっていますから、直ちにJRとアストラムの接続という発想は採りにくかったのではないかと思います。
ところが、開業から20年経って、私がまだ役人をやっていて市長になる前くらいから、公共交通機関の基本的なインフラは大体整備できたという状況になってきて、公共交通体系の利用強化を図るという視点に公共交通政策が変わってきているんです。そうすると、競い合ってインフラ整備というのではなくて、行き渡った中で、むしろ連携を深めて、公共交通機関同士がお互いにウィン・ウィン(両者にとって適度に都合がいいこと)の関係になるための連携方策を探る方がいいのではないかという流れになってきました。これは、新幹線も飛行機も同じです。そういった中で、全体として自分が全部の客を取り込むというのではなくて、旅行客などいろんな客を、お互いに回しながらやるという機運がようやく出た中での取組だったと思っています。それをいち早く理解していただいて、JRとの協力もできてここまで来たのではないかと思っていまして、そういう時代背景等も踏まえながら起こった事象ですが、いち早くそれを取り込めたという点について、関係機関にお礼申し上げたいと言ったつもりです。
それから、延伸問題については、やはりその延長であり、環状線に仕上げるということは重要で、各公共交通機関が連携して、利用者の利便性を高めることを考えたときに、アストラムは途中で止まっているという認識ですので、早く接続して循環型にする、あるいは循環型にするということを皆さんにお示ししながら、これからのアストラムの経営をしっかりしたものにしていくことが重要であると思っています。
記者 環状線の捉え方というのは、JRも含めての環状線なのか…。
市長 もちろんJRも含めてです。ですから、いろんな財源の問題もありましょう。まずもって、リングを早く完成することに主眼を置いて、そして次には、利用者の利便性となると、関係機関が連携して料金体系を抜本的に変えていただくことが可能になれば、相当程度、利便性が高まるはずですが、その料金体系の在り方も基本的なところを変えていかなければいけない。国政の部分も待たなければならないところもありますが、地元としてできるところは同時並行でやっていきたいと思っています。
地域防災計画の見直しについて
記者 地域防災計画について伺います。9日に開催されました避難対策等検討会議で検証部会の提言に対する市の方針案が示されたんですが、今月中に発表予定の地域防災計画の見直しに向けて、特に力を入れたいことについてお聞かせください。
市長 災害に強いまちというようなものにしたいと考えたときに、災害に強いということについては、災害そのものは自然の力ですから、起こることはやむを得ないということなんです。ただ起こった時に、それに対して強いということが言えるようなまちという意味だと思うんです。
そうすると、その被害そのものをゼロにするということは難しいとしても、被害を最小限にすることが災害に強いまちという意味かなと思うわけです。
そうすると、被害を最小限に抑えるためには、「自助」、「共助」、「公助」という、起こったことに対してそれを食い止めるための努力をそれぞれの個人、集団、さらにそれを取り囲む大きな集団の努力があって、それが機能するようにするということだと思います。
その考え方を具体化する上で、行政というのが、災害あるいは防災に関する情報を適宜・適切に発信していくということ。その発信というのは、その情報内容を個々の住民にきちっと届けるということが要ると思います。
そして、それを受け止めた住民、つまりお一人お一人がおられる地域の中では、まずその情報と自分が持っている、どこが危険であるとか、どのように避難したらいいかというその防災関係の情報をあらかじめ理解しておいて、来た情報とマッチングして速やかな行動を取れるようにするということじゃないかなと思うんです。
そして、その行動というときには、住民が安全に避難、その状況から逃げられるということがあります。そうすると、ある時、急に動くということができないとすると、日頃から情報が入ったと、どのようにしようというようなことを、一個人じゃなくて、地域におられる住民同士がそういったものに対して対応しようという日頃からの地域の繋がりを作り上げていくということがとても重要だと思います。
それらに向けて、その防災計画を今まであったものの中で、足りないところを補うという作業をしてきたのが、この検討会議だったと思っていまして、経験を踏まえた修正をやるということにしたところです。
今回の防災計画の見直しでは、今申し上げた総論を頭に置きながらポイントを挙げますと、まず避難に関する情報については、危険度、危険度というのは様々な段階がありますから、それに応じて対象地域、この危険はどの地域に関係するんだということを限定して出せるようにする。とにかく、大変だから皆に情報をばらまいておけばいいというのではなくて、どの程度の危険、段階に応じて対象地域を明確にして出せるようにするということだったと思います。
それから、とりわけ今回みたいに、受け止めたほうが活動しにくい状況、夜間とか、急激に気象が変わったというような中でも、被害を最小限にできるような対応が可能にするということで考えていく。
そうすると、大雨の注意報、注意しましょうという段階から、それをお世話する職員がまず集まる。今まではもう少し後でしたが、早めに集まって情報の収集と発信をやれる体制を作るということです。前倒しで動ける体制にするということをやったと思っています。
それから、そういった中での地域の取組ですが、拠点、拠点での動きが大事です。我々が持っている地区の組織が区役所と消防署です。ここが連携できるようにする、今以上に連携するということ。そして、その連携の視点は、支援を的確にやるという視点でやるということです。支援内容とすれば、その地域の実情に即した支援をするということで、ここでまた日頃からということになりまして、避難訓練とか研修会等の実施などもこういったところで連携しながらやる。
そして、個別に地元の方々が、どこが危ないんだということを分かっていただくために、ハザードマップです。それぞれの災害の種類、自分たちの地域ごとに、どのような災害があったときにどうなるんだ、どこが危ないんだといったようなハザードマップの作成もやりたい。市域全体(のハザードマップ)があるからということではなくて、個々、地域ごとにそれが分かるようなものにしていくということ。それができれば、着実に地域ごとの防災力がアップできるのではないかなと思います。
それと、そういった個別の仕掛けをトータルで指導・調整するという機能がいるということでした。主に発生した災害を最小限に食い止めるということを中心にということで、今まで危機管理を消防局に置いておりましたが、日頃からの対応ということをやりながら、危機が起こった時にその危機回避のための対応と、それから後の様々な対応ということも、一連のものが体系的に連続してやるということこそ重要だという評価も得ましたので、全庁的な指導・調整をやっていくための機能の技術強化を図るために、消防局にあった危機管理部門を市長事務部局に移すということ。
そして、そこで併せて他の関係機関との連携も図れるような体制にしながら、各役所内の各関係部局に指示が徹底するような組織作りをした上で、やろうということです。
そういった成果を踏まえて今回の計画にそれが分かるように、その実現が可能なようなものにしたと思っています。計画ができましたので、それらを新年度から実施していく、確実にやっていくということじゃないかなと思っています。
記者 今回の見直しでは、避難所開設前に避難勧告が発令される可能性についても挙げられていましたけど、これまでの住民側の意識としては、避難勧告イコール避難所へ行くという固定観念がまだあると思うんですが、今後、市としてこういう住民側の意識変換、新しい避難基準・避難行動のための意識改革は、どうやって周知・浸透していくのでしょうか。
市長 周知はこういった形で新聞等で、基本的考え方を変えましたよということを言っていただくということをベースにしながら、地域ごとに(新しい避難基準)をお示ししなければいけないと思うんです。先ほど申し上げたように、区役所・消防が地域に入って住民の方の町内会組織と一緒に、危険度に応じた情報を段階的に地域限定して出しますよ、それを受けたときに、自分が判断して、すぐに避難しなければならないとなったときに、自分たちが日頃から避難する場所も自分なりに用意しておいてください、それがもっと程度が激しくなって、大変になったときには、次は公的なところで避難所をこういう形で準備していますから、その段階に応じて、自分で、どこでどう避難するかということを考えてください、といったその一連の動きが分かるように丁寧に説明しないといけないと思うんです。
今までは、避難所をまず開設するということをやっていましたから、(避難所を開設する)までは皆が動揺するから、ちょっと待って情報を整理して出そうという、ざっくりした計画だったのを、もっと細かくしましたから、ちょっとした注意情報の中では、大規模な避難所設置までいかないとすると、もう一回自分で一番安全と思われるところはどこがいいかということで申し合わせて動くようにする。危険度が高まったら、次により安全なところ。それは多分、行政としても予定したところであると。それを開くために、避難勧告等の前に施錠を解いて、皆で連携してそこに入れる準備をする。だから手順は全部少し変わってくるわけです。
それらの動きを自分たちがどこでどう判断する、自分たちでできないときには、区役所・消防署にも相談してできるようにする、そんな一連の動きが見えるような情報提供をする中で、皆さんの意識を変えていくということを、丁寧にやらないといけないかなと思っています。
その他の質問
土砂災害、被爆70周年、経済活性化への課題について
記者 (就任して)まもなく4年経つわけですが、まだ残っている課題について、三つ挙げるとして、一つは土砂災害のこれからのまだ残っている課題、もう一つは、被爆70周年についての課題、経済活性化について、ご自身がお考えになる課題としてはどういった課題がまだ残っているなというように思われているんでしょうか。それをお答えいただければと思います。
市長 まず土砂災害に関しましては、非常に大きなフレームワーク(枠組み)と言いますか、復興まちづくりビジョンということで、マクロの展開が国・県・市の連携で大きな枠組みができつつあるし、予算等の重点配分をいただきながらいけていると思うんですが、それは行政サイドでコントロールする方の作業の進捗状況なんですが、むしろ皆様方が気にされているのは、地域の方々がそういうことが動いているとは言いながら、自分の生活はどうなっているんだろうということです。
実際まだ避難所生活をしていて、行政からの支援、あるいは義援金はどうなるか。そして、具体的にその作業が進んでいない、そういう設計図は分かっても、直接自分たちの生活にどう影響するか分からないというようになっている中で、自分の人生設計の大幅な変更を迫らなければいけないというような方々に対して、お一人お一人が事態を了解して、このようにするんだなと。心配、心配じゃなくて、こういう中で、こう対応するということが可能なんだなということが分かるように、その部分をもっともっと徹底するということが、今求められていると思うんです。
そのためには、まずもって、いろいろな事情がどうなっているかを可能な限りしっかりと説明しないといけないと思うんです。砂防堰堤を造って、その砂防堰堤を造るときの立ち退き対象になっている方々、その堰堤のそばの住居の方々、自分たちの生活どうするんだ、移転しなければいけないとしても、資金計画はどうなっているのだろうか、今仮設の住居に入っているけれども、いつまでにどういう形で自分の資金計画を立てて、それからどうしよう、そういう悩みをいずれの方も持っておられると思うんですが、そういった方へできたら丁寧に一緒に相談に乗って、そういったものが少しでも解決する支援策をご相談に乗れるようなものがあったらと思うんです。
そんな中で、そういう問題があるから、肉体の変調もきたすのかも分かりません。避難されている方々の健康状態等にも関連すると思うんですが、そういう悩みが、今以上にもっと早く解消できるような支援方法をもっともっとやっていかなくてはいけないかなと思っているのが土砂災害に対しての問題です。これは、担当者・関係者の一連の動きをもっともっと充実させるということが大きな課題かなと思います。
70周年に関しましては、イベントもの、記念行事ものというものは、行政で一応50項目ほど挙げてやっていますが、それ以外に多くの市民の方々が独自に取り組んでこられますが、それら一連のものが一体となって、70周年のこの日を記念して、そこでの最終メッセージが私自身は一つこの広島の思いですから、核兵器廃絶、恒久平和、そういったものに繋がるように、対応は別々だとしても一つの大きなメッセージが出せるような調整がもしできたら、やりたいなと思っているのが一つ。
それからもう一つが、次の100年に向けてのまちづくりの先導事業ということを言いました。これについては、今度の予算も骨格予算ですから、予算も付いてはおりません。しかもこういう方向でということも問題提起しましたので、先導事業に関しては、これからいろいろなテーマ、これに限ることなく市民の方と議論をするといいますか、どういったまちづくりにするかということを、市内の至る所でそういう議論ができるようなものにして、それに必要な予算を議会と一緒になって付けて、喧々諤々と議論するけれども、やるときには一丸となってまちづくりが進むといったことができるようにしたいと思っています。ですから、この70周年というのを契機に、次の世紀に向けての新しいまちづくりをやるための方法論をしっかり確立したいと思っています。
経済の活性化ということに関しましては、自分自身、経済という一般用語でいうと分かりにくいんですが、考えてみればこの地域の中で、いろんな経済活動と言える活動をするということ、その活動というのはそれをする方がいるということです。だから、この地域の中で、経済活動をする方がこれ以上減らない。上手くいけば増える。かつ、ここでの経済活動がしっかりすれば、これから間違いなく高齢化していく。65歳以上の方が、2025年には段階の世代が75歳になるというようにして、社会の中では今までしっかり働いてきたんだから、社会全体からその後の人生をしっかり面倒を見てもらえる。そういう方々が増えてくるわけですから、それを支える人口がこれ以上減らない、増えるというような仕掛けということは頭に置きながら、経済活性化が要ると思うんです。
そうすると、その企業活動・経済活動をするための企業の誘致、その拠点確保と、地域ごとにある程度働き盛りの方がいて、住宅団地のような高齢化していると言われているところに若い方々が上手く住まうようにして、地方自治体の大きな支えである自治、町内会とかそういったところもしっかりとする。直接経済に関係ないと思われるかもしれませんが、そういうところで生活しながら、その方々が通勤なりして、経済活動を支えるわけです。経済活動を支えるお一人お一人が、充実した生活をしてがんばろうというような社会環境、地域環境を作るということが重要だと思うんです。
その際、働く場というのは、多くの企業、いわゆる中小企業と言われる、形式的資本、従業員数からいうと、超大企業ではない企業群がほとんどです。そういった中小企業群に対する的確な支援。これはもちろん、国・県もやっていますが、基礎自治体である市としても、そういった支援の枠組みも活用しながら、わが市独自の支援策というのも、もしあれば講じる。
そして、国の枠組みも利用しながら、例えば今度の地方創生などで、首都にある本社機能の移転とかということをやれば、税制優遇を考えるという仕掛けもありましょうから、例えばそんなものも利用して、企業活動が活発になるような企業誘致もこの地に図る。その場所も提供する。そんなことをやれたらなと思うんです。これはやれたらなというか、絶対にやらなければいけないという絶対命題だというように思っています。
基町地区のまちづくりについて
記者 先ほどの新白島駅を生かしたまちづくりに関連した問題でもあるんですが、新白島駅南側の基町の広島中央公園の活用について、このエリアで自由広場と芝生広場、それに2年後には県営アパートの全廃があって、広大な空き地があるわけですが、この新駅も生かして、今後この地域をどのように活用されていくつもりかお聞きしたいのですが。
市長 中央公園ですか。
記者 はい。
市長 中央公園はもともと国の土地ですが、あそこ一帯を公共施設も配置していまして、造られた年限から見ると30年、40年経過しているものも出てきています。そして、あそこ一帯としてどういうような土地利用をするかということがこれからの大きな課題になっていると思いまして、ハコモノとかインフラの整備、とりわけハコモノの整備を一方でやりながら、今ある施設群の再配置をやる際の用地としてここら辺をどう活用するかということをしっかり議論しなければいけない地だと思っています。
その中央公園の北側に住宅群がありますけども、その住宅群の中でも耐用年数が来たりしている施設群もあって、そこでは県営・市営住宅の管理について、県営住宅であっても市内にあるものは市営住宅にしていくという考え方のもとで県・市が調整していますので、そういった際に施設の在り方についてどこら辺にどう用地を確保するか、利用するかという課題もあります。それらをトータルで検証しなければいけないと思っていまして、まだ確たるアイデアがあるわけではありませんが、今申し上げたような複数の要素を調整して、在り方を考えるという大きな課題があると思っています。
いずれにしても、個別にテーマ設定をして、今それぞれ担当部局で検討しているところですので、検討の進捗状況と合わせながら、課題となったものを中央公園に当てはめて、どういったものにするかということをきちんと議論して、またそれを皆さんにお示ししてご意見を聞くということをやっていかなければいけない、そんなステージ(段階)になると思います。
核兵器禁止文書について
記者 今度のNPTのことについてお聞きしたいんですが、オーストリアが呼びかけていた核兵器禁止の文書について日本が賛同しないという方針を固めたということなんですが、そのことについてはどのように思われていますか。
市長 (方針を)固めたという情報は私も今朝見まして、端的に言ってどんな状況かというのが(確認が)取れていませんでしたが、わが市としては、オーストリア政府が全国連加盟国に賛同してくださいというこの文書を配っている、それについての対応の中で日本政府が賛成しないのではないかという報道を今日聞いたわけですけども、実は作業的には、「オーストリア政府の文書に賛同してください」ということで要請文を出そうじゃないかと言って準備している長崎ともずっと連絡を取ってきているところで、そういった中で結論としては、今回言われた外務省の対応について事実確認をやらなければいけないというのが今段階の状況です。
ただ、わが市の基本的な考え方を確認しますと、来月のNPT再検討会議を成功させないといけないという基本的な姿勢に立っていまして、かつそういった中で今までの流れをもう一度復習してみますと、各国政府とか国際機関、あるいは市民団体、いろいろな広範な主体がこの問題について段々輪を広げて取り組んできています。そして過去3回、核兵器の人道的影響に関する国際会議も開かれました。直近のオーストリアでも開かれたわけです。そこで、そういった流れを踏まえての今度のNPT再検討会議ですから、これを成功させるということは誰しも願い、そのために動くべきだと思いますし、私自身今までの受け止めは、日本政府もNPT再検討会議の成功を促進するための積極的な貢献はすると表明されているという事実は押さえていますので、それを前提にして、じゃあ成功に向けて何をするかというのは、当然今までの流れの中で、核兵器の非人道性に関する国際会議で行われた議論・成果を活用すべきだと思います。
その流れでオーストリア政府の文書が出てまいりますし、それを賛同していただく。そして、日本政府としても、核兵器国と非核兵器国の中で、世界で唯一被爆した国という立場で橋渡し役をするということをやってくださいということを今までも言っているつもりですし、これからも言い続けなければいけないという立場でいます。
そんな中で、政府にこういった広島・長崎の立場を理解して対応してくださいということを言わなければいけないと思っている矢先の報道ですから、事実確認をしながら長崎と連携して対応を考えていきたいと思っています。
記者 今の質問に関連して、平和首長会議としても核兵器禁止条約の早期締結を求めてきたというここまでの流れがあります。そうした中で、被爆国としての今回の判断ということで、非常に残念だという意見もありますけども、非常に残念な判断だと思いますけども、その辺り、市長はどのようにお考えでしょうか。
市長 この情報の事実確認は直接聞いていないのでもう一度確認したいというのはありますけども、平和首長会議としても非人道性に着目したこの一連の動きについて、しっかり対応してもらいたいということは首長会議メンバーにちゃんと意思表明しようと思っています。皆さんに配る予定なんです。国というか、その国を支える各都市として、共通認識として核兵器廃絶、恒久平和、そのための具体的な進展を図るために核兵器を禁止・廃棄する、それに向けての法的枠組みもあっていいんじゃないかということを言い続けるつもりです。ただ、その中で、こういった政府の判断がもし出てくるとすれば、もっともっと世界の情勢、多くの人々が願っていることを受け止めた対応に舵を切ってもらいたいと思います。
今たまさか(たまたま)国際情勢に様々な問題があるとしても、核に頼る威嚇の政治そのものがあるべきでないと思うんです。相手が何をやるか分からないという疑心暗鬼を前提にしながら物事を進めたら本当の平和ってあるでしょうか。基本的なところで人間として、人類として自分たちが共存するんだということを考えれば、相手を殲滅し、ひょっとすれば自分自身も滅ぶような武器を用意しておいて、それで仲良くしましょうというのは論理矛盾です。だから、そういった誰もが考えても当然だと思うこの考え方を早く為政者、政治というレベルで現実はそうはいかないということを言うのかもしれませんけども、やはり政治家として理想に向けて政治に取り組むということこそ、あるべき姿なので、現実問題の障害を早く乗り越える、そして理想に向けての対応をするということをやってもらいたいし、やるべきだということを言いたいと思います。その輪を広げるためにも、平和首長会議、都市レベルで、市民レベルでそういう意識を醸成していく、広げていくということをやりたいと思います。
記者 外務省に対しても、同様の意見をお伝えしていきたい…。
市長 今申し上げていることをとにかく理解してもらいたいです。世界の為政者、日本の為政者も含めてぜひ理解してもらいたいです。視点を変える、価値判断を変えるということをやらない限りこの問題は収まらないと思います。
※ ( )は注釈を加えたものです。