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『福祉サービス利用援助事業』は、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など判断能力が十分でない人に対して、福祉サービスの利用援助を行うことによって、自立した地域生活を送ることができるように、平成11年10月から国庫補助事業(当初「地域福祉権利擁護事業」でスタート、平成19年4月から「日常生活自立支援事業」に名称変更)として都道府県・指定都市社協(平成15年4月から指定都市社協に拡大)を実施主体に開始された事業です。
財産管理や身上監護に関する契約等の法律行為全般を行う成年後見制度に対して、『福祉サービス利用援助事業』は、利用者ができる限り地域で自立した生活を継続していくために、判断能力が十分でない人の「福祉サービスの利用援助」や「日常的な金銭管理サービス」「書類等の預かりサービス」を行います。
『福祉サービス利用援助事業』は、本人と社会福祉協議会が交わす契約によって援助します。判断能力が十分でないといっても、契約内容が理解できることが前提です。あくまでも利用者の意思に基づきながら、相談助言、関係する手続き等の同行、代行という方法により援助していきます。本人の状況によっては、例外的に限られた範囲内で代理権が付与されることがあります。
広島県内では、「かけはし」の愛称で呼ばれています。(以下福祉サービス利用援助事業「かけはし」とします。)
サービスの種類 | サービスの詳しい内容 | 方法 |
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福祉サービスの利用援助 |
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日常的な金銭管理サービス |
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書類等の預かりサービス |
保管できる書類等
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次のような場合に「かけはし」の利用者は、成年後見制度の利用を検討します。
当初は、契約締結能力があり、社会福祉協議会との間で契約によってサービス提供が行われていても、締結した後に判断能力が急速に低下し、それまでの契約では支援できなくなった場合には契約内容の変更を行わなければなりません。
すでに判断能力が契約締結できないレベルまで著しく低下しているならば、成年後見制度を利用することになります。
また、「かけはし」では、サービスの内容や提供の手段に限界や制約があります。サービス内容は、利用者の日常的な生活を支援するもので、書類などの預かりについては、紛失、盗難、しまい忘れ予防が目的となります。相続の問題が発生し、不動産の管理や売買が必要になったり、また高額な財産の運用が必要な場合は、「かけはし」では担うことができません。
さらに、利用者の状況の変化によって施設利用が必要となる場合もあります。施設入所などの居所の変更を伴う手続きの代理も「かけはし」では行うことができません。より広範な代理権や重要な法律行為を必要とする事態については、成年後見制度に移行していくことが望ましいといえます。
また、悪質商法による契約の取消しを必要とする場合や、借金や高額商品の購入などが繰り返されるなどの問題については、「かけはし」では「取消権」がないため、成年後見制度における取消しが有効に機能する場合が多いといえます。
成年後見制度(法定後見) | 福祉サービス利用援助事業 | ||||
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所轄庁 | 法務省 | 厚生労働省 | |||
法的根拠 | 民法、家事審判規則等 | 社会福祉法、厚生労働省通知等 | |||
対象者 (認知症高齢者・知的障害者・精神障害者等) |
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高齢者や障害者などで判断能力が不十分な者(手帳等の保持者に限らない) | |||
支援者・機関の名称 | 本人 | 成年被後見人・被保佐人・被補助人 | 本人 | 利用者 | |
保護者複数可 | 成年後見人・保佐人・補助人(親族、弁護士、司法書士、社会福祉士等及び法人) | 援助機関 | 市区町村社会福祉協議会(法人) 法人の履行補助者として専門員、生活支援員 |
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監督人 | 成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人 | 指導監督機関 | 都道府県・指定都市社会福祉協議会(実施主体)及び運営適正化委員会 | ||
費用 | 後見の事務に関する費用、成年後見人、監督人に対する報酬費用等について、本人の財産から支弁することを明確化。 | 社会福祉事業として、契約締結までの費用は公費補助 契約後の援助は利用者負担(生活保護利用者は公費助成) |
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手続きのはじまり |
家庭裁判所に申立て(本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官等、市町村長)
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社会福祉協議会に申し込む (本人、関係機関、家族等) |
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意思能力の確認・審査や鑑定・診断 | 医師の鑑定書・診断書を裁判所に提出 (最高裁で鑑定書・診断書作成の手引作成) |
「契約締結判定ガイドライン」により確認あるいは契約締結審査会で審査 | |||
援助の目的・理念 | 自己決定の尊重と保護の調和 | 契約により、福祉サービスが適切に利用できるよう、その自己決定を援助 | |||
援助(保護)の特徴 | 法律行為を行う保護・支援制度 代理、同意、取消 |
生活に必要不可欠な福祉サービスの利用に関する情報提供、相談と代理 | |||
援助(保護)の種類、方法 | 相談 | 規定なし(法律行為ではないため) *成年後見制度申立て等の相談は家庭裁判所で実施 |
福祉サービスの情報提供、助言など 相談援助による福祉サービスの利用契約手続き援助 |
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法律行為・財産管理・福祉契約等 |
*定められた範囲内で、同意権・取消権、代理権がある |
*情報提供・相談助言等により援助 |
広島市社会福祉協議会では平成11 年から「福祉サービス利用援助事業」(以下「『かけはし』事業」という。)に取り組んできましたが、判断能力の低下により成年後見制度の利用が必要な方が多く見られるようになりました。
判断能力が低下しても地域で安心して生活していくためには、「かけはし」事業から成年後見制度へ途切れることなく支援していくことや低所得で身寄りのない方に対する支援が必要であると考え、平成23年10月から広島市社会福祉協議会による成年後見事業(法人後見)を 開始しました。
愛称は「こうけん」です。
対象者は、以下の要件全てに該当する方としています。
法人後見とは…
法人後見とは、社会福祉協議会などの法人が成年後見人等になり、組織として後見活動を行うことをいいます。後見活動の内容は親族や専門家が個人で行う場合と同じです。
社会福祉協議会が成年後見人等として後見活動を行うメリットは、次のとおりです。
電話: 082-504-2145
Fax: 082-504-2136
メール: korei@city.hiroshima.jp
電話: 082-504-2148
Fax: 082-504-2256
メール: jiritsu@city.hiroshima.jp
電話: 082-504-2228
Fax: 082-504-2256
メール: seishin@city.hiroshima.jp