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アメリカの核実験に対する抗議文(1990年3月11日)

ページ番号:0000009371 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

駐日アメリカ合衆国大使館 特命全権大使
マイケル・H・アマコスト閣下

抗議文

INF全廃条約により中距離核戦力の実質的削減が進められ、また、昨年十二月初旬にマルタ共和国で開催された米ソ首脳会談や、先の米ソ外相会談において、軍縮に関する交渉が進展を見たことに呼応して、核軍縮を志向する国際世論が一段と高まりを見せている。

さらに、昨年来、東欧諸国の民主化が大きく進み、東西冷戦構造に終焉の兆しが見られるなど、新たな世界平和秩序の構築に向けての模索が進められている。

こうしたなか、このたび貴国が核実験を強行したことは、人類自滅の危機を高める暴挙であり、世界の潮流に逆行する行為と言わざるを得ない。

貴国の度重なる核実験に対し、世界最初の被爆地広島の市民を代表し、ここに重ねて厳重に抗議する。

貴国政府は、人類共通の最優先課題である核兵器廃絶を希求する国際世論を真摯に受け止め、核実験を即時全面的に停止し、貴国とソ連との間の戦略核兵器削減条約調印の早期実現に全力を傾注されるとともに、核兵器のない真の世界平和の確立に向け、先導的な役割を果たされるよう強く要請する。

1990年3月11日

広島市長 荒木 武