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アメリカの臨界前核実験予告に対する抗議文(1998年9月4日)

ページ番号:0000009314 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

アメリカの臨界前核実験予告に対する抗議文
アメリカ合衆国大統領
ウィリアム・ジェファ-ソン・クリントン 閣下
駐日アメリカ合衆国大使館
特命全権大使 ト-マス・S・フォ-リ- 閣下

抗議文

 貴国エネルギー省は、今月中旬から下旬に、ネバダ州の地下核実験場で4回目の臨界前核実験を行うことを発表した。5月のインド、パキスタンの核実験により、核拡散防止体制が根底から揺らぎ、核兵器の使用と拡散の危険性が高まる中で、非核保有国8か国の外相が「核兵器のない世界へ:新しいアジェンダの必要性」と題する声明を発表するなど、国際社会は危機的状況を打開すべく努力をはじめており、こうした動きに逆行する形で貴国が実験の実施を発表したことに強い憤りを覚える。広島市民を代表して厳重に抗議する。
 貴国は、臨界前核実験は核爆発を伴わず、包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反しないと主張するが、貴国がこのように核兵器を持ち続けようとする姿勢を明確にし、核拡散防止条約(NPT)で約束した核軍縮に誠実に取り組んでこなかったことが、インド、パキスタンの核実験の背景にあることを厳粛に受け止め、臨界前核実験を直ちに中止すべきである。

 貴国をはじめ核保有国においては、核兵器のない世界の実現を求める国際世論に真剣に耳を傾け、これ以上の核拡散の動きを招かぬためにも、自らの責務として積極的に核軍縮に取り組むとともに、核兵器に頼らずに国家の安全が保てる国際社会や信頼関係の構築に向けて努力すべきである。

平成10年(1998年)9月4日

広島市長 平岡 敬