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アメリカの臨界前核実験に対する抗議文(2002年2月15日)

ページ番号:0000009215 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

アメリカ合衆国大統領
ジョージ・W・ブッシュ 閣下

抗議文

貴国は2月14日、ネバダ州の地下核実験場で16回目の臨界前核実験を英国と共同で実施した。

核兵器の拡散防止と一刻も早い廃絶が求められている中で、臨界前核実験を実施し、21世紀の今なお、核兵器を持ち続ける姿勢を保持することは、被爆者をはじめ核兵器の廃絶を目指す世界の人々の願いを裏切るものである。特に貴国は、ABM制限条約からの一方的な離脱やCTBT発効促進会議への欠席など、国際社会における核軍縮努力に水を差し、核軍縮に逆行する行為を度重ねており、激しい憤りを覚える。

広島・長崎の原爆投下とそのもたらした悲惨な結果から、歴史は貴重な教訓を学んだと理解していたが、このような時期に貴国が英国と共同して臨界前核実験を行ったという事実を目のあたりにし、あたかも60年前の原爆開発の場面に歴史が逆戻りしたかのような感覚を覚える。今後の世界の核兵器管理体制及び核軍縮プロセスに多大な悪影響を与え、核の拡散さえ招きかねないことを強く危惧する。広島市民を代表して厳重に抗議する。

貴国は、臨界前核実験は核兵器の信頼性と安全性を調べることが目的で、核爆発を伴わないため、包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反しないと主張しているが、我々は、実験は新たな核兵器の開発につながり、CTBTの精神に反するものであると考えている。貴国は、核兵器の廃絶を願う国際社会の訴えに真摯に耳を傾け、核大国の責務としてNPT再検討会議で採択された「核兵器の全面廃絶に対する核保有国の明確な約束」を誠実に履行する意思を持ち、今後、一切の臨界前核実験を中止し、核兵器のない新たな世界秩序の構築をめざすべきである。

平成14年(2002年)2月15日

広島市長 秋葉 忠利