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アメリカの臨界前核実験に対する抗議文(2002年6月8日)

ページ番号:0000009214 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

アメリカ合衆国大統領
ジョージ・W・ブッシュ 閣下

抗議文

貴国は6月7日、ネバダ州の地下核実験場で17回目の臨界前核実験を実施した。

核兵器の拡散防止と一刻も早い廃絶が求められている中で、臨界前核実験を実施し、核兵器を持ち続ける姿勢を保持することは、被爆者をはじめ核兵器の廃絶を目指す世界の人々の願いを裏切るものである。さらに、実験に先立ち、エネルギー省は、核兵器の起爆装置の製造を再開する計画を明らかにしている。これは核兵器を廃絶しようとする意思がないことを示すばかりか、核兵器の実戦での使用の意思を明確にしたと言わざるを得ず、核兵器の廃絶を目指す国際社会の願いを踏みにじる暴挙であり、激しい憤りをおぼえる。被爆地ヒロシマの市長として、市民を代表して厳重に抗議する。

イスラエルとパレスチナでの報復の連鎖に続き、今、インドとパキスタンで核戦争勃発の危機が差し迫っている中、自国防衛のためには核兵器の保持はおろか、さらなる開発や使用すら辞さない貴国の自国中心主義の姿勢が、国際社会における核軍縮のプロセスに悪影響を与えることはもとより、新たな核の拡散や核の使用という人類滅亡への道を突き進む「引き金」となることを強く危惧する。

貴国は核超大国の責務として、「核兵器の使用・威嚇は国際法に違反する」との国際司法裁判所の勧告的意見に思いをいたすとともに、NPT再検討会議で採択された「核兵器の全面廃絶に対する核保有国の明確な約束」を誠実に履行する意思を持ち、核兵器のない真に平和な21世紀の実現に向け、真摯に取り組むよう強く要請する。

平成14年(2002年)6月8日

広島市長 秋葉 忠利