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包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(令和6年11月27日公表)

ページ番号:0000407558 更新日:2024年11月27日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第38号
令和6年11月27日

 広島市監査委員 古川 智之
同 井戸 陽子
同 定野 和広
同 石田 祥子

包括外部監査の意見に対する対応結果の公表

 広島市水道事業管理者から監査の意見に対する対応結果について通知があったので、当該通知に係る事項を次のとおり公表する。

令和3年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(水道局)

1  監査意見公表年月日
  令和4年1月27日(広島市監査公表第2号)
2  包括外部監査人
  中川 和之
3  監査意見に対する対応結果通知年月日
  令和6年11月21日(広水財第57号)
4  監査のテーマ
  水道事業に関する経営管理について
5  監査の意見及び対応の内容

⑴ 建設仮勘定の基本設計費用の工事按分について
(所管課:水道局財務課、技術部調整課)

監査の意見

対応の内容

現状(会計処理、問題点)
 横川町~観音地区配水管改良工事基本設計業務は、複数の工事から成るプロジェクト全体に共通して発生する基本設計業務である。現状は各工事が完成し事業の用に供されたとしても配賦することなく、特定の工事にその全額を配賦している。

監査人の意見
 横川町~観音地区配水管改良工事基本設計業務について、現状は完成し事業の用に供された工事があった場合でも各工事に配賦することなく、工事費の最も大きい工事(3次工事)が完成した際に、全額を3次工事の取得価額として本勘定へ振替える運用としている。
 水道局の見解としては、以下のとおりである。
 「「横川町~観音地区配水管改良工事基本設計業務」については、総工事費用の大半を占め、かつ最終工事である「横川~観音地区配水管改良工事(3次)」(シールド工事)に全額を配賦することとしている。当該処理は、按分する指標がない以上、一定の合理性を有しているものと考えており、また、期間損益に与える影響も小さいことから許容できるものと考えている。」
 この点、今回監査の対象となった「横川町~観音地区配水管改良工事基本設計業務」に関しては、最終工事である「横川~観音地区配水管改良工事(3次)」(シールド工事)が全体の大部分を占めることから、各工事に配賦した場合と結果として大きな差異は生じていない。従って、広島市水道局における当該基本設計業務に関する会計処理は、許容できるものと考えられる。
 しかしながら、今回のケースのように特定の工事が工事全体の大部分を占めるとは限らないケースも想定されうる。
 そのようなケースが生じた場合には、プロジェクト全体に共通して発生する基本設計業務について、特定の工事に全額を配賦すると、特定の工事に係る取得価額が多額となり、各期間における減価償却費を通じた期間損益を歪める結果となってしまう。
 そのため、全体の規模を表すことができる指標に基づいて、基本設計業務を各工事へ配賦を行い、各工事が本勘定へ振替えられたタイミングで、配賦された基本設計業務についても本勘定へ振り替えて、減価償却を実施する必要がないかどうか検討することが望ましい。

 監査の意見を受けて、複数の工事から成るプロジェクト全体に共通して発生する基本設計業務の費用については、令和5年度決算から基本設計業務の目的と各工事の内容に応じて配賦することとした。


⑵ 減価償却開始のタイミング(事業の用に供した時点)について
(所管課:水道局財務課)

監査の意見

対応の内容

現状(会計処理、問題点)
 府中ポンプ所の施設の一部を令和2年度末で資産計上し減価償却を開始しているが、府中ポンプ所の稼働自体は令和3年8月である。

監査人の意見
 固定資産の取得の日は、会計基準等で明確に定められてはいないが、原則として、その固定資産の引渡しを受けた日となる。固定資産の取得に当たって、工事契約があり検収等が行われた場合には、そのタイミングで建設仮勘定から固定資産の本勘定に振替を行う実務が一般的である。
 一方で、減価償却の開始については、取得の日ではなく事業の用に供した日から開始することになる。
 減価償却の目的は、「企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書 連続意見書第三 有形固定資産の減価償却について」は、以下のような記述がある。
 「減価償却の最も重要な目的は、適正な費用配分を行なうことによって、毎期の損益計算を正確ならしめることである。このためには、減価償却は所定の減価償却方法に従い、計画的、規則的に実施されねばならない。」
 よって、取得後、未だ事業の用に供していない固定資産については、収益の獲得に貢献していないことから、費用も計上するべきではなく、減価償却の開始日は事業の用に供した日となる。
 ここで、事業の用に供した日とは、いつでも本来の用途に供することができる状態に至り、使用を開始する日をいう。したがって、試運転を行っている期間は、本来の用途に供することができるかどうかを確かめている段階であり、まだ事業の用に供していないことになる。
 以上から、府中ポンプ所の減価償却は事業の用に供した日である令和3年8月に開始することが望ましい。

 地方公営企業の固定資産の減価償却は、地方公営企業法施行規則第15条第1項及び同規則の取扱いを示した「地方公営企業法及び地方公共団体の財政の健全化に関する法律(公営企業に係る部分)の施行に関する取扱いについて」において、「原則として資産を取得した翌年度から行う」とされている。
 このことに基づき、水道局では、広島市水道局固定資産規程第43条第1項において、「減価償却は、償却資産を取得し、又は償却資産を編入した翌事業年度から定額法により個別償却を行うものとする。」と規定しており、当該規定に則り、固定資産を取得した令和2年度の翌年度である令和3年度当初から減価償却を行ったものである。


⑶ リース会計の適用について
(所管課:水道局財務課)

監査の意見

対応の内容

現状(会計処理、問題点)
 リース取引を実施するに当たり、リース会社からの報告に基づきリース取引がファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引のいずれに該当するか判定している。

監査人の意見
 リース取引を実施するに当たり、リース取引がファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引のいずれに該当するか選択する必要がある。
 ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引(リース取引に関する会計基準第5項)のことで、「解約不能のリース取引」と、「フルペイアウトのリース取引」のいずれの条件も満たすリース取引のことである(リース取引に関する会計基準の適用指針第5項)。
 一方、オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引のことである(リース取引に関する会計基準第6項)。
 フルペイアウトに関する具体的な判断方法として、解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額のおおむね90パーセント以上であること、解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数のおおむね75パーセント以上であることの二つがあり、いずれかの条件を満たした場合には、フルペイアウトのリース取引と判断する。
 ここで、水道局におけるリース取引の判定に関して、現状はリース会社から提供される書類に基づき判定しているが、例えばフルペイアウトの条件を検討する際のリース料総額の現在価値やリース物件の経済的耐用年数といった情報が読み取れないことから、当該書類だけでは根拠として不十分であると考えられる。
 契約書等の資料の閲覧、担当者への質問により、リース取引に係る会計処理は結果として正しい処理となっており、修正等が必要となるものはなかったが、水道局において、リース取引がファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引のいずれに該当するか判定する詳細な方法を検討することが望ましい。

 監査の意見を受けて、リース取引がファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引のいずれに該当するか判定するためのチェックシート及び計算シートを新たに作成するなど判定方法を明確化し、令和6年4月からこれにより判定することとした。