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広島市監査公表第7号
平成28年5月27日
広島市監査委員 佐伯 克彦
同 井上 周子
同 竹田 康律
同 星谷 鉄正
地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
なお、併せて通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。
(別紙)
平成22年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(環境局)
監査の意見 | 対応の内容 |
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地元と協議しながら活用計画を検討していくとのことであるが、現状のままでは、利用も売却も困難と思われる。しかしながら、広大な土地であり、長年利用もされていないことから、早急に有効利用の方策等を検討されたい。 | 本件市有地は、本市と白木町が合併する際、大河原廃川敷を不燃物等廃棄物埋立処理事業用地として取得したものであるが、地元の同意が得られなかったことから平成2年に埋立処分場の建設を断念し、その後も具体的な活用策が決まらないまま長年活用されていない状態にあった。 平成16年3月に、地元代表者並びに安佐北区役所及び環境局の関係部課長で構成する大河原廃川敷活用策検討委員会を設置し、本件市有地の活用策を検討した結果、平成27年10月6日開催の同委員会において、本市が整地した上で、当面、地元が広場として、またそのための駐車場として利用することを決定した。 現在、整地工事を実施中であり、平成28年7月には供用を開始することとしている。 |
監査の結果 | 措置の内容 |
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【現状】 【広島市委託契約約款】(下線部分は監査人が付加) (総則) ※出所「広島市委託契約約款」から抜粋 【仕様書における業務内容】 2 業務内容
3 実施報告 ※出所「仕様書」から抜粋 上記仕様書における業務内容の「(3)企業の情報化の促進に関する業務」については、別記仕様書として詳細な仕様書が、次のとおり添付されている。しかし、別記仕様書の「2 言葉の定義」に記載のとおり、この別記仕様書の当事者は、本団体及び再委託を受ける事業者である。 企業の情報化の促進に関する業務の一部を第三者に委任、又は請け負わせる場合の別記仕様書 1 内容
2 言葉の定義 ※出所「別記仕様書」から抜粋 また、委託業務の実施に際し、実施計画書が本団体から市に提出されている。その承認に当たっての伺い文書には、次のとおり記載されている。 【委託事業に係る実施計画書の承認について】 公益財団法人広島市産業振興センター理事長から、平成24年度の委託事業である、企業の経営基盤の強化及び創業等の支援、企業の技術の向上、企業の情報化の促進等に関する業務の委託について、広島市委託契約約款第7条の規定により、別添のとおり実施計画書の提出があった。 ※出所「平成24年4月1 日付け 平成24年度公益財団法人広島市産業振興センター委託事業に係る実施計画書の承認について(伺い)」から抜粋 本業務の仕様書には、具体的に実施すべき事業内容及び報告すべき内容等が記載されておらず、項目名のみで抽象的な表現となっている。 業務委託に関して、市財政局契約部が平成12年3月に作成している「契約事務の手引」には、業務の内容はできる限り詳細かつ明確に記載することが、次のとおり記載されている。 【業務委託に当たっての留意事項等】(下線は監査人が付加) 3 委託に当たっての基本事項
4 業務委託の事務手順 ※出所「契約事務の手引」(平成12年3月 市財政局契約部作成)から抜粋 なお、上記の法第234条の2とは、地方自治法第234条の2のことであり、その内容は次のとおりである。 【契約の履行の確保に関する規定】(下線は監査人が付加) 地方自治法 地方自治法施行令 ※出所「地方自治法」及び「地方自治法施行令」から抜粋 また、これを受けて、市契約規則においても、次のとおり規定されている。 【契約に係る監督及び検査に関する規定】 (監督の職務と検査の職務の兼職禁止) ※出所「広島市契約規則」から抜粋 【指摘事項】 委託業務の具体的内容を、あらかじめ市と本団体が協議の上、決定しているのであれば、委託契約の締結に際し、その内容を仕様書等に記載の上、委託契約を締結すべきである。 さらに、委託業務の完了に当たり、本団体が作成し、市に提出された委託業務実施報告書には、利用実績等活動の結果が記載されている。 |
監査の結果を踏まえ、平成26年度の委託業務の契約締結時から、事業ごとの具体的な業務内容を記載した仕様書を作成することにより、委託業務の内容の明確化を図った。 また、平成25年度の委託業務実施報告書から、支援した企業等の声や実際に商談に結び付いた件数などの事業の成果等を記載させることとした。 |
監査の意見の要旨 | 対応の内容 |
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市は、公益財団法人広島市産業振興センター管理運営事業補助金(以下「本補助金」という。)を本団体に交付している。 市に提出された本補助金の対象となる事業(以下「本補助事業」という。)の事業実施報告書には、人件費ほか約8,600万円の経費を使って実施した事業内容について、「企業の経営基盤の強化、技術の向上その他市内産業の振興発展に寄与する事業を行い、もって地域産業の活性化に寄与することを目的とする財団の管理運営を行った。」と記載されている。これは、事業計画書に記載されている事業内容をそのまま記載し、その一部「行う」という現在形の表現を、「行った」と書き換えただけのものであり、この記載内容では、具体的に費用対効果を検証することは困難であると考える。 このように、事業計画書や事業実施報告書を見る限り、本補助事業の有効性、効率性及び経済性について、その費用対効果を検証することは困難であると考える。 補助金とは、「特定の事業、研究等を育成、助長するために地方公共団体が公益上必要と認めた場合に、対価なくして支出するもの」であるから、その内容等については、透明性の確保が求められる。 市は、本補助金の交付に当たり、事業計画書及び事業実施報告書に、事業の具体的な実施内容やその成果等を記載するよう本団体に指導することが望まれる。 |
監査の意見を踏まえ、平成26年度の事業計画書から、本団体が行う事業内容を事業ごとに具体的に記載させるとともに、事業実施に係る計画件数、回数も併せて記載させることとした。 また、平成25年度の事業実施報告書から、本団体が行った事業内容を事業ごとに具体的に記載させるとともに、事業実施に係る実績件数、回数も併せて記載させ、これらを踏まえた事業の効果も記載させることとした。 |
監査の意見の要旨 | 対応の内容 |
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市が公益財団法人広島市産業振興センター(以下「本団体」という。)へ委託している業務の中に、他団体への負担金を支出する事業が2事業(「いい店ひろしま顕彰事業」及び「流通革新研究会の開催」)ある。 業務委託とは、本来、市が実施すべき業務を、効率性や有効性の観点から、受託者に実施させるもので、委託する業務の成果の受益者は市となる。 したがって、これらの負担金を支出する成果は市が受益すべきものであると考える。 しかし、本団体は、全額市からの委託料を財源として他団体に負担金を支出しているため、市からの支出の終局の受領者である各実行委員会において、それが適切に使用されたかどうか、市は直接監査することができない。 すなわち、各実行委員会における成果を市が受益すべきにもかかわらず、市の財源が適正に使用、活用されているかについては、本団体が各実行委員会を調査するしか方法はないこととなる。 委託料を財源として本団体が各実行委員会に負担金を支出することについて、市は、本団体及び関係機関と協議の上、その支出方法について見直し、各実行委員会の事業執行状況や経理状況について、必要に応じ、適切に執行されるよう指導監督することが望まれる。 |
本団体への業務委託(「いい店ひろしま顕彰事業」及び「流通革新研究会の開催」の2事業)を通じた各実行委員会への負担金の支出については、平成27年度から、本市が各実行委員会に対して負担金を直接支出する方法に改めることにより、各実行委員会の事業執行等の適正性について指導監督できる仕組みとした。 |
監査の結果 | 措置の内容 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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【現状】 【平成24年度広島祭委員会収支決算】 (単位:千円)
注)FFとは、ひろしまフラワーフェスティバルの略 このうち、「とうろう流し」とは、「ピースメッセージとうろう流し」のことで、その概要は次のとおりである。 【ピースメッセージとうろう流しの概要】
※出所「本団体 事業報告書」を基に監査人作成 【ピースメッセージとうろう流しに関する支出】(番号は監査人が付与)
※出所「本団体 出納元帳」及び「本団体 会計伝票」等を基に監査人作成 上記支出中、1から4までについては、平成24年度における本行事に関する経費、すなわち本補助金の対象経費の範囲内といえる。 【広島市補助金等交付規則における市及び補助事業者等の責務に関する規定】 (責務) 市は、これらの状況を総合的に検討し、当該年度の補助対象経費であると認められない場合は、本団体に対する補助金交付決定の一部を取り消し、現在確定している補助金の額を超える部分について、期限を定めて、その返還を命ずることが必要である。 (交付決定の取消し)
2 前項の規定は、補助事業等について交付すべき補助金等の額の確定があつた後においても適用があるものとする。 ※出所「広島市補助金等交付規則」から抜粋 市は、今後、補助対象経費を明確にするとともに、補助事業の実施及びその経理処理等に関して、指導を徹底することが望まれる。また、必要に応じ、所管部署により調査することが望ましい。 |
本補助金交付の目的は、本団体が実施する観光イベントの運営を補助することにより、本市の観光振興に寄与することであり、その補助対象期間は本団体の事業年度に合わせた4月1日から翌年3月末までとしている。 これら観光イベントについては、全てが毎年恒例の本市の重要な観光行事として定着しているが、その多くが年度前半に開催されるため、翌年度の確実なイベント開催を実現するためには、当該年度のイベント開催後において、翌年度の準備に取り掛かることが不可欠な事業スケジュールとなっている。 監査の指摘を受けて、こうした状況を総合的に踏まえて本補助金の補助対象範囲等について再検討した結果、これまでどおり、当該年度における当該イベントの開催に係る経費のみならず、翌年度の準備に係る経費を本補助金の対象に含めることは、本市の重要な観光行事を継続的に実施する上で不可欠であり、本補助金交付の目的に照らしても、その合理性が認められるが、イベント記録用機器など、本団体が開催する複数のイベントに共通して使用する備品等の購入経費については、これまでのように個別のイベント予算から支出するのではなく、共通予算である事務局経費から支出するように改めることが適当との判断に至った。 こうした判断の下、平成26年度の本補助金交付決定通知書から、交付条件の記載について、これまでの「本団体開催事業の経費に充てること」を「本団体開催事業の当該年度事業実施及び翌年度実施準備の経費に充てること」に改めることにより、翌年度の事業開催準備に要する経費を補助対象に含めることを明確にした。 また、本団体が開催する複数のイベントに共通して使用する備品等の購入経費については、本市の指導の下、共通予算である事務局経費から支出させることとした。 これらの措置に加え、平成25年度中に本団体の会計及び経理に関する規程を整備させ、適正な経理処理を団体内でもチェックできる体制を整えた。 さらに、本市の所管部署(経済観光局観光政策部)が、改めて平成20年度分から平成26年度分までの当該補助事業の経理処理について調査を行った。 今後も定期的に調査を行うこととし、本補助事業の適切な経理処理を確保していくことにしている。 |
監査の意見の要旨 | 対応の内容 |
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市は、公益財団法人広島観光コンベンションビューロー(以下「本法人」という。)に対して、「コンベンション振興事業補助」、「観光事業補助」、「管理運営補助」の3種の補助金を交付している。 予算要求資料を見ると、各補助事業の事業別に充当する経費及び補助率を定め、補助金額が積算されている。平成24年度の補助金交付申請に係る収支予算書及び事業完了後に提出される決算報告書を見ると、事業別支出科目別の詳細な内訳及びその財源内訳は記載されていない。 また、事業計画書及び事業実施報告書を見ると、その内容は、活動内容及び活動結果に関するものとなっており、活動の結果どのような成果がもたらされたかについては明確になっていない。この記述内容では、補助金の充当状況及び具体的な費用対効果を検証することは困難であると考える。 市は、本補助金の交付に当たり、補助の目的、充当できる経費及び補助率を明確にするとともに、事業の実施内容及び事業の具体的な成果等を明確にすることが望まれる。 この点に関して、平成25年度の補助金交付申請においては、補助事業別に補助金額を明確にする付表を添付するように対応されている。 また、平成25年度の事業計画書において、それぞれの事業に関して、数値目標が示され、改善が図られている。 この数値目標の記載については、今回選定した対象団体の中で、唯一取り組まれていることであり、他の財政援助団体等に対して、手本となるものと考える。 なお、平成25年度終了時に作成される決算報告書には、収支予算書と同様、事業別支出科目別の詳細な内訳及び財源内訳について、事業実施報告書には、事業計画書で設定された目標の達成状況及び分析結果について、記載することが望ましい。 |
平成25年度終了時から、本法人が作成する決算報告書には、収支予算書と同様、事業別支出科目別の詳細な内訳及び財源内訳を、事業実施報告書には、事業計画書で設定された目標の達成状況及び分析結果をそれぞれ記載させることとした。 |
監査の意見の要旨 | 対応の内容 |
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補助事業及び委託業務の実施に当たって、本法人は、消耗品費等を支出している。 本法人が購入した消耗品の中には、年度末近くの短期間に集中して購入されているものがあり、また、その多くが、本法人の会計規程上、1者単独見積りとすることが可能な5万円未満に近い金額となっている。消耗品は、全て事務用品であり一度に調達できないものとは言い難いと考える。1者単独見積りとなれば、結果として競争性のない発注方式となり、経済性の観点からマイナスである。 市は、補助事業又は委託業務に要する経費に関して、その精算時において総額を確認するだけでなく、必要に応じ会計処理の状況についても調査するなど、適切な支出が行われるよう指導を強化することが望まれる。 また、上記のような状況が見受けられる場合は、本法人から理由を聴取するなど、市の貴重な財源で賄われていることに留意し、適切な説明ができるよう指導することが望ましい。 |
平成25年度の補助事業及び委託事業の精算時において、総額の確認だけでなく、会計処理の状況についても調査を行うとともに、市の貴重な財源で賄われていることに留意した適切な支出を行うよう本法人を指導した。その結果、平成26年度から本法人では、これまで各部で個別に調達していたコピー用紙について、法人全体で計画的に一括発注するよう発注方法を見直した。 今後も、補助事業及び委託事業に要する経費の支出に関しては、総額の確認だけでなく、必要に応じて会計処理の状況についても調査を行い、疑義があれば理由を聴取するなど、適切な支出が行われるよう指導していくことにしている。 |
監査の意見の要旨 | 対応の内容 |
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市が本法人に委託している「広島市観光案内所運営その他業務」(以下「本業務」という。)について、市委託契約約款には、再委託の禁止に関する条項があるが、委託契約書の表紙において、この条項は適用除外とされている。再委託は、業務の質が低下するリスクや責任の所在が不明確となるリスクがある。 本業務の場合、本法人における豊富な実績等を考慮すると、このようなリスクが低いとはいえるが、ゼロであるとは言い難いと考える。 市は、再委託に関する条項を適用除外とせず、再委託の内容及び再委託先の選定等について、適切に管理することが望まれる。 なお、市の見解のとおり、業務の一部について再委託することを前提として本業務を本法人へ発注しているのであれば、市が前提としている再委託業務については、再委託する理由、再委託先に求められる能力及び再委託先の選定方法等について、発注時に本法人とあらかじめ合意しておき、それら業務については、契約書又は仕様書に明記した上で再委託承認手続を省略することは可能であると考える。 しかし、全てを一律対象外とすることは、再委託に関するリスク及び本委託が特命随意契約であることを考慮すると適切ではないと考える。 なお、想定されるリスクを踏まえ、例外的に再委託を承認する場合、市は、次の事項に留意することが必要である。
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委託業務の再委託に伴うリスクを考慮し、平成26年4月1日付けの委託契約から再委託に関する条項を適用除外としないこととし、業務の再委託を行う場合には、事前に書面により本市の承諾を要することにした。 ただし、本契約において委託している複数の業務の中で、当初予算編成時の審査によって再委託を行う合理的理由を有すると認められる業務については、契約書にその業務名を明記した上で、個別の再委託承認手続を省略することにした。 そして、再委託先の選定に当たっては、再委託先が適切な業務遂行能力を有することを担保するため、本市と同一の水準の競争入札参加資格を有することを条件とするとともに、再委託先の選定後、本市に対して、直ちに再委託先に関する事項を書面により通知し、本市の確認を受けなければならないことにした。なお、本法人における再委託先の選定等の契約手続においては、競争性のある入札を原則とした広島市契約規則を準用している。 また、本法人によって再委託先が適切に管理され、業務が着実に遂行されていることが確認できるよう、毎月、委託業務の実施状況について報告を課すとともに、必要に応じて、本市が本法人の委託業務の実施状況の検査等を行うことや、必要な措置を採ることを求めることができることを契約書に明記している。 今後も同様の取扱いにより、本法人への委託業務における再委託承認手続の適切な実施を確保していくことにしている。 |
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