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包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和4年11月24日公表)

ページ番号:0000308356 更新日:2022年11月24日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第49号
令和4年11月24日

 広島市監査委員 政氏 昭夫
同 井戸 陽子
同 山路 英男
同 山内 正晃

包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表

 地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
 なお、併せて通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。

(別紙)

令和2年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(健康福祉局)

1 監査結果及び監査意見公表年月日
  令和3年2月4日(広島市監査公表第4号)
2 包括外部監査人
    中川 和之
3 監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和4年10月19日(広原援第776号)
4 監査のテーマ
  扶助費に係る財務事務の執行について
5 監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
(1) 原爆被害対策事業(被爆者介護保険利用料助成の事業者)
 (所管課:所管課:健康福祉局原爆被害対策部援護課)

監査の結果
措置の内容

<内容>

 被爆者に対し助成される被爆者介護保険利用料助成金の受領委任を受けようとする訪問介護事業者等は、広島市特定事業者登録要項により、「被爆者介護保険サービス利用助成特定事業者登録同意書(以下「同意書」という。)」を広島市へ提出し、登録を受ける必要があるが、登録を受けていない事業者を利用した場合でも、介護保険法による指定を受けているかを確認した上で、助成金を支払っている。

<とるべき対応>

 広島市特定事業者登録要項において、登録を受けなければならないことは規定されているため、訪問介護事業者等へ申請書を提出し登録を受けるように指導を行う必要がある。なお、介護保険法による指定を受けていれば問題ないと判断するのであれば、要項の改正を検討する必要がある。

 広島市特定事業者登録要項に基づく訪問介護事業者等の登録は、介護保険法に基づく指定を受けた事業者のうち、被爆者に対する被爆者介護保険利用料助成金を受領委任し、被爆者に訪問介護保険サービス等を提供する際、被爆者に自己負担額を支払わせることなく当該サービス等を利用させることに同意する事業者をあらかじめ登録しておくものであり、利用料助成金支給事務において必要な手続であるため、監査の結果を受け、未登録であった事業者には、登録制度の趣旨に関する説明等を記載した通知書を令和2年12月に送付して手続勧奨を行い、既に登録を済ませた。

 また、本市ホームページに「【介護事業者向け】被爆者介護保険利用料助成に係る特定事業者の登録手続き」の標題で、利用料助成制度の概要、事業者登録の趣旨及び登録手続を促す記事を掲載した。

 指摘を受けた事業者の未登録については、人事異動に伴う担当者変更の際の事務引継ぎが適正に行われず、登録事務が途絶えてしまったことが原因であることから、今後は、新たに整備した事務マニュアルにより、事務引継ぎを適切かつ確実に行うこととする。

6 監査の意見及び対応の内容
​(1) 原爆被害対策事業(健康管理手当の医師診断書)
(所管課:健康福祉局原爆被害対策部援護課)​

監査の意見
対応の内容

<内容>
 検証したサンプル中、申請者が提出した診断書(令和元年5月20日)では担当医師より「放射能の影響は非常に低く、関連性は疑わしい」とのコメントがなされていた。 
 それに対する担当課の対応は医師に対して照会状を送付して「右変形性膝関節症」について自覚症状の有無について問い合わせているのみであった。最終的には当該申請者に対して健康管理手当は支給される決定となった。

<とるべき対応>
 この申請者は、令和元年8月26日受付の申請で最終的に非該当となっているが、令和元年5月20日付けの診断書で放射能の影響は非常に低く、関連性は疑わしいと記載されており、その後の令和元年8月26日付けの同じ医師の診断書で「放射線の影響はないと考える」と記載されている。この経緯に照らせば、令和元年5月20日時点の診断書で放射能との関連は既になかった可能性がある。結果的には当該申請者に対して、支給対象者の要件を満たしていないにもかかわらず健康管理手当を支給することとなった可能性がある。
 市によれば、被爆者援護法第27条第1項では、“厚生労働省令で定める障害を伴う疾病(原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかであるものを除く)”とある。担当課はこの規定に基づき、診断書に「原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らか」との記載がある場合には、診断書作成医師に書面でその旨を再度確認し、「健康管理手当等支給要件認定審査会」で複数名の審査医により慎重に審査を行って非該当としている支給決定の判断を行っているとのことである。 
 これを受けて、令和元年5月20日の診断書では、「放射能の影響は非常に低く、関連性は疑わしい」と記載されており、「原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らか」とは断言できないとしている。市としては「原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかである場合」は非該当であるが、それ以外の場合は放射能の影響が疑わしい状態でも、原子爆弾の放射能の影響が少しでもあるならば、認定となる可能性はあると判断しているとの説明であった。 
 上記の市の説明は、診断書作成医師が「原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らか」と記載した場合は審査会で慎重な対応をとることとしているが、放射能の影響が疑わしい場合あるいは少しでも影響があると思われるならば認定とすることが基本方針というものである。 
 当該申請者については、手当支給期間を短縮し、申請の頻度を高くしており、手当支給に関して慎重な姿勢で臨む方針であったことはうかがえる。 
 今後このような場合においては、認定の審査に当たり、診断書作成医師に照会するなどより慎重に対応すべきであると考える。

 本市は健康管理手当の支給認定について、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第27条第1項に「厚生労働省令で定める障害を伴う疾病(原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかであるものを除く。)にかかっているものに対し、健康管理手当を支給する。」と規定されていることから、認定申請に係る疾病が、放射能の影響によるものでないことが明らかでない限り、基本的に認めるという方針の下、従前から審査を行っている。

 監査の事例では、前記の認定方針に照らし、健康管理手当の支給要件について審査した結果、「原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかである」とは断言されていないことから、手当の支給を開始したものである。

 その後の継続申請書に添付された診断書には、「原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らか」と、放射能の影響を明確に否定する所見があったため、本市が健康管理手当等の支給可否の認定を行うに当たり、診断書を作成した医師に書面で再確認した上で、判定困難な事案等について諮問するため、9名の専門医を充て設置する「広島市原子爆弾被爆者健康管理手当等支給要件認定審査会」で審査を行い、当該審査会の答申を踏まえ、法の規定に基づき、非該当としたものである。

 そして、手当の支給要件に非該当であると判定して以降は、手当を支給しておらず、法の規定に基づく前記の認定方針に従って、随時適切な判断を行い、手当の支給を正しく行ったものと認識している。

 今後も引き続き、前記の認定方針に従い、認定申請時に提出される診断書から被爆者の疾病状況を正確に把握することに努め、当該診断書における表記のみでは判断できない場合は、診断書作成の医師に照会を行い、厳正な認定事務を継続する。

(2) 原爆被害対策事業(意見書・診断書の電子化)
(所管課:健康福祉局原爆被害対策部援護課)

監査の意見
対応の内容

<内容>

 医師からの意見書・診断書や、各種申請書は手書きの用紙の配布又は編集不能な電子データで開示しており、編集可能な電子データでの公表を行っていない。大規模病院では、意見書・診断書について、独自に電子データの書式を作成し入力するところもあり、これによる提出も受け付けている。

<とるべき対応>

 手書きより電子データでの作成を希望する人もいると考えられる。特に、医師からの意見書・診断書については、時間がない中で記載を依頼していることもあり、解読困難なほど乱筆なものも多く、記載内容の確認の手間を省けるのではないかと考える。また、費用介護手当の申請は、毎月同じような申請書を提出する必要があり、編集可能な電子データを公表し、電子データで作成した書面に署名や押印をして提出することを可能にすれば、被爆者の利便性が向上すると考える。

 なお、監査人との意見交換を経て、既に一部の申請書等については、広島市のホームページにおいて編集可能な電子データの公表を開始している。

 監査の意見を受け、令和2年10月に、原爆症認定申請に係る書類及び医療特別手当認定申請書について、編集可能な電子データの様式を本市ホームページで公表し、医療機関等がダウンロードして編集・提出することを可能とした。

 その後、申請件数の多い健康管理手当及び介護手当の支給申請に係る申請書、診断書等必要書類をPDF形式により本市ホームページで公表しており、今後、編集可能な電子データでの公表を行うとともに、他の諸手当についても同様の公表を行い、被爆者の手当等申請に係る利便性の向上を図りたいと考えている。

 なお、介護保険利用料助成に係る申請書等必要書類は、令和元年5月から本市ホームページで公表している。

(3) 原爆被害対策事業(医療特別手当の申請日付)
(所管課:健康福祉局原爆被害対策部援護課)

監査の意見
対応の内容

<内容>

 医療特別手当認定申請書の受付時に、申請書に提出日の記載がないもの及び提出日の記載が実際の提出日と異なるものも受け付けている。申請日は市の受付印の日付によっている。

<とるべき対応>

 手当の支給は申請日(認定申請書を広島市に提出した日)の属する月の翌月から始めると被爆者援護法及び同施行規則に定められていることから、申請日付に極めて重要な意味がある。受付時に正しい日付の記載を依頼するようにするべきであると考えられる。

 医療特別手当認定申請書(以下、「申請書」という。)を受け付けたときは、従前から、受付印を必ず押印しその写しを申請者へ交付して、本市に提出された日を明確にしている。

 監査の意見を受け、申請書に提出日が記載されていない場合等は、実際の提出日を記載するよう申請者への指導を徹底することとし、その旨を「事務の手引(各種手当)(以下、「手引」という。)」に明記して、区地域支えあい課及び出張所に周知を図った。

 なお、郵送による申請の場合も、前記と同様に、受付印を押印した申請書の写しを申請者に交付し、本市への提出日を明確にすることとしている。

 今後も、手引を遵守した事務処理を徹底する。

(4) 原爆被害対策事業(医療特別手当の更新手続)
(所管課:健康福祉局原爆被害対策部援護課)​

監査の意見
対応の内容

<内容>

 広島市によれば、医療特別手当の支給要件に引き続き該当するかの判定は、厚生労働省マニュアル、審査事例データベース及び診断書を記載した医師への照会を基に担当者が行っている。前例のない事例等については、厚生労働省及び広島市に勤務する医師へ照会し意見を聴取した上で、支給要件に引き続き該当するかの判定を行っているとのことである。

<とるべき対応>

 長崎市では審査会を設置し、判定を行っているとのことである。広島市でも更なる専門性を担保するためにも、審査会の設置を行うべきではないかと考える。なお、現在、来年度以降の設置に向けて検討中であるとのことである。

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第24条第1項に定める医療特別手当の支給要件に継続して該当するか否かの判断は、医療特別手当健康状況届の提出を受けて、行政手続法第12条により本市が定めた「処分基準表(不利益処分)(処分名:医療特別手当の失権)」に基づき、「医療特別手当継続審査マニュアル」に従って審査を行っているところである。

 監査の意見を受け、令和3年度からは、同手当支給要件の該当性に関して医学的な検討を要する場合は、既存の広島市原子爆弾被爆者健康管理手当等支給要件認定審査会を活用し、多年の経験を有する専門医師の意見を徴して、さらに適切な運用を行うこととした。