本文
広島市監査公表第48号
令和4年10月28日
広島市監査委員 政氏 昭夫
同 井戸 陽子
同 山路 英男
同 山内 正晃
地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市水道事業管理者から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
なお、併せて通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。
(別紙)
1 監査結果及び監査意見公表年月日
令和4年1月27日(広島市監査公表第2号)
2 包括外部監査人
中川 和之
3 監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
令和4年10月26日(広水財第75号及び第76号)
4 監査のテーマ
水道事業に関する経営管理について
5 監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
(1) 固定資産の減損について
(所管課:水道局財務課)
監査の結果 |
措置の内容 |
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現状(会計処理、問題点) 固定資産の減損に関して、平成26年度の会計制度の見直しから、グルーピング(遊休資産は単独のグルーピング)を水道事業一つとしており、固定資産の減損検討の文書化が不十分であると考えられる。
監査人の指摘 平成26年度の会計制度の見直しから、固定資産の減損のグルーピング(遊休資産は単独のグルーピング)が水道事業一つであると採用しており、それ以降はグルーピングの検討を文書として残されていない。 固定資産の減損会計の適用に当たっては、固定資産のグルーピング~減損損失の測定まで各段階を踏んで手続を実施する必要があり、その検証・算定過程を文書化する必要があるがなされていない。令和3年3月期には営業損失となっており、令和2年3月期に続いて2期連続赤字となっており、グルーピング全体でも検討過程を文書化する必要がある。 広島市水道局は平成26年度の会計制度の見直しに伴い会計方針を決定する際に減損会計の適用でのグルーピング方法等の検討を行い文書化しているものの、当初の方針決定以降、毎事業年度においても、適切な状況の把握と変更要否の検討、さらには網羅性の観点からも、会計基準が求める検証過程に沿って検証を行った上で、丁寧な文書化が求められる。 |
水道局では平成26年度の地方公営企業会計制度見直しに当たって、減損会計に関する要綱等を定め、固定資産のグルーピング方法などに関する文書化を行った。その後、毎事業年度における文書化は行っていなかったものの、当該要綱等に基づき、資産グループの適切な状況の把握や変更要否の検討を行った上で減損処理を行ってきた。 監査の結果を受けて、毎事業年度において減損会計の適用に係る根拠をより明確にすることを目的として、令和3年度決算から固定資産のグルーピングや減損の兆候の判定等に関する文書化を行った。今後も減損会計の適用に当たり、毎事業年度の決算整理において固定資産のグルーピング方法などの検討に関する文書化を行う。 |
(2) 使用不能である固定資産(府中浄水場)の会計処理について
(所管課:水道局財務課、技術部調整課)
監査の結果 |
措置の内容 |
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現状(会計処理、問題点) 府中浄水場の3、4号ろ過池は、数年前に池の壁を撤去し、池の底にマンホールを設置するなど工事が行われており使用不可能になっているが、簿価がそのまま残っている状態である。
監査人の指摘 府中浄水場3、4号ろ過池は、使用不可能と判明した時点において固定資産の除却処理または減損損失の計上により、固定資産の帳簿価額を費用処理し、経済的な実態を反映させる必要がある。
固定資産については、通常の利用ができなくなった時点で会計処理を検討、実施することが必要である。 |
府中浄水場の3、4号ろ過池については、府中浄水場の本体施設の撤去に併せて除却処理することとしていたが、監査の結果を受けて、令和3年度決算において除却処理を行った。 |
(3) 固定資産の除却漏れ資産について
(所管課:水道局技術部調整課)
監査の結果 |
措置の内容 |
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現状(会計処理、問題点) 監査手続として、大毛寺第一配水池へ往査し、固定資産の実査を実施した。結果として、資産番号402089982、機械及び装置で計上されている大毛寺第一配水池静電容量水位計が、平成28年度に既に撤去されていることが判明した。
工事等の詳細情報 (単位:千円)
監査人の指摘 広島市水道局固定資産規程第26条に「各課長は、固定資産を譲渡、所管換え、廃棄、撤去又は取りこわし、滅失又は損傷により固定資産を除却したときは、直ちに固定資産除却報告書を作成し、財務課長に提出しなければならない。ただし、工事の施行に伴うものは、この限りでない。」と規定されている。 また第29条には「財務課長は、固定資産に増減異動を生じたときは、別表第1の中欄に掲げる資産の取得、管理、処分等の態様による同表右欄に掲げる報告書に基づいて、固定資産台帳を整理しなければならない。」と規定されている。 固定資産の除却を行った場合には、固定資産除却報告書の提出が必要であることを周知するとともに、上記広島市水道局固定資産規程に則った手続を漏れなく行うようにする必要がある。 |
監査の結果を受けて、固定資産の除却漏れが生じないように、令和4年1月に、広島市水道局固定資産規程等に基づき固定資産の適切な管理を行うよう周知するとともに、今回判明した除却漏れ資産について、同年3月に除却処理を行った。 |
(4) 現金勘定の勘定科目について1
(所管課:水道局財務課)
監査の結果 |
措置の内容 |
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現状(会計処理、問題点) 営業所等の小口現金1,690千円が貸借対照表の現金預金に含まれず、その他流動資産に含まれている。
監査人の指摘 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)に第二章15-1-1に以下のように規定されている。
15-1 規則第15条第1号の現金及び預金に関しては、次の点に留意する。 1 規則第15条第1号の現金には、小口現金、手元にある当座小切手、送金小切手、送金為替手形、預金手形、郵便為替証書及び振替貯金払出証書等を含むものとする。ただし、未渡小切手は、預金として処理するものとする。 なお、期限の到来した公社債の利札その他金銭と同一の性質をもつものは、規則第15条第1号の現金に含めることができるものとする。
したがって、その他流動資産に含まれている営業所等の小口現金1,690千円は、現金預金に計上するべきである。 |
営業所等の小口現金は、前渡資金と同様の性質であることから、これまで広島市水道事業勘定科目表に基づき「その他流動資産」として整理してきたが、監査の結果を受けて、当該勘定科目表を改正の上、令和3年度決算から貸借対照表の「現金預金」に計上している。 |
(5) 現金勘定の勘定科目について2
(所管課:水道局財務課)
監査の結果 |
措置の内容 |
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現状(会計処理、問題点) 営業所等の小口現金1,690千円が、営業活動によるキャッシュ・フローの「その他資産の増減額」の調整項目とされ、資金残高に含まれていない。
監査人の指摘 連結キャッシュ・フロー計算書作成基準(*1)の第二作成基準一資金の範囲に、「連結キャッシュ・フロー計算書が対象とする資金の範囲は、現金及び現金同等物とする。」と規定されている。 したがって、営業所等の小口現金1,690千円は資金に計上するべきである。
(*1) 連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準におけるキャッシュ・フロー計算書作成基準に、個別ベースのキャッシュ・フロー計算書は、連結キャッシュ・フロー計算書に準じて作成するものとするとある。そのため、広島市水道局は個別ベースのキャッシュ・フロー計算書であるが、連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準に準拠することとなる。 |
営業所等の小口現金は、前渡資金と同様の性質であることから、これまで広島市水道事業勘定科目表に基づき「その他流動資産」として整理してきたが、監査の結果を受けて、当該勘定科目表を改正の上、「現金預金」として整理することとし、令和3年度決算からキャッシュ・フロー計算書の「資金残高」に計上している。 |
6 監査の意見及び対応の内容
PCB廃棄物の負債計上について
(所管課:水道局財務課)
監査の意見 |
対応の内容 |
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現状(会計処理、問題点) PCB廃棄物について令和2年度末時点で廃棄処理が終了していないものが複数存在しているが、将来発生するこれらの処分費用について引当金として負債計上されていない。
監査人の意見 広島市水道局はPCB廃棄物について廃棄処分を実施しているが、令和2年度末時点で廃棄処理が実施されていないPCB廃棄物を以下のとおり保管している。
PCB廃棄物を保管する場合、毎年保管や処分の状況についての届出を行うことのほか、政令で定める期間内の処分が義務づけられている。
地方公営企業法施行規則において、引当金の取り扱いに関して以下のとおり規定されている。
つまり、以下4要件に当てはまる場合は、引当金として負債計上及び引当額を費用計上しなければなれない。 1. 将来の特定の費用又は損失であること 2. その発生が当該事業年度以前の事象に起因すること 3. 発生の可能性が高いこと 4. その金額を合理的に見積もることができること
当該規定に照らし、令和2年度末時点で保管するPCB廃棄物の処分費用は以下のとおり引当金を計上する要件を満たしているため、負債として認識する必要がある。 1. 将来の特定の費用であること 2. 発生原因が、PCB廃棄物を含む資産の取得という当事業年度以前の事象に起因していること 3. ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法により、処分期限が定まっていることから、発生の可能性は高いこと 4. 過去の処分実績、業者からの見積書等により合理的に処分金額を見積もることができること |
PCB廃棄物については、調査・分析の完了した事業年度内に処分することを原則としているが、監査の意見を受けて、事業年度の末日に廃棄処分が終了していないPCB廃棄物に係る処分費用についての引当金を負債計上することとした。 |