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包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(令和4年10月4日公表)

ページ番号:0000300929 更新日:2022年10月4日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第47号
令和4年10月4日

 広島市監査委員 政氏 昭夫
同 井戸 陽子
同 山路 英男
同 山内 正晃

包括外部監査の意見に対する対応結果の公表

 広島市水道事業管理者から監査の意見に対する対応結果について通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。

(別紙)

令和3年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(水道局)

1  監査意見公表年月日
  令和4年1月27日(広島市監査公表第2号)
2  包括外部監査人
    中川 和之
3  監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和4年9月28日(広水財第57号~第62号)
4  監査のテーマ
  水道事業に関する経営管理について
5  監査の意見及び対応の内容

​(1) 多様な方法による幹部会議開催に伴う議事録の記載項目について
 (所管課:水道局企画総務課) 

監査の意見
対応の内容

現状(問題点)

 令和2年度は、幹部会議が一部、報告事項がメールに添付される形で、開催に代えて書面で報告している。令和2年度はWeb会議が急速に普及する中、Webカメラの調達が困難な状況であったことから、Web会議の実績がないものの、現在、すでにWebカメラの調達を終えており、今後Web会議による幹部会議の実施も予想される。しかし、現状の議事録の様式は以下の内容が記載されることとなっており、開催方法や開催場所等の記載がない。

■幹部会議の開催日時等

(1)会議名

(2)開催日時

(3)出席者

(4)欠席者

(5)事務局の出席者

(6)議事録作成者

(7)配付資料

■審議事項及び報告事項について

Ⅰ.議事

(8)市幹部会議の報告

(9)局内議題

Ⅱ.決定事項、未決事項

 

監査人の意見

  今後、幹部会議は面談以外の多様な方法による開催も考えられる。そのため、開催方法及び開催場所、誰がどのように参加したかなど記載されたい。

 監査の実施を受けて、議事録に、開催方法、開催場所及び出席者の参加方法の区分を記載するよう様式を見直し、令和4年1月17日開催分から新様式を使用して議事録を作成している。

(2) 「広島市水道ビジョン」の具体的な取組の目標設定について
 (所管課:水道局技術部水質管理課)

監査の意見
対応の内容

現状(問題点)

 現行の「広島市水道ビジョン」は平成30年2月に改定され、向こう10年間(平成39年度)までの事業運営の指針を定めている。そのなかに施策目標「安全でおいしい水の供給」の主要事業「水質管理体制の強化」において、具体的な取組として「残留塩素濃度の低減・監視」を掲げている。この取組について「広島市水道ビジョン」では「蛇口での残留塩素濃度を低減させるため、追加塩素設備や残留塩素計を整備し、水質監視モニター装置での監視を行うとともに、実態調査を行い、よりきめ細やかな残留塩素管理を実施します。」(「広島市水道ビジョン」P29施策目標Ⅰ安全でおいしい水の供給 1水質管理体制の強化⑸残留塩素濃度の低減・監視)とある。具体的な取組として記載されていることから残留塩素に関わる、イ.目標値、ロ.目標達成時期、ハ.現状の数値について質問を実施した。

 これについて、広島市水道局技術部水質管理課の回答は

イ.目標値については広島市水道局内の検討委員会において審議中の数値として「残留塩素濃度0.4mg/L以下の水道水とし、それを利用する人の割合を給水人口の75%以上とする。」としている。

ロ.目標達成時期は現在未設定である。

ハ.現状の実績については現在、残留塩素濃度分布の調査・把握を行っているところであり、現状の実績として提示できるものはないとのことであった。

 目標値の残留塩素濃度0.4mg/Lは昭和59年に当時の厚生省(現厚生労働省)が国内の水道水の現状調査を行い、おいしい飲用水の水質要件などの検討を行うために「おいしい水研究会」を発足させ、昭和60年4月においしい水の指標として公表した「おいしい水の水質要件」に定められた一項目である。

 当時の厚生省がおいしい水として定めた要件の一つである残留塩素濃度を広島市水道局の目標値として定めることについては問題ない。しかし、上記にもあるとおり、この目標達成時期は未設定との回答である。「広島市水道ビジョン」の基本理念に基づく施策として掲げられた取組について、目標値はあるものの目標達成時期が決まっていないという点は、いわゆる締め切り効果が期待できず、いつまでも目標達成とはならないのではないかという点が懸念される。

 

監査人の意見

 これに対し広島市水道局は、平成30年9月以降、水道局では残留塩素低減化のために、給水区域内の残留塩素濃度分布の現状把握や水道局内に設置した残留塩素濃度管理に関する検討会(残留塩素濃度管理検討委員会)で様々な検討を行っているところであり、目標値として出ている「残留塩素濃度0.4mg/L以下の水道水を利用する給水人口の割合を75%以上」についても検討会にて審議中の数値であり、正式決定したものではないとの説明である。そのため「広島市水道ビジョン」においても目標値として掲げていないとのことである。他方で残留塩素低減の目標値及び実施計画並びに目標達成時期に関しては、令和5年度に完了を予定している残留塩素濃度分布の調査結果に基づき検討を行い、決定していきたいと考えているとのことである。

 水質に関する目標値は一旦定めたあとは安易に変更するべきものではないため、その設定に際しては現状の十分な調査・把握と実現可能なものとなるように十分な検討を重ねることが必要であることは理解できる。平成30年度から残留塩素をはじめ、あるべき水質の検討が開始されていることから、できるだけ目標値を早期に決定し、必要な取組を始めることも重要と考える。

 残留塩素の低減化のため、平成30年度から給水区域全域において残留塩素濃度の実態調査を行ってきている。

 当該実態調査が令和5年度に完了する予定であり、その結果を踏まえ、令和6年度末までに残留塩素濃度の目標値やその達成時期を設定する。

(3) 中期経営計画におけるSDGsとの関連性について
 (所管課:水道局企画総務課、財務課)

監査の意見
対応の内容

現状(問題点)

 令和2年度の監査対象期間の時点で、水道事業ビジョンまたは中期経営計画の各種施策に関してはSDGsとの関連に重点をおいて作成されている事例(自治体)が複数存在する。広島市水道局の水道事業ビジョンまたは中期経営計画ではSDGsに関する言及がない、さらに施策との関連付けをしていない。

 このことについて、広島市水道局に確認したところ、「広島市水道ビジョン」(平成30年度~令和9年度)はSDGsの記載はないものの、SDGsの目標である「安全な水とトイレを世界中に」などの理念は取組に織り込まれたものとなっており、「広島市水道ビジョン」の実行計画である中期経営計画(平成30年度~令和3年度)についても同様であるとのことであった。

「広島市水道ビジョン(平成30年2月改定):平成30年度から令和9年度」

「中期経営計画(平成30年2月策定):平成30年度から令和3年度」

 

監査人の意見

 2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、格差問題やジェンダー平等、気候変動対策など、世界各国が取り組まなければならない17の普遍的な目標で構成されている。日本政府は、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設置し、地域活性化などを通して都道府県の自治体に取組を促している現状がある。導入している事例(自治体)は政令指定都市としては名古屋市、横浜市、北九州市、堺市等であり、当該取組を参考に中長期的な持続可能な事業活動を達成するために、SDGsの活用を検討することが求められる。SDGs目標6.「安全な水とトイレを世界中に」を最終的な目標として掲げることが考えられる。少なくとも次回の「広島市水道ビジョン」の策定時においては反映することが望ましいといえる。

 広島市水道ビジョンには既にSDGsの理念が織り込まれたものとなっていることから、水道局ホームページに掲載している同ビジョンのページにSDGsとの関連性を表記した。

 また、令和4年2月に策定した中期経営計画(令和4年度~令和7年度)については、本文中にSDGsとの関連性を表記した。

(4) 入札の条件等の検討について
 (所管課:水道局財務課、技術部技術管理課)

監査の意見
対応の内容

現状(問題点)

 令和2年度の建設工事案件において一般競争入札を行った件数は178件に対して、入札不調・不落の件数は64件で、その発生率は36%である。このうち、応札がなかった入札不調の件数は35件で、率として19.7%となっている。

  また一者応札の案件は32件で、率にして18%となっている。

 以上より、応札者なしと一者応札を合わせると全体の37.7%となっている。

 

監査人の意見

 地方公共団体の外部調達は有効な競争原理を働かし、適正な価格での発注が期待されているが、建設工事案件でみると、応札者なしと一者応札で37.7%の割合となっている現在の状況からすると、一般競争入札の契約締結方式に期待されている競争性や経済性が十分に発揮されているとはいえない状況である。

 これに対して、広島市水道局からは、「一般競争入札は参加者を広く募集する方式であり、参加機会が十分に確保されているため、結果として「一者応札」になったとしても、競争性は担保されていると考えています。」との見解が述べられた。

 この広島市水道局の見解について、確かに「機会の均等」という意味では競争性は担保されているという説明は広島市水道局の述べるとおりである。しかし、一般競争入札という契約方式が、競争を行わせることで発注者にとって一番経済的な価格で契約を締結することを企図していることからすると、本来は複数業者の入札が想定されており、複数業者の入札がある方が望ましいと言える。

 そのことは、平成21年3月に国交省と財務省から「『一者応札・応募』に係る改善方策について」という書面が発出され、一者応札・応募の改善が期待されていることからもそのように言える。

 なお、建設工事における「応札者なし」の案件が多い理由について、広島市水道局からは、広島市に限らず、全国的な建設業界における技術者不足や、案件によって応札者数に極端な差があることから、建設事業者がより利益の多い工事を選別する傾向にあり、こうした状況の中、個々の建設事業者の受注できる件数には限りがあることから、「一者応札」が多くなっていると分析しているとの見解が述べられた。

 建設事業者の技術者不足や建設事業者自体の減少については、入札資格の登録業者が減少していることからもその傾向がうかがわれ、全国的な傾向であり、他自治体も同様の問題に直面しているようである。

 これらを踏まえ、広島市水道局においては、入札不調の防止や建設事業者が受注しやすい環境の整備の一環として、以下の対応策を実施し、広島市水道局のホームページにおいて公表をしている。

●技術者等の兼務制限の緩和

 平成25年度から主任技術者及び現場代理人の効率的な活用を図るとともに、これら技術者等の不足を理由として入札参加できない建設事業者の受注機会の確保と入札不調を防止する目的とし、必要要件を満たすものについては一人の技術者等が複数の工事の技術者等を兼務できるなど、段階的に兼務制限の緩和をした。

●配置予定技術者の入札参加資格要件の緩和

 現場代理人の配置について、「開札日の前日以前において直接的かつ恒常的な雇用関係があること」を入札参加資格要件としていたが、入札参加資格要件とせず、「契約締結日(工事着手日選択型契約方式については実工事期間の始期)において直接的かつ恒常的な雇用関係があること」とし、入札参加資格要件としないこととした。

 また、「やむを得ない理由」があると認める場合のみ途中交代を認めていたが、制限を設けず交代可能とした。

●市内本店業者への下請発注義務化の解除

 設計金額1億円以上6億円未満の工事については、原則として市内本店業者へ下請発注を義務付けているが、技能労働者の不足が主な要因となって入札不調が頻発している「建築一式工事」については、技能労働者を広く求めることができるよう市内本店業者への下請発注の義務化を解除した。

●工事着手日選択型契約方式の試行

 柔軟な工期の設定を通じて工事着手前に配置技術者等の確保や建設資材等の調達が確保できるようにすることで、入札の不調・不落を防止するため、工期に余裕期間を設定した工事着手日選択型契約方式の工事を試行した。

●週休2日工事の試行

 建設業界における労働者の高齢化と若手や女性技術者の確保・育成を中心とした将来の担い手確保が重要な課題となっており、労働環境の改善が求められていることから、労働環境改善の一環として原則、土曜日・日曜日において現場閉所とする週休2日工事の施行について取組をしている。

 また、「大都市水道局事務協議会」という会合に参加し、「入札中止及び不調の発生状況と契約制度運用上の改善策」や「一者入札を中止とする場合の対応」などに関する意見交換を行うなど、他都市との意見交換の機会も持っているようである。

 今後とも、応札がない、または少ない理由について、適切な分析をした上で、継続的に対応を検討することが望ましい。

 これまでも建設事業者が応札しやすい環境の整備として、技術者等の兼務制限の緩和、配置予定技術者の入札参加資格要件の緩和、市内本店業者への下請発注義務化の解除、工事着手日選択型契約方式の試行及び週休2日工事の試行を継続的に実施している。

 今後も、これらの取組を継続するとともに、国、県、建設業界及び他都市の動向についても情報収集し、適切に分析した上で、建設事業者が応札しやすい環境の整備に取り組んでいく。

(5) 収納業務の外部委託について
 (所管課:水道局営業部営業課)

監査の意見
対応の内容

現状(問題点)

  広島市水道料金等収納業務に関して、A社と委託契約書を締結し、令和3年4月から滞納整理事務、窓口収納事務、現地収納事務、それらに関連する附帯事務を委託している。委託契約の基本仕様書によると、A社に対して委託する業務に水道料金等の支払交渉と支払計画書の作成が含まれている。広島市水道局の関係部署にヒアリングをした実際の業務フローでは、A社の従業員が滞納利用者と直接やりとりをし、分割方法を定めた支払計画書の作成を進めている。

 

詳細情報

 「広島市水道料金等収納業務基本仕様書」における弁護士法第72条に抵触する可能性がある記載(抜粋)

2 業務概要

 ⑵ 委託業務の範囲

 受注者は、水道料金及び下水道使用料並びに納入証明手数料及びボトルドウォーター頒布代金を収納するため、次に掲げる事務を実施する。

 ア 滞納整理事務

 イ 窓口収納事務

 ウ 現地収納事務

 エ その他附帯事務

3 業務内容

 ⑴ 滞納整理事務

   ウ 分割納入

    (ア)水道料金等の支払交渉及び水道料金等の支払計画書の作成・提出

  エ 清算後の未納料金の取扱い

   (イ)請求書の送付若しくは電話又は現地訪問による支払交渉

 ⑷ その他附帯事務

  イ 交渉履歴等の登録

   (ア)支払交渉又は調査結果の登録

 

監査人の意見

 滞納者全てに関して支払交渉、支払計画書の作成を委託する内容となっている現在の基本仕様書の記載は、弁護士、弁護士法人でないものに対して「法律事務」の報酬を得る目的で委託することを禁止している弁護士法第72条に抵触する非弁行為と評価される可能性がある。

弁護士法

第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士法第72条の「法律事務」

 弁護士法第72条で禁止されている「法律事務」に該当するか否かを判断する上で、争いや疑義が具体化、もしくは顕在化している状態である「事件性」が要件として必要であるとする「事件性必要説」と、「事件性は不要である」とする、「事件性不要説」の対立がある。この点については、最高裁の判例はないが、非弁活動を一切禁止しようとして法律が制定されたという立法の沿革や、法律違反か否かを判断する上で「事件性」という内容が不明確な要件を設けるべきではないという考えから、事件性不要説を取る立場もあり、実際に明確に「弁護士法第72条に関して事件性は不要である」と判断した裁判例も存在する(浦和地方裁判所平成6年5月13日判決 控訴審である東京高裁平成7年11月29日判決でもその判断は維持され、確定)。

 なお、水道局に確認したところ、委託先であるA社から、滞納をしている利用者に対して、滞納利用料金の分割案を提示するなど実際の交渉を行うことはなくあくまで具体的な分割方法の提示は利用者側で行い、A社は利用者の希望する分割方法を前提に支払計画書を作成し、水道局の了承を得る業務フローになっているとのことである。

 そのため、実際の運用上は、基本仕様書に記載されている非弁行為に当たりうる支払交渉業務は行われていなかった。

 しかしながら、基本仕様書の記載は、「支払交渉」となっており誤解を招くため、この点を覚書等で修正した上で、その他の委託事務についても、弁護士法第72条に抵触する可能性がある事務がないかを慎重に整理を行い、委託先と委託業務の内容・範囲について改めて協議をした上で、非弁行為に抵触する行為が行われないように今後も事務の振り分けを徹底する方が望ましい。

 監査の意見を受けて、令和4年3月30日付け発効の協議書を委託先と取り交わし、基本仕様書記載の「支払交渉」は「自主的な納付の勧奨」と読み替えて適用すること、また、分割納入に係る事務及びその他の事務は、水道局の補助的立場で行う事務であることを明文化した。

 

(6) 収納業務外部委託に関する経済合理性の検討について
 (所管課:水道局営業部営業課)

監査の意見
対応の内容

現状(問題点)

 広島市水道事業の経営改革の一環として、業務の効率化を図り、健全経営の推進に努めるために、令和3年4月1日から水道料金等収納業務の委託を行っている。

 業務委託に際して、令和2年度中に「広島市水道局職務権限規程」に基づき、適切な決裁は行われているが、その経済合理性の検討に際して人件費の算定に改善の余地があるものと考えられる。

 

詳細情報

 経済合理性の検討資料では、削減人件費を当初削減予定の27名×水道局現役職員の平均給与で算定しているが、外部委託は職位別の給与での積み上げとなっており両者の間に整合がとれていない。特に数値を用いての検討を行うのであれば、極力実態に近い数値を算定して比較を行わなければならないと考える。

 

監査人の意見

 外部委託はそれまで自ら行っていた業務を外部に委託することから、その決定に当たっては十分な検討を行わなければならない。担当部署で経済合理性のほか、情報保護など様々な視点からの検討を行う必要がある。特に経済合理性は外部委託を採用する最も大きな理由と考えられ、この点についてはできる限り実際の状況に即したものでなければならない。

 外部委託による削減人件費を水道局現役職員の平均給与で算定している件については、水道局内においても担当者の階級によって人件費は当然異なるため、水道局現役職員の平均人件費で効果額を算定するのではなく、実際に外部委託の対象とする業務に配置されている水道局職員の人件費に基づき計算する方法がより精緻な比較ができるのではないかと考えられる。また、営業所職員の構成には再任用職員が含まれている。再任用職員は現役職員との人件費に一定程度の金額差が認められるため、再任用職員を含めた平均給与額を利用することが望ましいと考えられる。

 人件費の算定について広島市水道局は、委託対象業務に従事している職員は、毎年の定期異動で変わるため、該当部署だけの人件費で効果額を算出すると、計画段階と実施段階で大きく変動する場合が出てくることから平均人件費で効果額を算定することが適当と考えるとのことである。また、再任用職員については現役職員と再任用職員の間の人件費の差は少なからずあり、今後同様な検証を行う場合は現役職員の平均人件費と再任用職員の平均人件費にそれぞれ分けて算出することも考えたいとのことである。

 外部委託を考える場合、通常その委託業務内容は水道事業運営を左右するほどの重要業務が該当することは考えにくい。そうであればある業務にあたる職員構成は若年職員が多い、再任用職員が多いなど一定の傾向を持つのではないかと考えられる。この点広島市水道局は定期異動に伴うある業務の職員構成は必ずしも同じようなものにはならず、変わることもあるとのことである。

 今後も事業遂行の効率化を図り外部委託とするか検証を行う業務が生ずる可能性は十分考えられる。その際に人件費はその業務内容と職員構成などを十分踏まえて、実態に即した人件費試算を行うことが望まれる。

 監査の意見を受けて、令和5年度から履行開始となる水道料金等徴収業務の経済合理性の検討に当たっては、その業務内容と職員構成などを十分踏まえて、実態に即した人件費の試算となるよう、単価の異なる現役職員と再任用職員は別々の平均人件費を用い、より精緻な計算方法で行った。