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包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和4年2月9日公表)

ページ番号:0000258831 更新日:2022年2月9日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第3号
令和4年2月9日

広島市監査委員 政氏 昭夫  
同 井戸 陽子
同 宮崎 誠克
同 森畠 秀治

包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表

 地方自治法第252条の38第6項の規定により,広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので,当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
 なお,併せて通知のあった監査の意見に対する対応結果についても,当該通知に係る事項を公表する。

(別紙)

平成29年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(市民局)

1 監査意見公表年月日
  平成30年2月2日(広島市監査公表第2号)
2 包括外部監査人
   福田 浩
3 監査意見に対する対応結果通知年月日
   令和4年1月28日(広市生第103号)
4 監査のテーマ
  文化活動及び生涯学習に係る施設の管理運営等について
5 監査の意見及び対応の内容

⑴(広島市福田公民館)便所について
(所管課:市民局生涯学習課)

監査の意見
対応の内容

 広島市福田公民館に係る公民館の施設及び設備に係る補修等予算要求調書において,「広島市福田公民館1~3階便所床タイル貼替え修繕」が挙げられているところ,その現状は,床タイルに尿が染み込んで変色しているなど同調書記載のとおりであったほか,便所内は,男女トイレはパネルで仕切られているものの,それぞれの入口は,腰から頭までを目隠しするスイングドアが取り付けられている構造となっている事案が見受けられた。
 広島市公民館条例第15条は,指定管理者が行う業務のひとつとして,公民館の建物並びに附属物及び備付物品の維持管理に関することを掲げ,広島市公民館の管理に関する基本協定書第4条第2項は,指定管理者は,善良なる管理者の注意をもって管理施設及びその附帯設備等並びに管理物品を管理しなければならないと定め,同基本協定書第13条第2項は,本施設の修繕について,1件につき100万円(消費税及び地方消費税を含む。)以上のものについては広島市が必要と認めた場合において自己の費用と責任において実施するものとし,1件につき100万円(同)未満のものについては指定管理者が自己の費用と責任において実施するものとすると定めている。本件修繕は,1件につき100万円(同)以上のものであり,公民館の施設及び設備に係る補修等計画調書に挙げられているものであって,広島市は,必要と認めた場合には,自己の費用と責任において実施しなければならない。さらに,この便所を利用する者に対しては,不潔の印象のみならず,プライバシーに対する配慮が行き届いていないとの印象を与えてしまい,施設の管理運営上,支障が生じるおそれがある。広島市においては,男女トイレの構造の問題も含めて,同調書で挙げられた便所床タイル貼替え修繕の実施に向けて検討されたい。

 監査の実施を受け,令和2年度の耐震改修工事に合わせて男女トイレの入口を完全に分離して,ドアも外からトイレの中が見えないものに交換した上で床タイルの貼替えを行った。

⑵(広島市温品公民館)防火シャッターの危害防止機構等の装着について
(所管課:市民局生涯学習課)

監査の意見
対応の内容

 広島市温品公民館の建築物を対象とした定期点検結果報告書において,同公民館に設置されている防火シャッターについて,「シャッターに危害防止機構が装着されていない(既存不適格)」と指摘され,「防火シャッターに危害防止機構の装着が必要(大規模改修等に適時改修)」との改善策が示されているにもかかわらず,改善に向けた検討が行われていない事案が見受けられた。
 本件は,既存不適格であり,直ちに違法性を帯びるものではないが,防火シャッターに児童が挟まれるという重大事故が発生したことを受けて,閉鎖作動時の危害防止機構等の設置が義務付けられた経緯を踏まえ,施設設置者である広島市においては,万が一の人身事故の発生を未然に防止することを通じて,同公民館を利用する者のさらなる安全確保を図るため,改善に向けて検討されたい。

 監査の意見を受け,施設利用者の安全を確保するため,段階的に改善を図ることとし,平成30年2月に指定管理者と協力して,防火シャッター付近に注意喚起のポスターを掲示し,ソフト面での安全対策を講じた。
 さらに,令和3年3月に防火シャッターに危害防止機構を装着する修繕を行った。

⑶(広島市祇園公民館)防火シャッターの危害防止機構等の装着について
(所管課:市民局生涯学習課)

監査の意見
対応の内容

 広島市祇園公民館の建築物を対象とした定期点検結果報告書において,同公民館に設置されている防火シャッターについて,「階段室防火シャッターに危害防止機構が装着されていない(既存不適格)」と指摘され,「計画的に改善する」との改善策が示されているにもかかわらず,改善に向けた検討が行われていない事案が見受けられた。
 本件は,既存不適格であり,直ちに違法性を帯びるものではないが,防火シャッターに児童が挟まれるという重大事故が発生したことを受けて,閉鎖作動時の危害防止機構等の設置が義務付けられた経緯を踏まえ,施設設置者である広島市においては,万が一の人身事故の発生を未然に防止することを通じて,同公民館を利用する者のさらなる安全確保を図るため,改善に向けて検討されたい。

 監査の意見を受け,施設利用者の安全を確保するため,段階的に改善を図ることとし,平成30年2月に指定管理者と協力して,防火シャッター付近に注意喚起のポスターを掲示し,ソフト面での安全対策を講じた。
 さらに,令和3年1月に防火シャッターに危害防止機構を装着する修繕を行った。

⑷(広島市祇園公民館)外壁躯体の劣化及び損傷の状況等について
(所管課:市民局生涯学習課)

監査の意見
対応の内容

 広島市祇園公民館の建築物を対象とした定期点検結果報告書において,外壁躯体の劣化及び損傷の状況並びに外装仕上げ材等の劣化及び損傷の状況について,「外壁面にクラック,揚裏塗装劣化剝れ」と指摘され,「クラック部Uカットの上,シーリング,塗装劣化部再塗装」との改善策を示されているにもかかわらず,改善されていない事案が見受けられた。
 広島市公民館条例第15条は,指定管理者が行う業務のひとつとして,公民館の建物並びに附属物及び備付物品の維持管理に関することを掲げ,広島市公民館の管理に関する基本協定書第4条第2項は,指定管理者は,善良なる管理者の注意をもって管理施設及びその附帯設備等並びに管理物品を管理しなければならないと定め,同基本協定書第13条第2項は,本施設の修繕について,1件につき100万円(消費税及び地方消費税を含む。)以上のものについては広島市が必要と認めた場合において自己の費用と責任において実施するものと定めている。本件修繕は,1件につき100万円(同)以上のものであり,公民館の施設及び設備に係る補修等計画調書に挙げられているものであって,広島市は,必要と認めた場合には,自己の費用と責任において実施しなければならない。本件の外壁のクラックは,万が一躯体への透水ということであれば,建物の劣化を進行させ,その耐用年数を短縮してしまうのみならず,修繕費用が増大してしまうおそれがある。また,広島市公民館の管理に関する基本協定書第6条は,本業務の範囲,管理の基準又は配置人員等の細目は,別添仕様書に定めるとおりとすると定め,広島市公民館指定管理者業務仕様書第5項⑴アは,「施設の管理に関する業務」の「公民館の保守管理」の項において,指定管理者は,本施設を適切に管理運営するため,日常的に点検を行い,建築物について,仕上げ材等の浮き,ひび割れ,はがれ,かび等の発生がない状態を維持し,かつ美観を維持すると定めているところ,本件の外壁のクラックと揚裏塗装劣化剝れは,地域のシンボルとしての公民館のイメージを損ねているのに加え,防犯や防災の管理面にも影響がないとはいえない。広島市においては,本件修繕の必要性を認め,速やかに修繕を進められたい。

 監査の意見を受け,令和元年度に耐震改修工事に合わせて南側外壁の一部を除き,外壁改修を行った。
 残る南側外壁の一部については,令和3年1月から6月にかけて実施した冷暖房設備改修工事において電気配線の移設が完了したことから,令和3年7月から8月にかけて外壁修繕を行った。

⑸(広島市中野公民館)防火シャッターの危害防止機構等の装着について
(所管課:市民局生涯学習課)

監査の意見
対応の内容

 広島市中野公民館の建築物を対象とした定期点検結果報告書において,同公民館に設置されている防火シャッターについて,「3階市民ホールシャッターに危害防止機構が付いていない」と指摘され,「(既存不適格)適時改修する」との改善策が示されているにもかかわらず,改善に向けた検討が行われていない事案が見受けられた。
 本件は,既存不適格であり,直ちに違法性を帯びるものではないが,防火シャッターに児童が挟まれるという重大事故が発生したことを受けて,閉鎖作動時の危害防止機構等の設置が義務付けられた経緯を踏まえ,施設設置者である広島市においては,万が一の人身事故の発生を未然に防止することを通じて,同公民館を利用する者のさらなる安全確保を図るため,改善に向けて検討されたい。

 監査の意見を受け,施設利用者の安全を確保するため,段階的に改善を図ることとし,平成30年2月に指定管理者と協力して,防火シャッター付近に注意喚起のポスターを掲示し,ソフト面での安全対策を講じた。
 さらに,令和3年3月に防火シャッターに危害防止機構を装着する修繕を行った。

平成30年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(教育委員会)

1 監査結果及び監査意見公表年月日
  平成31年2月5日(広島市監査公表第1号)
2 包括外部監査人
   大濱 香織
3 監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
   令和4年1月26日(広市教学指二第201号)
4 監査のテーマ
  子ども・子育て支援事業の事務の執行について
5 監査の結果(指摘事項)及び措置の内容

⑴まちぐるみ「教育の絆」プロジェクト(報償費の計算の基礎となる記録の不備について)
(所管課:教育委員会事務局学校教育部指導第二課)

監査の結果
措置の内容

1 F中学校において、本事業に係るコーディネーターと学習支援員の活動
時間などが記載された一覧表(以下「活動一覧表A」という。)を確認した。この活動一覧表Aは,監査人が往査に行く旨をあらかじめ連絡した上で,平成30年9月14日に同校に往査した際に,教頭から監査人に提供されたものである。
  (活動一覧表Aの記載)

月日

曜日

生徒

支援

コーディネーター兼学習支援員

学習支援員X

学習支援員Y

時間

支払総額

時間

支払総額

時間

支払総額

(省略)

3/20

5

2

1

¥920

 

 

1

¥920

3/20

6

2

 

 

2.5

¥2,300

2.5

¥2,300

3/22

6

2

1

¥920

 

¥0

1

¥920

 

 

 

 

4

¥3,680

 

¥0

 

¥0

3/23

8

3

1

¥920

1

¥920

 

¥0

3/23

 

 

4

¥3,680

 

 

 

¥0

3/24

 

 

4

¥3,680

 

 

 

¥0

3/25

 

 

4

¥3,680

 

¥0

 

¥0

3/26

1

1

3

¥2,760

 

¥0

 

¥0

3/27

 

1

4

¥3,680

 

¥0

 

¥0

3/28

 

2

4.5

¥4,140

4.5

¥4,140

 

¥0

3/29

 

2

4.5

¥4,140

4.5

¥4,140

 

¥0

3/30

 

1

4.5

¥4,140

 

¥0

 

¥0

合 計

 

143

45

 

¥57,500

 

¥13,800

 

¥10,580

 この活動一覧表Aは,平成30年3月20日以降の部分を抜粋すると,おおむね上記のように記載されている。
 この活動一覧表に記載された活動時間は,コーディネーターと学習支援員に対する報酬を計算する基礎となる(すなわち,単価×活動時間=報酬と算出される。)。
2 この活動一覧表Aの記載からすると,少なくとも3月27日,3月28日,3月29日,3月30日におけるコーディネーターや学習支援員の活動は,平成29年度事業のための活動ではなく,平成30年度事業の準備のための活動のように見える。本事業は,単年度委託事業の形式をとっているため,原則として当該年度における委託料は,当該年度事業のために支出できるもので,次年度事業のために支出することはできない。
3 この点について担当課に確認したところ,3月27日,3月28日,3月29日,3月30日においても学習支援活動が行われた旨が説明され,改めてコーディネーターと学習支援員の活動時間などが記載された一覧表(以下「活動一覧表B」という。)が示された。
 (活動一覧表Bの記載)

月日

曜日

生徒

支援

コーディネーター兼学習支援員

学習支援員X

学習支援員Y

時間

支払総額

時間

支払総額

時間

支払総額

(省略)

3/20

5

2

1

¥920

 

 

1

¥920

3/20

6

2

 

 

2.5

¥2,300

2.5

¥2,300

3/22

6

2

1

¥920

 

¥0

1

¥920

3/22

 

 

 

1

¥920

 

¥0

 

¥0

3/23

8

3

1

¥920

1

¥920

1

¥920

3/23

 

 

4

¥3,680

 

 

 

¥0

3/24

 

 

4

¥3,680

 

 

 

¥0

3/25

 

 

4

¥3,680

 

¥0

 

¥0

3/26

1

1

3

¥2,760

 

¥0

 

¥0

3/27

10

1

4.5

¥4,140

 

¥0

 

¥0

3/28

4

2

4.5

¥4,140

3

¥2,760

 

¥0

3/29

7

2

4.5

¥4,140

3

¥2,760

 

¥0

3/30

5

1

4.5

¥4,140

 

¥0

 

¥0

合計

 

169

43

 

¥57,500

 

¥13,800

 

¥10,580

 この活動一覧表Bは,平成30年3月20日以降の部分を抜粋すると,おおむね上記のように記載されている。
4 上記活動一覧表Aと活動一覧表Bとを見比べると,以下の点において不一致が存在する。
 (1) 活動一覧表Bにおいては,3月27日,3月28日,3月29日,3月30日に学習会が開催されているが,活動一覧表Aにおいてはこの記載がない。
 (2) コーディネーター兼学習支援員の3月22日における活動時間と活動報酬額が,活動一覧表Aよりも,活動一覧表Bの方が少ない。
 (3) コーディネーター兼学習支援員の3月27日における活動時間と活動報酬額が,活動一覧表Aよりも,活動一覧表Bの方が多い。
 (4) 学習支援員Xの3月28日,3月29日における活動時間と活動報酬額が,活動一覧表Aよりも,活動一覧表Bの方が少ない。
 このことについて担当課に確認したところ,以下のような説明を受けた。
 活動一覧表Aは未完成のものであった。その証左に,平成30年3月27日,3月28日,3月29日,3月30日の生徒数欄は空欄となっている。活動一覧表Bこそが完成版であり,この記載が正しい。
5 本事業は,広島市から各学校協力者会議への委託事業である。そのため委託先は,事業終了後は,広島市に対して事業実施報告を行う必要がある。担当課から各学校協力者会議に配布された「平成29年度まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業の流れ」にはこの点について,以下のように記載されている。
 学校協力者会議が行う事項として,「事業実施報告書,事業実施決算書,受託費精算書,学習支援者名簿の提出(原則,事業完了後10日以内とし,最終3月31日)」があり,これを受け,担当課が行う事項として,「事業実施報告書の承認(3月31日)」がある。F中学校学校協力者会議もこれに従い,担当課に対して事業実施報告書を提出している。この事業実施報告書には,学習支援開催回数などについて,表形式で以下のように記載されている。
 (活動実施報告書の3月と合計)

開催回数

生徒

支援者

3月

25

143

39

合計

213

1,196

292

6 活動一覧表Aによれば,平成30年3月及び通年における開催回数・延べ参加生徒数・延べ参加支援者数は,以下のとおりである。
 (活動一覧表Aの集計について,3月と合計)

開催回数

生徒

支援者

3月

25

143

45

合計

213

1,196

298

 活動一覧表Bによれば,平成30年3月及び通年における開催回数・延べ参加生徒数・延べ参加支援者数は,以下のとおりである。
 (活動一覧表Bの集計について、3月と合計)

開催回数

生徒

支援者

3月

29

169

43

合計

217

1,222

296

7 そうすると,担当課は活動一覧表Bの方が完成版であると説明するが,活動一覧表Aの方が開催回数と参加生徒数において事業実施報告書と一致することとなる。そのため監査人においては,活動一覧表Aと活動一覧表Bとで,どちらが正しいのか明確には判断できなかった。
8 そこで,活動一覧表作成の基となった原資料をもって事実関係を確認しようとした。しかし,F中学校学校協力者会議においては,活動日報のような資料は作成されていなかった。前提として,担当課は,必ずしも各学校協力者会議に対して活動日報のような資料作成は義務付けていない。
 担当課は,コーディネーターと学習支援員に,詳細な活動日報の作成を求めると,これが過負担となって本事業に協力してくれる人が減っていくことを懸念すると説明する。
9 コーディネーターと学習支援員の活動時間は,その報酬を計算する基礎となる。
 文部科学省の学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金交付要綱第19条第2項には「補助事業者は,前項の支出額について,その支出内容を証する書類を整備して前項の収支簿とともに補助事業の完了又は中止若しくは廃止の日の属する年度の翌年度から5年間保存しなければならない。」と定めている。
 また,広島市契約規則第35条第2項には「検査職員は,請負契約以外の契約についての給付の完了の確認につき,契約書その他の関係書類に基づき,当該給付の内容及び数量について検査を行わなければならい。」と定めている。担当課は本事業を学校協力者会議に委託しており,これは委託契約に該当するため,本事業にも同項が適用される。そして,同項は,給付内容が確認できる書類が契約相手方である学校協力者会議において整備されていることを前提としている。このような書類の整備としては,活動一覧表などの資料が事実関係と正しく一致している点まで含まれるものであり,活動一覧表などの資料が事実関係と一致しない状態では不十分なものとなる。
 広島市の委託契約約款を受けて本事業の仕様書4(6)に,委託先において,委託業務に係る経理を明らかにした関係書類を整備し,委託期間経過後5年間保存する旨が定められている。これも,委託先である学校協力者会議において正しい資料が保存されることを意味するものである。
10 報酬計算は契約の重要部分であるため,担当課は,学校協力者会議に対して,開始時間,終了時間,活動内容が記載された,活動日報の作成を義務付けるべきである。
11 加えて,担当課が言うように,活動一覧表Bが事実を正しく表したものであるとするならば,事業実施報告書の開催回数,参加生徒数等の記載は,事実と異なる記載をしていることになる。
 担当課は,当該学校協力者会議に対し,事業実施報告書の記載に誤りがあるのであれば訂正し,事実に基づく記載を行わせるべきである。

 監査の実施を受け,平成30年10月にF中学校学校協力者会議に対し,事業実施報告書の記載の誤りを訂正するよう指示し,その後訂正された報告書の提出を受け,指導第二課の指導主事が学校を訪問し,コーディネーターが別途記録していたメモに基づき,誤りがないことを確認した。
 また,F中学校学校協力者会議に対して事業実施報告書の記載内容等について指導するとともに,平成31年2月及び同年4月に,本事業の実施校の全てのコーディネーター及び担当教職員を対象とした説明会を行い,その中で,活動実績簿の作成や適切な会計処理等について,各校のコーディネーターを直接指導した。

⑵まちぐるみ「教育の絆」プロジェクト(補助対象に該当しない時間に係る報償費について)
(所管課:教育委員会事務局学校教育部指導第二課)

監査の結果
措置の内容

 L中学校学校協力者会議では,本事業に係るコーディネーターの報償費の中に,地域行事のお祭りの事務局としての活動時間が入っていた。「平成29年度事業実施決算書」にコーディネーターの活動時間として報告されている時間数は,425.5時間であり,内訳は,事務処理時間349時間,地域貢献活動の活動時間72.5時間,地域行事の会議4時間であった。この地域行事は,地域の保育園・小学校・中学校と地域住民の合同のお祭りである。
 当初,この地域行事の事務局としてコーディネーターが個別に受けた職務については,当該事業の報償費は当たらないのではないかとの考えの下に担当課に調査を依頼した結果,地域行事の準備や片付けはこの事業の報償費に認められるが,地域行事の実行委員会の会議(7月18日,9月15日,10月24日)の4時間分3,680円は対象外経費に当たるとの回答を受けた。
 担当課は,当該コーディネーターの対象外報償費3,680円につき,本事業委託料の返還等を要求すべきである。

 対象外報償費の件については,当該コーディネーターの活動時間を精査する中で報告漏れの活動時間があったため,平成30年12月に文部科学省の了解を得て,指摘を受けた対象外報償費3,680円を当該報告漏れの活動時間分の報償費に振り替えた。
 また,L中学校学校協力者会議に対して報償費の適切な支払について指導するとともに,平成31年2月及び同年4月に,本事業の実施校の全てのコーディネーター及び担当教職員を対象とした説明会を行い,その中で,適切な会計処理等について,各校のコーディネーターを直接指導した。
 さらに,今後は,事業報告書と決算書の整合等を指導第二課で確認していくこととした。

 

6 監査の意見及び対応の内容

⑴まちぐるみ「教育の絆」プロジェクト(事業費の管理方法について)
(所管課:教育委員会事務局学校教育部指導第二課)

監査の意見
対応の内容

 L中学校学校協力者会議では,本事業のための普通預金口座において90万円の事業費を管理していた。年間を通じて仮払い処理が多く,収支帳簿の残高と通帳残高に乖離が見られた。本事業の監査のための詳細な資料の請求を開始した後の平成30年9月5日に通帳に入金がされていた。これは,当該学校協力者会議が事業費として当面必要な金額の現金を引出し管理していたもので,通帳残高と収支帳簿の残高を合わせるために同日に入金したものである。
 今回,監査を行った他の学校においては,事業費を使うときは支払者が立替えて支払い,後日,銀行にて領収証と同じ金額を1件ずつ引き出し,その通帳に印字された金額の横に「1」と書き込みがされていた。この「1」の番号は,同じ金額の領収証にも記載し,管理されていた。この方法でも良いと思われるが,担当課においては,例えば,現金出納帳を利用するなど現金管理の効率的な方法を検討するとともに,その指導を徹底して行うべきである。

 監査の実施を受け,L中学校学校協力者会議に対して現金出納帳の作成や現金の適正な管理について指導するとともに,平成31年2月及び同年4月に,本事業の実施校の全てのコーディネーター及び担当教職員を対象とした説明会を行い,その中で,支払決裁書の作成及び適切な会計処理等について各校のコーディネーターを直接指導した。

⑵まちぐるみ「教育の絆」プロジェクト(コーディネーター,学習支援員,体験活動外部講師の実働時間に係る学校ごとの認識の違いについて)
(所管課:教育委員会事務局学校教育部指導第二課)

監査の意見
対応の内容

 広島市のまちぐるみ「教育の絆」プロジェクト事業経費基準では,コーディネーター,学校の教育支援活動に係る協力支援人材,体験活動に係る協力支援人材には1時間当たり単価920円の報償費が支払われる。
 放課後学習会の実働時間数については,放課後学習会としての時間のみを実働時間としている者もいれば,放課後学習会前後の準備や時間延長した指導分も含め20分~1時間くらいを加算している者もいた。
 G中学校学校協力者会議の学習支援に関する「学習支援活動時間数」には,学習支援員の活動時間が,定期テストの期間中は1日3時間,水曜学習会については総活動時間が記載されており,1日2.5時間として算出している。
 他方で,保護者に配付した「第3回放課後学習会の実施について(お知らせ)」においては,放課後学習会の実施時間が50分程度と記載されており,そうすると,上記学習支援活動時間数と,放課後学習会の実施時間数との間には,差異が生じている。
 これは学習支援員が放課後学習会の準備を行っていた時間を計上しているためである。ただし,この放課後学習会の準備を行っていたことについては活動記録が作成されていない。
 文部科学省の学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金交付要綱第19条第2項には,「補助事業者は,前項の支出額について,その支出内容を証する書類を整備して前項の収支簿とともに補助事業の完了又は中止若しくは廃止の日の属する年度の翌年度から5年間保存しなければならない。」と定めている。また,広島市契約規則第35条第2項には「検査職員は,請負契約以外の契約についての給付の完了の確認につき,契約書その他の関係書類に基づき,当該給付の内容及び数量について検査を行わなければならない。」と定めている。担当課は本事業を学校協力者会議に委託しており,これは委託契約に該当するため,本事業にも同項が適用される。
 また,時間報告においては,「〇時間」ではなく「○○:○○~○○:○○」の採用が望ましい。これは,単に4時間と書く時と14:00~18:00と書く時では緊張感が違うし,その時間の前後との整合性を考慮する動作を伴うことから,正確な時間の把握につながる。例えば昼休憩の30分の指導であれば,30分でも1時間と書き間違えやすいが,12:30~13:00と書くには,4時限目の終了時間と5時限目の開始時間,昼食の時間を考えてかなり限定されてくる。人によって時間の感覚は異なるので,「〇時間」ではなく「○○:○○~○○:○○」の採用が望ましい。
 担当課においては,報償費の実働時間の管理のために,簡単に記入できる日誌や活動記録の様式を定め,時間管理においては,「○○:○○~○○:○○」の記入を励行すべきである。

 監査の意見を受け,G中学校学校協力者会議に対して実働時間を記入できる活動実績簿の作成について指導するとともに,活動実績簿の様式を定め,平茂31年2月及び同年4月に,本事業の実施校の全てのコーディネーター及び担当教職員を対象とした説明会を行い,その中で,活動実績簿の作成について各校のコーディネーターに直接周知を図った。

⑶まちぐるみ「教育の絆」プロジェクト(中学校の消耗品を借用することについて)
(所管課:教育委員会事務局学校教育部指導第二課)

監査の意見
対応の内容

 P中学校において,本事業のプリンターのインク代について確認したところ,平成29年度は,平成30年2月26日に黒10本とカラー3種を各10本(合計40本)で78,910円購入している。なお,平成30年度のインクの購入を確認すると,4月から10月までの間では1本もないとの回答を得た。
 同校によると,この事業の初年度であり,どのくらいの予算消化ができるか不明であったため,取りあえず学校と同じプリンターを購入し,インクは学校の物を使用していた。年度の終わりに借りていたインクを購入して返したとのことであった。平成30年4月から監査に伺った10月までの間でインクを1本も購入していないことについて,昨年度と同様に学校のインクを借りて使用しているとの回答であった。しかし,インクを学校側から借りたという管理簿や証憑は何もなかった。
 この事業の実施主体は,各学校の学校協力者会議である。文部科学省の学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金実施要領「地域学校協働活動推進事業」6(2)2オにおいて,「消耗品費は,各種事務用紙,事務用品,その他の消耗品とし,備品は認められない。なお,学校やPTA等が通常使用するものと明確に区分し,まぎれのないようにすること。また,学校等が所有している物品等が利用できる場合は,極力当該物品等の利用に努めることとする。」との記載がある。
 学校側に消耗品等を返却する場合には,管理簿を作成している場合に行うべきであり,管理簿が作成されておらず,使用した消耗品等の分量が客観的に証明できない場合にこのような資料上の根拠もなく消耗品等の引き渡しを行うことは相当ではない。
 学校と学校協力者会議の間で消耗品等の貸し借りを行っている場合は,管理簿をつけることが相当である。

 監査の意見を受け,P中学校学校協力者会議に対して管理簿の作成について指導するとともに,平成31年2月及び同年4月に,本事業の実施校の全てのコーディネーター及び担当教職員を対象とした説明会を行い,その中で,学校と学校協力者会議の間で消耗品の貸し借りや共有をする場合には使用量等を区別するための管理簿を作成するよう,各校のコーディネーターに直接周知を図った。

⑷まちぐるみ「教育の絆」プロジェクト(ルールの整備について)
(所管課:教育委員会事務局学校教育部指導第二課)

監査の意見
対応の内容

 前提として,広島市は,本事業を学校協力者会議に委託している。学校協力者会議は,広島市とは別個の存在であり,かつ,法令をもって法人格が定められているわけではない団体である。広島市は,学校協力者会議に本事業を委託するに当たり,広島市契約規則第24条により見積書を徴しており,広島市契約規則第27条第2項に基づき契約書の作成を省略しつつも承諾書を徴している。
 このような団体に事業を委託する場合のルール整備について,以下に述べる。
ア 本事業の説明資料として,以下の資料の開示を受けている。
・ 「学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金交付要綱」(20 文科生第8117号 平成21年3月31日 文部科学大臣決定 最終改製平成29年3月31日)
・ 「平成29年度「地域学校協働活動推進事業」実施要領Q&A」(平成29年2月23日・文部科学省生涯学習政策局 社会教育課地域・学校支援推進室)
・ 「平成29年度「学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金」について」(事務連絡 平成29年3月31日 文部科学省生涯学習政策局 社会教育課地域・学校支援推進室)
・ 「学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金実施要領(学校を核とした地域力強化プラン)」(平成27年3月31日 一部変更:平成29年3月31日 生涯学習政策局長・初等中等教育局長決定)
 広島市は,上記資料中の地域学校協働活動推進事業として,まちぐるみ「教育の絆」プロジェクトを実施している。
 ところが,「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業実施要項」と「仕様書」には,国の地域学校協働活動推進事業との関連性が何ら記載されていない。そして,担当課は,本事業を実施する学校協力者会議に対して,「学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金交付要綱」「平成29年度「地域学校協働活動推進事業」実施要領Q&A」「学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金実施要領(学校を核とした地域力強化プラン)」を配布していない。
 したがって,「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業実施要項」と「仕様書」に国の地域学校協働活動推進事業との関連性を明記して,上記資料も配布するなど,その内容を周知するとともに,国と広島市とのルールと整合するよう,広島市の「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業実施要項」と「仕様書」を整備する必要がある。さらに,広島市と学校協力者会議とが別個の団体であることから,次項以下について十分な整備をされたい。
イ 「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業実施要項」と「仕様書」には,本事業の目的や内容は示されているものの,委託料をどのような経費に使用してよいかを定めた項目が存在しない。詳細な経費の用途については,担当課による年度当初の説明会で「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業経費基準」を示している。しかし,これに法的拘束力を持たせるためには,学校協力者会議の承諾書による承諾の対象となる形式,すなわち通常は仕様書中に例えば,「本事業のために支出することができる経費の範囲は,別紙事業経費基準に定めるとおりである。」などと記載することにより,仕様書と事業経費基準とが一体となった形式をもって定める必要がある。また,その内容についても,上記文部科学省の資料を参照するとともに,行政コストなども勘案し,より詳細に定められることが望ましい。
 担当課は,本事業を実施する学校協力者会議に対して,購入できる物品は,1個が20千円以内のものであると指導していた。しかし,このことは,「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業実施要項」にも「仕様書」にも明記されていない。「学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金実施要領(学校を核とした地域力強化プラン)」15頁には,「備品とは,1個当たり金額が3万円以上とする。ただし,各地方公共団体会計基準等に基づく規定がある場合はこの限りではない。」「放課後等の地域学校協働活動に必要な備品の整備に係る経費は,各地域の実情(活動の実施日数や対象とする子供の数等)に応じて積算しても差し支えないが,1か所当たり210千円を上限とする。」と記載されている。
 そうすると,担当課が上記のように指導するのであれば,「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業実施要項」と「仕様書」に備品購入の可否や購入可能物品が20千円以内であることを記載すべきである。また,費用を使用することができる範囲を記載すべきである。
ウ 「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業実施要項」には,広島市が学校協力者会議による委託料の使途について検査する旨が定められていないので,これを定めるべきである。
エ 「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業実施要項」には,
・ 委託料で購入した物品の所有権の帰属(広島市に帰属すると定めることができればそれが望ましい。)
・ 学校協力者会議は,本事業遂行のために必要な範囲で,広島市立中学校の施設・備品を無償で使用することができる旨
を定めるべきである。

 平成31年2月に「教育の絆」プロジェクト実施校全てのコーディネーター及び担当教職員を対象とした説明会を行い,その中で,国の実施要領やQ&Aを配布した上,本事業の経費基準を改めて示して各校のコーディネーターに直接周知徹底を図った。
 また,監査の意見を受け,平成31年度からは,本事業の委託に係る実施要項及び仕様書について見直しを行い,仕様書の「5 委託料」の項目に「(2) 本事業は,文部科学省の地域学校協働活動推進事業として実施しているため,「学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金実施要領(学校を核とした地域力強化プラン)」を遵守すること。」,「(3) 本事業実施要項の4 事業の内容の実施に係る経費として,報償費,旅費,消耗品費,通信運搬費,保険料,雑役務費として,別紙経費基準を対象とする。」という表現を加えた。
 また,別紙経費基準に「備品(単価2万円以上の物品)の購入は認められない。」旨明記するとともに,費用を使用することができる範囲を記載した。
 広島市が検査する旨を定めることについては,実施要項の「3 実施方法」の項目(4)を「実施校の学校協力者会議は,事業実施前に事業実施計画書と事業実施予算書を,事業実施後に事業実施報告書と事業実施決算書を教育委員会学校教育部指導第二課長に提出する。」と改め,実施校の学校協力者会議運営規程に「協力者会議に1名の監査を置き,まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト事業の経理を監査し,その結果を協力者会議に報告する。」という監査に係る条文を入れることを周知徹底した。
 さらに,広島市立中学校の施設・備品を無償で使用することの記載については,仕様書にある別紙経費基準に「学校等が所有している物品等が利用できる場合は,極力,その利用に努める。」旨を記載した。
 なお,委託料で購入できる物品から備品を除外することを別紙経費基準に明記したため,今後は所有権の帰属に係る問題は生じないと考える。

 

⑸まちぐるみ「教育の絆」プロジェクト(成果の共有と改善について)
(所管課:教育委員会事務局学校教育部指導第二課)

監査の意見
対応の内容

 まちぐるみ「教育の絆」プロジェクト事業について効果の観察と改善を意識的に行う必要性が高い。そのために,本事業実施中学校及びその学校協力者会議の担当者が集まって,事業の取組方法やその成果について,情報交換や意見交換を行い,書面の形式で残すなどして,継続的に改善方法を策定し,その成果を集積していくことが望ましい。

 当該事業は,毎年度始めに,各学校のコーディネーター及び担当教職員を対象とした説明会を行い,指導第二課から事業の概要や委託契約に係る事務手続についての説明を行っている。年度中にも研修会を開催し,各学校の取組状況についての情報交換や講師を招いての講義・演習を行い, 包括外部監査人から指摘を受けた事項及びその対応策を集積した資料を配布して事例紹介を行うことにより,他校において発生した事例は自校においても発生し得るという意識を持たせるなどコーディネーターの資質能力の向上を図るとともに,コーディネーター同士の連携強化を図り,本事業が充実したものになるよう努めている。
 また,教育委員会事務局の指導主事が本事業の実施校を随時訪問し,本事業の実施状況を把握するとともに,適切なアドバイスを行っている。
 今後も,まちづくり「教育の絆」プロジェクト事業が効果的・効率的に実施されるよう継続して取り組んでいく。