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平和宣言
本日、われわれは、被爆9周年の悲しむべき日を迎えた。あの日投下された1個の爆弾は一瞬にして20余万の貴き人命を奪い去ったばかりでなく今なお、残存した市民の生命を脅かし続けている。
しかも、今や、原子爆弾につぐにさらに恐るべき水素爆弾の出現を見全人類の運命は愈々滅亡の脅威に曝されるに至った。人類史上これにまさる危機があったであろうか。
われわれ広島市民は、自らの不幸と思いを合わせてこれを坐視するに忍びず、ここに重ねて人類が再びその惨劇を繰り返すべからざることを警告し、一切の戦争排除と原子力の適当なる管理を全世界に訴えると共に、われわれもまた決意を新たにして平和確立のためにまい進せんことを謹しみて地下の諸霊に誓うものである。
1954年(昭和29年)8月6日
広島市長・広島平和協会長 浜井 信三