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ページ番号:0000009456更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

昭和44年(1969年)

平和宣言

本日、われわれはここにまた原爆記念日を迎えた。

24年前のこの日、広島は一瞬にして焦土と化し、20数万の生命は奪い去られた。しかも、そのとき人体深く食い入った放射能は、今日なお、被爆者たちの生命をおびやかしつづけている。しかるに時の経過は、世界の人々に原爆の惨禍を忘れさせ、恐怖の感覚を失わせようとさえしている。原水爆は、それが単に、殲滅的破壊を伴う兵器というだけでなく、その放射能の拡散は全地球をおおい、地上ついに人間の生存を許さなくすることは明らかである。しかるに、世界の大国は、かえって力の均衡を口実に、競って核軍備の強化に狂奔し、ますます人類自滅の方向に拍車をかけている。

あたかもこの時、人間の月着陸という人類の夢はついに実現したのである。この世紀の偉業こそは、ひとり一国の栄光にとどまらず、現代科学技術の成果であり、人間英知の勝利である。われわれは、この勝利をもって人類共存共栄の理想に向かう転機としなければならない。宇宙時代に臨む人類はより広い視野とより高い次元にたち、旧来の思考を打破して新しい世界観の確立をはかるべきである。

世界は一つであり、人類は一体である。今こそわれわれは、人類生存の理念と思想を明確にし、国家主権の障壁や異質の社会体制の対立をのり越えて、地球人としての運命一体観を深く認識し、世界市民意識を基調とした世界法による世界新秩序を確立して、戦争なき人類共同社会を建設しなければならない。これこそがふたたびこの地球上に「ヒロシマ」を繰り返さないための砦であり、現代の歴史に生きる者の使命である。

本日、ここに原爆犠牲者の霊を弔うにあたり、このことを強く世界に訴える。

1969年(昭和44年)8月6日

広島市長 山田 節男