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ページ番号:0000009450更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

昭和48年(1973年)

平和宣言

28年前のこの日、広島を一瞬のうちに破壊し、20数万の生命を奪い去った原爆の惨禍は、今回アメリカ政府から返還され、一般に公開した原爆被災記録写真の中に、生々しく再現された。新たなる衝撃と痛恨の情が、戦争を憎み、永続する平和を願う「ヒロシマの心」として、さらに高まり、深まるのをおぼえる。

断じてヒロシマをくりかえすな原爆記念日を迎えるあたり、全世界に、このことを強く訴えるものである。

ベトナム和平協定が締結され、日中国交の正常化も実現した。国際情勢のなかに、雪解けの機運が動きはじめてはいるが、核戦争への終局的な歯止めとなるべき政治的保障は、いまだ確立されていないのである。全世界の強い抗議を無視して、南太平洋において核実験を強行したフランス政府をはじめ、いまもなお核実験を続ける米・ソ・中国など、国家主権を楯として、自国の安全のためにのみ、核実験を正当化しようとしていることは、まさに時代錯誤であり、全人類に対する犯罪行為でもある。

われわれは、核兵器の速やかなる廃絶と、核実験の即時全面禁止を実現するため、全世界市民の強力な運動を盛りあげなければならない。

世界平和を培う源泉は、平和のための正しい、真しな教育であり、これこそが次の世代への「ヒロシマの心」の継承である。

われわれは、平和教育と平和研究の組織、施設の整備を推進するとともに、進んで人間の尊厳に根ざす新しい文明社会の創造を、全世界に呼びかける。

戦争は人間の心のなかに芽生えるものであるが、今日、世界をおおう環境の破壊、人口増加の圧力、食糧危機、枯渇への速度をはやめる資源消耗の現実を直視するとき、ここにも人間精神の荒廃と、世界平和を脅かす要因が潜在することを憂えるものである。

真の世界平和は、法による世界秩序の確立によってのみ打ち立てられる。すべてのものが世界化する必然的な情勢下においては、もはや、一国だけの安全と繁栄はあり得ない。今や国民国家から世界国家理念移行への時代である。人類生存条件の根本的な改善は、全世界の連帯と協力にまつほか道のないことをあえて断言する。

原爆犠牲者の御霊の前に、われわれの平和への誓いを新たにし、全市民の名において、このことを力強く内外に宣言する。

1973年(昭和48年)8月6日

広島市長 山田 節男