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ページ番号:0000009439更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

昭和56年(1981年)

平和宣言

「安らかに眠ってください 過ちは繰返しませぬから」これは原爆の犠牲者に捧げる人類の誓いの言葉である。この誓いのもとに、われわれは核兵器の廃絶と戦争の否定を訴え続けて来た。

しかし、米・ソを頂点とする果てしのない核軍拡競争は、益々対決の姿勢を強め、今や人類を破滅の淵に立たせるに至った。

この緊迫した情勢を憂えて、ローマ法王、ヨハネ・パウロ二世は、本年2月この地に立ち、過去を振返えることは将来に対する責任を担うことであり、広島を考えることは、核戦争を拒否し、平和に対しての責任をとることであると述べ、すべてをさしおいて、平和が追求され、保持されねばならないことを全世界に訴えられた。

核兵器は競って高度化・多様化し、地に空に、或は海に配備され、互に対峙しながら、その破壊力は広島型原爆の百数十万発分にも達している。われわれ人類はまさに「恐怖の均衡」下に置かれている。加えてこの均衡を破る先制核攻撃の兆しも見られ、核戦争の危機は高まっている。ひとたび核戦争が勃発すれば、人類が絶滅することは明らかである。

もはや核兵器で安全を保障することはできない。核兵器の廃絶こそが安全を保障し、平和への道に通じることを人類は悟らねばならない。

今こそ人類は、この現実を直視し、人類生存を最優先課題として、地球的視野に立ち、思想、信条、国家体制の対立を克服し、協調と相互依存の精神に基づく平和への大道を拓くときである。

来る第2回国際軍縮特別総会において全加盟国は、この精神に立脚し、核兵器保有国率先の下に、核兵器の不使用・非核武装地帯の拡大・核実験全面禁止など、核兵器廃絶と全面軍縮に向けて具体的施策を合意し、すみやかに実行に移すべきである。平和国家の理念を掲げ、非核三原則を国是とするわが国がその先導者となることを期待する。

本日、被爆36周年の8月6日を迎え、原爆犠牲者の御霊を弔うに当たり、われわれ広島市民は一層平和への責任と義務を自覚し、国家補償の精神に基づく原爆被爆者及び遺族への援護対策の拡充強化を求めるとともに、世界に強く平和への努力を訴えるものである。

1981年(昭和56年)8月6日

広島市長 荒木 武