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陳情第149号
広島市の2030年温室効果ガス削減目標の引き上げを求めることについて
(要旨)
陳情事項
気候危機を回避するため、広島市の2030年温室効果ガス削減目標をパリ協定と整合するよう大幅に引き上げることを陳情する。
陳情理由
2020年10月に菅首相は、温室効果ガスの排出量を「2050年までに実質ゼロ」にすると宣言し、2021年4月には、2030年度における温室効果ガス削減目標を2013年度比で46%削減すると発表した。
広島市でも2020年12月に2050年までの実質ゼロを目指し「ゼロカーボンシティ」への挑戦を表明している。広島市でも2030年目標の引上げをして2050年までの実質ゼロを実現していくべきであると考える。
広島市地球温暖化対策実行計画(平成29年3月策定)では、2030年温室効果ガス削減目標が2013年度比で30%削減となっているが、この削減目標の大幅な引上げを求める。
他の自治体よりも率先して先進的な地球温暖化対策を行うことで、広島市民の自信や誇りとなり、イメージアップとなる。そのことによって、地域経済の活性化にもつながる。また、環境省の自治体向けCO2削減予算は増加している。
省エネと再エネはCO2削減の2本柱であり、省エネはZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を進めることにより、市内工務店の新規建築当たりの受注金額増加、断熱改修の受注など、市内事業者の活性化につながり、再エネは太陽光、太陽熱、燃料電池等の活用により、市外に流出している電気代やガス代を節約することにつながり、市民の可処分所得の増加につながる。
よって、2030年のCO2等排出量削減目標のパリ協定と整合(注)する大幅な引上げを求める。
(注) パリ協定では産業革命後の地球の平均気温上昇を1.5度に抑えることが目標とされており、現状、1.3度まで上昇している。1.5度に抑えるために日本は2030年までの温室効果ガス削減を2013年比で62%とする必要があると研究機関「クライメート・アクション・トラッカー」は分析している。
参照
・ 「日本の1.5℃ベンチマーク~2030年温暖化対策目標改定への示唆~」2021年
https://climateactiontracker.org/documents/849/2021_03_CAT_1.5C-consistent_benchmarks_Japan_NDC-Translation.pdf
また、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は気温上昇を1.5℃以内とするためには、2030年までに2010年比で45%削減し、2050年頃には実質ゼロとする必要があるとしている。
・ IPCC「1.5度特別報告書の概要」(2019年7月版)環境省
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th/ar6_sr1.5_overview_presentation.pdf
参考に、複数の環境保護団体、研究グループが2030年温室効果ガスおよそ半減(又は半減以上)のシナリオやロードマップを発表している。
・ 「グリーン・リカバリーと2050年カーボン・ニュートラルを実現する2030年までのロードマップ」2021年未来のためのエネルギー転換研究グループ
https://green-recovery-japan.org/pdf/japanese_gr.pdf