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請願第14号
被爆75周年の平和記念式典のあり方について
(要旨)
要旨
被爆75周年の平和記念式典の在り方を、市長や担当課が一方的に決定するのではなく、被爆者や市民の声を聴く場を設け、広く合意形成をしながら進めていただくよう請願する。
理由
松井市長は、新型コロナウイルスヘの対応と言って、今年の平和記念式典を従来から大きく変更しようとしている。記者会見の場で、「今回は慰霊に目的を絞るという性格付けをして」(4月9日)と言い、「席数9割減、会場周辺の入場規制」(5月29日)といった構想を発表した。
しかし、式典の在り方はおのずと内容・性格に関わってくるものであり、これまで積み上げてきた式典の歴史を無視し、熟考と配慮の欠いた形で開かれることは、将来に禍根を残すおそれがある。
そもそも、新型コロナウイルスの大流行によってNPT再検討会議が延期となる一方、米トランプ政権が新型核戦略を打ち出すなど、核戦争の危険が増す中で迎える被爆75周年の8月6日である。市長の「慰霊に目的を絞る」という発言の裏に、「被爆地から核廃絶のアピールが後退するのではないか」といった危惧の声が上がるのも当然ではないだろうか。
市長は慰霊重視の目的を「被爆者・遺族重視」と言っているが、「被爆者の平均年齢が上がっている今日、核廃絶への具体的歩みを進めることこそが真の慰霊」という見方もできる。なぜ式典の目的から「核廃絶、世界恒久平和の実現」という言葉をあえて外したのであろうか。
また新型コロナウイルス対応策として高齢である被爆者をあえて集中的に集めるというのも、医学的に理解しづらいものである。オンライン中継など様々な方策を検討したが困難があって断念したのであれば、その経過を示すべきであろう。
8月6日は広島市民にとって特別な日であり、様々な意見があって当然である。ついては市長・担当課に対し、今年の平和記念式典の在り方について拙速に決定するのではなく、式典の目的・性格、その在り方について市長発言の真意を市民に説明し、市民の意見を聴くオープンな場を設けるよう、働き掛けることを求めるものである。