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陳情第50号
安全・安心の医療・介護の実現のため夜勤改善と大幅増員を求めることについて
(要旨)
医療や介護現場での人手不足はいまだに深刻な状態にある。人手不足により一人一人の過重労働が進み、過酷な夜勤や長時間労働などが解消されずに、医師や看護師の過労死を引き起こす事態が続いている。厚生労働省も、医療職場や介護職場の勤務環境改善の必要性を明らかにし、手立てを講じてはいるが、具体的な労働環境の改善には至っていない。
看護職員の夜勤実態調査(2017年日本医労連)では、2交替勤務のうち16時間以上の長時間夜勤の割合は4割を超え、勤務と勤務の間隔が極端に短い8時間未満の割合が約5割であった。このように過酷な夜勤実態の下で、慢性的な疲労や健康不安を訴える看護職員はそれぞれ約7割。4人のうち3人の割合で看護職員は「仕事を辞めたい」と思いながら働いている(日本医労連2017年看護職員の労働実態調査)状態である。一方、介護現場では長時間夜勤の割合は更に高く9割に及び、小規模施設では一人体制の夜勤が恒常的に行われている(2017年日本医労連介護夜勤実態調査)。
医療・介護の現場での慢性的な人手不足と勤務環境の悪化には、悪循環とも言える相関関係が生じている。労働時間規制を含めた実効ある対策は、猶予できない喫緊の課題である。私たちは、2007年に国会で採択された請願内容(夜間は患者10人に1人以上、昼間は患者4人に1人以上など看護職員配置基準の抜本改善、夜勤の月8日以内の規制など)の早期実施と、このため必要となる人員の確保を、国の責任で実行されるよう強く求めている。また、国民誰もが安心して医療・介護を利用できるよう、保険料や一部負担金の負担軽減を図ることも必要と考える。
以上の趣旨から、下記の事項について、地方自治法第99条に基づき、国に対して意見書を提出していただくよう陳情する。
記
1 医師・看護師・医療技術職・介護職などの夜勤交替制労働における労働環境を改善すること。
⑴ 1日かつ1勤務の労働時間8時間以内を基本に、労働時間の上限規制や勤務間のインターバル確保、夜勤回数の制限など、労働環境改善のための規制を設けること。
⑵ 夜勤交替制労働者の週労働時間を短縮すること。
⑶ 介護施設や有床診療所などで行われている「1人夜勤体制」をなくし、複数夜勤体制とすること。
2 医師・看護師・医療技術職・介護職を増員すること。
3 患者・利用者の負担軽減を図ること。