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陳情第37号
日本政府に香港の「自由」と「民主主義」を守る行動を求めることについて
(要旨)
9月4日、香港行政長官は市民が求める「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回すると発表した。「逃亡犯条例」改正案の撤回を実現するには、10月から始まる香港立法会での審議を経なければならない。
しかし「逃亡犯条例」改正案の撤回は、香港市民らが要求する「五つの要求」((1)「逃亡犯条例」改正案の完全撤廃、(2)市民活動を「暴動」とする見解の撤回、(3)デモ参加者の逮捕・起訴の中止、(4)警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施、(5)行政長官の辞任と民主的選挙の実現)の一つではあるが、他の要求を香港政府が受け入れたわけではない。既に中国政府は香港の境界に数千人規模の人民解放軍の傘下にある武装警察を集めており、10月1日の国慶節までに香港デモを収束させるとの見方もあり、第二の「天安門事件」が懸念されている。
そもそも香港は1997年に英国から中国に返還された際、50年間は「一国二制度」を維持し、言論・報道・出版の自由、集会やデモの自由、信仰の自由などが約束されているはずであるが、中国政府は香港の「一国二制度」を50年間は維持するという約束をほごにしている。
日本はこれを対岸の火事として済ませるべきではない。9月3日に台湾を訪問した香港の活動家・黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は、台湾に対して香港の民主化を促すように呼び掛け、香港市民が期待している台湾の人道支援メカニズムについて意見交換を求めた。
中国は、7月に発表された「新時代の中国国防」において台湾独立の動きに対して「武力行使を辞さない」、南シナ海の諸島や尖閣諸島は「中国固有の領土」と主張しており、香港の中国化の動きが今後、台湾、沖縄へと波及する危険性を認識する必要がある。
日本は、早急に米国、英国などと連携し、香港の自由と民主主義を守る国際世論の形成に尽力し、中国による覇権主義を抑止するべきである。
ついては、下記事項について、日本政府に働き掛けていただくよう陳情する。
記
1 香港政府に対して市民が求める「五つの要求」の受入れを働き掛けること。
2 中国政府が香港の「一国二制度」を守らない場合は、米国、英国などと連携し中国への経済制裁などを行うこと。
3 万が一、香港に対する中国の武力鎮圧があった場合、邦人約2万人が安全に避難できるよう自衛隊艦船や民間船の派遣を速やかに進めること。
4 万が一、香港に対する中国の武力鎮圧があった場合、香港市民の移民受入れを行うこと。