本文
陳情第15号
小児の任意接種ワクチンの助成について
(要旨)
要旨
現在有料である、ロタウイルス(以下「RV」という。)・おたふく風邪(以下「ムンプス」という。)の小児の任意接種ワクチン(予防接種)の助成をしていただくよう陳情する。
理由
現在、乳幼児の予防接種において、RVとムンプスのワクチンは自費となっている。これらは任意接種ではあるが、乳幼児の死亡・入院・後遺症のリスクを軽減させる重要なワクチンであり、先進国では無料で接種できるものである。
現在のように有料の任意接種であると、接種をしない人も多く、そもそもこれらの疾患の危険性に関してもよく分かっていない人もいる。無料の定期接種ですら接種が徹底されておらず、接種率が低いがために昨今の麻しんや風しんの流行につながっており、先進国として、非常に恥ずべき状況となっている。このままでは感染症の流行のリスクも低下しない。
本来ならば、国が定期接種にして費用を出すべきであるが、日本はワクチン後進国であり、WHOからも日本を名指して批判されるほど、先進国と比べて20年はワクチンの導入が遅れているため、国の対応を待つとあと何十年掛かるか分からない。
そこで、ここは自治体として、広島市にこれらのワクチン接種の助成をしていただきたい。助成をすることで費用は掛かるが、そのメリットは計り知れない。以下に一例を挙げる。
- ワクチン接種により病気の流行やり患率が減少し、医療費の削減となる。子のり患により家庭内感染も起こりやすいため、子のみでなく、親の医療費削減にもつながる。
- 保育園等に預けている子供を休ませる機会が減るため、親が子の看病のために仕事を休むことが減り、経済的な損失が減る。
- ムンプスにり患した際の後遺症の一つであるムンプス難聴のリスクを大幅に軽減することができる。
<接種状況の実際>
定期接種となっているワクチンの接種率はほぼ90%を超えているが、RVワクチン・ムンプスワクチン共に任意接種のため、行政による詳細なワクチン接種率は報告されていないが、論文や新聞等の報道によると、接種率はRVで約45%(2013年)、ムンプスで約40%(2017年)と推測されている。
<助成を行っている国内の自治体の例>
(1) 2012年からRVワクチンの公費助成を開始した名古屋市
- ワクチン接種率92%(2015年)に上昇。
- RV胃腸炎入院頻度:1歳未満は72.19%減少、5歳未満は34.69%減少。
- RV胃腸炎外来患者:1歳未満は87.44%減少、5歳未満は57.05%減少。
(2) 北海道内の3自治体において、RVワクチン公費助成の有る2自治体と助成無しの1自治体での比較報告
- ワクチン接種率は公費助成有りで有意に高い。
- RV胃腸炎入院率は公費助成有りで低い。
- 公費助成有りで、接種年齢外での集団免疫効果も見られた。
(3) ムンプスワクチンの公費助成を行った自治体において(国立感染症研究所)
- 助成無しの自治体と比べ、ムンプス患者数が有意に減少。
<まとめ>
このように、一部の地方自治体では独自にワクチンの助成を行っており、接種率の上昇・感染症のり患患者の減少の効果が出ている。広島県内であれば、安芸太田町(ムンプスの全額助成)・神石高原町(ロタウイルスの一部助成)・府中町(ムンプスの一部助成)などが助成を行っている。広島市もそれに続いていただきたい。