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今回は、とっても身近な話題です。
おしぼり。夏、暑くて汗が噴き出ている時の冷たく冷やした感触。冬、寒くてブルブル凍えそうな時のアツアツの感触。気分転換をする時の感触。本当に心身ともにホッと一息つきますね。
とある食事会でAさんが、おしぼりで手をふきながら「あぁ~、気持ち良いわ~。これって何気なく使っているけど、何か決まりごとがあるのかしら。」としげしげとおしぼりを眺めながらつぶやきました。
そうなんです。あるんですよ。これが。
身近なおしぼりですが、これにもれっきとした衛生基準が定められています。
「貸しおしぼりの衛生確保について」(昭和57年11月16日付け厚生省環境衛生局長通知 環指157号)
検体(おしぼり)を広げ、不潔な変色及び塩素臭以外の不快な臭気の有無を官能的に調べる。
試料1mlを採り、滅菌生理食塩水を用いて、4~5段階まで10倍段階希釈を行い、その各希釈液1mlを滅菌ペトリー皿各2枚に入れ、これにあらかじめ溶解して約45℃に保った標準寒天培地約15mlを加え、静かに回転混合して冷却凝固させ、更に前記標準寒天培地約5mlを重層して静置する。
凝固後、これを倒置して、37℃で約48時間培養した後、発生した集落を数え、計算により検体の細菌数を算定する。
試料各1mlを2本のBGLB発酵管に入れ、37℃で培養し、48時間まで観察してガスが発生した場合には、その発酵管からEMB平板培地に画線塗抹し、37℃で24時間分離培養を行い、平板培地上に定型的な大腸菌群の集落を認めたときは、陽性とする。
試料各0.2mlを2枚の卵黄加マニット食塩寒天平板培地上にコンラージ棒で塗抹し、37℃で48時間培養する。
平板培地上にマニット分解及び卵黄凝固集能が認められる集落が発生した場合は、その集落について塗抹グラム染色及びコアグラーゼ試験を行い、ブドウ状グラム陽性球菌を確認し、かつ、血漿凝固又はフィブリンの析出を認めたときは、陽性とする。
ちょっと法律用語・専門用語が並んで分かりづらいと思うので、簡潔に説明すると次のようになります。
いかがでしょうか。予想外に基準が厳しい、細かいと思われるのではないでしょうか。
広島市では、貸しおしぼりの衛生確保のため、貸しおしぼり業者を立入り指導しています。平成14年から18年までの検査結果を表に示します。
一般細菌が、合計31検体のうち3検体から望ましい範囲を超えて検出されました。またそのうち1検体から大腸菌群も検出されました。
この結果をもとに、クリーニング業者に対し、その処理を適正に行うよう指導するとともに、再度、検査を行い、改善を確認しています。
年度 | 件数 | 変色・異臭 | 大腸菌群 | 黄色ブドウ 球菌 |
一般細菌 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
適合 | 不適合 | 適合 | 望ましい範囲越え | ||||
平成14年 | 7 | 適合 | 7 | 0 | 適合 | 7 | 0 |
平成15年 | 7 | 適合 | 7 | 0 | 適合 | 6 | 1 |
平成16年 | 5 | 適合 | 5 | 0 | 適合 | 5 | 0 |
平成17年 | 6 | 適合 | 5 | 1 | 適合 | 5 | 1 |
平成18年 | 6 | 適合 | 6 | 0 | 適合 | 5 | 1 |
合計 | 31 | 31 | 30 | 1 | 31 | 28 | 3 |
次に貸しおしぼりを利用する時の留意点について考えてみましょう。
一般的には、おしぼりのマナーは、おしぼりは手を拭くもの、顔を拭くのはタブーとありますが、通知上では下記のとおり、顔を拭いても良いこととなっています。
しかし、おしぼりでテーブル等を拭くことは、マナーでも通知上でもタブーとなっています。貸しおしぼりは、通常、使う→回収→洗濯・消毒→包装→出荷→保管→使う→・・・の繰り返しなので、利用する皆様も綺麗に使ってリサイクルできる回数を増やせるよう協力しましょう。
1.~4.省略。
5.貸しおしぼり業者の指導に当たっては、その製品(おしぼり)を貸与する飲食店等の営業者に対して、当該製品の適正な使用及び衛生保持に必要な次の事項について周知し、その遵守について協力要請を行うよう指導されたいこと。
どうりで、冷たくて気持ち良いんですね。寒い時期にアツアツのおしぼりを差し出されるのは、施設側のお客様を大事にしようとする「おもてなしの心」なんですね。
普段、何気なく使う(貸し)おしぼりにも、皆様が安全に安心して使えるように決まりごとがあるのでした。